2011/07/03(日) - 13:20
エキップアサダが仕掛ける山岳ロングライド、CYCLO軽井沢。往復300kmの初日は坂の連続に疲労困憊しながらも、なんとか無事にゴール。ところが続く翌日は帰りが待っている。引き続き、実走レポートの後編をお届けしよう。
4月23日、24日の2日間に渡って開催されたシクロ軽井沢。いくつもの峠を越える過酷さで名高いこのイベントにチャレンジしたのは、ロングライドをこよなく愛する者たちのコミュニティーポータルサイト longridefan.com メンバーの4126(ヨイフロ)さん。早くも疲労気味ながら、初日に続いて無事にゴールすることができるのか・・・。
快晴の天気の下、復路のスタート
明けて24日日曜日は朝からいい天気になっている。3組の出発時間は朝9時半と遅いので、早起きして温泉にまた入ったり、まぶしい日射しの差し込むレストランでのんびりとビュッフェの朝食を楽しんでから出発準備に。多くのロングライドイベントはかなり早朝集合〜出発が多いので、まともに朝食を食べるということはまずないのだが、このへんもこのイベントならではのところ。
9時にチェックアウトして鍵をかけた部屋に保管されていた自分のバイクを出してきて荷物を預けて出発準備。すでに1組は8時半に出発、2組は9時に出発していき、いよいよ我々の3組の出発。
今日は昨日のコースを逆走して東松山のシクロパビリオンまで戻るコース。昨日登った4つの峠のうち、最後の和美峠は下るだけなのだが、残りの3つの峠は上りもあるので、決してラクではない。ただ同じコースでも獲得標高が往路の2500mと復路の1500mとでは全然違うので少しは気分も軽い。
宿をあとにして気持ちのいい軽井沢の高原をしばらく走っていよいよ和美峠の下りに突入。まだ昨日の疲れが全然取れていないので、朝から脚が重い感じがする。
昨日必至の思いで登った激坂は道幅もせまいつづら折りなので、スピードを落として慎重に下っていく。昨日の雨で路面が濡れているかと思っていたが、ほとんど乾いている感じだ。
激坂部分を下ってからは後半はみんな猛スピードで飛ばしてくだっていく。さすがに下りは写真を撮っている余裕がないので、みんなに遅れないようにしながらかっとばしていき、和美峠入口のコンビニにて休憩。
和美峠は下り応えもたっぷりであった。
いよいよここからが峠逆登り3発に向かっていくのだが、峠のアップダウンのあとの次の峠の登りはじめるまでの間が昨日とは逆に下り基調なので、その点は疲労の残る身体には嬉しい。しかし3組のメンバーは谷口選手を先頭に下り1%とかほぼフラットな「つなぎ区間」を時速35〜38km/巡航くらいで走っていくので、ちょっと写真を撮ろうとカメラを出したりしているだけですぐに遅れていく。やっぱりスプリンタークラスは速いのだ。
少し遅れては信号や休憩で追いつき、という繰り返しでいよいよ峠3連発エリアがせまってくる。
復路もやっぱり峠越えはキツイ
復路の登りは昨日自分が下ってきたところなので、何となく覚えてはいるのだが、下った時にはあっという間だったところがやっぱり登ると長い。(当たり前だが)
あいかわらず登りになると一気に他のメンバーから遅れていき、そのうち誰も見えなくなって一人旅状態。脚は重いが天気がいいがせめてもの救い。昨日とうって変わって今日は絶好のライド日和である。
湯の沢トンネル、志賀坂峠。定峰峠と斜度5〜10度くらいのけっこうキツイ登り3発をノロノロと登る。谷口選手にダンシングを取り混ぜながら登る方法をアドバイスしてもらい、所々8度とか9度に斜度がアップするところでダンシングを少し交えて登るようにしていたら、多少はラクになった気がする。
登りではグループのメンバーに遅れを取り、チェックポイントで待たせてしまったりしながらも何とか峠3つをクリア。
あいかわらずペースの速いメンバーに平地では遅れないようにしながらなんとか最後の小山を超えてひたすら走り、復路151.77km、獲得標高1698mをなんとか走破して、17時19分、東松山のシクロパビリオンにゴール!
