88年ジロで残された伝説に着想を得たアパレルシリーズ　Rapha GAVIAコレクション

2018/05/07(月) - 09:09

イギリスのハイパフォーマンスサイクリングアパレルブランドのRapha。アンドリュー・ハンプステンが1988年のジロ、第14ステージ、ガヴィア峠で見せた印象的な走りにインスパイアを受けたGAVIAコレクションが発表された。

Rapha GAVIA RACE CAPE (c)rapha.cc

Rapha GAVIA JERSEY (c)rapha.cc

イタリアで最も有名と言っても過言ではない峠「ガヴィア」の名前を冠した特別限定アパレルコレクションがRaphaからリリースされた。ジロ・デ・イタリアのプロトンが通過する時まで雪が残っていたりと、春のレースにも関わらず冬の名残を感じられる場所だ。もちろんレースの展開が大きく動くのもガヴィアであり、ここが登場するステージは世界中のロードレースファンが注目する一日となる。

Raphaは1988年のジロ・第14ステージ、ガヴィア峠で起こった伝説から30年という節目を祝うために今回のGAVIAコレクションをリリースした。製品の説明に移る前に、そのエピソードを紹介しよう。主人公はアンドリュー・ハンプステンという米国人。この年は雪のためステージがキャンセルされるなど波乱が起こっていたが、ガヴィア峠を登る第14ステージは雪が舞う中決行された。

赤いジャケットを着込み、グローブでしっかりと防寒対策を行いレースに臨んでいたハンプステンは半袖ジャージで登る選手がいる中アタック。このステージは2位という結果だったが、ライバルたちを蹴落とすことに成功し総合首位に立った。そして、第14ステージで獲得したマリアローザを着用し続け、米国人として初めてジロ・デ・イタリアを制覇したのだ。

Rapha GAVIA RACE CAPE (c)rapha.cc

左腕にはスタート地点とフィニッシュ地点の地名が書かれている (c)rapha.cc

ANDYのYはセブンイレブンのロゴをアレンジしたもの (c)rapha.cc

Rapha GAVIA JERSEY (c)rapha.cc
Raphaはハンプステンのライドだけではなく、彼が勝利を得るためにジャケットなど準備を整えたことにもインスパイアを受けているという。そのため、GAVIAコレクションは、雪が舞うガヴィア峠を登るようなシチュエーションにピッタリなジャケットやウィンターハット、グローブなどが揃えられている。他にも半袖ジャージやビブショーツ、ベースレイヤー、ソックスが用意されており、充実のラインアップとなっている。

ジャケットのベースとなったのはRace Capeだ。防水性と通気性、ストレッチ性を備えたポーラテック製の高機能素材を、体のラインにピタリとフィットさせるレースカットで仕立てることで、レース強度で走行してもウェア内は蒸れにくい上、冷たい風雨から体を守ってくれるプロテクション性能を獲得した1着だ。

GAVIA RACE CAPEではハンプステンが当時着用していたものと同じ様に鮮やかな赤色で彩られる。左腕にはスタートとフィニッシュ地点の地名、右腕には第71回大会であったことを表す文字、胸には反射性素材でGAVIA '88というマークが入る。ANDY HAMPSTENと書かれた小さなワッペンの「Y」という文字は、当時所属していたチームのセブンイレブンのロゴをアレンジしたデザインとなっている。

Rapha GAVIA BASE LAYER (c)rapha.cc

Rapha GAVIA BIB SHORTS (c)rapha.cc

ハンプステンは第14ステージで赤いジャケットの上に青い複合賞ジャージを着用してレースに臨んでいた。それを元にGAVIAコレクションの半袖ジャージが作られた。当時は定番素材であったウールを現代の最新スポーツウールに置き換え、同じような質感を演出しながらも通気性などに優れた1着へと進化させている。

加えて、1/4ジッパーや胸のワッペンなど当時のジャージをイメージさせるデザインが採用されていることもポイントだ。勝利を記念するパッチや刺繍、起毛テクスチャーのグラフィックなども、袖やバックポケットにあしらわれている。

ベースレイヤーは第14ステージの翌朝に発売されたガゼッタ・デロ・スポルトの紙面が全体にプリントされていることが特徴だ。レースの写真やハンプステンの闘いを讃える見出しなど当時の様子を感じ取れるようになっている。また、ダウンヒル時に観客から受け取る新聞紙をジャージの下にいれるというロードレース文化を表したというエスプリが効いた1着だ。

Rapha GAVIA BIB SHORTS (c)rapha.cc

Rapha GAVIA BASE LAYER+BIB SHORTS (c)rapha.cc
ジャケットを着用したハンプステンだったが、ボトムスはなんとビブショーツを履いていたという。もし現代で選ぶならばWinter Tightsがベストな選択だが、Raphaはショートパンツで走りきったことにインスパイアを受け、Classic Bibshorts IIでGAVIAコレクションを作成した。ベースとなるショーツは言わずもがなRapha定番製品であり、快適にサイクリングを楽しむことができるボトムスだ。太もも部分はブラックカラーにガヴィアのロゴをあしらうシンプルなデザイン。肩ひも部分がベースレイヤーと同様、新聞紙のコラージュ柄となっている。

もし本当に雪が舞うシチュエーションで走るならばWinter Hatを着用したほうが良いだろう。前面とツバに防水素材を配置することで冷たい風雨から顔や頭を守ってくれる性能を獲得。後部は暖かなメリノウール素材で作られていることに加え、耳や首筋まで覆ってくれるデザインとされているため、寒さから身を守ってくれるはずだ。デザインは赤色のジャケットと青色の複合賞ジャージを合わせたようなツートンカラー。

Rapha GAVIA WINTER HAT (c)rapha.cc

Rapha GAVIA NEOPRENE GLOVES (c)rapha.cc

Rapha GAVIA SOCKS (c)rapha.cc

ハンプステンがガヴィア峠までの登りでのシフト操作、その後の下りで欠かせないブレーキ操作を行えたのは、ネオプレーン素材のグローブを着用していたから。Raphaにも手の甲側に3mm厚、平側に2mm厚のネオプレーンを使い、保温性と操作性の両立を実現しているモデルが用意されている。水の侵入を防ぐため、ブラインドステッチとした上で非水溶性の接着剤でシールしていることが特徴だ。デザインはシンプルにガヴィア88のロゴと、赤いジャケットとのマッチングが良い赤いラインがあしらわれるのみ。

ソックスはPro Team Socksをベースとした吸汗速乾性と耐久性、柔らかな肌触りを備えた1足。現代のプロトンでのソックス丈は長くなる一方であるが、ハンプステンはくるぶしのすぐ上までであるべきと強調しているという。そのハンプステンの意見を尊重し、今回の特別モデルではレギュラー丈のラインアップとなっていることが特徴だ。