2017/10/07(土) - 08:41
9月24日にハワイ州最大の都市ホノルルで開催されたホノルルセンチュリーライド。毎年恒例となった東武トップツアーズのツアーに今年もシクロワイアード編集部が同行。まずは走り方直前講座とプラクティスライドが行われた大会前日編をお届け。
今年は連日天気に恵まれたホノルルセンチュリーライドツアー。青い海と青い空が眩しい
日本ではすでに秋の空気漂う9月下旬、初の海外取材に緊張もしつつ、私CW編集部員ムラタは、まだまだ常夏の気候が続くハワイ州はオアフ島・ホノルルに降り立った。もともと四季の中で一番夏が好きな私だが、この時期はツール・ド・フランスに始まりブエルタ・ア・エスパーニャまでグランツール関連の作業で編集部は大忙し。加えて各社新製品の展示会取材も毎日のようにあるなど、夏を感じる瞬間と言えばクーラーの効いた部屋でアイスを食べるくらいのもの。
青空のもといい汗をかいてサイクリングをしたかった、海に入ったりかき氷を食べたりしたかった。いや、ちょっと待てよ、この時期ならホノルルセンチュリーライドがあるじゃないか。ということで、過ぎゆく夏を追いかけ編集長・綾野とともにカメラマン&ライドサポート役として、東武トップツアーズのツアーへ私ムラタも同行させていただけることに。仕事ですからと言いつつも、人生初ハワイとなる今回の渡航に内心ニヤニヤが止まらなかったのは秘密である。
ホノルルに着いたらまずは大会の受付に向かおう
大会記念グッズも各種販売される
日本人向けの講座も開かれていた
大会記念ジャージを物色する絹代さん
成田から約7時間、到着したホノルル国際空港と言えば今年4月に”ダニエル・K・イノウエ国際空港”と名称を変更しており、日本人にもより馴染み深く親近感が湧いてくる。日本では最低気温が20度を下回り朝方は肌寒ささえ感じる中、ホノルルは最高気温が35度に達しようかという夏の陽気が残っており、真っ青な空に揺れるヤシの木などバカンス気分のロケーションに心も身体も開放的に。湿度が低くカラッと晴れているおかげで予想していたほど暑く感じず、日本とは違うなあとその差を早くも体感したのであった。
空港に着いた後は、梱包してある自転車やスーツケース等大きな荷物は現地のスタッフに預け、参加者の皆さんと一緒にバスでホテルまで直行。荷物は直接ホテルの自分の部屋まで運んでくれるため、余計な体力もかからず着いた初日からホノルルを満喫できるのだ。
まずはツアーの拠点となるワイキキビーチマリオットリゾート&スパに設けられたツアーデスクにて、日程等のミーティング。ここにはツアー期間中スタッフが常駐しており、トラブル等があってもすぐに相談できるようになっている。加えて千葉県のプロショップ「プロジェクトK」から栗田秀隆さんもメカニックとして帯同しており、輪行によるメカの不具合も即座に見てもらえるなど、滞在中は安心のサポートが受けられるのもこのツアーの大きな特徴である。
参加賞として記念Tシャツがもらえる
初日にやらなければいけないことと言えば、自転車を走れる状態に組み立てることと、大会の受付を済ます程度。飛行機の疲れを部屋でまったり癒やすのも良し、早くもショッピングに出かけるも良し、参加者の皆さんも各々自由な時間の過ごし方をされたことだろう。我々はといえばまずは腹ごしらえということで、このツアーには欠かせない今中大介さんと絹代さんペアと、昨年から引き続きサポートライダーとして参加の金田智行さんとともにパンケーキを食べることに。
絹代さんに案内されて着いたのは巨大パンケーキが頂けるというレストラン「MAC 24/7」。注文してからやや待ち時間を経て目の前に現れたのは自分の顔よりも大きなパンケーキ、しかも3枚重なって重さはなんと2.5kgもあるのだとか。見た目の迫力だけでなく味も絶品。仲間内で盛り上がること間違いなしなので、ホノルルに来る際はぜひチェックしてほしい。
顔よりも大きい巨大パンケーキをみんなでいただく