思いっきり脚を引っ張って待たせてしまった3組のメンバーの皆さんとサイクルリーダーの木村さん、谷口選手、本当にありがとうございました。
ゴール後は随時解散となるのだが、まだ到着していない1組と2組が最後に到着するのを1時間ちょっと待って、18:30すぎ全員ゴールしたあとに浅田監督からの挨拶や残っている全員での記念撮影をしてシクロパビリオンを後にした。
初参戦のシクロ軽井沢、往復合計でのこの2日間の走行距離は304.14km、獲得標高は4283mと、「さすがはエキップアサダ!」と唸りたくなるような、ホントにしんどく、でも楽しいライドイベントであった。
シクロ軽井沢総括
「ロングライド」にもタイプがある、ということはいくつかのロングライドに参加した経験のある方ならわかると思う。
佐渡ロングライドに代表される参加人数が1000人規模の大規模ロングライドに多い「ライダーがバラバラに自由に走り、エイドステーションに寄るかどうかも完全に自由」というタイプのもの。
もうひとつがサイクルリーダーがグループごとに2名程度ついて、基本はグループごとにまとまって走行していくもので、これは参加ライダーが数十人程度の小規模なロングライドに多いタイプだ。小規模ロングライドイベントの場合、コースガイドのサインを各所に設置したり、分岐点や曲がるところなどのスタッフを配置できないために、サイクルリーダーがライダーをまとめて誘導していくこの方式になることが多い。
今回参加したシクロ軽井沢は後者である。数カ所だけ曲がるポイントで電柱に矢印のサインを付けているところはあったが、基本はコースを知っているサイクルリーダーがライダー達を誘導していくスタイル。今回のシクロ軽井沢では1組が11名、2組が10名、そして私のいた3組が6名、4組が4名と、それぞれサイクルリーダー2名がついてちょうどいいくらいの人数になっており、基本はグループごとにまとまっての走行であった。もちろん坂については登るペースがかなりバラバラになるので、バラけてしまうのは想定済みではあるが、それ以外は一団走行ということで、特に私のいる3組や4組などの早めのライダーの組では坂以外はトレインを組んで走る感じになるので、そういう走り方が合わないロングライダーにとってはあまり向いているライドイベントではない。(基本的には人とくっついて走るのは嫌い、というロングライダーも多いので)
しかし、グループ走行で一緒に他のメンバーと走る楽しさとか、1人で走るのが苦手な方にはこういうグループ走行型ロングライドのほうが向いている。
距離は片道約150kmと、ロングライドとしてはあまり長くはないものの、2日間で往復するので、2日間合計だと300kmとなり、長距離を走ることに慣れていない人にはかなりの長丁場になる。
しかも往路は峠登りが4発で獲得標高が2500m、復路は峠登りが3発で獲得標高が1700mとかなり坂が多いコース設定で、過去いくつものロングライドに参加してきた私にとっても、デスライドを除いた国内のロングライドでは一番きついロングライドだったような気がした。もちろんきつかったかどうか、というのは自分の体調などのコンディションにもよるし、天候などの要因にもよって感じ方はかわるのだが、合計300kmで獲得標高4200mという数字をとってみてもハンパではないハードなロングライドであることは明らかだ。
そのためロングライドビギナーにとっては、よほどの上り坂好きでなければ、ハードルが高いかもしれない。
もちろん私のようにグループ分けの選択で間違えてしまうことなく、ビギナー向けの1班とかに入ればペースもそんなに速くないだろうし、登りがさほど苦にならない人ならば完走も十分に可能だ。サイクルリーダーは親切に面倒を見てくれる方ばかりだし、「完走」というかどうかは別にしていざとなったらキツイ登りだけサポートカーに載せてもらう、という手もあり、万一途中で脚を使い果たしてしまい登れなくなったとしてもちゃんとサポートしてもらえるので、その点では安心だ。
またシクロ軽井沢がもうひとつ一般的なロングライドとは違っているところがある。
