京都のプロショップ、チクロ・イプシロンが主催する2010モデル試乗会が3月中旬に京都府木津川市で開催された。約20ブランドが集まったこの試乗会をモデルに、最近全国各地で開催される試乗会の参加のコツを探ってみよう。

チクロ・イプシロン2010モデル試乗会チクロ・イプシロン2010モデル試乗会

チクロ・イプシロンの試乗会はこれで2回目の開催。第1回試乗会はコルナゴオンリーだったが、今回はショップの取扱ブランドがほぼ揃えられた。

曜日によって異なるものの、集まったブランドは、MBK、VanNicholas、M-idea、EddyMerckx、Ganwell、Sab、SOMEC、GDR、Cervelo、FELT、PROTEK、MASI、LOOK、BOMA、WILIER、KUOTA、FONDRIES、LAPIERREと数多い。それぞれの代表的なロードモデルが用意された。
バイクブランド以外にもホイールメーカーのMAVIC、梅丹本舗のサプリメントの試飲なども用意された。

ウィリエールのブースにてウィリエールのブースにて フレームも展示される。新モデル情報が得られることもフレームも展示される。新モデル情報が得られることも

M-idea(エンメ・イデア) ハンドメイドのクロモリフレームM-idea(エンメ・イデア) ハンドメイドのクロモリフレーム 展示されていたPROTEKのバイク展示されていたPROTEKのバイク


この日集まった総勢40台程の各ブランドの主要グレードバイクがどれでも乗れるとあって、参加者は最新のロードバイクを思う存分楽しむ事ができた。

今回の開催場所は京都地区では定番の木津川サイクリングロードの終点近くのコンビ二で行われ、事前に知っていた人と通りすがりのサイクリストも参加して両日合わせて70人程が参加。また、コンビニに立ち寄ったお客さんも興味のある人は熱心に説明を聞いていた。

試乗コースはコンビニから少し離れた見通しの良い場所で、短い直線と登坂もあり、十分バイクの高性能を確認できる。参加者たちは多くの自転車に乗ってお互いに印象を言い合うのが印象的だった。

そして試乗後、取扱会社の担当者に感想を述べ、アドバイスを受ける。同一ブランドでもグレードの違いによって、レース向けかロングライド向けかで選び方が変わるので、自分にあったモデルを探す事ができるのでとても有効だ。こうして納得するまで乗れるので、購入する際は迷いも少ないだろう。

■準備したいものと心構え

試乗会によって事情は異なるものの、心構えとあらかじめ準備すること、モノ等を挙げてみよう。参加をする際はまず自分のウェアを普段通りに持ってくることが大切だ。今使っている自転車のサイズやサドル高を計っておき、試乗車をセッティングしてもらう。マイペダルとシューズも忘れずに持って行きたい。

今回の試乗会の場合、参加料は無料だったが、自身を証明できる免許書等が必要だった。他に安全のためヘルメットも必須だった。
こうした試乗会はショップと取扱会社の信頼の上で行われているので、自転車を扱う際には事故や破損など十分気をつけて欲しい。

受付には各ブランドのカタログが用意された受付には各ブランドのカタログが用意された 必要な手続き
実際どういう手続きで試乗ができるかは各試乗会ごとに違うが、おおよそ身分証にあたるものを担保として預ける(もしくは提示して身元確認する)ことが一般的だ。

用意したい装備
ヘルメット、マイペダル&シューズ、工具、サイクルウェア、(普段着の場合は裾バンド等)

個人のサイズデータ
サドル高さ(※)の数値をあらかじめ計測しておいて、その数値を担当者に伝えるとセッティングが早い。こだわるならハンドルの距離・高さも同様にすれば良いだろう。(※サドルの高さとは、ペダルを下死点へもってきた状態のペダル上面よりサドルの上面までの距離)。

マナー
試乗車は高価な自転車であり、商品なので、傷つけないように注意しよう。走り方も転倒するまで攻め込んだりするような無茶をしないこと。

アドバイスを伺ったサイクルラインズ代表の幸壬学さんアドバイスを伺ったサイクルラインズ代表の幸壬学さん ■出展社側からのアドバイス

MBKやVanNicholas、M-ideaなどを出展していたサイクルラインズ代表の幸壬学(こうじん・まなぶ)さんに、参加者に対して望むことやアドバイスを教えてもらった。

「サイクルモードとは違う。チャンスを積極的に利用すること」

幸壬「まず、こうしたサイクルショップ主催の試乗会はサイクルモードとは違うということです。ショップは自分の店で取り扱うブランドをお客様により良く知ってもらうため、試してもらうため=買ってもらうために試乗会を開催します。その意味で"試乗即売会"という意味合いが強いのです。その場で売っているわけではないのですが、成約につなげる事を目的にしていますから。

