2010/03/29(月) - 07:24
ベルギーのサイクルメーカーと食文化に触れるイベント「ベルギーサイクルフェスタ」が、3月20~22日の3日間、外苑前「ファンライドステーション」とカフェ&Bar「Abbraccio(アブラッチオ)」で開催された。
ベルギーといえば、チョコレートやベルギーワッフル、ベルギービールが有名な美食の国でもある。今回のベルギーサイクルフェスタは、欧州プロ・クラブチームサイクルウェアの販売サイト、エアロ・アズールを手がける株式会社Clannote(クランノート)が、そんな自転車大国ベルギーの魅力を伝えるために開催したイベントだ。
ところで自転車の本場と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはどこの国だろうか? おそらくフランスやイタリアを挙げる人が多いのではないだろうか。確かにロードレースでは「ツール・ド・フランス」と「ジロ・デ・イタリア」が有名だし、人気の高いロードバイクやパーツもフランスやイタリアの製品が多く知られている。
その一方で、ベルギーからは多くの強豪選手や名監督が生まれ、伝統のあるクラシックレースも開催されているものの、その自転車文化については今まで日本であまり知られていなかった。ところが調べてみるとベルギーは我々の想像を超えた自転車大国だった。
特に圧倒されるのはベルギー国内で開催される自転車レースの開催数。最も多いシーズンには自転車競技連盟の公認レースだけで毎週平均70レースが行われている。これに未公認のレースを含めると計り知れない数になるという。
それにベルギーは自転車レースを「国技」としている唯一の国である。国をあげて取り組んでいるとはいえ、日本の四国とほぼ同じ面積に1,000万人が暮らすヨーロッパの小国であるベルギーで、これほどまでに自転車レースが盛んなことはあまり知られていなかったことだろう。
それでは、編集部も自転車に跨がりベルギーの自転車文化と美味しい味覚を堪能するために現場へ向かった。その様子をレポートしよう。
ファンライドステーションはベルギー三昧
自転車通勤者の強い味方 ファンライドステーションは、ベルギーメーカーの商品で埋め尽くされた。
エアロ・アズールの取り扱うジャージ、レーザーのヘルメット各種、リドレー、エディ・メルクス、ムセーウのロードバイクが展示され、まるでオシャレなカフェかギャラリーのような雰囲気になっていた。
エアロ・アズールが扱うジャージは、VERMARC(フェルマルク)、DECCA(デカ)、Bio-Racer(ビオ・レーサー)。いずれもベルギーに本拠地を置くジャージメーカーだ。会場には61種類を展示していたが、これでも全部展示しきれていないそうだ(取り扱いは全76種類)。
カラフルなジャージは見覚えのあるデザインもあったものの、大半が初めて見るチームのモノばかり。これら全てが欧州プロ・クラブチームのウエアだという。トッププロチームのジャージを手に入れることはたやすいが、エアロ・アズールが扱うのはクラブチームのジャージなどが主だという。当然ベルギーでも市販されるものというよりも、クラブ員のみが買うジャージという性格のもの。商品というよりは、チームグッズのひとつと言える。
そんなジャージを輸入・販売するなんて、なんとも突拍子のない話のように思える。実際、輸入にこぎつけたクランノートの和田さんにお話を伺うと、メーカー担当でさえ「これを日本で売るのか?」と驚かれたという。
しかし、デザインはどれもすばらしく、すべて「レア物」と言っていいモノであるだけに、その価値はサイクルマニアを自称する人なら必ず納得するはず。
各社のジャージをよく見ると、フェルマルク、デカ、ビオ・レーサーそれぞれに生地や作りで特徴があり興味深い。
普段はネット販売だけのジャージを実際に手に取って見られるとあって、来場者も次々と手に取ってお気に入りを探していた。
LAZERヘルメットの展示
レースで培われた高い技術を誇るベルギーのヘルメットメーカーがレーザーだ。独自の調整機構により高いフィット感のレーザーのヘルメットは、ロシア企業の強力なバックアップを受け活躍するチームカチューシャも使用する。またレースから町乗りまで幅広いラインナップを展開するので、様々なシーンによって選択が可能だ。
そんなレーザー各モデルがずらりと並び、会場で実際に手にとりフィッティングも可能だった。
リドレー、ムセーウ、エディ・メルクスの展示
ベルギーの自転車メーカーは、クラシックをはじめとする過酷な石畳のレースで鍛えられ、高い完成度を誇るモデルをラインナップしている。ハードボイルドな印象だ。
今回はリドレーNOAH-Katusha、タイムトライアルバイクのDEAN、エディーメルクスEMX-5、ムセーウMF-5という各メーカー自慢のバイクを展示して、会場の雰囲気を盛り上げていた。
美味しいベルギーを全て堪能する
ファンライドステーションを後にして、一路カフェ&Bar Abbraccio(アブラッチオ)へ。
アブラッチオでは、チョコレートとワッフル、それにベルギービールといった美味しいベルギーが味わえるという。心な
しか先ほどよりもペダルをこぐ力に気合いが入る。やはり食べ物の誘惑には敵わないのか?
