2019/01/29(火) - 11:56
今年で10年目を迎えることとなった美ら島オキナワセンチュリーラン。日本一早い桜が迎えてくれる、シーズンインのロングライドへ今年もシクロワイアード編集部がお邪魔しました。
キンと冷え込む本州から3時間。どうせ自転車も預けているのだ、と通路に並ぶ人たちの最後尾で飛行機から那覇空港へと降り立つ。最高気温20度とつい数時間前からは考えられない暖かさに、思わず着替えたくなる。
手荷物と自転車を受け取り、沖縄本島の中央にあるリゾート地、恩納村へと向かう。ついに10周年を迎える「美ら島オキナワセンチュリーラン」へ今年もお邪魔するためだ。新年明けてまだひと月も経たぬこの時期から、半袖で自転車に乗れるという南国ならではのロケーションを原動力に人気を集めてきた大会だが、私たちシクロワイアード編集部員にとっても年末年始で怠けた脚に刺激を入れる良い機会でもある。
今年は、これまでメイン会場として使用されてきた恩納村コミュニティセンターから恩納村ふれあい体験センターへと場所を移し、新たな10年の第一歩を踏み出した。更に、これまで3つのカテゴリーが日曜日に開催されていたが、今年は最短種目であるめんそーれコースが土曜日に開催され、2日を通して走ることが出来るようになったことも大きな変更点。
お昼過ぎに会場へ到着すると、めんそーれコースを走り終えた参加者がちらほらとゴールしてくる頃合い。ゴール前には応援の方々が並んでいるほか、センチュリーコースやシーサイドコースの受付に訪れた参加者も声援を送ってくれるのは嬉しいはず。
大会会場には協賛各社のブースやレンタサイクル受付などが軒を連ね、例年同様の賑わいぶりに。大会前にメカニックブースで愛車の調子を見てもらう方もたくさん。ケータリングブースも充実しており、私も遅めのお昼にあぐー豚のカレーを頂いた。
明日の開催となるめんそーれコース以外の2種目の受付も実施されており、会場へはひっきりなしに参加者が訪れる。日本以外からの参加者も多い様で、英語や韓国語も良く聞こえてくるのは本州のイベントとは一味違うところだろうか。
会場が変わった最大のメリットはステージが豪華になったことだろう。ちょっとしたコンサートが開けそうな野外ステージでは、サポートライダーを務める内間康平(チーム右京)や池田祐樹(TOPEAK-ERGON)、さらに合宿で来沖していた全日本王者の山本元喜(キナンサイクリングチーム)らによるトークショーという豪華なひとときも持たれた。
各選手の来シーズンの目標や、明日のイベントにおいて注意すること、補給の取り方など、貴重な内容が話されたトークショーの他にも、多くの景品が用意されたじゃんけん大会も催され、ステージ前は盛況な様子。
そんなステージ前広場を取り囲むのは、大会の晴天を祈るてるてる坊主たち。実はこの大会、初開催から数回は、悪天候に祟られたという。そんな不安を払拭すべく、みんなの思いを集めようということで飾られているてるてる坊主は、参加者がそれぞれ手作りしたものをその場で括りつけたもの。時を追うごとに増えていくかわいらしい人形は、明日のライドへの期待のふくらみそのもの。自分も一つそこに加えて、明日の晴天を祈り、宿へと戻るのだった。
さて、あくる朝、とはいってもまだ夜も明けきらないころから、再び会場へとサイクリストたちが集まってくる。最長コースとなるセンチュリーコースは167kmという距離もあり、10時間の走行時間が確保されているのだが、日が落ちるのも早い時期であるため、日中はほぼ全て走行時間に充てられるようなスケジュールとなっている。
余裕を持って走りたい人、良い位置でスタートしたい人は5時半の出走確認開始に先んじて会場入りし待機列を形成している。初めての会場変更となり、新レイアウトでの整列・招集となったが大きな混乱もなく、スタートセレモニーが始まった。
