2011/05/12(木) - 09:37
大好きな台湾を大好きな自転車で、単身台湾一周の旅に走り出した大河原正晴さん。前回は野犬から必死で逃げ切ったり、高速道路に迷い込むハプニングなど、ギリギリの状況をなんとか切り抜け、台南まで無事に到着。
果たして、台湾の南端を目指す今回の旅は何事も無く進むのか? それではお届けしましょう。
3月5日 台南~高雄〜楓港
みなさんこんにちは、バイシクルトレーナーズ・ジャパンの大河原です。
早くも東京を出発して5日目。少し詰め込みすぎた荷物とスケジュールで、疲れもピークに達している頃なのですが、毎日の入念な身体のケアと栄養補給に努めているので、筋肉や関節はバッチリ。それに反して睡眠不足がちょっと問題。
今日はバドミントンの予定がないので、体力の続く限り、日が暮れるまで台湾を南下し続ける作戦です。なんせ根っからの欲張りですから。
さて台南を出発して南下、高雄まではすんなりと到着しました。ここ高雄は台湾第二の都市。今回のウエアを提供していただいたカジュアルブランド、CCPを扱うショップが新光三越にあることを事前に調べていたので探しにいきます。中心街の三越で聞いてみると、もう一店三越がオープンしていてそちらだという。しかもその店は十数キロ引き返したところ。仕方なく引き返してそちらで聞くと、今度は出店は2月末までだったという。なんともショック・・・
その後、市内のGIANTショップに向かうも、今日はクローズ。おぉ、なんと残酷な!
とはいえ、まだまだこの先に楽しいことが待っているかもしれません。気を取り直して先に向かいます。ところが強い風のなか海岸線をひたすら南下するも、だんだんと暗くなるにつれて体調も怪しくなってきました。日々の睡眠不足がたたって、どうやら発熱したようです。この日はなんとか最南端まで目指したかったのですが、これであえなく撃沈。
海辺の木の下でちょっと一眠りしながら、あたりが真っ暗になった頃、ようやく楓港という港町に到着です。
宿を見つけて、栄養価の高い食品と大量の水を買い込み、ゆっくりと入浴。今夜はひたすら回復につとめることにします。どうやらハプニングまで、欲張りになってきたようです。
本日の移動距離 145.4km
3月6日 楓港〜台東
前日は珍しく早く就寝した分、早朝5時に起床。この時間なら最南端を経由して台東を目指せると、懲りずに長距離計画を思い描き準備していると、また熱が・・・。栄養ドリンクを飲み、再びおとなしく睡眠を3時間。するとすっかり体調も回復しました。やはり疲れているときには、休養が一番。我ながらこの回復力に感謝!
と言っている次の瞬間には、天気と体調の回復に気を良くして出発です。じつはここ楓港からは、南下をあきらめて半島をショートカットして台東を目指すことも出来たのですが、もちろん最南端を経由して半島をぐるりと回るコースに進路をとります。そういう旅なんです、やっぱり。
前半はこの旅でもっともよい天気に恵まれ、海岸線を気持ちよく走りました。これまでとはまるで違う南の景色を楽しみながら、最南端の公園まで順調に到着。のんびりしたい気持ちをグッとこらえて先を急ぎます。
南端を過ぎてからは、さまざまに変化する道で、これまでに走ってきた佐渡や鳥取砂丘、ハワイや沖縄を思い出します。台湾南端の恒春半島は車も少なく、自然も美しく、適度なアップダウンと海岸線はとても気持ちよい道です。沢山のサイクリストにもすれ違い“ここだけ”を走るなら本当にお薦めです。
でも・・・私はこの日のうちに台東までたどり着くという目標を作ってしまいました。とにかくスピードを上げて進むのですが、天気はいつの間にやら一転して雨と風。海岸線に出たときにはまるで台風のような強風に、もしかしてたどり着けないかという不安感と一人の寂しさが倍増するなか、これまでの楽しい思い出やこれから先に待っているであろう、素敵な出会いを想像して頑張りました。
やっとの思いで台東にたどり着いたのは、すっかり日も暮れた午後8時。真っ暗の海岸線では、自転車に付けているライトでは全く足りませんでした。危険も伴うので、夜はなるべく走るべからず!それが今日得た教訓です。
本日の移動距離 191.4km
3月7日 台東~花蓮
台東からこれから目指す花蓮までのルートは2つあります。海岸線をひた走るルートと、山の中を列車の線路沿いに進むルート。やっぱり景色重視でしょう!ということで迷うことなく海岸線に決定。しかしこれが悲劇の始まりに・・・
海岸線に出た途端、雨と強風に煽られ続け2時間走っても30kmしか進みません。あまりの海からの強風に自転車ごと横にスライドすることもしばしば。いろんなモノが風に飛ばされて宙を舞う中、なんと工事現場のスコップが飛んでいるのを見たのは、さすがに生まれて初めて。つぎは自分が宙に舞わないようにしなくては。
