2018/12/02(日) - 13:16
11月23日(金)、首都圏を中心に自転車屋を展開するセオサイクルが主催するホビーレース大会の「セオフェス」が開催された。普段はお仕事に学業に勤しむホビーレーサーが、エンデューロと個人ロードレース、50社以上が出展するメーカーブースを思う存分に楽しんだ。
関東圏内で過ごしている方で、黄色い看板を掲げる自転車屋さん「セオサイクル」を見かけたことのある方は少なくないはず。セオサイクルは、街の自転車屋として軽快車を中心に据えた店舗もあれば、プロショップとしてロードバイクに特化した店舗もあり、街で生活する市民たちが望む自転車ライフを提供してくれるチェーンショップである。
そんなセオサイクルは毎年ロードレースイベント「セオフェス」を主催。13回目の開催を迎える今年も様々なカテゴリーのエンデューロと短距離ロードレースを15種類も用意しており、仲間と一緒に楽しみたい方や沢山のレースに出たい方、家族で楽しみたい方など様々なサイクリストが、袖ヶ浦フォレストレースウェイに集結した。
会場である袖ヶ浦フォレストレースウェイは圏央道の木更津東ICから車で10分。東京湾アクアラインが都内や神奈川県と、館山自動車道と圏央道が千葉県内とサーキットを繋ぐため、首都圏内から足を運びやすい。セオフェスは普段、仕事や学校に勤しむ忙しいサイクリストでも気軽に参加しやすいレースとなっている。
またFIA(国際自動車連盟)の規格に適合したサーキットとして設計されており、全長2,436mの中に14のコーナーが詰め込まれたコースとして四輪と二輪の愛好家から親しまれてる。最大斜度が4.2%となだらかなプロフィールながら登っては下るコースであり、パワーのあるレーサーには脚力で押し切れるフラットコースとして、初中級者には最後まで足を残すコースとして楽しめるのだ。
さらに道幅は広く路面は綺麗。脚力が異なるサイクリストが混走するエンデューロレースでも追い越すスペースは十分にあり安全に走ることができ、足並みが揃った短距離ロードレースの場合は位置取り争いやコーナリングワークなどテクニカルな面を楽しむことができる。
大会当日、日に日に朝の冷え込みが厳しくなる11月下旬ながら、太陽は暖かい光を届けてくれ、この日はポカポカ陽気になると期待させてくれる。林の中にあるサーキットに集まってくるサイクリストから笑顔がこぼれている。毎年開催されているため、このレースだけで顔を会われるライバルに声をかけている方も。施設がこじんまりとしており参加者同士の距離が近いため、顔見知りが多くなるという暖かさもこのイベントの魅力だ。
自転車イベントでおなじみのMCアケさんとMCノゾミさんの明るい声からセオフェスは始まる。サポート選手として一緒に走ってくれるチームブリヂストンサイクリングの堀孝明選手と、ブリヂストンが誇るオリンピアンである藤田晃三さん、飯島誠さん、UCI2.1の大会で総合優勝を果たしたこともある清水都貴さん、そしてチーム右京から徳田優選手、横塚浩平選手が登壇。飯島さんがこの大会の魅力を教えてくれ、これから始まる大会への期待も膨れ上がっていく。
セオフェスは2時間と4時間エンデューロからスタートが切られる。まずはデローザとIRC、マヴィック、チーム右京、チームブリヂストンサイクリングのオフィシャルカー、サポート選手がサイクリストたちを先導してくれるローリングスタートから。200名以上が参加する2時間、250ほどの個人とチームが参加する4時間の選手たちがホームストレートに戻ってくると、ピットから大きな歓声が上がりリアルスタートが切られる。
集団走行からペースが上がり引き伸ばされる集団へと変化していく様は圧巻。中にいる選手はフレッシュな状態で興奮していることだろうし、見ている側としてもチームメイトがいい位置にいることを期待して見守る。見えないものの会場全体が熱気に包まれるこの空気感こそエンデューロレースの良いところ。
夜中に小雨でも降ったのか所々に濡れている路面があるものの走行には影響なし。コースサイドを歩いて回るだけでも汗がにじむ程度には気温が上がるものの、程よく吹きつける風は晩秋らしく冷たい。コースを走る選手たちには走行風もあるため、体を冷ましながら走ることができる絶好のロードレース日和となったことだろう。
袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットウォールには金網が設置されていないため、どのチームも遮られるものなく声援を飛ばせる。F1やWEC、motoGPのような国際レースが開催されるグレードのサーキットには金網が設置されており、それよりも選手とピットで待つ仲間の距離が近く感じられるためか、「千切てるよー踏んでー!」など応援に力がこもりがち。
2時間と4時間のフィニッシュ時間がそれぞれ近づくと自然とピットウォールの歓声が大きくなっていく。どちらも最後は集団スプリントで勝負は決することになり、横一線になりながらフィニッシュに突き進む集団を追うように最終コーナーの方から大きな声援が上がっていく。そして、プロさながらの激闘のスプリントでエンデューロの幕は降りる。
その後方でも悔しそうにする方、ガッツポーズする方、ピットの仲間に挨拶してからフィニッシュラインを切る方、仲間と一緒に完走の喜びを分かち合いレースを終える方など、様子はそれぞれ。各個人各チームそれぞれのドラマ、楽しみ方があることを教えてくれるのがエンデューロレースの良いところ。
ちなみにセオフェスの2時間エンデューロはソロのみのカテゴリー設定となっており、今年の男子優勝者のラップ数は34周、82kmの長距離ロードレースとして楽しめる。ちなみに4時間ソロ男子のラップ数は68周。ソロで勝負をかける選手にとっては164kmという長丁場だったようだ。
エンデューロが終了するとホームストレートを駆け上がる未就学児クラスのキッズレースから個人短距離レースが始まる。2学年ごとに別けられた小学生クラスでは大人顔負けのトレインが組まれ、ストレートを通過する度に親御さんから熱い激が飛ぶ。どのクラスもスプリントで勝負は決し、5-6年生クラスではこの日最も熱いガッツポーズが繰り出された。もしかしたらこの日最も盛り上がったのはキッズレースだったかもしれない。
その後は年齢や性別、脚力ごとに分けられたレースが次々と始まる。中学生やシニア、レディースクラスなどを含めた8クラスの選手たちがそれぞれの舞台でしのぎを削り合い、ポディウムで健闘を称え合う。その様子は年齢性別関係なく美しい光景であり、スプリントで出し切れる自転車競技の楽しさを表してくれているよう。
選手たちが自分の出番を待つ間も楽しめるように、地元で有名なキッチンカーと各社出展ブースがズラリと並んだ。ポカポカ陽気の中、屋外でケバブやハンバーガー、豚丼などグルメに舌鼓を打つと爽やかなピクニック気分に。熾烈な争いの後、のんびりとした時間を過ごせるのは贅沢な休日だ。
お腹いっぱいにご飯を楽しんだら出展ブースを巡り、最新バイクと情報に触れるとサイクリングライフが一気に充実する。今年話題の多いVENGEを持ち込んだスペシャライズドをはじめ、ビアンキ、ブリヂストン、フォーカス、スコット、メリダ、ジャイアントなど有名ブランドが来場。各社最新モデルを用意し、存分に感触を確かめる機会を設けている。
セオフェスの試乗会は駐車場内のミニコースだけではなく、午後の試乗時間を利用してサーキットを走ることができるのだ。レーススピードで登りと下り、コーナリング、ブレーキングを安全なフィールドで試すことができる機会は非常に珍しい。バイクの買い替えを考えている方も、そうでない方も最新バイクに触れるだけでもセオフェスを訪れる価値はあるだろう。
今年はパナソニックやヤマハなどE-BIKEの雄もブースを構え、ロードレーサー達に新しい自転車の楽しみ方を伝えていた。さらにタックスやワフーはパドック内にスマートトレーナーを試せるスペースを用意し、浸透しつつあるバーチャルサイクリングをアピールした。
パーツブランドも数多く出展しており、マビックではレースで使えるUSTホイールを貸出し。チューブレスタイヤの乗り心地や性能をレース内で試せる機会を用意する豪華な内容となっていた。レースイベントでお馴染みのワコーズブースの洗車は何時も通り大盛況。
次々と開始される表彰式やレース、ブースに顔を出していると時間の経過は早いもので、最終種目の初心者クラスがスプリントで決した。時刻は16時を過ぎ、日は傾き始めており、夕暮れの中執り行われた表彰式はノスタルジックな雰囲気に。朝イチから始まったセオフェスはレースに参加、応援するのもよし、ブースを見て回るのもよし。どの参加者を見ても笑顔が溢れ、充実した1日を過ごすことができるアットホームなイベントだった。
