2017/12/13(水) - 09:06
11月26日(日)、千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイにて開催されたセオサイクルフェスティバル(以下、セオフェス)。耐久レースや本格的なロードレース、多くの出展ブースに試乗など、1日中自転車を楽しめるお祭りイベントの様子をレポートしよう。
関東一円に店舗を展開するセオサイクル。黄色い看板を掲げるお店が近くにあるという方も多いのではないだろうか。一般車をメインに扱う店舗もあれば、いわゆるプロショップとしてスポーツバイクに特化した店舗もあり、チェーンでありながらも独自色が強いサイクルショップである。
そんなセオサイクルが年に一度、自転車の祭典として開催しているのが、このセオフェスだ。今年で12回目を迎える大会となっており、年々規模を拡大し続けているという。以前は下総運動公園にて開催されてきたが、手狭になってきたとのことで、数年前から開催地を袖ケ浦フォレストレースウェイへと変更し、より本格的なサーキットエンデューロとして発展を遂げた。
袖ケ浦フォレストレースウェイは圏央道木更津東ICから約10分と、首都圏からもアクアラインを使えば至近のアクセスで、忙しない年末が迫ったサイクリストたちにとっても嬉しい近場のレースとなっている。施設自体も新しく、清潔感のあるサーキットとして、ドライバーやライダーからも人気のコースに、多くの自転車乗りが集まった。
コースは全体的にフラットなレイアウトで、アップダウンは少なく勾配も緩やか。レース初参加という方や、脚に自信のないビギナーにとっても、集団で走る楽しさが味わいやすいコースレイアウトとなっている。1周2436mと短めなコースながらも6つのストレートと10個のコーナーで構成されており、トップ集団などハイスピードでの展開となれば、コーナーワークなども問われてくるテクニカルな一面も持っている。
7時半も過ぎてくるころになれば、ピットエリアにも続々と人が集まってくる。抜けるような青空の下で、着々と準備を進める皆さん。最高の自転車日和になりそうな予感に、行きかう人たちの表情も明るい。8時50分から始まる、4時間エンデューロのために、試走にも余念なくコース内はすでに参加者でいっぱいだ。
8時半ごろにはステージで開会式が行われる。選手宣誓などが行われたほか、ゲストライダーとして招聘されたブリヂストンアンカーのチームメンバーたちも挨拶し、大会の盛り上がりに花を添えた。コース上には、多くの参加者たちが整列を済ませており、スタートを今か今かと待ちわびている。
スタート待機列の前方にはマヴィックやシマノ、デローザやJCFのオフィシャルカーがズラリと並び、まるでプロレースの車列のような雰囲気を演出してくれる。ステージ挨拶を終えたゲストライダーたちが先頭に並べば、スタートはもう間もなくだ。
8時50分、定刻通りに4時間エンデューロの号砲が鳴る。オフィシャルカーが形成する車列の後ろで、最初の一周はローリングスタート。はやる心を抑え、また自分の脚力にあったポジションへと移るのに、貴重な時間となる。そして、ふたたびホームストレートに帰ってきたオフィシャルカーがコース外へ退避したら、いよいよ本格的なレースの始まりの合図。活きのいい選手たちがアタックを仕掛け、一気に集団のスピードがペースアップする様子は、何度見てもココロオドルもの。
昨年は、観測史上まれにみる降雪の名残で、コース上にウェットな部分があったものの、今年は完全にドライコンディション。これ以上ない走りやすい環境で周回を重ねていく参加者たちの一番の難敵となったのは、冬を感じさせる強風だった。一時、出展ブースのテントが浮き上がるほどの強風が、バックストレートを走る参加者たちに襲い掛かる。集団をうまく利用することで、大きくタイムを縮め、楽に走ることが出来るという経験を実感できたビギナーライダーも多かったのではないだろうか。
ピットエリアはちょうど風を受けない方向に壁が設置されており、ぬくぬくしながらチームメンバーの帰りを待つことが出来たよう。出走に備えてアップをする人もいれば、走り疲れてマッサージをチームメートにしてもらう人、さらには遊びまわる子供たちやペットなど、わいがやした活気で常に一杯のピットエリアの雰囲気は、人気エンデューロならではのもの。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、一人で走れば永遠に感じるだろう4時間も仲間の声援と一緒に走ればすぐに終わりを迎えてしまう。ピットクローズのアナウンスとともに、ピットウォールに詰めかけた皆さんの応援のテンションは最高潮に。「踏め踏め!」「食らいつけ―!」と??咤激励が飛び交う中、4時間の激闘は幕を下ろす。フィニッシュの様子も人それぞれで、最後までもがき切る人もいれば、ガッツポーズでフィニッシュする人、チームメートとともに喜びを分かち合いながらゴールへ飛び込む人など、皆さんの楽しみ方が反映されているよう。
