2018/05/26(土) - 08:51
4月に行われた桜のAACRに引き続き、5月20日(日)に開催された「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」をレポート。AACRならではのおもてなしと北アルプスの雄大な風景。桜の季節とは違った顔を見せる若葉が萌える安曇野の地を編集部カマタがライドしてきた。
日本人にとって始まりの季節とも言うべき4月が終わり、桜も散ってしまった5月20日(日)。やっと身体も眼も覚めてきたタイミングで行われたのが「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」。通称、緑のAACRである。昨年より参加者数の増加に対応するため、4月と5月の2ヶ月連続開催となったAACR。今大会はその5月大会ということで、2,000人を越えるサイクリストが長野県安曇野の地に集結した。
今大会ではスタート地点を2箇所に分散させるという新たな試みを実施。そもそも緑のAACRは160km、120km、80kmと、白馬駅までの80kmを走り、電車で帰るというサイクルトレインの4コースを用意している。その中でも160kmクラスとサイクルトレインは今まで通り長野県松本市にある梓水苑をスタート/フィニッシュ地点に。120km、80kmクラスは新たに設定された国営アルプスあづみの公園(堀金・穂高地区)をスタート/フィニッシュ地点としている。
まだ日も上がらない早朝4時。160kmクラスとサイクルトレインのスタート地点である梓水苑に到着。車のドアを開けると5月にしては少し冷たい空気が身体を包んでいく。今日の天気予報は曇。最高気温は20度に満たないという。おかしな話だが、1ヶ月前に開催された桜のAACRに取材に来たときは季節外れの高温ということで気温が30度まで上昇したのに比べると正反対の天候となってしまったようだ。それでも大会当日の3日前までは雨予報マークまでついていたので、かなり好転したと言える。
そんな天気もあり、参加者の皆さんは上下ウォーマーを装備しウインドブレーカーを着込みながらスタートラインに整列していく。あたりが少しづつ明るくなり始めるとそろそろ5時。スタートの時間である。大会MCアケさんのトークと、大会実行委員長兼プロデューサーである鈴木雷太さんの挨拶の中、緑のAACR開幕である。
今回はスペシャルデザインジャージと大会最速スタートがセットになったS組からスタート。桜のAACRと同様に5名程度が30秒おきに走り出すウェーブスタートだ。走り出すとやはり冷たい空気が頬を撫でる。空もどんよりとした曇天で、今にも泣き出しそうな雰囲気。だがそれもそれで、いつもより低い位置を滞空する雲が山々にかかる姿は幻想的というか、個人的に好きな光景である。
田園地帯と果樹園地帯を抜け、23kmほど走れば最初のエイドステーションに到着。ここで新設された120km、80kmクラスのスタートについても記しておこう。
120km、80kmクラスの新たなスタートとして設定されたのは国営アルプスあづみの公園(堀金・穂高地区)。エイドとしてもお馴染みの地点だが、スタート地点と駐車場は公園の「穂高口」にある。朝の到着時に異なる入り口のほうに着いてしまい、迂回を強いられた人が多く居たので来年参加したい人はこの点を留意しておこう。
こちらに集まった参加者たちの顔ぶれは、やはり160kmクラスとは少々違い、女性や初心者が目立つ。そして家族で一緒にチャレンジしようというキッズの姿も。組別に順次スタートして行くのも同様。すべての120km、80kmの人たちが出走し終える頃には快速の160kmクラスの人達が到着しだすという時間間隔だ。主催者の意図としては、スタート地点を分けることでコース上の参加者たちの密度を減らし、安全につなげたいという思いもあるようだ。
一方、160kmクラスのエイドステーションではAACR恒例となりつつあるコッペパンモーニングタイム。切れ込みが入れてある安曇野産の米粉を使ったシンプルなコッペパンに地元信州産のジャムをこれでもかと乗せて頂く。ジャムはスタンダードなストロベリー、マーマレード、ブルーベリーの他に、ルバーブと呼ばれる野菜のジャムを用意。聞き慣れない名前の食材だが、長野県ではたまに食卓に登場する野菜だという。