普通、ロングライドイベントはレースではないので、リザルト(走行タイム)がでないというのは常識だが、シクロ軽井沢の場合にはリザルトを出すようになっている。
走行タイムのカウントは4つのチェックポイントに到着するたびに、到着した時刻をシートに自分で書いていく方式。チェックポイントからの出発は各グループの出発時刻をスタッフがチェックしていて、この各チェックポイント間のタイムの合計がそれぞれ往路と復路の総合タイムとなってリザルトが公開される。厳密にいれば各チェックポイントでの食事補給や休憩はタイムに含まれていないが、チェックポイント以外にコンビニで休憩したりする時間は含まれているので、純粋な走行時間よりは少し長くなってしまうが、それでも一般的なロングライドでは個人が各自のサイコンでデータを取るか、もしくはゴールした時間ぐらいしか気にしないのに比べると、シクロ軽井沢はいかにもエキップアサダらしいレース風の味付けがこのへんにも見受けられる。
今回の参加者は全体で31名だったのだが、そのうちの8割くらいがリピーターとのこと。エキップアサダのレーシングジャージを着ている男女参加者がけっこういることからも、エキップアサダサポーターというか常連組が参加者の中に多いことがうかがえ、そのへんがリピーター率の高さに表れているのだと思う。浅田顕監督自らが1組のメンバーのサポートとして入り、一緒に走ったりしてくれることや若いエカーズの選手達もサイクルリーダーとして参加しているので、そういう人達と身近にコミュニケーションを取ったりできるという魅力がある点もこのイベントならではだ。
それから気付いた点は参加者にあまり高齢者がいない、ということだ。
あとでわかったのだが、今回の参加者の中では50才の私がなんと最年長だった。
普通のロングライドイベントでは50代〜60代の参加者が結構多くいて、皆さんマイペースで走っていたりするのだが、やはりこのイベントは性格的にはそういうゆる〜くロングライドを楽しみたい、という高齢ライダーにはちょっとキツイというかあまり向かないのかもしれない。どちらかといえば30代〜40代の脂の乗った(?)バリバリに走れる世代のライダーが、普通のロングライドイベントではやや物足りなくなった時にチャレンジする、という向きにはピッタリなイベントだと思う。
羊の皮を被っていてもやはりレースの世界の第一線で活躍しているエキップアサダという狼が仕掛けるイベントだけに、ヒルクライムイベントにもよく参戦していたり、またロングライドでもただ完走するだけじゃなく、より速いタイムでのゴールを目指したい、というアグレッシブなライダーこそ、このイベントはピッタリだと思うし、ぜひこのイベントに出てコースレコードの更新にチャレンジしてみることをオススメしたい。
ただし誤解しないでほしいのは、こうやって書くと速くない人には向かない、と思われてしまうかもしれないが、そういうことではない。私のようにヘタレなメタボライダーでもなんとか完走もできたし、このイベントを十分に楽しめたのだから「参加者を選ぶイベント」と言いたいわけではない。ただレース志向のあるロングライダーのほうがよりこのイベントの神髄を満喫できるのではないか、という感じがするだけだ。
イベントのテイストとして、自分に合う、合わないという点は出てみないとわからないが、ここまで密度の濃いアップダウンのハードなロングライドコースはそうざらにはないのは確かだし、天候さえよければ、まだ桜の花が残っているこの季節にのどかな山並みが続く緑豊かな景色の中を、ものすごくキレイな渓流沿い走っていくコースはとても魅力的なので、ぜひ一度は走ってみることをオススメしたい。ただし坂に苦しむことだけは覚悟しておく必要があるのだが・・・
最後に
初日の晩の夕食後のミーティングの際に、スペシャルジャージ受賞者の表彰式があった。4組からは往路の最速タイムを出した方が選ばれ、2組では女性の中で最速のタイムを出した方が選ばれたのだが、なんと3組での受賞者ということで、私の名前が呼ばれたのだ。3組の中での落ちこぼれの私なのに「えっ!なんで??」と耳を疑ったが、受賞理由は浅田監督曰く、「スタッフの再三のリタイヤ勧告にも応じることなく最後まで自力で走りきってくれたので、いわば『諦めなかったで賞』です。」とのこと。