ハワイといったらパンケーキ。インスタ映えもばっちりでしょう
街中で見かけるポップなデザインの自転車止め
プロジェクトKの栗田さんがメカニックとして帯同し、機材トラブルに即座に対応してもらえる
そのまま歩いて受付会場まで行き、”アロハ~”と陽気に声をかけてくれる大会スタッフに迎えられゼッケン等を受け取る。受付も日本語でスムーズに行えるし、会場では日本人向けの講習会も行われるほどで、自分のように初ホノルルだとしても何の不安もなくいけるだろう。記念グッズやハワイをイメージした南国柄のジャージも販売されており、思い出として買って帰るのも良さそうだ。
その後別便で到着したサポートライダーの須田晋太郎さんと合流、一緒に軽く市内をライドするなどして時間を過ごした。程よく身体もほぐれ翌日からのライドイベントに向けて体調も万全。怒涛のツアー日程を乗り切るため今日は早めに寝るとしよう。
初参加でもこれなら安心、ホノルルセンチュリーライド直前走り方講座
今年も約40名ほどが参加した直前走り方講座。毎年盛況の企画だ
大会当日だけでなくその前後日にもイベントを企画しているのがこのツアーの醍醐味。その中で大会前日の朝一からは初中級者に向けた「走り方講座」が行われた。初の海外ライド、はたまた初の自転車イベント参加という人でもホノルルセンチュリーライドを完走する上で注意すべきことが、この講座で全て網羅できるほど丁寧に教えてくれるのだ。
ホテルから程近い、大会のスタートフィニッシュ地点でもあるカピオラニ公園に今年は40名ほどが集合。貴重な話が聞けるとあって毎年盛況な企画である。講師はもちろん今中大介さんと絹代さん。今中さんは元プロ選手として長距離を走る上での身体の使い方をレクチャー。疲れにくい漕ぎ方や安全な走り方を身振りを交えて教えてくれる。
対して健康管理士の資格を持つ絹代さんは、大会前日の食事内容から大会中の補給や水分の摂り方まで細かくアドバイス。お二人の和やかなトークに、初めて顔を合わせる参加者同士も次第に打ち解けていくようだった。
大会のスタートフィニッシュ地点でもあるカピオラニ公園に集合
今中さんと絹代さんが大会を無事完走するために必要なアドバイスをくれる
真剣に聞き入る参加者の皆さん
金田さんの掛け声でスタート前には準備運動も
1時間ほどお話を聞いた後には実際に道路へ出て試走タイムだ。約5kmほど先にあるカハラ地区のワイアラエビーチパークを目指す。短い距離だが次々と現れる南国の風景に参加者も心躍ったことだろう。かく言う私も初めて味わうホノルルの風景に心奪われ危うくカメラのシャッターを切り忘れるところであった、いけない仕事、仕事。
試走の上で最も重要なのが、日本との交通事情の違いを体験するところにあるだろう。そうホノルルは日本と違い車両が右側通行なのだ。普段とは真逆のレーンを走ることに違和感を覚えつつも、往復10kmの道のりを走れば感覚的にも慣れることができ、大会当日への不安も無くなる。
日本と違い車両は右側通行なのだ
眺めの良いポイントで記念撮影
おそろいのジャージとバイクがバッチリ決まったご夫婦
青い空にヤシの木が揺れる南国風景に気分も上がる
走っていて気づいたことが、追い抜きをしてくる車がかなり大きく避けてくれるということ。後ろから車が来ても怖い思いをするなんてことも皆無であった。ただ、大型の観光バスもよく通るのでその点はやや注意したいところ。また、ふとした時にいつもの感覚で左側を走ろうとしてしまうが、逆走になるのでこれも気をつけたい点である。
走り方講座を終えて時刻は10時過ぎ。ホテルに戻って着替えればお昼からもう半日遊べるスケジュールだ。我々はというと、カピオラニ公園の海沿いにあるベアフットビーチカフェにてブランチをいただく。私はハワイらしいカルーアポークのバーガーを、編集長はハワイ料理の定番アヒポキ丼をチョイスし、午後からのライドに向けてお腹を満たすのであった。
赤いパラソルと青い海のコントラストが美しいベアフットビーチカフェ
