2018/10/01(月) - 12:45
岩手県で行われたグレートアースみちのく岩手雫石銀河ライド。大盛り上がりの前夜祭に続いて、大会当日のレポートをお届け。雨天の中でも楽しめたロングライドイベントの模様を紹介しよう。
白熱した戦いが繰り広げられたわんこそば大会に、自転車競技を題材にしたアニメに出演している声優さんの登場など、大いに盛り上がった前夜祭。これだけでも大満足の内容ではあるのだが、あくまでもメインは雫石の自然を満喫するライドである。ということで大会当日がやってきた。
しかしながら、イベント当日は本降りの雨に見舞われてしまった。前日の天気予報でも雨の予報が出ていたので、朝起きたら「意外と大丈夫だな」と思えそうなくらいの雨量であって欲しい、なんて淡い期待をしていたのだが、天に我々の声は届かなかったようだ。
ということで、当初予定されていた124kmのロングコースは中止。ショートコースのみでの開催となった。そして距離も84kmから60kmほどのコースに変更され、雫石の魅力を短いコースにギュッと詰め込んだ設定に。60kmほどであれば、どんなに雨脚が強くても比較的短時間で走り切ることができ、雨天でも楽しむことができるだろうということだ。
もちろんエイドで出されるグルメは、ロングコースで予定されていた全ての料理が振る舞われるということで、食べまくりのグルメライドということになった。なお、自転車ではなく自家用車でもゼッケンさえ持っていればエイドグルメを楽しめるようになっており、実際に走るか走らないかは参加者自身が判断できた。
大会受け付け兼参加者の待機場所となったロープウェイ乗り場の建物では、身体を温めるミネストローネが振る舞われ、皆さんスタート前に一服。スタート前は何かと気持ちがはやり、落ち着かない気分になるが、温かいものを身体に入れるだけでリフレッシュできるというもの。
スタート時間が1時間遅れたことでゆっくり準備をし、オープニングセレモニーの15分前程にはスタートゲートの前に参加者の方々が並びだす。雨ではあるが60kmほどの距離ということもあって、気負いすることもなく皆さん穏やかな雰囲気だ。「程よく楽しもうぜ」という気楽な雰囲気が伝わってくる。
時間になるとまずは恒例の準備体操から。寒いときこそ身体を隅々まで伸ばし、怪我を予防するのだ。その後は大会MCの白戸太朗さんと平野由香里さんの進行の元、プリンスホテル総支配人の挨拶や、参加者と一緒に走る声優の野島裕史さんと伊藤健太郎さんの紹介が行われた。
スタートは10名ほどのグループに分かれての出走。スタート地点となる雫石プリンスホテルは高倉山の中腹に位置するするため、2.5kmほど下っていく。下りきったら回り道はせずにそのまま小岩井農場へ。程なくすれば、本来のロングコースでは3つ目のエイドとなる小岩井農場まきば園に到着だ。
小岩井農場は日本最大の民間総合農場。1891年に開設されて以来、畜産や育馬事業を軸に発展し、現在では乳業メーカーとして全国に知れ渡る存在となった牧場である。現在でも3,000ヘクタールという非常に広大な敷地を活かし、岩手県を代表する観光施設として人気のスポットなのだ。
そんな小岩井農場まきば園エイドでは、ここで育成された小岩井牛の牛丼が振る舞われる。地元岩手のお米に柔らかい国産和牛のお肉が絶妙なハーモニーを奏でており、絶品なのだ。それにボリュームもミニ丼などではなく、フルサイズの牛丼となっており、ライド開始早々でエネルギーをフル充電出来る。
早めの昼ごはんを済ませたら次なるエイドステーションに向けて出発。雨脚も少し弱まり走りやすい天候に。小岩井牧場から南下し、秋田新幹線も通る田沢湖線を超え御所湖の辺りを走っていく。途中、10%を超える斜度の登坂も出現するが、基本的に平坦な道が続き、非常に走りやすい。
少し開けたところに出ると、田園が広がっており黄金色の稲穂が頭を垂れている。岩手県のお米といえば「ひとめぼれ」だが、雫石町はその主な生産地の一つ。町内のいたるところに田園が広がっており、その光景が古き良き日本の里山の風景を演出しているのかもしれない。
しばらく走っていくと鶯宿温泉の「うぐいす湯の里公園」に設置されたエイドに到着。岩手県でお祝いごとの際に食される餅菓子「黒きりせんしょ」を頂く。うるち米を二度蒸しし、黒糖や醤油で味付けした郷土菓子で冠婚葬祭の際には欠かせない食べ物なんだとか。初めてなのに素朴で懐かしい味わいが特徴だ。
「うぐいす湯の里公園」には雨で冷えた身体を足から温める足湯も完備。鴬宿温泉のゆるきゃら”ケキョきち”がプリントされたタオルも用意されており、足をさっぱりさせたところで再スタートだ。だがしかし、次の雫石町歴史民俗資料館は思ったよりすぐ登場。ここでも暫し休憩だ。