参加者の皆さんの拍手の中、ややきつめのスペシャルジャージ(今年はジャージではなくオリジナルジレットだった)を着せていただいた。不名誉のような名誉のような受賞ではあったが、せっかくなのでありがたく頂戴しました。
ということで、受賞というオチまでついてしまったところでレポートは終了。
最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
P.S.せっかくいただいたこのジレットが余裕で着れるようにメタボな身体をスリム化しないと・・・
<参考データ>
■参加人数情報(サイクルリーダーは除く)
1班 11名(男性5、女性6)
2班 10名(男性9、女性1)
3班 6名(男性6、女性0)
4班 4名(男性4、女性0)
合計31名
■完走者数
31人中27名
■参加者年齢(サイクルリーダーは除く)
最年少=26歳
最年長=50歳
走行コース(ルートラボ)
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=f58c8db98473d2ad9b9f725908…
シクリズムジャパン(エキップアサダ)サイト
http://www.cyclisme-japon.net/
写真およびデータ提供協力 シクリズムジャポン
text & photo: 4126(ヨイフロ) / longridefan.com
4126(ヨイフロ) プロフィール
中学時代にフレームを購入し、パーツ組みでランドナーを作り、ユースホステルを利用して関東から信州にかけて休みを使ってのツーリングにのめり込む。ロングライドイベントには月1回のペースで参加しながら、毎月600kmの走行をなんとかこなしている。90kgオーバーというヘビー級重量のために上り坂がなによりも苦手な50才。愛車は激安中古フレーム&パーツを買い集めて組んだBMC SL-01とTREK5200。
longridefan.com について
ロングライドが大好きな方のための情報交換の場とすべく2010年にスタートした非営利のロングライドコミュニティサイト。tattsと4126の2人が毎月のように国内外の様々なロングライドイベントに参戦し、各イベントをレビューしています。
4月23日、24日の2日間に渡って開催されたシクロ軽井沢。いくつもの峠を越える過酷さで名高いこのイベントにチャレンジしたのは、ロングライドをこよなく愛する者たちのコミュニティーポータルサイト longridefan.com メンバーの4126(ヨイフロ)さん。早くも疲労気味ながら、初日に続いて無事にゴールすることができるのか・・・。
快晴の天気の下、復路のスタート
明けて24日日曜日は朝からいい天気になっている。3組の出発時間は朝9時半と遅いので、早起きして温泉にまた入ったり、まぶしい日射しの差し込むレストランでのんびりとビュッフェの朝食を楽しんでから出発準備に。多くのロングライドイベントはかなり早朝集合〜出発が多いので、まともに朝食を食べるということはまずないのだが、このへんもこのイベントならではのところ。
9時にチェックアウトして鍵をかけた部屋に保管されていた自分のバイクを出してきて荷物を預けて出発準備。すでに1組は8時半に出発、2組は9時に出発していき、いよいよ我々の3組の出発。
今日は昨日のコースを逆走して東松山のシクロパビリオンまで戻るコース。昨日登った4つの峠のうち、最後の和美峠は下るだけなのだが、残りの3つの峠は上りもあるので、決してラクではない。ただ同じコースでも獲得標高が往路の2500mと復路の1500mとでは全然違うので少しは気分も軽い。
宿をあとにして気持ちのいい軽井沢の高原をしばらく走っていよいよ和美峠の下りに突入。まだ昨日の疲れが全然取れていないので、朝から脚が重い感じがする。
昨日必至の思いで登った激坂は道幅もせまいつづら折りなので、スピードを落として慎重に下っていく。昨日の雨で路面が濡れているかと思っていたが、ほとんど乾いている感じだ。