ハワイらしいカルーアポークのバーガーでブランチ
絶景のハナウマベイを堪能、海水浴も楽しんだプラクティスライドAコース
美しい自然と海が楽しめるハナウマベイまでライド
大会前日の午後は、翌日のロングライドに向けて身体に刺激を入れられるプラクティスライドがAとBの2コース設けられた。初中級者向けのAコースには私ムラタも同行。自然保護区にも指定されている絶景ビーチ、ハナウマベイを目指し出発した。島の東側へ向けて往復35kmほどで、翌日に疲れも残らない丁度よい距離設定だろう。
申し込みがあった参加者総勢30名という大所帯でのサイクリング。絹代さん始めサポートライダーの金田さん、須田さん、メカニック栗田さんも付いて走りサポートカーも出動するなど万全の体制だ。午前中に走り方講座を行ったカピオラニ公園に再び集まりコースの説明を聞いたらさあ出発。昨年も参加し道を把握している金田さんが先導かつ程よいペースで走ってくれるため、余計な心配もせず存分にホノルルの景色を楽しめたはず。
コースを説明するツアー添乗員の樋沢さん
マップでコースを確認する参加者のみなさん
郊外の住宅地を抜け、途中スーパーで水やオヤツを買い出しした後は大会本番でも走ることになるハイウェイへと入っていく。一気に道が3車線へと広がり車通りも激しくなるのだが、自転車が走る路肩も十分な広さが確保されており非常に快適に走れるのだ。
海岸線に沿って住宅も建ち並ぶため、その一本内側を走るハイウェイからは中々海が見えてこない。15kmほど走りようやく道が開けたところにある、マウナルアベイビーチパークにて全員揃ってひと休憩だ。ボートでのレジャーを楽しんだり、夕暮れ時には美しいサンセット風景も望めたりの海岸とあって広々とした景色が広がる。だが、本命はこの先。美しい海をバックに集合写真を撮ったら再び走り出す。
青々とした海を眺めながら走れる海岸線
マウナルアベイビーチパークにて一旦休憩
プラクティスライドAコースは約30名の参加者が集まった
ここからは約1kmほどの登りに。といっても皆さん元気いっぱいで、カメラを向ければしっかりポーズを取ってくれるためこちらとしてもありがたい限り。登り切ったら後はこのコースお待ちかねの目的地ハナウマベイまで下るだけ。
遠浅の海岸にサンゴ礁が広がり、南国を感じるトロピカルフィッシュが海岸からすぐそこで見られるとあって、シュノーケリングが大いに楽しめるのが特徴のこのビーチ。その美しい自然を守るため入場料を必要とし保護区として管理している。アメリカ全土のベストビーチNo.1にも選ばれるほどで、ホノルルを訪れた際は一度は行ってみたい場所であるだろう。
火山活動によってできた馬蹄形の入り江となっており、自然が織り成す独特の美しい風景に思わず感嘆の声が漏れてしまう。その環境保護のために、入場の際には注意事項をまとめたビデオの鑑賞が義務となっているほどだ。やや時間も押してしまい自由時間は1時間ほど。サポートカーに積んできた水着に着替え早速海を満喫するとしよう。
美しい湾の風景を背にハナウマベイへ向けて登りをこなす
上からの眺めは絶景。多くの人がカメラを構える
天気も良く最高の海日和に皆さん大はしゃぎ
やっぱり夏はこうでなくちゃと、砂浜を踏みしめる私。何せこのために数年ぶりに水着を新調したのだから。砂が付かないようカメラをバッグにしまってしまえば気にすることは何もない、後は思い切り海に飛び込むだけだ。水はやや冷たく感じたが、入ってしまえば気持ちの良いもの。ビーチではシュノーケルセットのレンタルもあるためせっかくなら利用すれば良かったと少々後悔。
水着を持ってこなかった参加者もバイクウェアで海水浴を楽しむ。天気が良いので帰り道で乾くに違いない。はたまた砂浜の日陰でまったり過ごす人も。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、最後は昨年に続いて参加者みんなでジャンプの写真をパシャリ(皆さん何回も飛んでいただきありがとうございます笑)。