このエイドではジュージーなボイルウインナーが振る舞われる。地元雫石の豚を使ったあらびきウインナーだそうで、食べごたえがありパリッと美味しい。また、茅葺屋根の曲屋の中には囲炉裏が置かれ、身体を温める事が出来る他、雫石の歴史を学ぶ事が出来る昔語りやけん玉体験などもできる。食べるだけではなく学ぶことも出来るエイドステーションというのは今までにない取り組みだろう。
囲炉裏で温まったら再スタート。しばらく田園の中を走る道が続いていく。程なくすれば最後のエイドに到着だ。ここでは地元のおばあちゃんたちが作ったあんことゴマだれのお餅が振る舞われる。更にここでは餅つき体験も出来るということで、声優の野島さんがチャレンジ。体力以上にリズム感が大事なようだ。温かいお茶を飲み干したら出発だ。
実は公式のエイドステーションは以上となるのだが、それ以外にも休憩場所として多くの参加者が立ち寄るのが手作りアイスクリーム牧舎”松ぼっくり”。岩手県で人気のジェラートが屋さんであり、常時14種類ほどの味を取り揃えている。せっかくだから食べていこうかと寄っていく人が多かった。
さて、ここまで来たらゴールまではあともう少しだが、最後に待ち受けるのがスタート直後に下った2.5km、平均5%ほどの登り。ここはもうゴールに向かいひたすらペダルを回すしかない。心なしか雨脚も強まってきたが、逆に雨の音しか聞こえない静寂の状況が集中力を高めてくれる。雫石プリンスホテル前のフィニッシュゲートではMCの平野さんが1人1人のゴールを迎えてくれる。
完走証はホテルの中で発行。木のプレートに1枚1枚スタッフの手書きメッセージが入っており、主催者の心意気を感じる。ただの紙ではないため、部屋に飾りやすく、良い思い出になりそうだ。そしてフィニッシュエイドではサーモンやマグロが乗った「こしぇる丼」やぶどう、マカロンナッツなどが配られる。さらには種類豊富なコッペパンで全国区まで名を広げた盛岡市のご当地パン「福田パン」も、一番人気のあんバターサンドをふるまうなどお腹いっぱいになるまでグルメを堪能することができた。
本来であればロングコースの序盤に出すグルメがフィニッシュ地点に集まっているというわけで、これでは完全にカロリーオーバーなのだが、今日ばかりは仕方がない。あいにくの雨天の中行われたグレートアースみちのく岩手雫石銀河ライドだが、それでもこれだけ楽しめたのだから、来年晴れたときはどれほどの満足感なのか、想像は容易い。岩手県雫石町の心洗われる景色と魅力的なグルメ。私の心に思い出の一雫を残していった満足度の高いイベントであった。
text&photo:Kosuke.Kamata
白熱した戦いが繰り広げられたわんこそば大会に、自転車競技を題材にしたアニメに出演している声優さんの登場など、大いに盛り上がった前夜祭。これだけでも大満足の内容ではあるのだが、あくまでもメインは雫石の自然を満喫するライドである。ということで大会当日がやってきた。
しかしながら、イベント当日は本降りの雨に見舞われてしまった。前日の天気予報でも雨の予報が出ていたので、朝起きたら「意外と大丈夫だな」と思えそうなくらいの雨量であって欲しい、なんて淡い期待をしていたのだが、天に我々の声は届かなかったようだ。
ということで、当初予定されていた124kmのロングコースは中止。ショートコースのみでの開催となった。そして距離も84kmから60kmほどのコースに変更され、雫石の魅力を短いコースにギュッと詰め込んだ設定に。60kmほどであれば、どんなに雨脚が強くても比較的短時間で走り切ることができ、雨天でも楽しむことができるだろうということだ。
もちろんエイドで出されるグルメは、ロングコースで予定されていた全ての料理が振る舞われるということで、食べまくりのグルメライドということになった。なお、自転車ではなく自家用車でもゼッケンさえ持っていればエイドグルメを楽しめるようになっており、実際に走るか走らないかは参加者自身が判断できた。
大会受け付け兼参加者の待機場所となったロープウェイ乗り場の建物では、身体を温めるミネストローネが振る舞われ、皆さんスタート前に一服。スタート前は何かと気持ちがはやり、落ち着かない気分になるが、温かいものを身体に入れるだけでリフレッシュできるというもの。
スタート時間が1時間遅れたことでゆっくり準備をし、オープニングセレモニーの15分前程にはスタートゲートの前に参加者の方々が並びだす。雨ではあるが60kmほどの距離ということもあって、気負いすることもなく皆さん穏やかな雰囲気だ。「程よく楽しもうぜ」という気楽な雰囲気が伝わってくる。
時間になるとまずは恒例の準備体操から。寒いときこそ身体を隅々まで伸ばし、怪我を予防するのだ。その後は大会MCの白戸太朗さんと平野由香里さんの進行の元、プリンスホテル総支配人の挨拶や、参加者と一緒に走る声優の野島裕史さんと伊藤健太郎さんの紹介が行われた。