コースの諸注意やゲストライダーおよびサポートを務める「ウチナーライダー」の紹介の後、待ちに待ったスタートへ。7時に第1グループがセンチュリーライドへの旅を始めるころには、だんだんと空が白み始めてくる。第2グループ、第3グループと出発していくころには、東の空は美しい薄明に染まった。
いくつもの小さな湾を越えるたびにリゾートホテルが現れ、日が高くなるにつれ海の青さは増していく。マジックアワーと呼ぶにふさわしい朝焼けの空はあっという間に明るい青空にとってかわられ、ここからの160kmに期待が高まる。
沖縄自動車道の終点である許田インターを過ぎると、視界が一気に開ける。目の前には名護湾、そして遠くに名護市街が見通せる海岸線沿いを街へ向かってペダルを回していく。ツール・ド・おきなわでもなじみ深い名護市街の中心部にある21世紀の森公園が差し当たっての目的地だ。
第1エイドが設置されたこの公園は日本ハムファイターズが春季キャンプを行うことでも知られる総合運動公園。その一角に設けられたエイドステーションで最初の小休止となる。エイドについたら、まずは市町村章のシールをゼッケンへと貼ってもらう。こちらは通過チェックを兼ねたもので、恩納村や名護市、今帰仁村など全部で8つの自治体を通る美ら島オキナワセンチュリーランならではの仕掛け。
沖縄らしい黒糖の効いたかりんとう饅頭をいただき、小腹を満たしたら再びコースへ再出発。名護バイパスを進み、屋部交差点を右折すれば今大会の最高標高地点への登りが始まる。本部半島の付け根を横断するような丘越えコースは、本格的な登りであると同時にこの大会の代名詞でもある日本一早い桜を見ることが出来る、ハイライトポイントの一つでもある。
だんだんと斜度が厳しくなり始めるところに咲く桜は、坂へと挑む皆さんを応援するかのよう。本州のソメイヨシノよりは濃いめのピンクが特徴で、それもまた南国らしさだろう。息を荒げつつ頂上を目指すが、まだまだセンチュリーライドは始まったばかり。あまり足を使いすぎないように。KOMを目指してクルクルペダルを回すのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
キンと冷え込む本州から3時間。どうせ自転車も預けているのだ、と通路に並ぶ人たちの最後尾で飛行機から那覇空港へと降り立つ。最高気温20度とつい数時間前からは考えられない暖かさに、思わず着替えたくなる。
手荷物と自転車を受け取り、沖縄本島の中央にあるリゾート地、恩納村へと向かう。ついに10周年を迎える「美ら島オキナワセンチュリーラン」へ今年もお邪魔するためだ。新年明けてまだひと月も経たぬこの時期から、半袖で自転車に乗れるという南国ならではのロケーションを原動力に人気を集めてきた大会だが、私たちシクロワイアード編集部員にとっても年末年始で怠けた脚に刺激を入れる良い機会でもある。
今年は、これまでメイン会場として使用されてきた恩納村コミュニティセンターから恩納村ふれあい体験センターへと場所を移し、新たな10年の第一歩を踏み出した。更に、これまで3つのカテゴリーが日曜日に開催されていたが、今年は最短種目であるめんそーれコースが土曜日に開催され、2日を通して走ることが出来るようになったことも大きな変更点。
お昼過ぎに会場へ到着すると、めんそーれコースを走り終えた参加者がちらほらとゴールしてくる頃合い。ゴール前には応援の方々が並んでいるほか、センチュリーコースやシーサイドコースの受付に訪れた参加者も声援を送ってくれるのは嬉しいはず。
大会会場には協賛各社のブースやレンタサイクル受付などが軒を連ね、例年同様の賑わいぶりに。大会前にメカニックブースで愛車の調子を見てもらう方もたくさん。ケータリングブースも充実しており、私も遅めのお昼にあぐー豚のカレーを頂いた。
明日の開催となるめんそーれコース以外の2種目の受付も実施されており、会場へはひっきりなしに参加者が訪れる。日本以外からの参加者も多い様で、英語や韓国語も良く聞こえてくるのは本州のイベントとは一味違うところだろうか。