絹代さんも絶賛、揚げたてが食べられるレナーズのマラサダ
日が傾き始めた頃合いも日中とはまた違った情景が楽しめる
帰りは来た道を戻るルート。遊び疲れて小腹が空いた一行はスーパーに寄って補給することに。その中でも敷地内のワゴンでお店を構えていたレナーズベーカリーに人が集まる。マラサダというハワイでは定番の揚げパンのようなドーナツのようなお菓子を販売する人気のお店だ。ホノルル市街に本店を構えており、そちらは観光客にも定番のスポットとなっている。
注文してから揚げたてを渡してくれるのだが、何度もホノルルを訪れこのマラサダをよく知っている絹代さんをもってしても「ここが今までで一番美味しいかも!」との感想。来年このコースに参加する人は要チェックかもしれない。
日が傾いてきて昼間とはまた違った情景に心奪われながら帰り道を行く。キレイな景色も堪能したし海にも入れたしと、ここで満足してはいけない、明日が本番なのだから。ツアーデスクまで戻り、明日に向けて機材を栗田さんに調整してもらう人もチラホラ。意外と日焼けのダメージが大きく疲れているなと感じつつ、ホテルのベッドの上でセルフマッサージ。明日は早起きなので、この辺でおやすみなさい(村田悠人)。
最後はみんなでジャンプ!
プラクティスライドB 絶景の海岸線からヌウアヌパリ峠でパノラマを楽しんだ70kmライド
「プラクティスライドB」は、大会日には通らない絶景の海岸線とヌウアヌパリ峠を越える冒険チックなライドだ。「上級者限定」とプランに銘打たれており、それなりの走行経験者でないと参加できないコースだ。
今中大介さんを先頭に抜けるような青い海のハワイカイからハナウマ湾へと登る
走ったのは8名。うちサポートとして今中大介さん、そして私・CW編集部の綾野が実走サポートにあたるため、実質6人が参加者だ(参加人数に対するサポートの手厚さ!笑)。そしてなんと4人が女性だ。
ルートの距離は約70km、峠の標高が約356m。ルート全体通してアップダウンがそれなりにあるので、センチュリーライドの前日にしては走りこむライドだ。
このプランは7年前に始まった。中〜上級者やリピーターさんの「もっといろんなハワイを走りたい」の声に応えて企画した。コースの概要をざっと紹介すると、ワイキキからハワイカイを経てハナウマ湾へ(ここまでAコースと同じ)、そしてマウイ随一の海岸線を走り、サンデービーチへ。マカプー岬を越えてワイナマロ〜カイルアへ。パリ・ハイウェーでコオラウ山脈のヌウアヌパリ峠を越えてワイキキへと戻るワンウェイ周回コースだ。
マカプー岬からうさぎ島と青い海を眺める
ハナウマ湾ピークからの海岸線は素晴らしい美しさ
実はこのツアー、参加した人が口々に「素晴らしい」と口にするほどのもの。というのも、ココクレーター、ハナウマベイ、ヌウアヌパリ展望台、そして鬱蒼としたジャングル道路など、日曜のセンチュリーライドでは通らない名所をめぐるツアーだからだ。ただし険しい箇所が多いため、天候や状況、そして参加したメンバーの脚をみながらアドリブでアレンジしての催行です。
昨年のセンチュリーライドはハナウマ湾から先の海岸線を走ったが、今年は再び「ハートブレイクヒル」に戻った。だが、じつはこのスキップする区間こそがオアフでもっとも美しい海岸線であることはあまり知られていない。
センチュリーライドでは通らないこの海岸線はオアフで一番美しい道だろう
ハワイカイからハナウマベイへ上り、下りながら走る海岸道路は、青い海と見渡す限りの断崖、そしてココクレーターの荒々しいコントラストが眩しい。皆が思わず歓声を上げ、ダイナミックな風景に息を飲む。この素晴らしい景色は本番じゃ味わえない。
海の眺めをたっぷり楽しみながら走る一行。サンディービーチパークの海岸線はサーファーたちで大賑わいだ。天気も良く、最高の発色の海を眺められた。
今中さんを撮るつもりが、ピントが.....