text&photo : Gakuto Fujiwara
関東圏内で過ごしている方で、黄色い看板を掲げる自転車屋さん「セオサイクル」を見かけたことのある方は少なくないはず。セオサイクルは、街の自転車屋として軽快車を中心に据えた店舗もあれば、プロショップとしてロードバイクに特化した店舗もあり、街で生活する市民たちが望む自転車ライフを提供してくれるチェーンショップである。
そんなセオサイクルは毎年ロードレースイベント「セオフェス」を主催。13回目の開催を迎える今年も様々なカテゴリーのエンデューロと短距離ロードレースを15種類も用意しており、仲間と一緒に楽しみたい方や沢山のレースに出たい方、家族で楽しみたい方など様々なサイクリストが、袖ヶ浦フォレストレースウェイに集結した。
会場である袖ヶ浦フォレストレースウェイは圏央道の木更津東ICから車で10分。東京湾アクアラインが都内や神奈川県と、館山自動車道と圏央道が千葉県内とサーキットを繋ぐため、首都圏内から足を運びやすい。セオフェスは普段、仕事や学校に勤しむ忙しいサイクリストでも気軽に参加しやすいレースとなっている。
またFIA(国際自動車連盟)の規格に適合したサーキットとして設計されており、全長2,436mの中に14のコーナーが詰め込まれたコースとして四輪と二輪の愛好家から親しまれてる。最大斜度が4.2%となだらかなプロフィールながら登っては下るコースであり、パワーのあるレーサーには脚力で押し切れるフラットコースとして、初中級者には最後まで足を残すコースとして楽しめるのだ。
さらに道幅は広く路面は綺麗。脚力が異なるサイクリストが混走するエンデューロレースでも追い越すスペースは十分にあり安全に走ることができ、足並みが揃った短距離ロードレースの場合は位置取り争いやコーナリングワークなどテクニカルな面を楽しむことができる。
大会当日、日に日に朝の冷え込みが厳しくなる11月下旬ながら、太陽は暖かい光を届けてくれ、この日はポカポカ陽気になると期待させてくれる。林の中にあるサーキットに集まってくるサイクリストから笑顔がこぼれている。毎年開催されているため、このレースだけで顔を会われるライバルに声をかけている方も。施設がこじんまりとしており参加者同士の距離が近いため、顔見知りが多くなるという暖かさもこのイベントの魅力だ。
自転車イベントでおなじみのMCアケさんとMCノゾミさんの明るい声からセオフェスは始まる。サポート選手として一緒に走ってくれるチームブリヂストンサイクリングの堀孝明選手と、ブリヂストンが誇るオリンピアンである藤田晃三さん、飯島誠さん、UCI2.1の大会で総合優勝を果たしたこともある清水都貴さん、そしてチーム右京から徳田優選手、横塚浩平選手が登壇。飯島さんがこの大会の魅力を教えてくれ、これから始まる大会への期待も膨れ上がっていく。
セオフェスは2時間と4時間エンデューロからスタートが切られる。まずはデローザとIRC、マヴィック、チーム右京、チームブリヂストンサイクリングのオフィシャルカー、サポート選手がサイクリストたちを先導してくれるローリングスタートから。200名以上が参加する2時間、250ほどの個人とチームが参加する4時間の選手たちがホームストレートに戻ってくると、ピットから大きな歓声が上がりリアルスタートが切られる。
集団走行からペースが上がり引き伸ばされる集団へと変化していく様は圧巻。中にいる選手はフレッシュな状態で興奮していることだろうし、見ている側としてもチームメイトがいい位置にいることを期待して見守る。見えないものの会場全体が熱気に包まれるこの空気感こそエンデューロレースの良いところ。
夜中に小雨でも降ったのか所々に濡れている路面があるものの走行には影響なし。コースサイドを歩いて回るだけでも汗がにじむ程度には気温が上がるものの、程よく吹きつける風は晩秋らしく冷たい。コースを走る選手たちには走行風もあるため、体を冷ましながら走ることができる絶好のロードレース日和となったことだろう。
袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットウォールには金網が設置されていないため、どのチームも遮られるものなく声援を飛ばせる。F1やWEC、motoGPのような国際レースが開催されるグレードのサーキットには金網が設置されており、それよりも選手とピットで待つ仲間の距離が近く感じられるためか、「千切てるよー踏んでー!」など応援に力がこもりがち。
