2011/05/31(火) - 09:23
エキップアサダが仕掛ける山岳ロングライド、CYCLO軽井沢。峠越えを散りばめた2日間で往復300km、獲得標高も4000m越えと、かなりのハードな難コース。この長距離イベントの全容を実走レポートでお届けしよう。
4月23日、24日の2日間に渡って開催されたシクロ軽井沢。いくつもの峠を越える過酷さで名高いこのイベントにチャレンジしたのは、ロングライドをこよなく愛する者たちのコミュニティーポータルサイト longridefan.com メンバーの4126(ヨイフロ)さん。果たしてどんな運命が待ち受けているのか・・・。
天気予報はどっぷりの雨。暗雲立ちこめる往路スタート
4月23日土曜日、朝5時に家を出発して車で東松山のシクロパビリオンに向かい6時頃到着。
パビリオンの前ではすでに6時出発の1組が出発前のミーティングをしている。10人以上いる感じで賑やかだ。車を空いていたスペースに停めて準備に入る。
まずは受付を済ませると、ヘルメットに取り付ける目印のリボンと、バイクに貼るゼッケン2枚をもらう。参加賞としてサイクルキャップも支給される。
私は3組でエントリーしているので、出発は1時間遅い7時ちょうど。
ちなみにクラス分けは以下のようになっている。
1組 キャラバン隊クラス(体力に自信のない男女。目安 平地巡航速度23km/h) 6時スタート
2組 アシストクラス(ゆっくり走る男女。目安 平地巡航速度26km/h) 6時半スタート
3組 スプリンタークラス(登りに自信のない男女。目安 平地巡航速度28km/h) 7時スタート
4組 クライマークラス(登りが大好きな男女。目安 平地巡航速度30km/h) 7時半スタート
5組 リーダークラス(速い人。目安 5%登り巡航速度30km/h) 8時スタート
こうなるとどう考えても人間じゃない5組は論外として、メタボで登りが大の苦手の私には4組も対象外。となると1〜3組のどれかになるが、登りには自信が全くないものの平地巡航は普通に30〜35kmくらいは問題なく出る私としては、巡航23km/hや26km/hだとちょっと遅めなので、普通に考えれば28km/hのクラスになるか・・・。
「スプリンター」クラスという言葉がややひっかかってはいたが、軽い気持ちでエントリー時に3組を選んでしまったのだ。(あとになってこの選択が大間違いだったことを思い知ることになるのだが・・・)
女性ライダーが半分くらい混じった1組に続いてやはり男女10名くらいの2組も30分後に出発。残りの参加者はもうあまり多くない感じでしかも女性はもう残っていない。
6時45分頃から出発前のミーティングがはじまり、3組のメンバーが集まったのだが、みんな速そうなメンバーばかりである。
3組は私を入れて男性ライダーのみ6名で、それにサイクルリーダーの木村さんと谷口選手の2人を入れて8名のグループ。
基本的にはグループで一団となっての走行で、ヒルクライムのところでは、バラけてそれぞれのマイペースで走り、各峠の上に設けてあるチェックポイントにて集合、という感じになるらしい。
オフィシャルサイトで提供されているルートラボのコース図によると片道148kmで獲得標高は往路2800mとなっているが、ルートラボはトンネルを計算できないので、実際のところは、獲得標高は2500mぐらいとのことである。
コース図を見るとルート上に峠が4つあり、そのうち最後の和美峠を登って軽井沢のゴールにつくのだが、この最後がかなり強烈な感じなのだ。タイプとしては山岳ロングライド「グランフォンド」と言うべきコース内容であり、しかも2日間続けて走るということでかなりきつそうである。
天気予報では今日はどっぷりの雨。幸いスタート時点では降りそうだけど降ってない状況なのだが、それでも雨具をフル装備オルトリーブの防水サドルバッグに詰め込んでの出発である。雨のライドは去年秋のツールド千葉での丸2日間と続く淡路島で散々な目にあったが、今年はまだ雨ライドはない。今日は確実にやられるだろうから久々の雨ライド。そう思うとかなり気分は重い。