カイルアへと向かう海岸線から眺める海の発色の素晴らしさといったら!
曙関の出身地であるワイマナロでは小さなショッピングセンターに入ったロコ(ローカル)なスイーツショップに立ち寄るのが近年の定番だ。ここではシェイブアイス(かき氷)にアイスクリームにアサイーなど、冷たいスウィーツを楽しむ。安くて大盛り具合はすごい(笑)。
ワイマナロショッピングセンターのロコなアイスクリームショップ
シェイブアイス(かき氷)はなんともカラフルだ
パリ峠の麓のカイルアからヒルクライムのスタートだ。「パリ・ハイウェー」は東海岸と西海岸をつなく主要道なので交通量が多いが、今回の参加者は健脚揃いとあってヒルクライムに突き進んでいく。
ヌウアウパリ峠へと登る。今中さんがエスコートしてくれる
パリハイウェーのトンネルを越えるとピークだ
パリハイウェーの頂上にたどり着いて思わずバタンキュー
パリ峠の頂上からはコオラウ山脈の荒々しい山肌を眺め、遠くにセンチュリーライド100マイル折り返し地点の海岸線や、海に浮かぶチャイナマンズハットを眺めた。明日走るルートの大半は、このヌウアウパリ峠から俯瞰することができる。折り返し地点のスワンジービーチパークは遥か彼方だ。
帰路は豪快なダウンヒルでホノルルを目指す。このハイウェーの下りはちょっとスリリング。夕日の沈む前に赤く染まるワイキキビーチに到着。走りごたえたっぷりでした。
ヌウアウパリ峠の展望台からセンチュリーライドで走る海岸線を眺める
女性陣4人がヌウアウパリ峠でポーズを決める。ノリがいいですね(笑)
その日は早めの夕食を摂り、栄養補給。明日の大会は6時15分スタートだから4時すぎの起床ということで、大急ぎで明日の準備を整えて、ベッドに潜り込んだ。
このライドは「上級者限定」としているものの、距離と標高差でその難易度がイメージできる人なら大丈夫。「来年は前日からたっぷり走りたい!」という方の参加を今中大介さんと一緒にお待ちしています(綾野 真)。
ヌウアウパリ峠からの海と山脈のパノラマはなんともダイナミック
さぁ、明日はいよいよホノルルセンチュリーライド。天気予報も晴れで心配なし。いい一日になればいいな。
次編からいよいよホノルルセンチュリーライド当日編をお送りします。
東武トップツアーズ ホノルルセンチュリーライドツアーFacebookフォトアルバム
DAY1 大会前日 走り方講座&プラクティスライド
DAY2 大会当日 ホノルルセンチュリーライド&後夜祭
DAY3 大会翌日 タンタラスの丘モーニングライド&ノースショアライド
text&photo:Yuto.Murata,Makoto.AYANO
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青空のもといい汗をかいてサイクリングをしたかった、海に入ったりかき氷を食べたりしたかった。いや、ちょっと待てよ、この時期ならホノルルセンチュリーライドがあるじゃないか。ということで、過ぎゆく夏を追いかけ編集長・綾野とともにカメラマン&ライドサポート役として、東武トップツアーズのツアーへ私ムラタも同行させていただけることに。仕事ですからと言いつつも、人生初ハワイとなる今回の渡航に内心ニヤニヤが止まらなかったのは秘密である。
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空港に着いた後は、梱包してある自転車やスーツケース等大きな荷物は現地のスタッフに預け、参加者の皆さんと一緒にバスでホテルまで直行。荷物は直接ホテルの自分の部屋まで運んでくれるため、余計な体力もかからず着いた初日からホノルルを満喫できるのだ。