激坂部分を下ってからは後半はみんな猛スピードで飛ばしてくだっていく。さすがに下りは写真を撮っている余裕がないので、みんなに遅れないようにしながらかっとばしていき、和美峠入口のコンビニにて休憩。
和美峠は下り応えもたっぷりであった。
いよいよここからが峠逆登り3発に向かっていくのだが、峠のアップダウンのあとの次の峠の登りはじめるまでの間が昨日とは逆に下り基調なので、その点は疲労の残る身体には嬉しい。しかし3組のメンバーは谷口選手を先頭に下り1%とかほぼフラットな「つなぎ区間」を時速35〜38km/巡航くらいで走っていくので、ちょっと写真を撮ろうとカメラを出したりしているだけですぐに遅れていく。やっぱりスプリンタークラスは速いのだ。
少し遅れては信号や休憩で追いつき、という繰り返しでいよいよ峠3連発エリアがせまってくる。
復路もやっぱり峠越えはキツイ
復路の登りは昨日自分が下ってきたところなので、何となく覚えてはいるのだが、下った時にはあっという間だったところがやっぱり登ると長い。(当たり前だが)
あいかわらず登りになると一気に他のメンバーから遅れていき、そのうち誰も見えなくなって一人旅状態。脚は重いが天気がいいがせめてもの救い。昨日とうって変わって今日は絶好のライド日和である。
湯の沢トンネル、志賀坂峠。定峰峠と斜度5〜10度くらいのけっこうキツイ登り3発をノロノロと登る。谷口選手にダンシングを取り混ぜながら登る方法をアドバイスしてもらい、所々8度とか9度に斜度がアップするところでダンシングを少し交えて登るようにしていたら、多少はラクになった気がする。
登りではグループのメンバーに遅れを取り、チェックポイントで待たせてしまったりしながらも何とか峠3つをクリア。
あいかわらずペースの速いメンバーに平地では遅れないようにしながらなんとか最後の小山を超えてひたすら走り、復路151.77km、獲得標高1698mをなんとか走破して、17時19分、東松山のシクロパビリオンにゴール!
思いっきり脚を引っ張って待たせてしまった3組のメンバーの皆さんとサイクルリーダーの木村さん、谷口選手、本当にありがとうございました。
ゴール後は随時解散となるのだが、まだ到着していない1組と2組が最後に到着するのを1時間ちょっと待って、18:30すぎ全員ゴールしたあとに浅田監督からの挨拶や残っている全員での記念撮影をしてシクロパビリオンを後にした。
初参戦のシクロ軽井沢、往復合計でのこの2日間の走行距離は304.14km、獲得標高は4283mと、「さすがはエキップアサダ!」と唸りたくなるような、ホントにしんどく、でも楽しいライドイベントであった。
シクロ軽井沢総括
「ロングライド」にもタイプがある、ということはいくつかのロングライドに参加した経験のある方ならわかると思う。
佐渡ロングライドに代表される参加人数が1000人規模の大規模ロングライドに多い「ライダーがバラバラに自由に走り、エイドステーションに寄るかどうかも完全に自由」というタイプのもの。
もうひとつがサイクルリーダーがグループごとに2名程度ついて、基本はグループごとにまとまって走行していくもので、これは参加ライダーが数十人程度の小規模なロングライドに多いタイプだ。小規模ロングライドイベントの場合、コースガイドのサインを各所に設置したり、分岐点や曲がるところなどのスタッフを配置できないために、サイクルリーダーがライダーをまとめて誘導していくこの方式になることが多い。
今回参加したシクロ軽井沢は後者である。数カ所だけ曲がるポイントで電柱に矢印のサインを付けているところはあったが、基本はコースを知っているサイクルリーダーがライダー達を誘導していくスタイル。今回のシクロ軽井沢では1組が11名、2組が10名、そして私のいた3組が6名、4組が4名と、それぞれサイクルリーダー2名がついてちょうどいいくらいの人数になっており、基本はグループごとにまとまっての走行であった。もちろん坂については登るペースがかなりバラバラになるので、バラけてしまうのは想定済みではあるが、それ以外は一団走行ということで、特に私のいる3組や4組などの早めのライダーの組では坂以外はトレインを組んで走る感じになるので、そういう走り方が合わないロングライダーにとってはあまり向いているライドイベントではない。(基本的には人とくっついて走るのは嫌い、というロングライダーも多いので)