一般的にはピンクのルバーブが有名だそうだが、ここのルバーブは緑。味は色に反して酸味が特徴的なスッキリ系のジャムとなっており、これが結構美味しい。また、このエイドステーションではコッペパンの他に安曇野銘菓である湯多里饅頭も振る舞われる。しっかり甘い黒糖の生地に上品な舌触りのこしあんがベストマッチの味わいである。序盤のカロリー補給には最適のメニューだ。エイドでの補給を終えると、公園の出口を出たところにある120kmクラスのスタート地点のバルーンアーチの脇を通り抜けコースに復帰である。
エイドを出ると、空一面を覆っていた雲がいなくなり、青空が見え始めているではないか。むしろ。前日と今朝方に降った少量の雨が空気中の塵を洗い流してくれたのか、澄んだ空気だ。今日は1日曇りかと思っていたが、これは気持ちの良いライドになりそうである。参加者の人々も着込んでいたウインドブレーカーやら、ウォーマーやらを脱ぎ、次のエイドに向けて走る。
空が近く感じられるような開けた平野部の直線を進んでいくと、この辺りから冠雪した北アルプスの霊峰達が山間から顔を覗かせ始める。日本中どこにでもあるような田舎の風景と、どこか外国を感じさせるアルプス山脈とのアンバランスさが少し面白い。しかしまだまだAACRのハイライトはこの先。ここは堅実にペダルを回し先を急ぐ。
平野部から森の中に入っていくと第2エイドたる国営アルプスあづみの公園(大町・松川地区)の敷地内に入っていく。国営公園ということでしっかりと整備された園内。エイドがある場所までは木漏れ日が気持ち良いシングルトレイルのような林間路を通る。しばらく行けばエイドステーションだ。
ここではAACR恒例とも言うべきグルメ、漬物バイキングと味噌乗せ放題のおにぎりが頂ける。漬物は安曇野の新鮮な野菜を地元のおばあちゃん達が漬けたもので、たくさん食べても塩分過多にならないよう、漬物にしては薄めの味付け。野菜バイキングのようにいっぱい食べられる。
そして味噌おにぎりは3種類の味を用意。ノーマルな”伝説のネギ味噌”、それに青唐辛子を加えた”青とん味噌”、こしょうが効いた”辛こしょうの麹くん”の3種類である。どれもご飯が進む味で大人気。みなさんおにぎりにこれでもかと言うほど乗せて頬張っていた。更に今回は安曇野で取れた新鮮レタスもラインアップ。味付けは塩をかけただけというシンプルイズベスト。なのにこれがシャキシャキとみずみずしく美味しい。彩りで乗せられた花も食用ということで、野菜のように食べられる。これには大満足である。
エイドで腹ごしらえをしたら、信濃大町方面へ気持ちの良いダウンヒル。すっかり快晴になった青空と、田畑の緑が早くも初夏の雰囲気を醸し出し、晴れ晴れしい気持ちだ。そして時折見えるアルプス山脈も美しく、こりゃ絶好のサイクリング日和じゃないか。と気持ちも盛り上がる。
10kmほど走れば木崎湖の南端にある大町市平公民館の大町木崎湖エイドに到着。再びのグルメタイムである。ここでは長野県産地粉にこだわった冷麦と水ようかんが用意される。冷麦は赤だすき白馬製麺所の所長、飯森さん自ら茹でており、つるると喉越し良く頂ける。木崎湖畔にある西澤さん家のワラビも歯ごたえが面白い。塩っけのある物を食べた後は甘い物ということで、その後の水ようかんも堪らない美味しさであった。
そして唐突ではあるが、飯森さんも所属するという白馬商工会が主催する婚活サイクリングイベント「白馬コンサイクリング」が10月6日(土)に開催されるという。スポーツバイクと白馬の雄大な自然を通して、パートナーや仲間を見つけられるサイクルイベントとなっているそうだ。AACRの大会実行委員長兼プロデューサーである鈴木雷太さんがイベントをプロデュースしているこということで充実した内容になっていることだあろう。詳しくはFacebookをチェックして欲しい。
スタート地点の梓水苑からここまでで60kmほどの行程を走破。ジャムコッペに味噌おにぎり、漬物バイキングに冷麦ともはやグルメライドの様相を呈してきた緑のAACR。後半もいっぱい食べていっぱい走ろう。