まずはツアーの拠点となるワイキキビーチマリオットリゾート&スパに設けられたツアーデスクにて、日程等のミーティング。ここにはツアー期間中スタッフが常駐しており、トラブル等があってもすぐに相談できるようになっている。加えて千葉県のプロショップ「プロジェクトK」から栗田秀隆さんもメカニックとして帯同しており、輪行によるメカの不具合も即座に見てもらえるなど、滞在中は安心のサポートが受けられるのもこのツアーの大きな特徴である。
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絹代さんに案内されて着いたのは巨大パンケーキが頂けるというレストラン「MAC 24/7」。注文してからやや待ち時間を経て目の前に現れたのは自分の顔よりも大きなパンケーキ、しかも3枚重なって重さはなんと2.5kgもあるのだとか。見た目の迫力だけでなく味も絶品。仲間内で盛り上がること間違いなしなので、ホノルルに来る際はぜひチェックしてほしい。
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その後別便で到着したサポートライダーの須田晋太郎さんと合流、一緒に軽く市内をライドするなどして時間を過ごした。程よく身体もほぐれ翌日からのライドイベントに向けて体調も万全。怒涛のツアー日程を乗り切るため今日は早めに寝るとしよう。
初参加でもこれなら安心、ホノルルセンチュリーライド直前走り方講座
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ホテルから程近い、大会のスタートフィニッシュ地点でもあるカピオラニ公園に今年は40名ほどが集合。貴重な話が聞けるとあって毎年盛況な企画である。講師はもちろん今中大介さんと絹代さん。今中さんは元プロ選手として長距離を走る上での身体の使い方をレクチャー。疲れにくい漕ぎ方や安全な走り方を身振りを交えて教えてくれる。
対して健康管理士の資格を持つ絹代さんは、大会前日の食事内容から大会中の補給や水分の摂り方まで細かくアドバイス。お二人の和やかなトークに、初めて顔を合わせる参加者同士も次第に打ち解けていくようだった。
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試走の上で最も重要なのが、日本との交通事情の違いを体験するところにあるだろう。そうホノルルは日本と違い車両が右側通行なのだ。普段とは真逆のレーンを走ることに違和感を覚えつつも、往復10kmの道のりを走れば感覚的にも慣れることができ、大会当日への不安も無くなる。
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走っていて気づいたことが、追い抜きをしてくる車がかなり大きく避けてくれるということ。後ろから車が来ても怖い思いをするなんてことも皆無であった。ただ、大型の観光バスもよく通るのでその点はやや注意したいところ。また、ふとした時にいつもの感覚で左側を走ろうとしてしまうが、逆走になるのでこれも気をつけたい点である。
走り方講座を終えて時刻は10時過ぎ。ホテルに戻って着替えればお昼からもう半日遊べるスケジュールだ。我々はというと、カピオラニ公園の海沿いにあるベアフットビーチカフェにてブランチをいただく。私はハワイらしいカルーアポークのバーガーを、編集長はハワイ料理の定番アヒポキ丼をチョイスし、午後からのライドに向けてお腹を満たすのであった。
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絶景のハナウマベイを堪能、海水浴も楽しんだプラクティスライドAコース