しかし、グループ走行で一緒に他のメンバーと走る楽しさとか、1人で走るのが苦手な方にはこういうグループ走行型ロングライドのほうが向いている。
距離は片道約150kmと、ロングライドとしてはあまり長くはないものの、2日間で往復するので、2日間合計だと300kmとなり、長距離を走ることに慣れていない人にはかなりの長丁場になる。
しかも往路は峠登りが4発で獲得標高が2500m、復路は峠登りが3発で獲得標高が1700mとかなり坂が多いコース設定で、過去いくつものロングライドに参加してきた私にとっても、デスライドを除いた国内のロングライドでは一番きついロングライドだったような気がした。もちろんきつかったかどうか、というのは自分の体調などのコンディションにもよるし、天候などの要因にもよって感じ方はかわるのだが、合計300kmで獲得標高4200mという数字をとってみてもハンパではないハードなロングライドであることは明らかだ。
そのためロングライドビギナーにとっては、よほどの上り坂好きでなければ、ハードルが高いかもしれない。
もちろん私のようにグループ分けの選択で間違えてしまうことなく、ビギナー向けの1班とかに入ればペースもそんなに速くないだろうし、登りがさほど苦にならない人ならば完走も十分に可能だ。サイクルリーダーは親切に面倒を見てくれる方ばかりだし、「完走」というかどうかは別にしていざとなったらキツイ登りだけサポートカーに載せてもらう、という手もあり、万一途中で脚を使い果たしてしまい登れなくなったとしてもちゃんとサポートしてもらえるので、その点では安心だ。
またシクロ軽井沢がもうひとつ一般的なロングライドとは違っているところがある。
普通、ロングライドイベントはレースではないので、リザルト(走行タイム)がでないというのは常識だが、シクロ軽井沢の場合にはリザルトを出すようになっている。
走行タイムのカウントは4つのチェックポイントに到着するたびに、到着した時刻をシートに自分で書いていく方式。チェックポイントからの出発は各グループの出発時刻をスタッフがチェックしていて、この各チェックポイント間のタイムの合計がそれぞれ往路と復路の総合タイムとなってリザルトが公開される。厳密にいれば各チェックポイントでの食事補給や休憩はタイムに含まれていないが、チェックポイント以外にコンビニで休憩したりする時間は含まれているので、純粋な走行時間よりは少し長くなってしまうが、それでも一般的なロングライドでは個人が各自のサイコンでデータを取るか、もしくはゴールした時間ぐらいしか気にしないのに比べると、シクロ軽井沢はいかにもエキップアサダらしいレース風の味付けがこのへんにも見受けられる。
今回の参加者は全体で31名だったのだが、そのうちの8割くらいがリピーターとのこと。エキップアサダのレーシングジャージを着ている男女参加者がけっこういることからも、エキップアサダサポーターというか常連組が参加者の中に多いことがうかがえ、そのへんがリピーター率の高さに表れているのだと思う。浅田顕監督自らが1組のメンバーのサポートとして入り、一緒に走ったりしてくれることや若いエカーズの選手達もサイクルリーダーとして参加しているので、そういう人達と身近にコミュニケーションを取ったりできるという魅力がある点もこのイベントならではだ。
それから気付いた点は参加者にあまり高齢者がいない、ということだ。
あとでわかったのだが、今回の参加者の中では50才の私がなんと最年長だった。
普通のロングライドイベントでは50代〜60代の参加者が結構多くいて、皆さんマイペースで走っていたりするのだが、やはりこのイベントは性格的にはそういうゆる〜くロングライドを楽しみたい、という高齢ライダーにはちょっとキツイというかあまり向かないのかもしれない。どちらかといえば30代〜40代の脂の乗った(?)バリバリに走れる世代のライダーが、普通のロングライドイベントではやや物足りなくなった時にチャレンジする、という向きにはピッタリなイベントだと思う。