7時になっていよいよ我々の3班もスタート。シクロパビリオンを後にして西に向かって走り出す。空からは霧雨のような感じで雨が降り始めてきた中を10kmくらい進み、まず最初の小さめの山越えに突入。この時点でいやな予感は的中。自分が遅いのはわかっているのだが、他のメンバーは結構速いのだ。
「これで登りに自信がないの?」と突っ込みたくなるくらいで、この時にはっきり自分のクラス選択が間違いだったことに気付いた。2組にすればよかった。
ノロノロと坂をあがるとメンバーが待っていてくれて、そこからは一旦下って小川町方面に。
24kmくらいの落合橋のところで第一回目の休憩。ここからはいよいよ最初の定峰峠越えに向かう。
いよいよ峠越え連発
数キロは斜度のあまりないゆったりとした登りアプローチが続き、そこからはいよいよヒルクライムモードに。10度オーバーの急斜度こそないものの5度〜9度の坂がだらだらと5kmくらい続いていくので、きつい。つづら折りに折り返しながらの登りなので、かなり上のほうにこれから行く先が見え、またかなり下の方にも今登ってきたところが小さく見えるという本格的な峠越え状況に悶絶しながら、すでにとっくに見えなくなっている他のメンバーにかなり引き離されて峠頂上の第1チェックポイントに到着。
最後の2kmは峠頂上から折り返して戻ってきてくれた谷口選手に励まされながらの登りで、途中サポートカーからも「きつかったら車に乗りますか?」という実に魅力的なお誘いをかけていただいたのだが、なんとか自力で36.6km地点、標高617mの定峰峠頂上まで登り切る。こんなのがあと3つもあるのだから先が思いやられる。
チェックポイントですでに休憩しているメンバー達に迎えられ、おにぎりなどの補給食をいただきしばし休憩。小雨が降り出した中を50km地点の大野原に向けて一気に下っていく。
大野原から次の志賀坂峠まではしばらくダラダラとしたやや昇り基調の道を進んでいく。3組は「スプリンター」クラスということで、キレイにトレインを組んでペースも速い。75km地点近くからはいよいよつづら折りの本格的な登りになっていく。距離は5kmくらいと短めなのだが、5〜9度程度の登りが続いているので、なかなかペースがあがらない。
悪戦苦闘しながら志賀坂トンネル手前の第二チェックポイントに到着。志賀坂峠標高777mもなんとかクリアである。
途中またしても通りがかったサポートカーのスタッフが、あまりにノロノロと登っている私を見かねて車へ誘ってくれたが、またしてもお断りさせてもらった。こんなくらいでギブアップしていたら7月のデスライド完走なんて絶対に無理だし。
第二チェックポイントですでに到着しているグループメンバーと合流し、おにぎりをかけこんですぐに出発準備。
これで峠2発をクリアしたので、残りはあと2発。雨は思っていたほどは強くないものの、パラパラと降っている。
ここからは約6km下って、そこから次の峠に向けての斜度1度前後のやや登り基調のダラダラしたアプローチを進んでいく。
しかし、ここまでの疲労でほんの少しの斜度でもスピードが上がらなくなってきている私は徐々にグループメンバーから遅れていき、一人旅状態に。幸いGPSにルートは入れてあるので道を間違える心配はないのだが。
15kmほどのアプローチを進んだあと、299号線から右に折れていよいよ次の峠(湯の沢トンネル)への本格的な登りになっていく。ここは斜度はあまりきつくなく5〜7度前後の斜度の比較的まっすぐなラインの坂を登っていくので、定峰峠や志賀坂峠ほどはきつくはない。2kmほど登って湯の沢トンネルに。ここから約3km下り基調でトンネルを抜けると雨は止んでいる。さらに5kmほど気持ちのいい下りを満喫して第三チェックポイントに到着。これで三発完了、あと残すのは1つだけである。
最後の最難関、和美峠
第三チェックポイントでしばし休憩と栄養補給を取ったあとは8km近くさらに下って下仁田町へ。町中を抜けてからはやや登り基調のコースを最後の和美峠に向けて254号線を進んでいく。127km地点のコンビニで休憩。