スタートは10名ほどのグループに分かれての出走。スタート地点となる雫石プリンスホテルは高倉山の中腹に位置するするため、2.5kmほど下っていく。下りきったら回り道はせずにそのまま小岩井農場へ。程なくすれば、本来のロングコースでは3つ目のエイドとなる小岩井農場まきば園に到着だ。
小岩井農場は日本最大の民間総合農場。1891年に開設されて以来、畜産や育馬事業を軸に発展し、現在では乳業メーカーとして全国に知れ渡る存在となった牧場である。現在でも3,000ヘクタールという非常に広大な敷地を活かし、岩手県を代表する観光施設として人気のスポットなのだ。
そんな小岩井農場まきば園エイドでは、ここで育成された小岩井牛の牛丼が振る舞われる。地元岩手のお米に柔らかい国産和牛のお肉が絶妙なハーモニーを奏でており、絶品なのだ。それにボリュームもミニ丼などではなく、フルサイズの牛丼となっており、ライド開始早々でエネルギーをフル充電出来る。
早めの昼ごはんを済ませたら次なるエイドステーションに向けて出発。雨脚も少し弱まり走りやすい天候に。小岩井牧場から南下し、秋田新幹線も通る田沢湖線を超え御所湖の辺りを走っていく。途中、10%を超える斜度の登坂も出現するが、基本的に平坦な道が続き、非常に走りやすい。
少し開けたところに出ると、田園が広がっており黄金色の稲穂が頭を垂れている。岩手県のお米といえば「ひとめぼれ」だが、雫石町はその主な生産地の一つ。町内のいたるところに田園が広がっており、その光景が古き良き日本の里山の風景を演出しているのかもしれない。
しばらく走っていくと鶯宿温泉の「うぐいす湯の里公園」に設置されたエイドに到着。岩手県でお祝いごとの際に食される餅菓子「黒きりせんしょ」を頂く。うるち米を二度蒸しし、黒糖や醤油で味付けした郷土菓子で冠婚葬祭の際には欠かせない食べ物なんだとか。初めてなのに素朴で懐かしい味わいが特徴だ。
「うぐいす湯の里公園」には雨で冷えた身体を足から温める足湯も完備。鴬宿温泉のゆるきゃら”ケキョきち”がプリントされたタオルも用意されており、足をさっぱりさせたところで再スタートだ。だがしかし、次の雫石町歴史民俗資料館は思ったよりすぐ登場。ここでも暫し休憩だ。
このエイドではジュージーなボイルウインナーが振る舞われる。地元雫石の豚を使ったあらびきウインナーだそうで、食べごたえがありパリッと美味しい。また、茅葺屋根の曲屋の中には囲炉裏が置かれ、身体を温める事が出来る他、雫石の歴史を学ぶ事が出来る昔語りやけん玉体験などもできる。食べるだけではなく学ぶことも出来るエイドステーションというのは今までにない取り組みだろう。
囲炉裏で温まったら再スタート。しばらく田園の中を走る道が続いていく。程なくすれば最後のエイドに到着だ。ここでは地元のおばあちゃんたちが作ったあんことゴマだれのお餅が振る舞われる。更にここでは餅つき体験も出来るということで、声優の野島さんがチャレンジ。体力以上にリズム感が大事なようだ。温かいお茶を飲み干したら出発だ。
実は公式のエイドステーションは以上となるのだが、それ以外にも休憩場所として多くの参加者が立ち寄るのが手作りアイスクリーム牧舎”松ぼっくり”。岩手県で人気のジェラートが屋さんであり、常時14種類ほどの味を取り揃えている。せっかくだから食べていこうかと寄っていく人が多かった。
さて、ここまで来たらゴールまではあともう少しだが、最後に待ち受けるのがスタート直後に下った2.5km、平均5%ほどの登り。ここはもうゴールに向かいひたすらペダルを回すしかない。心なしか雨脚も強まってきたが、逆に雨の音しか聞こえない静寂の状況が集中力を高めてくれる。雫石プリンスホテル前のフィニッシュゲートではMCの平野さんが1人1人のゴールを迎えてくれる。
完走証はホテルの中で発行。木のプレートに1枚1枚スタッフの手書きメッセージが入っており、主催者の心意気を感じる。ただの紙ではないため、部屋に飾りやすく、良い思い出になりそうだ。そしてフィニッシュエイドではサーモンやマグロが乗った「こしぇる丼」やぶどう、マカロンナッツなどが配られる。さらには種類豊富なコッペパンで全国区まで名を広げた盛岡市のご当地パン「福田パン」も、一番人気のあんバターサンドをふるまうなどお腹いっぱいになるまでグルメを堪能することができた。
本来であればロングコースの序盤に出すグルメがフィニッシュ地点に集まっているというわけで、これでは完全にカロリーオーバーなのだが、今日ばかりは仕方がない。あいにくの雨天の中行われたグレートアースみちのく岩手雫石銀河ライドだが、それでもこれだけ楽しめたのだから、来年晴れたときはどれほどの満足感なのか、想像は容易い。岩手県雫石町の心洗われる景色と魅力的なグルメ。私の心に思い出の一雫を残していった満足度の高いイベントであった。
text&photo:Kosuke.Kamata
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