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.Ayano Kosuke.Kamata
日本人にとって始まりの季節とも言うべき4月が終わり、桜も散ってしまった5月20日(日)。やっと身体も眼も覚めてきたタイミングで行われたのが「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」。通称、緑のAACRである。昨年より参加者数の増加に対応するため、4月と5月の2ヶ月連続開催となったAACR。今大会はその5月大会ということで、2,000人を越えるサイクリストが長野県安曇野の地に集結した。
今大会ではスタート地点を2箇所に分散させるという新たな試みを実施。そもそも緑のAACRは160km、120km、80kmと、白馬駅までの80kmを走り、電車で帰るというサイクルトレインの4コースを用意している。その中でも160kmクラスとサイクルトレインは今まで通り長野県松本市にある梓水苑をスタート/フィニッシュ地点に。120km、80kmクラスは新たに設定された国営アルプスあづみの公園(堀金・穂高地区)をスタート/フィニッシュ地点としている。
まだ日も上がらない早朝4時。160kmクラスとサイクルトレインのスタート地点である梓水苑に到着。車のドアを開けると5月にしては少し冷たい空気が身体を包んでいく。今日の天気予報は曇。最高気温は20度に満たないという。おかしな話だが、1ヶ月前に開催された桜のAACRに取材に来たときは季節外れの高温ということで気温が30度まで上昇したのに比べると正反対の天候となってしまったようだ。それでも大会当日の3日前までは雨予報マークまでついていたので、かなり好転したと言える。
そんな天気もあり、参加者の皆さんは上下ウォーマーを装備しウインドブレーカーを着込みながらスタートラインに整列していく。あたりが少しづつ明るくなり始めるとそろそろ5時。スタートの時間である。大会MCアケさんのトークと、大会実行委員長兼プロデューサーである鈴木雷太さんの挨拶の中、緑のAACR開幕である。
今回はスペシャルデザインジャージと大会最速スタートがセットになったS組からスタート。桜のAACRと同様に5名程度が30秒おきに走り出すウェーブスタートだ。走り出すとやはり冷たい空気が頬を撫でる。空もどんよりとした曇天で、今にも泣き出しそうな雰囲気。だがそれもそれで、いつもより低い位置を滞空する雲が山々にかかる姿は幻想的というか、個人的に好きな光景である。
田園地帯と果樹園地帯を抜け、23kmほど走れば最初のエイドステーションに到着。ここで新設された120km、80kmクラスのスタートについても記しておこう。
120km、80kmクラスの新たなスタートとして設定されたのは国営アルプスあづみの公園(堀金・穂高地区)。エイドとしてもお馴染みの地点だが、スタート地点と駐車場は公園の「穂高口」にある。朝の到着時に異なる入り口のほうに着いてしまい、迂回を強いられた人が多く居たので来年参加したい人はこの点を留意しておこう。
こちらに集まった参加者たちの顔ぶれは、やはり160kmクラスとは少々違い、女性や初心者が目立つ。そして家族で一緒にチャレンジしようというキッズの姿も。組別に順次スタートして行くのも同様。すべての120km、80kmの人たちが出走し終える頃には快速の160kmクラスの人達が到着しだすという時間間隔だ。主催者の意図としては、スタート地点を分けることでコース上の参加者たちの密度を減らし、安全につなげたいという思いもあるようだ。
一方、160kmクラスのエイドステーションではAACR恒例となりつつあるコッペパンモーニングタイム。切れ込みが入れてある安曇野産の米粉を使ったシンプルなコッペパンに地元信州産のジャムをこれでもかと乗せて頂く。ジャムはスタンダードなストロベリー、マーマレード、ブルーベリーの他に、ルバーブと呼ばれる野菜のジャムを用意。聞き慣れない名前の食材だが、長野県ではたまに食卓に登場する野菜だという。