この旅で最も厳しいライドとなり、果たして今日中にたどり着けるのか?あらためて自然の厳しさを噛み締めつつ、とにかく前にこぎつつける。今はそれしか無いという気持ちで進みます。途中のセブンイレブンでは、心臓病を患いながらも自転車で台湾一周の一人旅をしている青年に出会い、彼から勇気をいただきました。
じつはこの日は午後7時から花蓮でバドミントンの約束をしていたのですが、この調子では到底間に合いそうにありません。必死でスピードを維持するもこんなときに前輪がパンク。さらに天気は次第に大雨に・・・。どうやら欲張り過ぎる自分に、天から大きなお叱りが下ったようです。
パンクと大雨による視界不良でなかなか前に進みません。このままでは大幅に遅れそうな気配なので、花蓮のバドミントンクラブに現在地と事情を連絡して先を急ぎます。
日も暮れて真っ暗になったころ、ようやく難所の親不知子断崖を通過。昨日の恐怖と教訓が頭をよぎる中、真っ暗な峠を慎重に進むと、さらなる試練が。途中から大掛かりな工事で砂利道になり、ロードバイクではかなり厳しい路面状況となりました。
真っ暗な中を恐る恐る走っているところに、一本の電話が。なんと先ほど電話した花蓮の方が、車で迎えに来てくれているとのこと。まさに救世主!天に見放されても、再び台湾の人に温かく救っていただきました。
今回の旅では、本当にみなさんに助けられながら、ここまで無事に進んでいます。
本日の移動距離 133.9km
それでは、今回はこの辺で。
次回はいよいよ旅も後半に、こんな調子で果たして無事にゴール出来るのでしょうか。
text&photo:大河原 正晴
大河原 正晴 プロフィール
BICYCLE TRAINERS JAPAN 代表。
JCAサイクリングインストラクターを始め、上級救命技能、高齢者体力づくり支援士などの資格を有し、バドミントンと自転車を武器に日本各地、世界各国を駆け巡り、ウェルネスライフを実践するPERSONAL TRAINER。
都内フィットネスクラブ・自宅・出張にてパーソナルトレーニング指導したり、都内を拠点にパーソナルライド、パーソナルランニングセッションも実施する。
クライアントは運動未経験の女性からトップアスリートまで、年齢も子供から高齢者に至るまで、多岐に渡る。自身の身体能力を引き出すためのトレーニング、コンディショニングアドバイスを中心に、将来長く健康を維持するための生活習慣の見直しや提案、生涯スポーツへの挑戦もサポートもしてくれる。
果たして、台湾の南端を目指す今回の旅は何事も無く進むのか? それではお届けしましょう。
3月5日 台南~高雄〜楓港
みなさんこんにちは、バイシクルトレーナーズ・ジャパンの大河原です。
早くも東京を出発して5日目。少し詰め込みすぎた荷物とスケジュールで、疲れもピークに達している頃なのですが、毎日の入念な身体のケアと栄養補給に努めているので、筋肉や関節はバッチリ。それに反して睡眠不足がちょっと問題。
今日はバドミントンの予定がないので、体力の続く限り、日が暮れるまで台湾を南下し続ける作戦です。なんせ根っからの欲張りですから。
さて台南を出発して南下、高雄まではすんなりと到着しました。ここ高雄は台湾第二の都市。今回のウエアを提供していただいたカジュアルブランド、CCPを扱うショップが新光三越にあることを事前に調べていたので探しにいきます。中心街の三越で聞いてみると、もう一店三越がオープンしていてそちらだという。しかもその店は十数キロ引き返したところ。仕方なく引き返してそちらで聞くと、今度は出店は2月末までだったという。なんともショック・・・
その後、市内のGIANTショップに向かうも、今日はクローズ。おぉ、なんと残酷な!
とはいえ、まだまだこの先に楽しいことが待っているかもしれません。気を取り直して先に向かいます。ところが強い風のなか海岸線をひたすら南下するも、だんだんと暗くなるにつれて体調も怪しくなってきました。日々の睡眠不足がたたって、どうやら発熱したようです。この日はなんとか最南端まで目指したかったのですが、これであえなく撃沈。
海辺の木の下でちょっと一眠りしながら、あたりが真っ暗になった頃、ようやく楓港という港町に到着です。
宿を見つけて、栄養価の高い食品と大量の水を買い込み、ゆっくりと入浴。今夜はひたすら回復につとめることにします。どうやらハプニングまで、欲張りになってきたようです。
本日の移動距離 145.4km
3月6日 楓港〜台東
前日は珍しく早く就寝した分、早朝5時に起床。この時間なら最南端を経由して台東を目指せると、懲りずに長距離計画を思い描き準備していると、また熱が・・・。栄養ドリンクを飲み、再びおとなしく睡眠を3時間。するとすっかり体調も回復しました。やはり疲れているときには、休養が一番。我ながらこの回復力に感謝!