ここからがいよいよ和美峠。峠を登り切ると軽井沢なので最後の、そして最大の難関になる。サイクルリーダー曰く最大22度の激坂が待ちかまえていると言うことだし、シクロ軽井沢の往路完走の鍵は全てこの和美峠の攻略にあるとも言うことで、相当の前評判というか悪評の高さを誇っている和美峠にいよいよ挑むのだ。
過去2回このイベントに参加した知人からのアドバイスでは「ポイントは最後の和美峠。めちゃくちゃきついので、脚を十分に残しておくように」とのこと。メチャクチャ速い彼をしてここまで言わせるのだから、ヘナチョコの私にはとにかく悶絶するほどの難関であることは間違いない。
和美峠を登り切る少し手前に設けられた最後の第4チェックポイントまでは13km。はじめのうちはあまり斜度のきつくない5度前後の坂が続くのだが、毎度のようにここでグループメンバーからはぐんぐん遅れていき、すぐに一人旅状態に。
上りの基本はマイペース、なので途中の自販機でジュースを買ってボトルに入れたりしながら、ゆっくりと進んでいく。8kmくらい普通の坂が続いた後、いよいよ斜度がぐっと厳しくなる和美峠へのつづら折りの登り箇所に突入。
5〜8度程度だった斜度が徐々にあがっていき、10度近くになっていく。さすがに峠3発越えてもうヘロヘロの状況なので、かなりきつい。ノロノロで走っていくとエカーズの若い選手達がこんな斜度にもかかわらず「スイスイ」という感じで挨拶しながら軽く抜いていくのだ。う〜ん。人間じゃない・・・
疲労困憊の私にはもはやこの登りをノンストップで登りきる根性と体力は残っていない。途中途中で小休止を挟みながらもなんとか登っていくとかなり先の上のほうに上信越自動車道の高架が見える。
聞いた話だとあの高架を越えてさらに先まで登りが続いていくということなので、まだまだ先じゃないか、とめげるのだが、「これを登り切ったらもう軽井沢、ゴールまではもうすぐ!」ということだけを頼りに気力を振り絞ってペダルを回していく。
道路は狭いつづら折りが続いていて斜度も10度くらいになってきている。気力を振り絞って登っていくとさっき遠くに見えた上信越自動車道の高架がすぐ目前の上空に見えてきた。と同時に斜度が半端なくなってきたのだ。つづら折りのインコース側を通ると多分斜度20度近くはありそうな感じのヘビーな坂が続き、なんとかアウトコース側を遠回りしてライン取りしながら、それでも斜度12度前後の坂というような状況が続くのだ。
ロングライド時にコンプレッションサイクルタイツを愛用するようになってからは、走っていて脚がつりそうになることは皆無になっていたのだが、久々に脚が張ってる感じでちょっとヤバそうなので無理はできない。
もはやキープレフトなどと言ってられない激坂。幸いこんなひどい裏道のような急坂を通る車はあまりいないので、左カーブのつづら折りではめいっぱい道路の右端にラインをとって斜度の低いラインを進むようにしながらなんとか滅茶苦茶きつい数kmを休み休み登り切って140km地点の第4チェックポイントにヘロヘロで到着。
もちろんすでに3組のメンバーは出発てしまったあとで、スタッフ以外はだれもいない状況だが、もうこれで登りがほとんど終わりかと思うと、ほんとに嬉しい。それにしても「なんじゃこの激坂は!」と言いたくなるような坂を往路の最後に配置するとは「恐るべし、シクロ軽井沢」である。
チェックポイントのスタッフに励まされ、またしても小雨がパラつきだしてきたなかを雨具を再び着てすぐに出発、少し登って厳しかった和美峠の登りがやっとの思いで終了した。
そして往路のゴール
登りきったところは車でよく通ったことのある浅間プリンスホテルそばの浅間ゴルフコースのところ。一気に高原らしい爽やかな景色が広がる。
突きあたりを左折してしばらく緩い下りを走っていくとそのままプリンス大通りに。ガーミンGPSに入れておいたルートを頼りに一人旅でゴールを目指して小雨で寒い中、ゴールへと走っていく。
ゴール地点の宿は中軽井沢の南のほうにあるので、プリンス大通りから左折してしばらくほぼフラットな道を約10km、何度か曲がっていよいよゴール地点だ!