会場が変わった最大のメリットはステージが豪華になったことだろう。ちょっとしたコンサートが開けそうな野外ステージでは、サポートライダーを務める内間康平(チーム右京)や池田祐樹(TOPEAK-ERGON)、さらに合宿で来沖していた全日本王者の山本元喜(キナンサイクリングチーム)らによるトークショーという豪華なひとときも持たれた。
各選手の来シーズンの目標や、明日のイベントにおいて注意すること、補給の取り方など、貴重な内容が話されたトークショーの他にも、多くの景品が用意されたじゃんけん大会も催され、ステージ前は盛況な様子。
そんなステージ前広場を取り囲むのは、大会の晴天を祈るてるてる坊主たち。実はこの大会、初開催から数回は、悪天候に祟られたという。そんな不安を払拭すべく、みんなの思いを集めようということで飾られているてるてる坊主は、参加者がそれぞれ手作りしたものをその場で括りつけたもの。時を追うごとに増えていくかわいらしい人形は、明日のライドへの期待のふくらみそのもの。自分も一つそこに加えて、明日の晴天を祈り、宿へと戻るのだった。
さて、あくる朝、とはいってもまだ夜も明けきらないころから、再び会場へとサイクリストたちが集まってくる。最長コースとなるセンチュリーコースは167kmという距離もあり、10時間の走行時間が確保されているのだが、日が落ちるのも早い時期であるため、日中はほぼ全て走行時間に充てられるようなスケジュールとなっている。
余裕を持って走りたい人、良い位置でスタートしたい人は5時半の出走確認開始に先んじて会場入りし待機列を形成している。初めての会場変更となり、新レイアウトでの整列・招集となったが大きな混乱もなく、スタートセレモニーが始まった。
コースの諸注意やゲストライダーおよびサポートを務める「ウチナーライダー」の紹介の後、待ちに待ったスタートへ。7時に第1グループがセンチュリーライドへの旅を始めるころには、だんだんと空が白み始めてくる。第2グループ、第3グループと出発していくころには、東の空は美しい薄明に染まった。
いくつもの小さな湾を越えるたびにリゾートホテルが現れ、日が高くなるにつれ海の青さは増していく。マジックアワーと呼ぶにふさわしい朝焼けの空はあっという間に明るい青空にとってかわられ、ここからの160kmに期待が高まる。
沖縄自動車道の終点である許田インターを過ぎると、視界が一気に開ける。目の前には名護湾、そして遠くに名護市街が見通せる海岸線沿いを街へ向かってペダルを回していく。ツール・ド・おきなわでもなじみ深い名護市街の中心部にある21世紀の森公園が差し当たっての目的地だ。
第1エイドが設置されたこの公園は日本ハムファイターズが春季キャンプを行うことでも知られる総合運動公園。その一角に設けられたエイドステーションで最初の小休止となる。エイドについたら、まずは市町村章のシールをゼッケンへと貼ってもらう。こちらは通過チェックを兼ねたもので、恩納村や名護市、今帰仁村など全部で8つの自治体を通る美ら島オキナワセンチュリーランならではの仕掛け。
沖縄らしい黒糖の効いたかりんとう饅頭をいただき、小腹を満たしたら再びコースへ再出発。名護バイパスを進み、屋部交差点を右折すれば今大会の最高標高地点への登りが始まる。本部半島の付け根を横断するような丘越えコースは、本格的な登りであると同時にこの大会の代名詞でもある日本一早い桜を見ることが出来る、ハイライトポイントの一つでもある。
だんだんと斜度が厳しくなり始めるところに咲く桜は、坂へと挑む皆さんを応援するかのよう。本州のソメイヨシノよりは濃いめのピンクが特徴で、それもまた南国らしさだろう。息を荒げつつ頂上を目指すが、まだまだセンチュリーライドは始まったばかり。あまり足を使いすぎないように。KOMを目指してクルクルペダルを回すのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka