2017/12/19(火) - 09:08
まさかの雨天ロングライド、心も体も満たされる充実のエイドステーション、新城幸也と並んで走るという貴重な機会を得たグレートアース石垣島。大満足の本番ライドの翌日には、のんびりと西表島を贅沢に遊び尽くすアフターライドが開催された。西表イチのロングビーチや水牛車、マングローブ観察クルージングを楽しんだ様子をお届けしましょう。(グレートアースのレポート VOL.1、VOL.2)
前日の曇天具合から一転、太陽の光が石垣島に降り注ぐ、清々しい気分となる朝だ。西表島ライド参加者の皆さんも爽やかに自転車を走らせ、西表島へ渡るフェリーに乗るため石垣港へやって来る。スタッフとナビゲーターの皆さんが元気な挨拶で迎えてくれるため、眠気で重い瞼もシャッキリと上がったのではないだろうか。
全員が石垣港に集まったところで、いよいよフェリーに自転車を載せ始める作業が開始される。ラックや何処かに固定するようなポイントもなく、40数台のロードバイクをどう載せるのかに一同、不安混じりの感情を抱きながらフェリー屋さんの作業を見守った。自転車同士を立て掛けロープで括るのかと想像していたが、船の左右にある窓枠のような所にベルトを通し、そこにハンドルバーを引っ掛けるという方法がとられていた。省スペースかつ自転車同士が擦れる心配も少ないラック方法に感心。
渡航準備が整ったところで西表島ライドのブリーフィングが行われ、走る場所や目的地などを確認。この日は仲間港に降り立ち、いくつかの観光スポットを巡った後に仲間港に戻って来るという約35kmのピストンルートを駆け抜ける。前日の1/3という距離ながら、要所要所で参加者全員で観光するポイントがあるため、走行ペースはのんびりで、グループでワイワイと楽しめるようになっている。
ひと通りサイクリング行程を確認したところで、フィットネスバイクのインストラクターも務める平野由香里さんがリーダーとなりストレッチ体操が行われる。ひとつひとつの動作で伸ばす筋肉を指導してくれるため、適確に体の準備を整えることができたはずだ。丁寧にストレッチを教えてくれる機会は貴重なだけに、早くも充実感を覚えてしまう。
フェリーの準備も完了したようだし、西表島に向かって出航だ!意気揚々に乗り込んだはいいものの、前日の疲れが抜けていなかったのか、波に揺られて気持ちよくなってしまったからか、すぐに眠りに落ちてしまう筆者なのであった。石垣港から仲間港までは約50分の船旅。テレビやインターネットの情報だけでは西表島は非常に遠い島と感じていたが、想像以上に近い。せっかく石垣島を訪れたならば足を伸ばしたい距離感だ。グレートアースのイベントとして運営されているため、渡航のハードルは低くなっているのではないだろうか。
西表島に上陸し、フェリーで通過してきた方角を眺めると、エメラルドグリーンの海と澄んだ青色の空が広がっている。これこれ!と納得してしまうほどの南国らしいロケーションに気分も上がる。身の回りの準備を整えたら、いよいよ西表島サイクリングが始まる。先頭は白戸太朗さん、最後尾には平野さんとナビゲーター、その後ろではサポートカーが帯同してくれているため、安心してサイクリングに集中することができる。
白戸さんを先頭とした集団がまず目指したのは、西表島最大のロングビーチである南風見田の浜。速すぎず遅すぎないペースで白戸さんが牽いてくれており、気持ちよくサイクリングを楽しめていると思ったのは僅かの間だけだった。平均斜度5%、距離900mの登り坂が集団を破壊する。この時「あれ?意外と脚が疲労している?」と気がついた方もいたのではないだろうか。私もその一人である。
しかし、前日では味わいきれなかったエメラルドグリーンの大海原を眺め大自然を感じると、足の疲労は何処吹く風。南国らしい暖かい気温もあり、11月半ばにも関わらず半袖、短パンで走ることができる解放感と多幸感に包まれながら丘の頂上にたどり着く。住宅地エリアを抜けると大人の背丈ほどあるサトウキビが育てられている畑や、映画ジュラシックパークに出てくるような草原(実際は畑)と山が現れ、アドベンチャー感が増してくる。
足を進めると鬱蒼とした森に景色は変化していき、ついには南風見田の浜に到着する前に自動車の転回場所が現れてしまう。通ることができそうな道は、踏みしめられているものの泥の箇所もあるダートロード1本のみ。どうやらこの先まで歩みを進めないといけないようだ。こうなったらワクワク感は最高潮に達してしまう。鬱蒼とした木々が頭上を覆うジャングルの中を突き進むと、陽の光で眩しい出口が近づいてくる。自然のトンネルを抜けると待っていたのは、180°視界が開けた大海原と白い砂浜。漫画や映画のような展開に思わず、おおおっと感嘆の声が漏れる。
目の前にサンゴが敷き詰められた浜と海、後ろを振り返るとすぐそばに山がそびえる様は、まるで未開拓の無人島のよう。そもそも西表島は海際しか開発がされておらず、山は手をかけていないという島であるため、大自然に囲まれるというのは当然のことである。しかし、人の手が加えられていない場所というのは非常に貴重な存在であり、それを目の当たりにしたら感動せざるを得ない。
この日訪れる南端部であったため記念撮影をして、グレートアース一行は次なる目的地・由布島(ゆぶしま)を目指し北上を開始する。行きは通り過ぎてしまった日本最南端のバス停でもフォトセッションを各参加者が行えるほど、この日のスケジュールは南国仕様。ちなみに西表島はバスに乗る人が少ないため、バス停以外でも手を挙げたら停車してくれるのだとかなんとか。運行スケジュールも南国仕様らしい。
気を取り直して自転車にまたがり目的地へ足を進め始めるが、想像以上に緩いアップダウンが数多く現れる。序盤は勢いでクリアして来たが、次第に前日の疲れが前面に出始めごまかしきれなくなってくる。速さを競うレースではないため、各々のペースでのサイクリングでいいのだ。最後尾には平野さんが付いていてくれるため、独りぼっちになってしまう心配もない。心強い限りだ。
「イリオモテヤマネコ注意!」という看板を見つけた後、しきりに周囲を見渡しヤマネコが居ないか探してみたり、マングローブが群生する湿地帯で記念撮影を行ったりして、のんびりと自転車を先に進めていく。陽が高くなると西表島は夏の陽気となり、ジリジリと肌が焼け始める。吹き出る汗が不快ながら、遠い過去となってしまった夏を感じられ懐かしさも込み上げてくる。気持ちよくダウンヒルを行ったところで、由布島へと渡る水牛車駅へと辿り着く。
砂州の方言「ユブ」が島名になっている通り由布島は、与那良川によって運ばれた砂が河口に堆積して形成された島であるため、西表島と由布島の間には元々の地形である浅瀬がそのまま残されているのだ。干潮時ならばピックアップトラックでも海を渡りきることができてしまうほど浅い。そこを伝統ある水牛車に乗り島へと渡るラグジュアリーなひと時を味わえるのが、この島を訪れる魅力でもある。
1台に10人以上の大人が水牛車に乗り込み、約15分という贅沢な時間が始まる。水牛の歩みと共にユサユサと揺れる車のリズムを体で感じ、西表島が徐々に離れていく様を眺めているとメランコリックな感情が芽生えてくる。船頭さんが哀愁ある音色の三味線を奏でてくれるものだから寂しさのような気持ちは加速。加えて、バックには西表島の山々がそびえ、その足元の海をノンビリと歩く水牛車の姿を眺めていると、都会で忘れたものを取り戻せる気がするのであった。
充実のひと時を過ごし由布島へと渡ると、西表島産の黒紫米ご飯や海ぶどう、ミミガーなど沖縄名物が詰め込まれた幕の内弁当が我々を待っていた。地元の味覚を堪能した後は、植物園となっている由布島内の散策タイムだ。ランチ後のデザートとしてジェラートを食べるのも良し、オオゴマダラのサナギを見に蝶々園へ足を運ぶのも良しだ。ハイビスカスやヤシの木など亜熱帯の植物に囲まれた園路を散歩するだけでも、見たことのない植物を発見できたりするため、全てを見て回ろうとすると膨大な時間が必要そうだ。
腹ごなしの散歩も済ませた我々が再び水牛車で西表島へ戻り、次なる目的地へと足を向けようとすると、空がみるみるうちに暗くなっていき、しまいには雨が降り出してきてしまった。幸い雲が流れてくる方向は光が差していたため、我々は本降りの雨雲が通り過ぎるのを待ち小雨になったところでライドを再開。
この日訪れる最北地点である由布島観光を終えたグレートアース一行は往路を引き返し、再び現れるアップダウンに脚を焼きながら黙々とペダルを踏み込む参加者たち。一度通過した道は何故か進むのが速く感じるもので、ゴール地点間際の仲間川まで一気に駆け抜ける。