宿のエントランスにシクロ軽井沢の登りとテントが見え、スタッフやすでに到着したライダーが何人かいる中を16時43分になんとかゴール。ホントに疲れた往路ライドだった。
15分ほど前にゴールした3組のメンバーはすでに部屋に入ったりしているとのことで、自転車を置き、預けておいた自分の荷物を持って相部屋の部屋に。
部屋は同じグループの3人と一緒で、とにかく大浴場に駆け込み温泉につかってほっと一息。
走行距離152.37km。獲得標高2585mの往路は、雨で寒いし坂の連発で本当に厳しいライドだった。
夕食はホテルのレストランでビュッフェスタイルの夕食。シクロ軽井沢のスタッフや参加者はまとまって席を取ってあるところに座って各自好きなものを食べる。
食後にはその場でそのままミーティングが開催され、浅田監督からスペシャルジャージの受賞者の発表と贈呈式が行われ、その後監督によるチューブレスタイヤの脱着についての解説と実演が行われ、続いてサイクルリーダーを努めてくれた若きエカーズの選手たちの紹介が行われたりと、充実の内容に昼間の疲労も薄れる。
締め括りは全員での記念撮影会。楽しいひとときをスタッフや参加者全員で楽しんで本日の予定は全部終了。
みなさんお疲れ様でした。
text & photo: 4126(ヨイフロ) / longridefan.com
なんとか明るいうちに初日を終えて、ホッとひと安心の 4126さん。でもここまで来たということは、帰りもあるということですね、ハイ。 ということで、次回は復路の様子をお届けいたします。
4126(ヨイフロ) プロフィール
中学時代にフレームを購入し、パーツ組みでランドナーを作り、ユースホステルを利用して関東から信州にかけて休みを使ってのツーリングにのめり込む。ロングライドイベントには月1回のペースで参加しながら、毎月600kmの走行をなんとかこなしている。90kgオーバーというヘビー級重量のために上り坂がなによりも苦手な50才。愛車は激安中古フレーム&パーツを買い集めて組んだBMC SL-01とTREK5200。
longridefan.com について
ロングライドが大好きな方のための情報交換の場とすべく2010年にスタートした非営利のロングライドコミュニティサイト。tattsと4126の2人が毎月のように国内外の様々なロングライドイベントに参戦し、各イベントをレビューしています。
4月23日、24日の2日間に渡って開催されたシクロ軽井沢。いくつもの峠を越える過酷さで名高いこのイベントにチャレンジしたのは、ロングライドをこよなく愛する者たちのコミュニティーポータルサイト longridefan.com メンバーの4126(ヨイフロ)さん。果たしてどんな運命が待ち受けているのか・・・。
天気予報はどっぷりの雨。暗雲立ちこめる往路スタート
4月23日土曜日、朝5時に家を出発して車で東松山のシクロパビリオンに向かい6時頃到着。
パビリオンの前ではすでに6時出発の1組が出発前のミーティングをしている。10人以上いる感じで賑やかだ。車を空いていたスペースに停めて準備に入る。
まずは受付を済ませると、ヘルメットに取り付ける目印のリボンと、バイクに貼るゼッケン2枚をもらう。参加賞としてサイクルキャップも支給される。
私は3組でエントリーしているので、出発は1時間遅い7時ちょうど。
ちなみにクラス分けは以下のようになっている。
1組 キャラバン隊クラス(体力に自信のない男女。目安 平地巡航速度23km/h) 6時スタート
2組 アシストクラス(ゆっくり走る男女。目安 平地巡航速度26km/h) 6時半スタート
3組 スプリンタークラス(登りに自信のない男女。目安 平地巡航速度28km/h) 7時スタート
4組 クライマークラス(登りが大好きな男女。目安 平地巡航速度30km/h) 7時半スタート
5組 リーダークラス(速い人。目安 5%登り巡航速度30km/h) 8時スタート
こうなるとどう考えても人間じゃない5組は論外として、メタボで登りが大の苦手の私には4組も対象外。となると1〜3組のどれかになるが、登りには自信が全くないものの平地巡航は普通に30〜35kmくらいは問題なく出る私としては、巡航23km/hや26km/hだとちょっと遅めなので、普通に考えれば28km/hのクラスになるか・・・。
