2018/06/27(水) - 09:02
盛りだくさんの前夜祭から一夜明けた翌朝、今年初開催となる高知仁淀ブルーライドが幕を開けた。奇跡の清流が生み出す景色とグルメを存分に楽しむロングライドイベントへ出発だ。
実は、高知県は日本有数の多雨地域なんだという。そして、6月といえば梅雨入りの季節。でも、この日仁淀川の河川敷に集まったサイクリストを迎えてくれたのは視界いっぱいに広がる青い空と青い流れ。でも、大会開催日の少し前には、かなり激しい雨が降っていたようで、もっとも美しい源流域である「安居渓谷」へのルートがショートカットされることに。
前日に車で訪れた参加者の方に見せてもらった写真は、それはもう綺麗で「えぇ、めっちゃ残念ですね……」と思わず嘆いてしまうほど。「でもすごい激坂で、10%越えの坂がかなり続いてましたよ」と聞いた瞬間、「いやぁ、ほんと残念でしたねえ!見てみたかったなあ!」となぜか笑顔になってしまう。来年に期待ですね、未来の担当は頑張って!
鯉のぼりが青空に泳ぐ河原に敷かれた地元の小学生たちが書いてくれたと思しき歓迎横断幕を取り囲み、記念撮影。こういうのってうれしいですよねー、なんて皆さんと話していると、あっという間にスタート時間が迫ってくる。
身体を温めるグレイトアース恒例のラジオ体操を終え、始まったスタートセレモニーでは池田いの町長が登壇。なんと、最近ロードバイクを手に入れたとのことで「今日も皆さんと走りたかったのですが、町内一斉清掃があって……」と残念さがにじみ出る挨拶をいただいた。
そして、定刻通りスタートが切られることに。20人ほどの集団ごとにまとまってスタートしていく。会場から見えている仁淀橋を渡り、左岸側へと渡っていく。仁淀川の流れをまじかに見ることが出来るコース設定で、さっそく絶景に目を奪われつつ遡上開始だ。
透き通った水が緩やかに流れる仁淀川に心癒されつつ、上流へ向かって走っていく。この辺りは製紙が地場産業だったというのも納得だ。豊かな木をはぐくむ山、そして清冽な仁淀川の流れと、製紙に欠かせない要素が詰まっているのだから。
しばらく行くと、現れたのが「これぞ高知!」といった風情の沈下橋。仁淀川にある沈下橋では最下流に位置する「名越屋沈下橋」を渡って、右岸へ。アイコニックなポイントとあって、行く手には地元の新聞やケーブルテレビの取材人がレンズを向けている。私もその仲間に加わり、パシャリ。車と人が交錯した時のための退避場所が、なんだか空母の機銃台座みたいだなーとか、益体も無いことを考えつつ、更に先へ向かっていく。
第1エイドが設けられたのは屋形船仁淀川の発着場。こちらでは、抹茶とほうじ茶チョコレートでコーティングされた芋けんぴとフレッシュなトマト。このエイドがある日高町では、糖度が7を超えるあまーい「シュガートマト」が名産で、それを利用したオムライスが自慢のお店が軒を連ねる「オムライス街道」なんて町おこしも行っているのだとか。
ぷつっと皮がはじけると確かにトマトと思えない甘さを感じるシュガートマト。ぎっしり詰まった果肉で食べ応えも満点。思わず笑顔になってしまう。チョコがけ芋けんぴも、日高町限定の逸品。地元で栽培された茶葉を練り込んだチョコレートを高知名物芋けんぴと組み合わせているのだから、おいしくないはずがない。普段食べるとなると、ちょっとカロリーが気になりそうな組み合わせだけど、今日はたくさん走っているのだから何も気後れすることなく食べられるのも最高(笑)。