仲間川はマングローブの群生地であり、面積と構成種類ともに日本最大規模とされており、国により保護地域に指定されている川である。人の手が加えられていない原始の風景を観察できる遊覧船やカヌー散策と言ったアクティビティも用意されているのだ。グレートアースでは遊覧船でのんびりとクルージングという予定。
ここで白戸太朗さんが石垣島へと戻らなければならない時間となってしまったため、一行と別れることに。白戸さんが一人一人と握手と一言を交わす姿を見ると、アフターライドがナビゲーターやスタッフ全員が一緒になって楽しんでいたという事を改めて感じさせられる。白戸さんからグレートアースは「大人の遠足」というワードが出るように、このイベントはライドと観光、交流を楽しめるものなのだろう。
岸に残った白戸さんに見送られ、我々は仲間川のクルーズへと出航する。船旅を楽しんでいる間は船頭さんが、サギやカワセミ、ミナミコメツキガニなど動物を次々と見つけては教えてくれ、仲間川流域に自生するマングローブの多様さを説明してくれる。クルーズ中は目では動物を、耳では船頭さんの言葉を追うため大忙し。
西表島では東部にしか自生していないマングローブ「マヤプシキ」や、板状の根が特徴的な「サキシマスオウノキ」など、非常に珍しい植物にも出会うことができる仲間川クルーズ。楽しい時間が過ぎ去るのは早いもので、あっという間に港へと戻ってきてしまう。グレートアースの西表島ライドもここでほぼ終了で、フェリーの出航時間までフリータイムとなった。
ビールを嗜む方やお土産を真剣に考える方など各々の楽しみ方で自由時間を過ごした後、再びフェリーに揺られること約50分。石垣島に戻ってきた我々は、ついにグレートアース石垣島の豪華な全プログラムを終えてしまった。アフターライドも完走証が手渡され西表島ライドグループは解散に。別れ際に自然と口から出てくる「また来年!」という言葉が、グレートアースの充実感を表していたはずだ。名残惜しい気持ちを押し殺し、暮れなずむ石垣の街に戻っていくのであった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
前日の曇天具合から一転、太陽の光が石垣島に降り注ぐ、清々しい気分となる朝だ。西表島ライド参加者の皆さんも爽やかに自転車を走らせ、西表島へ渡るフェリーに乗るため石垣港へやって来る。スタッフとナビゲーターの皆さんが元気な挨拶で迎えてくれるため、眠気で重い瞼もシャッキリと上がったのではないだろうか。
全員が石垣港に集まったところで、いよいよフェリーに自転車を載せ始める作業が開始される。ラックや何処かに固定するようなポイントもなく、40数台のロードバイクをどう載せるのかに一同、不安混じりの感情を抱きながらフェリー屋さんの作業を見守った。自転車同士を立て掛けロープで括るのかと想像していたが、船の左右にある窓枠のような所にベルトを通し、そこにハンドルバーを引っ掛けるという方法がとられていた。省スペースかつ自転車同士が擦れる心配も少ないラック方法に感心。
渡航準備が整ったところで西表島ライドのブリーフィングが行われ、走る場所や目的地などを確認。この日は仲間港に降り立ち、いくつかの観光スポットを巡った後に仲間港に戻って来るという約35kmのピストンルートを駆け抜ける。前日の1/3という距離ながら、要所要所で参加者全員で観光するポイントがあるため、走行ペースはのんびりで、グループでワイワイと楽しめるようになっている。
ひと通りサイクリング行程を確認したところで、フィットネスバイクのインストラクターも務める平野由香里さんがリーダーとなりストレッチ体操が行われる。ひとつひとつの動作で伸ばす筋肉を指導してくれるため、適確に体の準備を整えることができたはずだ。丁寧にストレッチを教えてくれる機会は貴重なだけに、早くも充実感を覚えてしまう。