「スプリンター」クラスという言葉がややひっかかってはいたが、軽い気持ちでエントリー時に3組を選んでしまったのだ。(あとになってこの選択が大間違いだったことを思い知ることになるのだが・・・)
女性ライダーが半分くらい混じった1組に続いてやはり男女10名くらいの2組も30分後に出発。残りの参加者はもうあまり多くない感じでしかも女性はもう残っていない。
6時45分頃から出発前のミーティングがはじまり、3組のメンバーが集まったのだが、みんな速そうなメンバーばかりである。
3組は私を入れて男性ライダーのみ6名で、それにサイクルリーダーの木村さんと谷口選手の2人を入れて8名のグループ。
基本的にはグループで一団となっての走行で、ヒルクライムのところでは、バラけてそれぞれのマイペースで走り、各峠の上に設けてあるチェックポイントにて集合、という感じになるらしい。
オフィシャルサイトで提供されているルートラボのコース図によると片道148kmで獲得標高は往路2800mとなっているが、ルートラボはトンネルを計算できないので、実際のところは、獲得標高は2500mぐらいとのことである。
コース図を見るとルート上に峠が4つあり、そのうち最後の和美峠を登って軽井沢のゴールにつくのだが、この最後がかなり強烈な感じなのだ。タイプとしては山岳ロングライド「グランフォンド」と言うべきコース内容であり、しかも2日間続けて走るということでかなりきつそうである。
天気予報では今日はどっぷりの雨。幸いスタート時点では降りそうだけど降ってない状況なのだが、それでも雨具をフル装備オルトリーブの防水サドルバッグに詰め込んでの出発である。雨のライドは去年秋のツールド千葉での丸2日間と続く淡路島で散々な目にあったが、今年はまだ雨ライドはない。今日は確実にやられるだろうから久々の雨ライド。そう思うとかなり気分は重い。
7時になっていよいよ我々の3班もスタート。シクロパビリオンを後にして西に向かって走り出す。空からは霧雨のような感じで雨が降り始めてきた中を10kmくらい進み、まず最初の小さめの山越えに突入。この時点でいやな予感は的中。自分が遅いのはわかっているのだが、他のメンバーは結構速いのだ。
「これで登りに自信がないの?」と突っ込みたくなるくらいで、この時にはっきり自分のクラス選択が間違いだったことに気付いた。2組にすればよかった。
ノロノロと坂をあがるとメンバーが待っていてくれて、そこからは一旦下って小川町方面に。
24kmくらいの落合橋のところで第一回目の休憩。ここからはいよいよ最初の定峰峠越えに向かう。
いよいよ峠越え連発
数キロは斜度のあまりないゆったりとした登りアプローチが続き、そこからはいよいよヒルクライムモードに。10度オーバーの急斜度こそないものの5度〜9度の坂がだらだらと5kmくらい続いていくので、きつい。つづら折りに折り返しながらの登りなので、かなり上のほうにこれから行く先が見え、またかなり下の方にも今登ってきたところが小さく見えるという本格的な峠越え状況に悶絶しながら、すでにとっくに見えなくなっている他のメンバーにかなり引き離されて峠頂上の第1チェックポイントに到着。
最後の2kmは峠頂上から折り返して戻ってきてくれた谷口選手に励まされながらの登りで、途中サポートカーからも「きつかったら車に乗りますか?」という実に魅力的なお誘いをかけていただいたのだが、なんとか自力で36.6km地点、標高617mの定峰峠頂上まで登り切る。こんなのがあと3つもあるのだから先が思いやられる。
チェックポイントですでに休憩しているメンバー達に迎えられ、おにぎりなどの補給食をいただきしばし休憩。小雨が降り出した中を50km地点の大野原に向けて一気に下っていく。
大野原から次の志賀坂峠まではしばらくダラダラとしたやや昇り基調の道を進んでいく。3組は「スプリンター」クラスということで、キレイにトレインを組んでペースも速い。75km地点近くからはいよいよつづら折りの本格的な登りになっていく。距離は5kmくらいと短めなのだが、5〜9度程度の登りが続いているので、なかなかペースがあがらない。