そんなエイドステーションを満喫し、再出発するとすぐに何やら人だかりができている建物が。仁淀川の流れを楽しみつつ濃厚なソフトクリームやフレンチトーストなどをいただける人気観光スポットの高知アイス売店だ。
スペシャル休憩ポイントとして、この高知アイス売店では、ゆずドリンクが振舞われていた。保存料や香料を一切使わない、まさに素材が持つ力を味わうことができる一杯で、甘くありつつも、後味すっきり。そろそろ暑くなってきた時間帯ということもありグイグイ一気に飲み干すことが出来る。
さて、ここからはもう一つの沈下橋へ向けて仁淀川を遡る。途中に少し細い箇所が2箇所現れ、そこは追い越し禁止区間となっている。長い竿を自在に操る鮎師たちが沢山立ちこむ仁淀川の流れの向こうに見えてきたのが、本日2つ目の浅尾沈下橋だ。
より上流に位置することもあり、長さも短くこじんまりとした印象。自然の中に溶け込むようにぽつねんと佇む沈下橋を渡っているとまるで川の上を飛んでいるかのよう。流れを近くに感じるのは手すりの無い沈下橋ならでは。一方で、この高さまで水面が上昇することもあるのかと思うと、自然の力強さを実感する。
浅尾沈下橋を渡ったら、しばらく来た道を引き返す。支流である小川川との分岐を曲がると、この日一番本格的な登りが始まった。大峠へのヒルクライムは約6kmで平均勾配4%ほどの登り。九十九折れなどは一切なく、ずっと先が見える直登系の峠だ。個人的好みでいうと、結構苦手系。勾配変化が分かりづらいので、あまり頑張りすぎないペーシングを心がけて登っていくと、トンネルの手前に2つ目のエイドステーション「ふれあいの里柳野」が見えてきた。
水車小屋が目印のこちらのエイドでは、なんと蕎麦がきが振舞われる。あまり馴染みのない方も多かったようで、初めて食べる!という人もちらほら。蕎麦粉をお湯で練っていただくというもので、もっとも初期の蕎麦の調理方法だったのが、このそばがきだ。ちなみに現代で一般的な蕎麦は、蕎麦切りという呼び方をされて区別されるんだとか。
つなぎなどを一切使わない100%蕎麦粉でいただくことになるので、素材の味がそのまま美味しさに直結する。練って練って、粘りが出てきたところでいただくと、蕎麦の香りが口いっぱいに広がっていく。消化にも良さそうな一方、腹持ちもある程度しっかりしていて、補給にはうってつけなのでは?と思ったり。
上流を目指して標高を上げてきたここまでの区間から、後半は海まで一気に下っていくことに。色んな表情を見せる仁淀川水系がたまらなく魅力的なライドレポートも、後半へと続きます。
text&photo:Naoki.YASUOKA
実は、高知県は日本有数の多雨地域なんだという。そして、6月といえば梅雨入りの季節。でも、この日仁淀川の河川敷に集まったサイクリストを迎えてくれたのは視界いっぱいに広がる青い空と青い流れ。でも、大会開催日の少し前には、かなり激しい雨が降っていたようで、もっとも美しい源流域である「安居渓谷」へのルートがショートカットされることに。
前日に車で訪れた参加者の方に見せてもらった写真は、それはもう綺麗で「えぇ、めっちゃ残念ですね……」と思わず嘆いてしまうほど。「でもすごい激坂で、10%越えの坂がかなり続いてましたよ」と聞いた瞬間、「いやぁ、ほんと残念でしたねえ!見てみたかったなあ!」となぜか笑顔になってしまう。来年に期待ですね、未来の担当は頑張って!