と言っている次の瞬間には、天気と体調の回復に気を良くして出発です。じつはここ楓港からは、南下をあきらめて半島をショートカットして台東を目指すことも出来たのですが、もちろん最南端を経由して半島をぐるりと回るコースに進路をとります。そういう旅なんです、やっぱり。
前半はこの旅でもっともよい天気に恵まれ、海岸線を気持ちよく走りました。これまでとはまるで違う南の景色を楽しみながら、最南端の公園まで順調に到着。のんびりしたい気持ちをグッとこらえて先を急ぎます。
南端を過ぎてからは、さまざまに変化する道で、これまでに走ってきた佐渡や鳥取砂丘、ハワイや沖縄を思い出します。台湾南端の恒春半島は車も少なく、自然も美しく、適度なアップダウンと海岸線はとても気持ちよい道です。沢山のサイクリストにもすれ違い“ここだけ”を走るなら本当にお薦めです。
でも・・・私はこの日のうちに台東までたどり着くという目標を作ってしまいました。とにかくスピードを上げて進むのですが、天気はいつの間にやら一転して雨と風。海岸線に出たときにはまるで台風のような強風に、もしかしてたどり着けないかという不安感と一人の寂しさが倍増するなか、これまでの楽しい思い出やこれから先に待っているであろう、素敵な出会いを想像して頑張りました。
やっとの思いで台東にたどり着いたのは、すっかり日も暮れた午後8時。真っ暗の海岸線では、自転車に付けているライトでは全く足りませんでした。危険も伴うので、夜はなるべく走るべからず!それが今日得た教訓です。
本日の移動距離 191.4km
3月7日 台東~花蓮
台東からこれから目指す花蓮までのルートは2つあります。海岸線をひた走るルートと、山の中を列車の線路沿いに進むルート。やっぱり景色重視でしょう!ということで迷うことなく海岸線に決定。しかしこれが悲劇の始まりに・・・
海岸線に出た途端、雨と強風に煽られ続け2時間走っても30kmしか進みません。あまりの海からの強風に自転車ごと横にスライドすることもしばしば。いろんなモノが風に飛ばされて宙を舞う中、なんと工事現場のスコップが飛んでいるのを見たのは、さすがに生まれて初めて。つぎは自分が宙に舞わないようにしなくては。
この旅で最も厳しいライドとなり、果たして今日中にたどり着けるのか?あらためて自然の厳しさを噛み締めつつ、とにかく前にこぎつつける。今はそれしか無いという気持ちで進みます。途中のセブンイレブンでは、心臓病を患いながらも自転車で台湾一周の一人旅をしている青年に出会い、彼から勇気をいただきました。
じつはこの日は午後7時から花蓮でバドミントンの約束をしていたのですが、この調子では到底間に合いそうにありません。必死でスピードを維持するもこんなときに前輪がパンク。さらに天気は次第に大雨に・・・。どうやら欲張り過ぎる自分に、天から大きなお叱りが下ったようです。
パンクと大雨による視界不良でなかなか前に進みません。このままでは大幅に遅れそうな気配なので、花蓮のバドミントンクラブに現在地と事情を連絡して先を急ぎます。
日も暮れて真っ暗になったころ、ようやく難所の親不知子断崖を通過。昨日の恐怖と教訓が頭をよぎる中、真っ暗な峠を慎重に進むと、さらなる試練が。途中から大掛かりな工事で砂利道になり、ロードバイクではかなり厳しい路面状況となりました。
真っ暗な中を恐る恐る走っているところに、一本の電話が。なんと先ほど電話した花蓮の方が、車で迎えに来てくれているとのこと。まさに救世主!天に見放されても、再び台湾の人に温かく救っていただきました。
今回の旅では、本当にみなさんに助けられながら、ここまで無事に進んでいます。
本日の移動距離 133.9km
それでは、今回はこの辺で。
次回はいよいよ旅も後半に、こんな調子で果たして無事にゴール出来るのでしょうか。
text&photo:大河原 正晴
大河原 正晴 プロフィール
BICYCLE TRAINERS JAPAN 代表。
JCAサイクリングインストラクターを始め、上級救命技能、高齢者体力づくり支援士などの資格を有し、バドミントンと自転車を武器に日本各地、世界各国を駆け巡り、ウェルネスライフを実践するPERSONAL TRAINER。
都内フィットネスクラブ・自宅・出張にてパーソナルトレーニング指導したり、都内を拠点にパーソナルライド、パーソナルランニングセッションも実施する。
クライアントは運動未経験の女性からトップアスリートまで、年齢も子供から高齢者に至るまで、多岐に渡る。自身の身体能力を引き出すためのトレーニング、コンディショニングアドバイスを中心に、将来長く健康を維持するための生活習慣の見直しや提案、生涯スポーツへの挑戦もサポートもしてくれる。
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