悪戦苦闘しながら志賀坂トンネル手前の第二チェックポイントに到着。志賀坂峠標高777mもなんとかクリアである。
途中またしても通りがかったサポートカーのスタッフが、あまりにノロノロと登っている私を見かねて車へ誘ってくれたが、またしてもお断りさせてもらった。こんなくらいでギブアップしていたら7月のデスライド完走なんて絶対に無理だし。
第二チェックポイントですでに到着しているグループメンバーと合流し、おにぎりをかけこんですぐに出発準備。
これで峠2発をクリアしたので、残りはあと2発。雨は思っていたほどは強くないものの、パラパラと降っている。
ここからは約6km下って、そこから次の峠に向けての斜度1度前後のやや登り基調のダラダラしたアプローチを進んでいく。
しかし、ここまでの疲労でほんの少しの斜度でもスピードが上がらなくなってきている私は徐々にグループメンバーから遅れていき、一人旅状態に。幸いGPSにルートは入れてあるので道を間違える心配はないのだが。
15kmほどのアプローチを進んだあと、299号線から右に折れていよいよ次の峠(湯の沢トンネル)への本格的な登りになっていく。ここは斜度はあまりきつくなく5〜7度前後の斜度の比較的まっすぐなラインの坂を登っていくので、定峰峠や志賀坂峠ほどはきつくはない。2kmほど登って湯の沢トンネルに。ここから約3km下り基調でトンネルを抜けると雨は止んでいる。さらに5kmほど気持ちのいい下りを満喫して第三チェックポイントに到着。これで三発完了、あと残すのは1つだけである。
最後の最難関、和美峠
第三チェックポイントでしばし休憩と栄養補給を取ったあとは8km近くさらに下って下仁田町へ。町中を抜けてからはやや登り基調のコースを最後の和美峠に向けて254号線を進んでいく。127km地点のコンビニで休憩。
ここからがいよいよ和美峠。峠を登り切ると軽井沢なので最後の、そして最大の難関になる。サイクルリーダー曰く最大22度の激坂が待ちかまえていると言うことだし、シクロ軽井沢の往路完走の鍵は全てこの和美峠の攻略にあるとも言うことで、相当の前評判というか悪評の高さを誇っている和美峠にいよいよ挑むのだ。
過去2回このイベントに参加した知人からのアドバイスでは「ポイントは最後の和美峠。めちゃくちゃきついので、脚を十分に残しておくように」とのこと。メチャクチャ速い彼をしてここまで言わせるのだから、ヘナチョコの私にはとにかく悶絶するほどの難関であることは間違いない。
和美峠を登り切る少し手前に設けられた最後の第4チェックポイントまでは13km。はじめのうちはあまり斜度のきつくない5度前後の坂が続くのだが、毎度のようにここでグループメンバーからはぐんぐん遅れていき、すぐに一人旅状態に。
上りの基本はマイペース、なので途中の自販機でジュースを買ってボトルに入れたりしながら、ゆっくりと進んでいく。8kmくらい普通の坂が続いた後、いよいよ斜度がぐっと厳しくなる和美峠へのつづら折りの登り箇所に突入。
5〜8度程度だった斜度が徐々にあがっていき、10度近くになっていく。さすがに峠3発越えてもうヘロヘロの状況なので、かなりきつい。ノロノロで走っていくとエカーズの若い選手達がこんな斜度にもかかわらず「スイスイ」という感じで挨拶しながら軽く抜いていくのだ。う〜ん。人間じゃない・・・
疲労困憊の私にはもはやこの登りをノンストップで登りきる根性と体力は残っていない。途中途中で小休止を挟みながらもなんとか登っていくとかなり先の上のほうに上信越自動車道の高架が見える。
聞いた話だとあの高架を越えてさらに先まで登りが続いていくということなので、まだまだ先じゃないか、とめげるのだが、「これを登り切ったらもう軽井沢、ゴールまではもうすぐ!」ということだけを頼りに気力を振り絞ってペダルを回していく。
道路は狭いつづら折りが続いていて斜度も10度くらいになってきている。気力を振り絞って登っていくとさっき遠くに見えた上信越自動車道の高架がすぐ目前の上空に見えてきた。と同時に斜度が半端なくなってきたのだ。つづら折りのインコース側を通ると多分斜度20度近くはありそうな感じのヘビーな坂が続き、なんとかアウトコース側を遠回りしてライン取りしながら、それでも斜度12度前後の坂というような状況が続くのだ。
