2010/09/08(水) - 10:26
富士山の外周をぐるりと一周、120kmを走るサイクリングイベントがMt.FUJIエコサイクリングだ。猛暑が心配されたものの当日は快適な気温に恵まれ、約1,500人がダイナミックなサイクリングを楽しんだ。
Mt.FUJIエコサイクリングの主旨は、自然環境と人に優しい自転車を利用し、日本の象徴であり世界文化遺産に正式登録をめざしている富士山麗において、サイクリングで富士山一周をサイクリングすること。
サイクリング自体は日曜日に開催されるが、前日の土曜日には参加者と大会スタッフによる大会会場の富士山地域においてクリーンアップ活動を展開。ゴミ拾いを通じて富士山の貴重な自然環境の保全についての意識を高める。
また大会当日もコース途中にある日本初の盲導犬育成総合センターである盲導犬の里「富士ハーネス」に立ち寄り、盲導犬の実情に触れることで理解を深める機会が用意されている。サイクリングを通じて、環境と社会について、普段忘れがちなことに気づいてもらうことを意図しているのだ。
クリーンアップとトークショーなど、前日イベント盛りだくさん
9月4日(土)は富士山一周サイクリングの受付と、環境フォーラム、そして富士山クリーンアップ活動が行われる。
スタート・ゴール地点となるメイン会場、山中湖交流プラザ きららに、続々と参加者が集まってくる。
富士山周辺のゴミを収集する「富士山クリーンアップ活動」は、富士山一周サイクリングやファミリーサイクリングに申し込んだ人が参加できる無料ボランティアイベント。
参加者皆でバスに乗って山麓に向かい、ゴミ拾いを行う。明日走る富士山に、感謝の意を込めて掃除を行う参加者とスタッフたち。集めた成果のぶんだけ富士山が綺麗になる!
ステージイベント
メイン会場のきららでは、夕方にかけてステージイベントが続く。まずはBMXフラットランド・パフォーマンスのステージ。国内トップクラスのライダーの河村卓馬、吉田尚生、MCチェキさんによるアクロバティックなショーだ。河村さんは2006全日本チャンピオンにもなったライダー。迫力満点だ。
そしておなじみの安原昌弘さん(マトリックスパワータグ監督)による初心者のためのロングライド講習会が、絹代さんの司会で行われた。ギャグを連発する安原さんが「普段なら高いけど、今日はタダで教えるでぇ」ともったいぶりながら様々なコツを伝授。
フォームについて、補給について、元トップ選手ならではの体験的アドバイスをオモシロク・たくさん伝授してくれた。かいつまんで言うと、「サドルにどっかりと座らず、前荷重を意識」「とにかく水を飲む」「坂がきつくなったら大きく乗る」と、目からウロコのアドバイスがいくつも飛び出し、会場は大盛り上がりだった。
続いては「エコサイクリングトークショー」。岩城光英さん(衆議院議員)、安原昌弘さん(マトリックスパワータグ監督)、菊池武洋さん(サイクルジャーナリスト)、大櫛エリカさん(タレント)、そして司会の絹代さんによる、エコサイクリングをキーワードに、富士さんの現状や、地球環境に対して自転車のできることなどを話しあうトークショーだ。
環境について考えたいこと、自転車の守りたいルールや、自転車だからできる環境や地球への貢献について、熱く話し合った。参加者たちはきっとさっそく翌日のイベントで、それを心において走るはず。楽しいながらも真面目なトーク。翌日にサイクリングが控えているからこそ、より意味あるものになったと感じた。
最後にスポンサー各社からのプレゼント抽選会で会は閉め。参加者たちは翌日に備えて山中湖周辺の宿に帰った。
富士山一周サイクリングを実走取材
9月5日(日)、編集部3人で富士山一周サイクリングに参加してみた。この日はファミリーサイクリングの部も開催。途中の富士宮市のエイドステーションでは盲導犬に対する理解を深めるイベントも用意されている。
ファミリーサイクリングのコースは山中湖周辺を巡る約24km。富士山一周サイクリングコースは、山中湖交流プラザ きらら(山梨県南都留郡山中湖平野)を出発。発着の富士山一周(主に国道138、国道139、県道71、県道72、国道469、県道23、国道138)約120kmのコース。編集部は3人ともこちらに取材参加した。
猛暑が威力を振るった日本。この日も気温36度まで上がることが心配されていた。通常なら気温で都内より10度は低いという山中湖。明け方は昨年の気温では9度と、寒いのが普通。しかし「熱中症注意」が今年の合言葉だった。
しかし朝になると、雲が出て気温は昼前まで22度で収まった(しかしこれは場所と時間によって違うかもしれない)。湿度が高いので決して涼しくはないが、暑くはない気温の中、快調に走れた。
もっとも、前半は下り基調で林の中を行く部分の多い快適なコース。後半は上り基調で、日陰が少ないので、陽が射すとつらくなる。その心配通り、後半は太陽が降り注いだ
120kmという距離は走れる人には楽勝だが、初心者にはけっこう厳しい距離。コース自体が難易度は高くはないため、挑戦のしがいがある。
エイドステーションは6箇所設けられるなど、数多くあった。補給食は主にバナナと富士山麓湧出のバナジウムウウォーター。そしてサンドイッチなど。有料の出店が販売する名物の婦人富士宮焼きそばや吉田うどんなどもあった。スポンサーのアミノバイタルが終盤の補給所でゼリーを提供してくれて、これに助けられた人は多いだろう。
グルメを売り物にする大会が多い中、大会が用意する補給食はバナナが中心とやや質素な感はあるが、必要にして十分な範囲。楽しもうと思ったら売店で購入するためのお金を忘れないこと。そして道路上にはコンビニも多く見つけることができる。
コース上で厳しいポイントは後半に集中する。裾野市・十里木高原への坂と、最後に登場する籠坂峠。とくに籠坂峠への坂は長く、疲労した身体にはこたえる。
それでも編集部チームは100kmオーバー未経験の初心者であるメタボ会長とともに8時間で完走することができた。100kmオーバーに適度な厳しさの勾配。超入門者にはもちろんつらいが、乗り方をマスターした初心者には比較的やさしい大会であると言えそうだ。
終わってみれば心配された猛暑はかわすことができ、天気も崩れなかったという理想的な条件だった。後半は晴れて暑くはなったが、都内や全国的な酷暑とは比べものにならない過ごしやすさだったはずだ。
走ることを楽しむのと同時に、クリーンナップやトークショーなど、自転車ができるエコについて考えさせてくれる意義あるイベントだった。真面目さがサイクリング協会ならではの印象もあるが、終わってみればエコに気をつけて自転車を楽しんでいこうという気になるから不思議だ。
残念だったのはこの日富士山がまったく拝めなかったこと。雲は厚くはなかったが、包まれる方向が悪かった? それはまたの機会ということで!
編集部とメタボ会長が走った体験記は後日追って掲載します。お楽しみに。
photo&text:MakotoAYANO
Mt.FUJIエコサイクリングの主旨は、自然環境と人に優しい自転車を利用し、日本の象徴であり世界文化遺産に正式登録をめざしている富士山麗において、サイクリングで富士山一周をサイクリングすること。
サイクリング自体は日曜日に開催されるが、前日の土曜日には参加者と大会スタッフによる大会会場の富士山地域においてクリーンアップ活動を展開。ゴミ拾いを通じて富士山の貴重な自然環境の保全についての意識を高める。
また大会当日もコース途中にある日本初の盲導犬育成総合センターである盲導犬の里「富士ハーネス」に立ち寄り、盲導犬の実情に触れることで理解を深める機会が用意されている。サイクリングを通じて、環境と社会について、普段忘れがちなことに気づいてもらうことを意図しているのだ。
クリーンアップとトークショーなど、前日イベント盛りだくさん
9月4日(土)は富士山一周サイクリングの受付と、環境フォーラム、そして富士山クリーンアップ活動が行われる。
スタート・ゴール地点となるメイン会場、山中湖交流プラザ きららに、続々と参加者が集まってくる。
富士山周辺のゴミを収集する「富士山クリーンアップ活動」は、富士山一周サイクリングやファミリーサイクリングに申し込んだ人が参加できる無料ボランティアイベント。
参加者皆でバスに乗って山麓に向かい、ゴミ拾いを行う。明日走る富士山に、感謝の意を込めて掃除を行う参加者とスタッフたち。集めた成果のぶんだけ富士山が綺麗になる!
ステージイベント
メイン会場のきららでは、夕方にかけてステージイベントが続く。まずはBMXフラットランド・パフォーマンスのステージ。国内トップクラスのライダーの河村卓馬、吉田尚生、MCチェキさんによるアクロバティックなショーだ。河村さんは2006全日本チャンピオンにもなったライダー。迫力満点だ。
そしておなじみの安原昌弘さん(マトリックスパワータグ監督)による初心者のためのロングライド講習会が、絹代さんの司会で行われた。ギャグを連発する安原さんが「普段なら高いけど、今日はタダで教えるでぇ」ともったいぶりながら様々なコツを伝授。
フォームについて、補給について、元トップ選手ならではの体験的アドバイスをオモシロク・たくさん伝授してくれた。かいつまんで言うと、「サドルにどっかりと座らず、前荷重を意識」「とにかく水を飲む」「坂がきつくなったら大きく乗る」と、目からウロコのアドバイスがいくつも飛び出し、会場は大盛り上がりだった。
続いては「エコサイクリングトークショー」。岩城光英さん(衆議院議員)、安原昌弘さん(マトリックスパワータグ監督)、菊池武洋さん(サイクルジャーナリスト)、大櫛エリカさん(タレント)、そして司会の絹代さんによる、エコサイクリングをキーワードに、富士さんの現状や、地球環境に対して自転車のできることなどを話しあうトークショーだ。
環境について考えたいこと、自転車の守りたいルールや、自転車だからできる環境や地球への貢献について、熱く話し合った。参加者たちはきっとさっそく翌日のイベントで、それを心において走るはず。楽しいながらも真面目なトーク。翌日にサイクリングが控えているからこそ、より意味あるものになったと感じた。
最後にスポンサー各社からのプレゼント抽選会で会は閉め。参加者たちは翌日に備えて山中湖周辺の宿に帰った。
富士山一周サイクリングを実走取材
9月5日(日)、編集部3人で富士山一周サイクリングに参加してみた。この日はファミリーサイクリングの部も開催。途中の富士宮市のエイドステーションでは盲導犬に対する理解を深めるイベントも用意されている。
ファミリーサイクリングのコースは山中湖周辺を巡る約24km。富士山一周サイクリングコースは、山中湖交流プラザ きらら(山梨県南都留郡山中湖平野)を出発。発着の富士山一周(主に国道138、国道139、県道71、県道72、国道469、県道23、国道138)約120kmのコース。編集部は3人ともこちらに取材参加した。
猛暑が威力を振るった日本。この日も気温36度まで上がることが心配されていた。通常なら気温で都内より10度は低いという山中湖。明け方は昨年の気温では9度と、寒いのが普通。しかし「熱中症注意」が今年の合言葉だった。
しかし朝になると、雲が出て気温は昼前まで22度で収まった(しかしこれは場所と時間によって違うかもしれない)。湿度が高いので決して涼しくはないが、暑くはない気温の中、快調に走れた。
もっとも、前半は下り基調で林の中を行く部分の多い快適なコース。後半は上り基調で、日陰が少ないので、陽が射すとつらくなる。その心配通り、後半は太陽が降り注いだ
120kmという距離は走れる人には楽勝だが、初心者にはけっこう厳しい距離。コース自体が難易度は高くはないため、挑戦のしがいがある。
エイドステーションは6箇所設けられるなど、数多くあった。補給食は主にバナナと富士山麓湧出のバナジウムウウォーター。そしてサンドイッチなど。有料の出店が販売する名物の婦人富士宮焼きそばや吉田うどんなどもあった。スポンサーのアミノバイタルが終盤の補給所でゼリーを提供してくれて、これに助けられた人は多いだろう。
グルメを売り物にする大会が多い中、大会が用意する補給食はバナナが中心とやや質素な感はあるが、必要にして十分な範囲。楽しもうと思ったら売店で購入するためのお金を忘れないこと。そして道路上にはコンビニも多く見つけることができる。
コース上で厳しいポイントは後半に集中する。裾野市・十里木高原への坂と、最後に登場する籠坂峠。とくに籠坂峠への坂は長く、疲労した身体にはこたえる。
それでも編集部チームは100kmオーバー未経験の初心者であるメタボ会長とともに8時間で完走することができた。100kmオーバーに適度な厳しさの勾配。超入門者にはもちろんつらいが、乗り方をマスターした初心者には比較的やさしい大会であると言えそうだ。
終わってみれば心配された猛暑はかわすことができ、天気も崩れなかったという理想的な条件だった。後半は晴れて暑くはなったが、都内や全国的な酷暑とは比べものにならない過ごしやすさだったはずだ。
走ることを楽しむのと同時に、クリーンナップやトークショーなど、自転車ができるエコについて考えさせてくれる意義あるイベントだった。真面目さがサイクリング協会ならではの印象もあるが、終わってみればエコに気をつけて自転車を楽しんでいこうという気になるから不思議だ。
残念だったのはこの日富士山がまったく拝めなかったこと。雲は厚くはなかったが、包まれる方向が悪かった? それはまたの機会ということで!
編集部とメタボ会長が走った体験記は後日追って掲載します。お楽しみに。
photo&text:MakotoAYANO
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