さっそく見つけたベルギービールのコーナーへ直行。この日は東京のベルギーレストランBRUSSELSの協力のもと、数あるベルギービールの中からGrisetto(グリゼット)が販売された。
はやる気持ちをおさえて真っ先に注文するものの「飲酒運転となるため自転車の方にはお出しできません」という但し書きを見つけてガックリ。とても真っ当な理由を前にあえなく断念。めずらしく自転車で取材に来たことに大きく後悔した。しかしほんの少しだけ試飲をさせていただき、ノンアルコールビールを注文したのだった。
ベルギーといえばチョコレート。ベルギーの人にとっては欠かせない存在で、家庭の冷蔵庫には必ずストックしているらしい。街には日本でも知られる有名店から、地元の人たちに親しまれる店まで数多く存在するという。
今回は町田にあるベルギーチョコレートのお店、コルネドールのチョコレートが並べられた。
ベルギーのお菓子として有名なのがベルギーワッフル。ベルギーワッフルの老舗マケネンのプレーン味とイチゴ味を販売。もちろん両方味わいベルギーの食文化に触れながらホッとひと息。
エアロ・アズールを手がけるクランノートの和田氏自身が大のベルギー好きということもあって実現した今回のイベント。ベルギーの自転車文化と美味しい味覚を再発見したイベントだった。
ベルギーフェアを企画した意図を和田氏に訊いてみた。
和田氏「理由は大きく2つ。エアロ・アズールはネット販売がメインなので、まずはジャージを実際に手にとって目で見て欲しいと言うのがひとつの動機でした。PCのモニターで見ても、細部までは分からないですから。手にとってベルギー産ジャージのデザインや質感、ディテールを味わって欲しかった。
もうひとつは、日本では自転車というとフランスかイタリアのイメージが強いと思うのですが、ベルギーでは自転車が国技になっているほどなので、その文化を含めて皆さんに知ってもらいたいと言う思いからです。
また、ベルギーの自転車&ヘルメットブランド、ビールやチョコレートブランドとコラボしたのは、来ていただいた方に、目で、味で、自転車大国ベルギーを体験して欲しかったから。ベルギー全体の価値を高めたかったんです。自転車ブランド代理店の方には『そんな申し出は初めてだ』と驚かれました(笑)。
今回は会場の都合でその場で焼いたワッフルを出すことができなかったこと、バイクの試乗ができなかった等、心残りがあるのですが、次回はもっと楽しめる良いものにしていきたいですね」。
なお、このイベントの直後にエアロ・アズールの商品がTOKYO WHEELSでの店舗販売を開始したというニュースが入ってきた。
text:Takashi.KAYABA
photo:Makoto.AYANO
ベルギーといえば、チョコレートやベルギーワッフル、ベルギービールが有名な美食の国でもある。今回のベルギーサイクルフェスタは、欧州プロ・クラブチームサイクルウェアの販売サイト、エアロ・アズールを手がける株式会社Clannote(クランノート)が、そんな自転車大国ベルギーの魅力を伝えるために開催したイベントだ。
ところで自転車の本場と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはどこの国だろうか? おそらくフランスやイタリアを挙げる人が多いのではないだろうか。確かにロードレースでは「ツール・ド・フランス」と「ジロ・デ・イタリア」が有名だし、人気の高いロードバイクやパーツもフランスやイタリアの製品が多く知られている。
その一方で、ベルギーからは多くの強豪選手や名監督が生まれ、伝統のあるクラシックレースも開催されているものの、その自転車文化については今まで日本であまり知られていなかった。ところが調べてみるとベルギーは我々の想像を超えた自転車大国だった。
特に圧倒されるのはベルギー国内で開催される自転車レースの開催数。最も多いシーズンには自転車競技連盟の公認レースだけで毎週平均70レースが行われている。これに未公認のレースを含めると計り知れない数になるという。
それにベルギーは自転車レースを「国技」としている唯一の国である。国をあげて取り組んでいるとはいえ、日本の四国とほぼ同じ面積に1,000万人が暮らすヨーロッパの小国であるベルギーで、これほどまでに自転車レースが盛んなことはあまり知られていなかったことだろう。
それでは、編集部も自転車に跨がりベルギーの自転車文化と美味しい味覚を堪能するために現場へ向かった。その様子をレポートしよう。
ファンライドステーションはベルギー三昧
自転車通勤者の強い味方 ファンライドステーションは、ベルギーメーカーの商品で埋め尽くされた。
エアロ・アズールの取り扱うジャージ、レーザーのヘルメット各種、リドレー、エディ・メルクス、ムセーウのロードバイクが展示され、まるでオシャレなカフェかギャラリーのような雰囲気になっていた。
エアロ・アズールが扱うジャージは、VERMARC(フェルマルク)、DECCA(デカ)、Bio-Racer(ビオ・レーサー)。いずれもベルギーに本拠地を置くジャージメーカーだ。会場には61種類を展示していたが、これでも全部展示しきれていないそうだ(取り扱いは全76種類)。