ロングライド時にコンプレッションサイクルタイツを愛用するようになってからは、走っていて脚がつりそうになることは皆無になっていたのだが、久々に脚が張ってる感じでちょっとヤバそうなので無理はできない。
もはやキープレフトなどと言ってられない激坂。幸いこんなひどい裏道のような急坂を通る車はあまりいないので、左カーブのつづら折りではめいっぱい道路の右端にラインをとって斜度の低いラインを進むようにしながらなんとか滅茶苦茶きつい数kmを休み休み登り切って140km地点の第4チェックポイントにヘロヘロで到着。
もちろんすでに3組のメンバーは出発てしまったあとで、スタッフ以外はだれもいない状況だが、もうこれで登りがほとんど終わりかと思うと、ほんとに嬉しい。それにしても「なんじゃこの激坂は!」と言いたくなるような坂を往路の最後に配置するとは「恐るべし、シクロ軽井沢」である。
チェックポイントのスタッフに励まされ、またしても小雨がパラつきだしてきたなかを雨具を再び着てすぐに出発、少し登って厳しかった和美峠の登りがやっとの思いで終了した。
そして往路のゴール
登りきったところは車でよく通ったことのある浅間プリンスホテルそばの浅間ゴルフコースのところ。一気に高原らしい爽やかな景色が広がる。
突きあたりを左折してしばらく緩い下りを走っていくとそのままプリンス大通りに。ガーミンGPSに入れておいたルートを頼りに一人旅でゴールを目指して小雨で寒い中、ゴールへと走っていく。
ゴール地点の宿は中軽井沢の南のほうにあるので、プリンス大通りから左折してしばらくほぼフラットな道を約10km、何度か曲がっていよいよゴール地点だ!
宿のエントランスにシクロ軽井沢の登りとテントが見え、スタッフやすでに到着したライダーが何人かいる中を16時43分になんとかゴール。ホントに疲れた往路ライドだった。
15分ほど前にゴールした3組のメンバーはすでに部屋に入ったりしているとのことで、自転車を置き、預けておいた自分の荷物を持って相部屋の部屋に。
部屋は同じグループの3人と一緒で、とにかく大浴場に駆け込み温泉につかってほっと一息。
走行距離152.37km。獲得標高2585mの往路は、雨で寒いし坂の連発で本当に厳しいライドだった。
夕食はホテルのレストランでビュッフェスタイルの夕食。シクロ軽井沢のスタッフや参加者はまとまって席を取ってあるところに座って各自好きなものを食べる。
食後にはその場でそのままミーティングが開催され、浅田監督からスペシャルジャージの受賞者の発表と贈呈式が行われ、その後監督によるチューブレスタイヤの脱着についての解説と実演が行われ、続いてサイクルリーダーを努めてくれた若きエカーズの選手たちの紹介が行われたりと、充実の内容に昼間の疲労も薄れる。
締め括りは全員での記念撮影会。楽しいひとときをスタッフや参加者全員で楽しんで本日の予定は全部終了。
みなさんお疲れ様でした。
text & photo: 4126(ヨイフロ) / longridefan.com
なんとか明るいうちに初日を終えて、ホッとひと安心の 4126さん。でもここまで来たということは、帰りもあるということですね、ハイ。 ということで、次回は復路の様子をお届けいたします。
4126(ヨイフロ) プロフィール
中学時代にフレームを購入し、パーツ組みでランドナーを作り、ユースホステルを利用して関東から信州にかけて休みを使ってのツーリングにのめり込む。ロングライドイベントには月1回のペースで参加しながら、毎月600kmの走行をなんとかこなしている。90kgオーバーというヘビー級重量のために上り坂がなによりも苦手な50才。愛車は激安中古フレーム&パーツを買い集めて組んだBMC SL-01とTREK5200。
longridefan.com について
ロングライドが大好きな方のための情報交換の場とすべく2010年にスタートした非営利のロングライドコミュニティサイト。tattsと4126の2人が毎月のように国内外の様々なロングライドイベントに参戦し、各イベントをレビューしています。
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