鯉のぼりが青空に泳ぐ河原に敷かれた地元の小学生たちが書いてくれたと思しき歓迎横断幕を取り囲み、記念撮影。こういうのってうれしいですよねー、なんて皆さんと話していると、あっという間にスタート時間が迫ってくる。
身体を温めるグレイトアース恒例のラジオ体操を終え、始まったスタートセレモニーでは池田いの町長が登壇。なんと、最近ロードバイクを手に入れたとのことで「今日も皆さんと走りたかったのですが、町内一斉清掃があって……」と残念さがにじみ出る挨拶をいただいた。
そして、定刻通りスタートが切られることに。20人ほどの集団ごとにまとまってスタートしていく。会場から見えている仁淀橋を渡り、左岸側へと渡っていく。仁淀川の流れをまじかに見ることが出来るコース設定で、さっそく絶景に目を奪われつつ遡上開始だ。
透き通った水が緩やかに流れる仁淀川に心癒されつつ、上流へ向かって走っていく。この辺りは製紙が地場産業だったというのも納得だ。豊かな木をはぐくむ山、そして清冽な仁淀川の流れと、製紙に欠かせない要素が詰まっているのだから。
しばらく行くと、現れたのが「これぞ高知!」といった風情の沈下橋。仁淀川にある沈下橋では最下流に位置する「名越屋沈下橋」を渡って、右岸へ。アイコニックなポイントとあって、行く手には地元の新聞やケーブルテレビの取材人がレンズを向けている。私もその仲間に加わり、パシャリ。車と人が交錯した時のための退避場所が、なんだか空母の機銃台座みたいだなーとか、益体も無いことを考えつつ、更に先へ向かっていく。
第1エイドが設けられたのは屋形船仁淀川の発着場。こちらでは、抹茶とほうじ茶チョコレートでコーティングされた芋けんぴとフレッシュなトマト。このエイドがある日高町では、糖度が7を超えるあまーい「シュガートマト」が名産で、それを利用したオムライスが自慢のお店が軒を連ねる「オムライス街道」なんて町おこしも行っているのだとか。
ぷつっと皮がはじけると確かにトマトと思えない甘さを感じるシュガートマト。ぎっしり詰まった果肉で食べ応えも満点。思わず笑顔になってしまう。チョコがけ芋けんぴも、日高町限定の逸品。地元で栽培された茶葉を練り込んだチョコレートを高知名物芋けんぴと組み合わせているのだから、おいしくないはずがない。普段食べるとなると、ちょっとカロリーが気になりそうな組み合わせだけど、今日はたくさん走っているのだから何も気後れすることなく食べられるのも最高(笑)。
そんなエイドステーションを満喫し、再出発するとすぐに何やら人だかりができている建物が。仁淀川の流れを楽しみつつ濃厚なソフトクリームやフレンチトーストなどをいただける人気観光スポットの高知アイス売店だ。
スペシャル休憩ポイントとして、この高知アイス売店では、ゆずドリンクが振舞われていた。保存料や香料を一切使わない、まさに素材が持つ力を味わうことができる一杯で、甘くありつつも、後味すっきり。そろそろ暑くなってきた時間帯ということもありグイグイ一気に飲み干すことが出来る。
さて、ここからはもう一つの沈下橋へ向けて仁淀川を遡る。途中に少し細い箇所が2箇所現れ、そこは追い越し禁止区間となっている。長い竿を自在に操る鮎師たちが沢山立ちこむ仁淀川の流れの向こうに見えてきたのが、本日2つ目の浅尾沈下橋だ。
より上流に位置することもあり、長さも短くこじんまりとした印象。自然の中に溶け込むようにぽつねんと佇む沈下橋を渡っているとまるで川の上を飛んでいるかのよう。流れを近くに感じるのは手すりの無い沈下橋ならでは。一方で、この高さまで水面が上昇することもあるのかと思うと、自然の力強さを実感する。
浅尾沈下橋を渡ったら、しばらく来た道を引き返す。支流である小川川との分岐を曲がると、この日一番本格的な登りが始まった。大峠へのヒルクライムは約6kmで平均勾配4%ほどの登り。九十九折れなどは一切なく、ずっと先が見える直登系の峠だ。個人的好みでいうと、結構苦手系。勾配変化が分かりづらいので、あまり頑張りすぎないペーシングを心がけて登っていくと、トンネルの手前に2つ目のエイドステーション「ふれあいの里柳野」が見えてきた。
水車小屋が目印のこちらのエイドでは、なんと蕎麦がきが振舞われる。あまり馴染みのない方も多かったようで、初めて食べる!という人もちらほら。蕎麦粉をお湯で練っていただくというもので、もっとも初期の蕎麦の調理方法だったのが、このそばがきだ。ちなみに現代で一般的な蕎麦は、蕎麦切りという呼び方をされて区別されるんだとか。
つなぎなどを一切使わない100%蕎麦粉でいただくことになるので、素材の味がそのまま美味しさに直結する。練って練って、粘りが出てきたところでいただくと、蕎麦の香りが口いっぱいに広がっていく。消化にも良さそうな一方、腹持ちもある程度しっかりしていて、補給にはうってつけなのでは?と思ったり。
上流を目指して標高を上げてきたここまでの区間から、後半は海まで一気に下っていくことに。色んな表情を見せる仁淀川水系がたまらなく魅力的なライドレポートも、後半へと続きます。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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