フェリーの準備も完了したようだし、西表島に向かって出航だ!意気揚々に乗り込んだはいいものの、前日の疲れが抜けていなかったのか、波に揺られて気持ちよくなってしまったからか、すぐに眠りに落ちてしまう筆者なのであった。石垣港から仲間港までは約50分の船旅。テレビやインターネットの情報だけでは西表島は非常に遠い島と感じていたが、想像以上に近い。せっかく石垣島を訪れたならば足を伸ばしたい距離感だ。グレートアースのイベントとして運営されているため、渡航のハードルは低くなっているのではないだろうか。
西表島に上陸し、フェリーで通過してきた方角を眺めると、エメラルドグリーンの海と澄んだ青色の空が広がっている。これこれ!と納得してしまうほどの南国らしいロケーションに気分も上がる。身の回りの準備を整えたら、いよいよ西表島サイクリングが始まる。先頭は白戸太朗さん、最後尾には平野さんとナビゲーター、その後ろではサポートカーが帯同してくれているため、安心してサイクリングに集中することができる。
白戸さんを先頭とした集団がまず目指したのは、西表島最大のロングビーチである南風見田の浜。速すぎず遅すぎないペースで白戸さんが牽いてくれており、気持ちよくサイクリングを楽しめていると思ったのは僅かの間だけだった。平均斜度5%、距離900mの登り坂が集団を破壊する。この時「あれ?意外と脚が疲労している?」と気がついた方もいたのではないだろうか。私もその一人である。
しかし、前日では味わいきれなかったエメラルドグリーンの大海原を眺め大自然を感じると、足の疲労は何処吹く風。南国らしい暖かい気温もあり、11月半ばにも関わらず半袖、短パンで走ることができる解放感と多幸感に包まれながら丘の頂上にたどり着く。住宅地エリアを抜けると大人の背丈ほどあるサトウキビが育てられている畑や、映画ジュラシックパークに出てくるような草原(実際は畑)と山が現れ、アドベンチャー感が増してくる。
足を進めると鬱蒼とした森に景色は変化していき、ついには南風見田の浜に到着する前に自動車の転回場所が現れてしまう。通ることができそうな道は、踏みしめられているものの泥の箇所もあるダートロード1本のみ。どうやらこの先まで歩みを進めないといけないようだ。こうなったらワクワク感は最高潮に達してしまう。鬱蒼とした木々が頭上を覆うジャングルの中を突き進むと、陽の光で眩しい出口が近づいてくる。自然のトンネルを抜けると待っていたのは、180°視界が開けた大海原と白い砂浜。漫画や映画のような展開に思わず、おおおっと感嘆の声が漏れる。
目の前にサンゴが敷き詰められた浜と海、後ろを振り返るとすぐそばに山がそびえる様は、まるで未開拓の無人島のよう。そもそも西表島は海際しか開発がされておらず、山は手をかけていないという島であるため、大自然に囲まれるというのは当然のことである。しかし、人の手が加えられていない場所というのは非常に貴重な存在であり、それを目の当たりにしたら感動せざるを得ない。
この日訪れる南端部であったため記念撮影をして、グレートアース一行は次なる目的地・由布島(ゆぶしま)を目指し北上を開始する。行きは通り過ぎてしまった日本最南端のバス停でもフォトセッションを各参加者が行えるほど、この日のスケジュールは南国仕様。ちなみに西表島はバスに乗る人が少ないため、バス停以外でも手を挙げたら停車してくれるのだとかなんとか。運行スケジュールも南国仕様らしい。
気を取り直して自転車にまたがり目的地へ足を進め始めるが、想像以上に緩いアップダウンが数多く現れる。序盤は勢いでクリアして来たが、次第に前日の疲れが前面に出始めごまかしきれなくなってくる。速さを競うレースではないため、各々のペースでのサイクリングでいいのだ。最後尾には平野さんが付いていてくれるため、独りぼっちになってしまう心配もない。心強い限りだ。
「イリオモテヤマネコ注意!」という看板を見つけた後、しきりに周囲を見渡しヤマネコが居ないか探してみたり、マングローブが群生する湿地帯で記念撮影を行ったりして、のんびりと自転車を先に進めていく。陽が高くなると西表島は夏の陽気となり、ジリジリと肌が焼け始める。吹き出る汗が不快ながら、遠い過去となってしまった夏を感じられ懐かしさも込み上げてくる。気持ちよくダウンヒルを行ったところで、由布島へと渡る水牛車駅へと辿り着く。