メインレースである4時間エンデューロが終わったら、午後からは年齢や性別、脚力毎に分けられた個人ロードレース種目が始まる。活発な中高生たちから、華のある女性クラス、意気軒高なシニアクラスまで、それぞれの年代で速さを競い合うさまは、どれだけ歳をとっても自転車は楽しめるものなのだな、と気づかせてくれる。
フラットなコースなのでスプリントに持ち込まれるレースが多いかと予想されたが、強い風というコンディションもあいまってか、逃げが決まるレースもちらほら。それぞれの選手の思惑が交錯する、ロードレースの醍醐味を味わえる時間となっていた。
1日まるごと、レースを楽しめるタイムスケジュールが組まれているが、会場では走る以外にも自転車を楽しむことが出来るように、様々な企画も行われている。その中でも最も大きいのが、有力メーカーも多数出展する展示試乗会だろう。トレクやキャノンデール、スペシャライズド、デローザ、コルナゴ、ピナレロ、ビアンキ、ジャイアント、メリダなどなど、大きなブランドが軒を連ね、2018年モデルの最新バイクをズラリと並べた。
もちろん、気になるバイクをしっかりと試すことが出来るように、どのブースも試乗車を用意。しかも今年は駐車場内の試乗コースだけでなく、お昼時の時間帯にはサーキットの一部を試乗コースとして開放し、より実走感のある環境で最新バイクを試すことが出来るようになっていた。バイクの買い替えを考えている方は、この展示ブースエリアだけでも訪れる価値がありそうなほど。
またステージではブリヂストンアンカーの選手たちによるトークショーも開催された。普段の練習方法や、チームの裏話などいろいろな話題が飛び出し、充実したひと時に。最後には今シーズンで現役を引退する面手選手と西薗選手の両名を見送るセレモニーも行われ、餞となる花束が渡された。
そして、数多く行われてきたロードレース種目も、初級者クラスのフィニッシュで幕を閉じる。すべてのレースが終わったのは16時。気づけば陽も落ちようかというころあいで、一日中楽しんでいたことに気づかされる。走るもよし、応援するもよし、ブースを物色するもよし。どんな人も笑顔で自転車を楽しめる空間が袖ケ浦に広がった一日として、今年のセオフェスも大団円を迎えたのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
関東一円に店舗を展開するセオサイクル。黄色い看板を掲げるお店が近くにあるという方も多いのではないだろうか。一般車をメインに扱う店舗もあれば、いわゆるプロショップとしてスポーツバイクに特化した店舗もあり、チェーンでありながらも独自色が強いサイクルショップである。
そんなセオサイクルが年に一度、自転車の祭典として開催しているのが、このセオフェスだ。今年で12回目を迎える大会となっており、年々規模を拡大し続けているという。以前は下総運動公園にて開催されてきたが、手狭になってきたとのことで、数年前から開催地を袖ケ浦フォレストレースウェイへと変更し、より本格的なサーキットエンデューロとして発展を遂げた。
袖ケ浦フォレストレースウェイは圏央道木更津東ICから約10分と、首都圏からもアクアラインを使えば至近のアクセスで、忙しない年末が迫ったサイクリストたちにとっても嬉しい近場のレースとなっている。施設自体も新しく、清潔感のあるサーキットとして、ドライバーやライダーからも人気のコースに、多くの自転車乗りが集まった。
コースは全体的にフラットなレイアウトで、アップダウンは少なく勾配も緩やか。レース初参加という方や、脚に自信のないビギナーにとっても、集団で走る楽しさが味わいやすいコースレイアウトとなっている。1周2436mと短めなコースながらも6つのストレートと10個のコーナーで構成されており、トップ集団などハイスピードでの展開となれば、コーナーワークなども問われてくるテクニカルな一面も持っている。
7時半も過ぎてくるころになれば、ピットエリアにも続々と人が集まってくる。抜けるような青空の下で、着々と準備を進める皆さん。最高の自転車日和になりそうな予感に、行きかう人たちの表情も明るい。8時50分から始まる、4時間エンデューロのために、試走にも余念なくコース内はすでに参加者でいっぱいだ。
8時半ごろにはステージで開会式が行われる。選手宣誓などが行われたほか、ゲストライダーとして招聘されたブリヂストンアンカーのチームメンバーたちも挨拶し、大会の盛り上がりに花を添えた。コース上には、多くの参加者たちが整列を済ませており、スタートを今か今かと待ちわびている。