一般的にはピンクのルバーブが有名だそうだが、ここのルバーブは緑。味は色に反して酸味が特徴的なスッキリ系のジャムとなっており、これが結構美味しい。また、このエイドステーションではコッペパンの他に安曇野銘菓である湯多里饅頭も振る舞われる。しっかり甘い黒糖の生地に上品な舌触りのこしあんがベストマッチの味わいである。序盤のカロリー補給には最適のメニューだ。エイドでの補給を終えると、公園の出口を出たところにある120kmクラスのスタート地点のバルーンアーチの脇を通り抜けコースに復帰である。
エイドを出ると、空一面を覆っていた雲がいなくなり、青空が見え始めているではないか。むしろ。前日と今朝方に降った少量の雨が空気中の塵を洗い流してくれたのか、澄んだ空気だ。今日は1日曇りかと思っていたが、これは気持ちの良いライドになりそうである。参加者の人々も着込んでいたウインドブレーカーやら、ウォーマーやらを脱ぎ、次のエイドに向けて走る。
空が近く感じられるような開けた平野部の直線を進んでいくと、この辺りから冠雪した北アルプスの霊峰達が山間から顔を覗かせ始める。日本中どこにでもあるような田舎の風景と、どこか外国を感じさせるアルプス山脈とのアンバランスさが少し面白い。しかしまだまだAACRのハイライトはこの先。ここは堅実にペダルを回し先を急ぐ。
平野部から森の中に入っていくと第2エイドたる国営アルプスあづみの公園(大町・松川地区)の敷地内に入っていく。国営公園ということでしっかりと整備された園内。エイドがある場所までは木漏れ日が気持ち良いシングルトレイルのような林間路を通る。しばらく行けばエイドステーションだ。
ここではAACR恒例とも言うべきグルメ、漬物バイキングと味噌乗せ放題のおにぎりが頂ける。漬物は安曇野の新鮮な野菜を地元のおばあちゃん達が漬けたもので、たくさん食べても塩分過多にならないよう、漬物にしては薄めの味付け。野菜バイキングのようにいっぱい食べられる。
そして味噌おにぎりは3種類の味を用意。ノーマルな”伝説のネギ味噌”、それに青唐辛子を加えた”青とん味噌”、こしょうが効いた”辛こしょうの麹くん”の3種類である。どれもご飯が進む味で大人気。みなさんおにぎりにこれでもかと言うほど乗せて頬張っていた。更に今回は安曇野で取れた新鮮レタスもラインアップ。味付けは塩をかけただけというシンプルイズベスト。なのにこれがシャキシャキとみずみずしく美味しい。彩りで乗せられた花も食用ということで、野菜のように食べられる。これには大満足である。
エイドで腹ごしらえをしたら、信濃大町方面へ気持ちの良いダウンヒル。すっかり快晴になった青空と、田畑の緑が早くも初夏の雰囲気を醸し出し、晴れ晴れしい気持ちだ。そして時折見えるアルプス山脈も美しく、こりゃ絶好のサイクリング日和じゃないか。と気持ちも盛り上がる。
10kmほど走れば木崎湖の南端にある大町市平公民館の大町木崎湖エイドに到着。再びのグルメタイムである。ここでは長野県産地粉にこだわった冷麦と水ようかんが用意される。冷麦は赤だすき白馬製麺所の所長、飯森さん自ら茹でており、つるると喉越し良く頂ける。木崎湖畔にある西澤さん家のワラビも歯ごたえが面白い。塩っけのある物を食べた後は甘い物ということで、その後の水ようかんも堪らない美味しさであった。
そして唐突ではあるが、飯森さんも所属するという白馬商工会が主催する婚活サイクリングイベント「白馬コンサイクリング」が10月6日(土)に開催されるという。スポーツバイクと白馬の雄大な自然を通して、パートナーや仲間を見つけられるサイクルイベントとなっているそうだ。AACRの大会実行委員長兼プロデューサーである鈴木雷太さんがイベントをプロデュースしているこということで充実した内容になっていることだあろう。詳しくはFacebookをチェックして欲しい。
スタート地点の梓水苑からここまでで60kmほどの行程を走破。ジャムコッペに味噌おにぎり、漬物バイキングに冷麦ともはやグルメライドの様相を呈してきた緑のAACR。後半もいっぱい食べていっぱい走ろう。
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.Ayano Kosuke.Kamata
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