砂州の方言「ユブ」が島名になっている通り由布島は、与那良川によって運ばれた砂が河口に堆積して形成された島であるため、西表島と由布島の間には元々の地形である浅瀬がそのまま残されているのだ。干潮時ならばピックアップトラックでも海を渡りきることができてしまうほど浅い。そこを伝統ある水牛車に乗り島へと渡るラグジュアリーなひと時を味わえるのが、この島を訪れる魅力でもある。
1台に10人以上の大人が水牛車に乗り込み、約15分という贅沢な時間が始まる。水牛の歩みと共にユサユサと揺れる車のリズムを体で感じ、西表島が徐々に離れていく様を眺めているとメランコリックな感情が芽生えてくる。船頭さんが哀愁ある音色の三味線を奏でてくれるものだから寂しさのような気持ちは加速。加えて、バックには西表島の山々がそびえ、その足元の海をノンビリと歩く水牛車の姿を眺めていると、都会で忘れたものを取り戻せる気がするのであった。
充実のひと時を過ごし由布島へと渡ると、西表島産の黒紫米ご飯や海ぶどう、ミミガーなど沖縄名物が詰め込まれた幕の内弁当が我々を待っていた。地元の味覚を堪能した後は、植物園となっている由布島内の散策タイムだ。ランチ後のデザートとしてジェラートを食べるのも良し、オオゴマダラのサナギを見に蝶々園へ足を運ぶのも良しだ。ハイビスカスやヤシの木など亜熱帯の植物に囲まれた園路を散歩するだけでも、見たことのない植物を発見できたりするため、全てを見て回ろうとすると膨大な時間が必要そうだ。
腹ごなしの散歩も済ませた我々が再び水牛車で西表島へ戻り、次なる目的地へと足を向けようとすると、空がみるみるうちに暗くなっていき、しまいには雨が降り出してきてしまった。幸い雲が流れてくる方向は光が差していたため、我々は本降りの雨雲が通り過ぎるのを待ち小雨になったところでライドを再開。
この日訪れる最北地点である由布島観光を終えたグレートアース一行は往路を引き返し、再び現れるアップダウンに脚を焼きながら黙々とペダルを踏み込む参加者たち。一度通過した道は何故か進むのが速く感じるもので、ゴール地点間際の仲間川まで一気に駆け抜ける。
仲間川はマングローブの群生地であり、面積と構成種類ともに日本最大規模とされており、国により保護地域に指定されている川である。人の手が加えられていない原始の風景を観察できる遊覧船やカヌー散策と言ったアクティビティも用意されているのだ。グレートアースでは遊覧船でのんびりとクルージングという予定。
ここで白戸太朗さんが石垣島へと戻らなければならない時間となってしまったため、一行と別れることに。白戸さんが一人一人と握手と一言を交わす姿を見ると、アフターライドがナビゲーターやスタッフ全員が一緒になって楽しんでいたという事を改めて感じさせられる。白戸さんからグレートアースは「大人の遠足」というワードが出るように、このイベントはライドと観光、交流を楽しめるものなのだろう。
岸に残った白戸さんに見送られ、我々は仲間川のクルーズへと出航する。船旅を楽しんでいる間は船頭さんが、サギやカワセミ、ミナミコメツキガニなど動物を次々と見つけては教えてくれ、仲間川流域に自生するマングローブの多様さを説明してくれる。クルーズ中は目では動物を、耳では船頭さんの言葉を追うため大忙し。
西表島では東部にしか自生していないマングローブ「マヤプシキ」や、板状の根が特徴的な「サキシマスオウノキ」など、非常に珍しい植物にも出会うことができる仲間川クルーズ。楽しい時間が過ぎ去るのは早いもので、あっという間に港へと戻ってきてしまう。グレートアースの西表島ライドもここでほぼ終了で、フェリーの出航時間までフリータイムとなった。
ビールを嗜む方やお土産を真剣に考える方など各々の楽しみ方で自由時間を過ごした後、再びフェリーに揺られること約50分。石垣島に戻ってきた我々は、ついにグレートアース石垣島の豪華な全プログラムを終えてしまった。アフターライドも完走証が手渡され西表島ライドグループは解散に。別れ際に自然と口から出てくる「また来年!」という言葉が、グレートアースの充実感を表していたはずだ。名残惜しい気持ちを押し殺し、暮れなずむ石垣の街に戻っていくのであった。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
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