スタート待機列の前方にはマヴィックやシマノ、デローザやJCFのオフィシャルカーがズラリと並び、まるでプロレースの車列のような雰囲気を演出してくれる。ステージ挨拶を終えたゲストライダーたちが先頭に並べば、スタートはもう間もなくだ。
8時50分、定刻通りに4時間エンデューロの号砲が鳴る。オフィシャルカーが形成する車列の後ろで、最初の一周はローリングスタート。はやる心を抑え、また自分の脚力にあったポジションへと移るのに、貴重な時間となる。そして、ふたたびホームストレートに帰ってきたオフィシャルカーがコース外へ退避したら、いよいよ本格的なレースの始まりの合図。活きのいい選手たちがアタックを仕掛け、一気に集団のスピードがペースアップする様子は、何度見てもココロオドルもの。
昨年は、観測史上まれにみる降雪の名残で、コース上にウェットな部分があったものの、今年は完全にドライコンディション。これ以上ない走りやすい環境で周回を重ねていく参加者たちの一番の難敵となったのは、冬を感じさせる強風だった。一時、出展ブースのテントが浮き上がるほどの強風が、バックストレートを走る参加者たちに襲い掛かる。集団をうまく利用することで、大きくタイムを縮め、楽に走ることが出来るという経験を実感できたビギナーライダーも多かったのではないだろうか。
ピットエリアはちょうど風を受けない方向に壁が設置されており、ぬくぬくしながらチームメンバーの帰りを待つことが出来たよう。出走に備えてアップをする人もいれば、走り疲れてマッサージをチームメートにしてもらう人、さらには遊びまわる子供たちやペットなど、わいがやした活気で常に一杯のピットエリアの雰囲気は、人気エンデューロならではのもの。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、一人で走れば永遠に感じるだろう4時間も仲間の声援と一緒に走ればすぐに終わりを迎えてしまう。ピットクローズのアナウンスとともに、ピットウォールに詰めかけた皆さんの応援のテンションは最高潮に。「踏め踏め!」「食らいつけ―!」と??咤激励が飛び交う中、4時間の激闘は幕を下ろす。フィニッシュの様子も人それぞれで、最後までもがき切る人もいれば、ガッツポーズでフィニッシュする人、チームメートとともに喜びを分かち合いながらゴールへ飛び込む人など、皆さんの楽しみ方が反映されているよう。
メインレースである4時間エンデューロが終わったら、午後からは年齢や性別、脚力毎に分けられた個人ロードレース種目が始まる。活発な中高生たちから、華のある女性クラス、意気軒高なシニアクラスまで、それぞれの年代で速さを競い合うさまは、どれだけ歳をとっても自転車は楽しめるものなのだな、と気づかせてくれる。
フラットなコースなのでスプリントに持ち込まれるレースが多いかと予想されたが、強い風というコンディションもあいまってか、逃げが決まるレースもちらほら。それぞれの選手の思惑が交錯する、ロードレースの醍醐味を味わえる時間となっていた。
1日まるごと、レースを楽しめるタイムスケジュールが組まれているが、会場では走る以外にも自転車を楽しむことが出来るように、様々な企画も行われている。その中でも最も大きいのが、有力メーカーも多数出展する展示試乗会だろう。トレクやキャノンデール、スペシャライズド、デローザ、コルナゴ、ピナレロ、ビアンキ、ジャイアント、メリダなどなど、大きなブランドが軒を連ね、2018年モデルの最新バイクをズラリと並べた。
もちろん、気になるバイクをしっかりと試すことが出来るように、どのブースも試乗車を用意。しかも今年は駐車場内の試乗コースだけでなく、お昼時の時間帯にはサーキットの一部を試乗コースとして開放し、より実走感のある環境で最新バイクを試すことが出来るようになっていた。バイクの買い替えを考えている方は、この展示ブースエリアだけでも訪れる価値がありそうなほど。
またステージではブリヂストンアンカーの選手たちによるトークショーも開催された。普段の練習方法や、チームの裏話などいろいろな話題が飛び出し、充実したひと時に。最後には今シーズンで現役を引退する面手選手と西薗選手の両名を見送るセレモニーも行われ、餞となる花束が渡された。
そして、数多く行われてきたロードレース種目も、初級者クラスのフィニッシュで幕を閉じる。すべてのレースが終わったのは16時。気づけば陽も落ちようかというころあいで、一日中楽しんでいたことに気づかされる。走るもよし、応援するもよし、ブースを物色するもよし。どんな人も笑顔で自転車を楽しめる空間が袖ケ浦に広がった一日として、今年のセオフェスも大団円を迎えたのだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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