私感を正直に申し上げれば、サイクルモードはひやかし目的の試乗が多く、とりあえず何でもいいから乗ってみようか、という方が多いのに対し、プロショップの試乗会は「このブランドのこのモデルに乗りたいから来た」という指名が多くなります。温度差が違う。

サイクルモードはいつも混んでいるし、コース的にも自転車の特徴がつかめる試乗コースとは言い難い。その点、こうした屋外試乗会では、試乗時間も距離も、環境も、比較的余裕を持って乗り込むことができる。人が少なければ、うまくすれば目的の自転車に何回も乗ることができるでしょう。

試乗する方へのアドバイスとしては、とくに乗りたい(買いたい)モデルが決まっていない方でも、ある程度用途や目的、買いたい価格帯を絞り込んでからきてもらえると、アドバイスもしやすく、好みのモデルをみつけやすいと思います。

チクロ・イプシロン店長の山脇氏の各モデルの説明を熱心に聞き入る参加者チクロ・イプシロン店長の山脇氏の各モデルの説明を熱心に聞き入る参加者


メーカー担当者が各モデルの説明をしてくれるメーカー担当者が各モデルの説明をしてくれる 「出展担当者にどんどん訊こう」

ブースを遠目に見たり、遠慮しているな、と思う控えめな参加者の方が多いのですが、出展の担当者に質問があれば遠慮なく訊くことも大事でしょうね。『この車種の特徴を教えて』でいいと思います。担当者によって説明の仕方に差はあるかもしれませんが、その自転車のセールスポイントを詳しく説明してくれますから、必ず参考になると思います。

もし買いたいモデルが決まっていて、試乗会開催前にそのショップにリクエストが出せるなら、「このモデルに乗りたいからぜひ揃えて欲しい」と相談してみるのも方法でしょう。

メーカー側もお客様に自転車を買ってもらうために試乗会に協力しているので、そのモデルを用意することが可能な場合は可能な限り対応してくれると思います。自分のサイズを伝えてリクエストを出すぐらいのプッシュはしてみるべきでしょう。

ホイールの相談にのるマヴィックのスタッフホイールの相談にのるマヴィックのスタッフ

「走り込める用意をして臨む」
マイペダルとシューズを用意する以外にも、ちゃんと乗り込めるサイクルウェアを着てくることも大切でしょうね。ジーンズなど普段着ではやはり十分ライドができないでしょうし、余ったウェアがチェーンに絡むなどの危険もあります。走れる格好で来て下さい。

試乗会にはサイクルウェアをばっちり決めて来よう試乗会にはサイクルウェアをばっちり決めて来よう

サイズ合わせのポイントは、サドルの高さとハンドルまでの距離でしょう。その数値をあらかじめメジャーで測っておいて担当者に伝えると素早く数値を合わせられます。
最近のバイクはステムの交換なども素早くできるので、当社ではリクエストが有ればステム長交換にもご対応しています。数種の長さのステムを自分で持ってきていただくのもいい案かもしれません。ただしクランプ径のサイズ違いで取り付けできるとは限りませんが。

ハンドルとステムまでの距離など、自分のサイズを再現してもらおうハンドルとステムまでの距離など、自分のサイズを再現してもらおう

「担当者のセールストークをしっかり聞く」

出展社の担当者と直接話ができる機会も活かして欲しいですね。話しの上手い下手はありますが、各モデルの特徴やテクノロジーなどについて納得いく説明が受けられるでしょう。
また、ブランド(輸入代理店)によってアフターサービスの充実度や、購入前に交換できるパーツ条件などにも案外差があるものなので、それらを聞けば選ぶ基準は変わってくるかもしれません。

ちなみに当社(サイクルラインズ)の場合、自転車を購入すれば無料でついてくる傷害保険をおつけしています。また、クランク長やステムの長さを差額なしで選べるプログラムなど、大メーカー・代理店さんに負けない独自のサービスをご用意しています。そういったサービスについてもご説明できれば皆さん必ず納得していただけるようですので、遠慮なくどしどしと担当者を質問攻めにして情報を仕入れることが大切だと思います。

編集部より 「試乗会情報はホームページでチェック!」
ショップ主催の試乗会はますます増加傾向にある。メーカーや輸入代理店が対ユーザーへのマーケティングを重視し始めたためだ。お気に入りのブランドや購入を考えている気になるモデルがある人は、そのブランドのウェブサイトをチェックすれば試乗会情報を得られるだろう。また、サイクルショップのブログなどでも告知されている。


photo&text : Akihiro.NAKAO