2時間と4時間のフィニッシュ時間がそれぞれ近づくと自然とピットウォールの歓声が大きくなっていく。どちらも最後は集団スプリントで勝負は決することになり、横一線になりながらフィニッシュに突き進む集団を追うように最終コーナーの方から大きな声援が上がっていく。そして、プロさながらの激闘のスプリントでエンデューロの幕は降りる。
その後方でも悔しそうにする方、ガッツポーズする方、ピットの仲間に挨拶してからフィニッシュラインを切る方、仲間と一緒に完走の喜びを分かち合いレースを終える方など、様子はそれぞれ。各個人各チームそれぞれのドラマ、楽しみ方があることを教えてくれるのがエンデューロレースの良いところ。
ちなみにセオフェスの2時間エンデューロはソロのみのカテゴリー設定となっており、今年の男子優勝者のラップ数は34周、82kmの長距離ロードレースとして楽しめる。ちなみに4時間ソロ男子のラップ数は68周。ソロで勝負をかける選手にとっては164kmという長丁場だったようだ。
エンデューロが終了するとホームストレートを駆け上がる未就学児クラスのキッズレースから個人短距離レースが始まる。2学年ごとに別けられた小学生クラスでは大人顔負けのトレインが組まれ、ストレートを通過する度に親御さんから熱い激が飛ぶ。どのクラスもスプリントで勝負は決し、5-6年生クラスではこの日最も熱いガッツポーズが繰り出された。もしかしたらこの日最も盛り上がったのはキッズレースだったかもしれない。
その後は年齢や性別、脚力ごとに分けられたレースが次々と始まる。中学生やシニア、レディースクラスなどを含めた8クラスの選手たちがそれぞれの舞台でしのぎを削り合い、ポディウムで健闘を称え合う。その様子は年齢性別関係なく美しい光景であり、スプリントで出し切れる自転車競技の楽しさを表してくれているよう。
選手たちが自分の出番を待つ間も楽しめるように、地元で有名なキッチンカーと各社出展ブースがズラリと並んだ。ポカポカ陽気の中、屋外でケバブやハンバーガー、豚丼などグルメに舌鼓を打つと爽やかなピクニック気分に。熾烈な争いの後、のんびりとした時間を過ごせるのは贅沢な休日だ。
お腹いっぱいにご飯を楽しんだら出展ブースを巡り、最新バイクと情報に触れるとサイクリングライフが一気に充実する。今年話題の多いVENGEを持ち込んだスペシャライズドをはじめ、ビアンキ、ブリヂストン、フォーカス、スコット、メリダ、ジャイアントなど有名ブランドが来場。各社最新モデルを用意し、存分に感触を確かめる機会を設けている。
セオフェスの試乗会は駐車場内のミニコースだけではなく、午後の試乗時間を利用してサーキットを走ることができるのだ。レーススピードで登りと下り、コーナリング、ブレーキングを安全なフィールドで試すことができる機会は非常に珍しい。バイクの買い替えを考えている方も、そうでない方も最新バイクに触れるだけでもセオフェスを訪れる価値はあるだろう。
今年はパナソニックやヤマハなどE-BIKEの雄もブースを構え、ロードレーサー達に新しい自転車の楽しみ方を伝えていた。さらにタックスやワフーはパドック内にスマートトレーナーを試せるスペースを用意し、浸透しつつあるバーチャルサイクリングをアピールした。
パーツブランドも数多く出展しており、マビックではレースで使えるUSTホイールを貸出し。チューブレスタイヤの乗り心地や性能をレース内で試せる機会を用意する豪華な内容となっていた。レースイベントでお馴染みのワコーズブースの洗車は何時も通り大盛況。
次々と開始される表彰式やレース、ブースに顔を出していると時間の経過は早いもので、最終種目の初心者クラスがスプリントで決した。時刻は16時を過ぎ、日は傾き始めており、夕暮れの中執り行われた表彰式はノスタルジックな雰囲気に。朝イチから始まったセオフェスはレースに参加、応援するのもよし、ブースを見て回るのもよし。どの参加者を見ても笑顔が溢れ、充実した1日を過ごすことができるアットホームなイベントだった。
text&photo : Gakuto Fujiwara
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