カラフルなジャージは見覚えのあるデザインもあったものの、大半が初めて見るチームのモノばかり。これら全てが欧州プロ・クラブチームのウエアだという。トッププロチームのジャージを手に入れることはたやすいが、エアロ・アズールが扱うのはクラブチームのジャージなどが主だという。当然ベルギーでも市販されるものというよりも、クラブ員のみが買うジャージという性格のもの。商品というよりは、チームグッズのひとつと言える。
そんなジャージを輸入・販売するなんて、なんとも突拍子のない話のように思える。実際、輸入にこぎつけたクランノートの和田さんにお話を伺うと、メーカー担当でさえ「これを日本で売るのか?」と驚かれたという。
しかし、デザインはどれもすばらしく、すべて「レア物」と言っていいモノであるだけに、その価値はサイクルマニアを自称する人なら必ず納得するはず。
各社のジャージをよく見ると、フェルマルク、デカ、ビオ・レーサーそれぞれに生地や作りで特徴があり興味深い。
普段はネット販売だけのジャージを実際に手に取って見られるとあって、来場者も次々と手に取ってお気に入りを探していた。
LAZERヘルメットの展示
レースで培われた高い技術を誇るベルギーのヘルメットメーカーがレーザーだ。独自の調整機構により高いフィット感のレーザーのヘルメットは、ロシア企業の強力なバックアップを受け活躍するチームカチューシャも使用する。またレースから町乗りまで幅広いラインナップを展開するので、様々なシーンによって選択が可能だ。
そんなレーザー各モデルがずらりと並び、会場で実際に手にとりフィッティングも可能だった。
リドレー、ムセーウ、エディ・メルクスの展示
ベルギーの自転車メーカーは、クラシックをはじめとする過酷な石畳のレースで鍛えられ、高い完成度を誇るモデルをラインナップしている。ハードボイルドな印象だ。
今回はリドレーNOAH-Katusha、タイムトライアルバイクのDEAN、エディーメルクスEMX-5、ムセーウMF-5という各メーカー自慢のバイクを展示して、会場の雰囲気を盛り上げていた。
美味しいベルギーを全て堪能する
ファンライドステーションを後にして、一路カフェ&Bar Abbraccio(アブラッチオ)へ。
アブラッチオでは、チョコレートとワッフル、それにベルギービールといった美味しいベルギーが味わえるという。心な
しか先ほどよりもペダルをこぐ力に気合いが入る。やはり食べ物の誘惑には敵わないのか?
さっそく見つけたベルギービールのコーナーへ直行。この日は東京のベルギーレストランBRUSSELSの協力のもと、数あるベルギービールの中からGrisetto(グリゼット)が販売された。
はやる気持ちをおさえて真っ先に注文するものの「飲酒運転となるため自転車の方にはお出しできません」という但し書きを見つけてガックリ。とても真っ当な理由を前にあえなく断念。めずらしく自転車で取材に来たことに大きく後悔した。しかしほんの少しだけ試飲をさせていただき、ノンアルコールビールを注文したのだった。
ベルギーといえばチョコレート。ベルギーの人にとっては欠かせない存在で、家庭の冷蔵庫には必ずストックしているらしい。街には日本でも知られる有名店から、地元の人たちに親しまれる店まで数多く存在するという。
今回は町田にあるベルギーチョコレートのお店、コルネドールのチョコレートが並べられた。
ベルギーのお菓子として有名なのがベルギーワッフル。ベルギーワッフルの老舗マケネンのプレーン味とイチゴ味を販売。もちろん両方味わいベルギーの食文化に触れながらホッとひと息。
エアロ・アズールを手がけるクランノートの和田氏自身が大のベルギー好きということもあって実現した今回のイベント。ベルギーの自転車文化と美味しい味覚を再発見したイベントだった。
ベルギーフェアを企画した意図を和田氏に訊いてみた。
和田氏「理由は大きく2つ。エアロ・アズールはネット販売がメインなので、まずはジャージを実際に手にとって目で見て欲しいと言うのがひとつの動機でした。PCのモニターで見ても、細部までは分からないですから。手にとってベルギー産ジャージのデザインや質感、ディテールを味わって欲しかった。
もうひとつは、日本では自転車というとフランスかイタリアのイメージが強いと思うのですが、ベルギーでは自転車が国技になっているほどなので、その文化を含めて皆さんに知ってもらいたいと言う思いからです。
また、ベルギーの自転車&ヘルメットブランド、ビールやチョコレートブランドとコラボしたのは、来ていただいた方に、目で、味で、自転車大国ベルギーを体験して欲しかったから。ベルギー全体の価値を高めたかったんです。自転車ブランド代理店の方には『そんな申し出は初めてだ』と驚かれました(笑)。
今回は会場の都合でその場で焼いたワッフルを出すことができなかったこと、バイクの試乗ができなかった等、心残りがあるのですが、次回はもっと楽しめる良いものにしていきたいですね」。
なお、このイベントの直後にエアロ・アズールの商品がTOKYO WHEELSでの店舗販売を開始したというニュースが入ってきた。
text:Takashi.KAYABA
photo:Makoto.AYANO