2020/09/08(火) - 19:18
国営アルプスあづみの公園のMTBパークにて、スペシャライズドアンバサダーの「やっちゃん」こと丸山八智代さんによるMTBスクールが開催された。初心者に向けて、MTBの基本の「キ」からレクチャーしてくれた一日をレポートしよう。
グラベルカテゴリーの隆盛もあり、自然の中で楽しめるアクティヴィティとして注目を集めるオフロードライド。その中でも、王道中の王道となるのがMTBだろう。だが、舗装路よりも圧倒的に不安定な路面状況のトレイルで、不安なく遊ぶためには、ある程度の知識と技術が求められるのもまた事実。
楽しそうだからとMTBを買ってみたはいいものの、結局オフロードが怖くて舗装路しか走っていない、という人も多いハズ。あるいは、一度走ってみたけども怖い思いをした、というような方もいるだろう。
そんなMTB初心者のために、MTBの基本的な扱い方や走り方をレクチャーしてくれるセミナーが、今回レポートする"Enjoy the MTBエクスペリエンス"だ。講師を務めてくれるのは「やっちゃん」の愛称で知られる丸山八智代さん。
会場となるのは、長野県大町市にある国営アルプスあづみの公園のMTBパーク。大小のパンプトラックをはじめとしたスキルアップエリアに加え、初心者向けのダブルトラックのツーリングコースから本格的なシングルトラックまで整備された施設で、MTBの醍醐味を味わうにはこれ以上ないロケーションだ。
当初、7月の開催を予定していたこのスクールだが、新型コロナウィルスの感染再拡大や長雨による影響もあり、この時期に延期されることに。幸いなことに、今回は快晴に恵まれ絶好のコンディションの下で開催された。
スクールは午前と午後の2回。より上手く走りたい!という経験者の方もちらほらいるが、多くの方は初めてのMTBライド、もしくはMTBは持っていてもオフロードは未経験という初心者だ。ちなみに私も似たようなものである。
まず受付前であいさつと自己紹介。そして、スキルアップエリアへ自転車を押して移動するところから既にレッスンは始まっていた!押し歩きながら右ブレーキと左ブレーキを交互にかけて、それぞれの挙動の差を体感する。前ブレーキを掛けたら詰まるけれど、後ろブレーキではタイヤがロックしたまま進んでいく、そんな挙動を体験しつつスキルアップエリアへ。
まずは乗車前の確認から。車載してきた人も多いため、ホイールがきちんと装着されているか、ハンドルまっすぐか、確認方法を含めてレクチャーしてくれる。そこからは、ハンドル/ブレーキの握り方にはじまり、基本となるニュートラルポジションとレディポジションを実践方式で練習。
車体の中心に乗るニュートラルポジション、そしてそこから肘や膝の関節を曲げることで、重心や目線を下げつつ車体に加わる衝撃に備えるレディポジションは、トレイルへ走り出す前にしっかり習得しておきたい基本スキル。やっちゃん先生がしっかりとポジションをチェックしてくれ、ちゃんと出来るようになるまで反復練習できる。
さて、二つのポジションを学んだあとは、最初に実験した前後ブレーキの違いを乗車状態で体験するセッションに。緩めの坂を利用し、前ブレーキのみと後ブレーキのみで速度をコントロールしながら下ってくる練習だ。最後には後ブレーキを思いっきり掛けて、後輪をロックさせた状態を経験することで、タイヤが滑りだしたときの感覚を養う時間も取られた。
スキルアップエリアでのレクチャーを一通り終えた後は、いざトレイルへ。アルプスあづみの公園MTBパークには、初心者向けとなるダブルトラックの「ポタリングコース」、中級者向けにバームやパンプが用意された下りの「フロートレイルコース」、中上級者向けには本格的なシングルトラックの「テクニカルトレイルコース」という3つのコースが用意されている。
まずは初心者向けのポタリングコースで、ライド時の目線の置き方をレクチャー。ずっと遠くを見て走る場合、あえてタイヤのすぐ先だけを見て走る場合を体験し、それぞれのメリットとデメリットを味わうことで、必要に応じた目線の配り方を学んだのだった。それも、しっかりと幅広いコースが整備され安心して走ることができるからこそ。
登りのスイッチバックでは、走りやすいラインどりや目線の送り方などをレクチャー。先ほどの視線の置き方も合わせ、トレイルの状況をしっかりと把握する「トレイルスキャニング」の技術を学ぶのが、今回の大きな目的だ。
さて、ここから先は今日学んだことを生かしつつ、本格的なトレイルライドを楽しむ集大成のような時間だ。午前の部はフロートレイルへ、午後の部はテクニカルトレイルへと針路をとりそれぞれのセクションの走り方のレクチャーを交えつつシングルトラックを楽しんでいく。
自転車の中心に乗ること、肘と膝を使って衝撃を吸収すること、前後ブレーキのバランス、路面状況を常に把握すること。フロートレイルもテクニカルトレイルも、ここまでに学んだこと全てが自然に活用出来るような要素が組み合わせられたコースとなっていて、まさにステップアップに最適。
走っているみなさんもメキメキと上達しており、傍から見ていても楽しそう。オフロードというととかく恐れられがちだけれども、しっかりと基礎から学べば半日でその魅力の本質に触れることができるのだ。
今回初めて本格的にMTBに触れた正真正銘のファーストタイマーの方が、あまりに楽しくて午前と午後、2回分受講してしまうなんてことも。それだけトレイルライドが魅力的ということであるが、なによりもその楽しさを伝えるやっちゃん先生のコーチング力あってこそ。さしずめMTBエヴァンジェリストといったところだろうか。
また、この秋の間にもスクールを開催予定とのこと。MTBに興味のある方、買ってみたはいいものの走り方が分からない方。ぜひとも次回は参加してみては?
text&photo:Naoki.Yasuoka
グラベルカテゴリーの隆盛もあり、自然の中で楽しめるアクティヴィティとして注目を集めるオフロードライド。その中でも、王道中の王道となるのがMTBだろう。だが、舗装路よりも圧倒的に不安定な路面状況のトレイルで、不安なく遊ぶためには、ある程度の知識と技術が求められるのもまた事実。
楽しそうだからとMTBを買ってみたはいいものの、結局オフロードが怖くて舗装路しか走っていない、という人も多いハズ。あるいは、一度走ってみたけども怖い思いをした、というような方もいるだろう。
そんなMTB初心者のために、MTBの基本的な扱い方や走り方をレクチャーしてくれるセミナーが、今回レポートする"Enjoy the MTBエクスペリエンス"だ。講師を務めてくれるのは「やっちゃん」の愛称で知られる丸山八智代さん。
会場となるのは、長野県大町市にある国営アルプスあづみの公園のMTBパーク。大小のパンプトラックをはじめとしたスキルアップエリアに加え、初心者向けのダブルトラックのツーリングコースから本格的なシングルトラックまで整備された施設で、MTBの醍醐味を味わうにはこれ以上ないロケーションだ。
当初、7月の開催を予定していたこのスクールだが、新型コロナウィルスの感染再拡大や長雨による影響もあり、この時期に延期されることに。幸いなことに、今回は快晴に恵まれ絶好のコンディションの下で開催された。
スクールは午前と午後の2回。より上手く走りたい!という経験者の方もちらほらいるが、多くの方は初めてのMTBライド、もしくはMTBは持っていてもオフロードは未経験という初心者だ。ちなみに私も似たようなものである。
まず受付前であいさつと自己紹介。そして、スキルアップエリアへ自転車を押して移動するところから既にレッスンは始まっていた!押し歩きながら右ブレーキと左ブレーキを交互にかけて、それぞれの挙動の差を体感する。前ブレーキを掛けたら詰まるけれど、後ろブレーキではタイヤがロックしたまま進んでいく、そんな挙動を体験しつつスキルアップエリアへ。
まずは乗車前の確認から。車載してきた人も多いため、ホイールがきちんと装着されているか、ハンドルまっすぐか、確認方法を含めてレクチャーしてくれる。そこからは、ハンドル/ブレーキの握り方にはじまり、基本となるニュートラルポジションとレディポジションを実践方式で練習。
車体の中心に乗るニュートラルポジション、そしてそこから肘や膝の関節を曲げることで、重心や目線を下げつつ車体に加わる衝撃に備えるレディポジションは、トレイルへ走り出す前にしっかり習得しておきたい基本スキル。やっちゃん先生がしっかりとポジションをチェックしてくれ、ちゃんと出来るようになるまで反復練習できる。
さて、二つのポジションを学んだあとは、最初に実験した前後ブレーキの違いを乗車状態で体験するセッションに。緩めの坂を利用し、前ブレーキのみと後ブレーキのみで速度をコントロールしながら下ってくる練習だ。最後には後ブレーキを思いっきり掛けて、後輪をロックさせた状態を経験することで、タイヤが滑りだしたときの感覚を養う時間も取られた。
スキルアップエリアでのレクチャーを一通り終えた後は、いざトレイルへ。アルプスあづみの公園MTBパークには、初心者向けとなるダブルトラックの「ポタリングコース」、中級者向けにバームやパンプが用意された下りの「フロートレイルコース」、中上級者向けには本格的なシングルトラックの「テクニカルトレイルコース」という3つのコースが用意されている。
まずは初心者向けのポタリングコースで、ライド時の目線の置き方をレクチャー。ずっと遠くを見て走る場合、あえてタイヤのすぐ先だけを見て走る場合を体験し、それぞれのメリットとデメリットを味わうことで、必要に応じた目線の配り方を学んだのだった。それも、しっかりと幅広いコースが整備され安心して走ることができるからこそ。
登りのスイッチバックでは、走りやすいラインどりや目線の送り方などをレクチャー。先ほどの視線の置き方も合わせ、トレイルの状況をしっかりと把握する「トレイルスキャニング」の技術を学ぶのが、今回の大きな目的だ。
さて、ここから先は今日学んだことを生かしつつ、本格的なトレイルライドを楽しむ集大成のような時間だ。午前の部はフロートレイルへ、午後の部はテクニカルトレイルへと針路をとりそれぞれのセクションの走り方のレクチャーを交えつつシングルトラックを楽しんでいく。
自転車の中心に乗ること、肘と膝を使って衝撃を吸収すること、前後ブレーキのバランス、路面状況を常に把握すること。フロートレイルもテクニカルトレイルも、ここまでに学んだこと全てが自然に活用出来るような要素が組み合わせられたコースとなっていて、まさにステップアップに最適。
走っているみなさんもメキメキと上達しており、傍から見ていても楽しそう。オフロードというととかく恐れられがちだけれども、しっかりと基礎から学べば半日でその魅力の本質に触れることができるのだ。
今回初めて本格的にMTBに触れた正真正銘のファーストタイマーの方が、あまりに楽しくて午前と午後、2回分受講してしまうなんてことも。それだけトレイルライドが魅力的ということであるが、なによりもその楽しさを伝えるやっちゃん先生のコーチング力あってこそ。さしずめMTBエヴァンジェリストといったところだろうか。
また、この秋の間にもスクールを開催予定とのこと。MTBに興味のある方、買ってみたはいいものの走り方が分からない方。ぜひとも次回は参加してみては?
text&photo:Naoki.Yasuoka
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