羊の皮を被っていてもやはりレースの世界の第一線で活躍しているエキップアサダという狼が仕掛けるイベントだけに、ヒルクライムイベントにもよく参戦していたり、またロングライドでもただ完走するだけじゃなく、より速いタイムでのゴールを目指したい、というアグレッシブなライダーこそ、このイベントはピッタリだと思うし、ぜひこのイベントに出てコースレコードの更新にチャレンジしてみることをオススメしたい。
ただし誤解しないでほしいのは、こうやって書くと速くない人には向かない、と思われてしまうかもしれないが、そういうことではない。私のようにヘタレなメタボライダーでもなんとか完走もできたし、このイベントを十分に楽しめたのだから「参加者を選ぶイベント」と言いたいわけではない。ただレース志向のあるロングライダーのほうがよりこのイベントの神髄を満喫できるのではないか、という感じがするだけだ。
イベントのテイストとして、自分に合う、合わないという点は出てみないとわからないが、ここまで密度の濃いアップダウンのハードなロングライドコースはそうざらにはないのは確かだし、天候さえよければ、まだ桜の花が残っているこの季節にのどかな山並みが続く緑豊かな景色の中を、ものすごくキレイな渓流沿い走っていくコースはとても魅力的なので、ぜひ一度は走ってみることをオススメしたい。ただし坂に苦しむことだけは覚悟しておく必要があるのだが・・・
最後に
初日の晩の夕食後のミーティングの際に、スペシャルジャージ受賞者の表彰式があった。4組からは往路の最速タイムを出した方が選ばれ、2組では女性の中で最速のタイムを出した方が選ばれたのだが、なんと3組での受賞者ということで、私の名前が呼ばれたのだ。3組の中での落ちこぼれの私なのに「えっ!なんで??」と耳を疑ったが、受賞理由は浅田監督曰く、「スタッフの再三のリタイヤ勧告にも応じることなく最後まで自力で走りきってくれたので、いわば『諦めなかったで賞』です。」とのこと。
参加者の皆さんの拍手の中、ややきつめのスペシャルジャージ(今年はジャージではなくオリジナルジレットだった)を着せていただいた。不名誉のような名誉のような受賞ではあったが、せっかくなのでありがたく頂戴しました。
ということで、受賞というオチまでついてしまったところでレポートは終了。
最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
P.S.せっかくいただいたこのジレットが余裕で着れるようにメタボな身体をスリム化しないと・・・
<参考データ>
■参加人数情報(サイクルリーダーは除く)
1班 11名(男性5、女性6)
2班 10名(男性9、女性1)
3班 6名(男性6、女性0)
4班 4名(男性4、女性0)
合計31名
■完走者数
31人中27名
■参加者年齢(サイクルリーダーは除く)
最年少=26歳
最年長=50歳
走行コース(ルートラボ)
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=f58c8db98473d2ad9b9f725908…
シクリズムジャパン(エキップアサダ)サイト
http://www.cyclisme-japon.net/
写真およびデータ提供協力 シクリズムジャポン
text & photo: 4126(ヨイフロ) / longridefan.com
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中学時代にフレームを購入し、パーツ組みでランドナーを作り、ユースホステルを利用して関東から信州にかけて休みを使ってのツーリングにのめり込む。ロングライドイベントには月1回のペースで参加しながら、毎月600kmの走行をなんとかこなしている。90kgオーバーというヘビー級重量のために上り坂がなによりも苦手な50才。愛車は激安中古フレーム&パーツを買い集めて組んだBMC SL-01とTREK5200。
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