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大会前日の午後は、翌日のロングライドに向けて身体に刺激を入れられるプラクティスライドがAとBの2コース設けられた。初中級者向けのAコースには私ムラタも同行。自然保護区にも指定されている絶景ビーチ、ハナウマベイを目指し出発した。島の東側へ向けて往復35kmほどで、翌日に疲れも残らない丁度よい距離設定だろう。
申し込みがあった参加者総勢30名という大所帯でのサイクリング。絹代さん始めサポートライダーの金田さん、須田さん、メカニック栗田さんも付いて走りサポートカーも出動するなど万全の体制だ。午前中に走り方講座を行ったカピオラニ公園に再び集まりコースの説明を聞いたらさあ出発。昨年も参加し道を把握している金田さんが先導かつ程よいペースで走ってくれるため、余計な心配もせず存分にホノルルの景色を楽しめたはず。


郊外の住宅地を抜け、途中スーパーで水やオヤツを買い出しした後は大会本番でも走ることになるハイウェイへと入っていく。一気に道が3車線へと広がり車通りも激しくなるのだが、自転車が走る路肩も十分な広さが確保されており非常に快適に走れるのだ。
海岸線に沿って住宅も建ち並ぶため、その一本内側を走るハイウェイからは中々海が見えてこない。15kmほど走りようやく道が開けたところにある、マウナルアベイビーチパークにて全員揃ってひと休憩だ。ボートでのレジャーを楽しんだり、夕暮れ時には美しいサンセット風景も望めたりの海岸とあって広々とした景色が広がる。だが、本命はこの先。美しい海をバックに集合写真を撮ったら再び走り出す。



ここからは約1kmほどの登りに。といっても皆さん元気いっぱいで、カメラを向ければしっかりポーズを取ってくれるためこちらとしてもありがたい限り。登り切ったら後はこのコースお待ちかねの目的地ハナウマベイまで下るだけ。
遠浅の海岸にサンゴ礁が広がり、南国を感じるトロピカルフィッシュが海岸からすぐそこで見られるとあって、シュノーケリングが大いに楽しめるのが特徴のこのビーチ。その美しい自然を守るため入場料を必要とし保護区として管理している。アメリカ全土のベストビーチNo.1にも選ばれるほどで、ホノルルを訪れた際は一度は行ってみたい場所であるだろう。
火山活動によってできた馬蹄形の入り江となっており、自然が織り成す独特の美しい風景に思わず感嘆の声が漏れてしまう。その環境保護のために、入場の際には注意事項をまとめたビデオの鑑賞が義務となっているほどだ。やや時間も押してしまい自由時間は1時間ほど。サポートカーに積んできた水着に着替え早速海を満喫するとしよう。



やっぱり夏はこうでなくちゃと、砂浜を踏みしめる私。何せこのために数年ぶりに水着を新調したのだから。砂が付かないようカメラをバッグにしまってしまえば気にすることは何もない、後は思い切り海に飛び込むだけだ。水はやや冷たく感じたが、入ってしまえば気持ちの良いもの。ビーチではシュノーケルセットのレンタルもあるためせっかくなら利用すれば良かったと少々後悔。
水着を持ってこなかった参加者もバイクウェアで海水浴を楽しむ。天気が良いので帰り道で乾くに違いない。はたまた砂浜の日陰でまったり過ごす人も。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、最後は昨年に続いて参加者みんなでジャンプの写真をパシャリ(皆さん何回も飛んでいただきありがとうございます笑)。


帰りは来た道を戻るルート。遊び疲れて小腹が空いた一行はスーパーに寄って補給することに。その中でも敷地内のワゴンでお店を構えていたレナーズベーカリーに人が集まる。マラサダというハワイでは定番の揚げパンのようなドーナツのようなお菓子を販売する人気のお店だ。ホノルル市街に本店を構えており、そちらは観光客にも定番のスポットとなっている。
注文してから揚げたてを渡してくれるのだが、何度もホノルルを訪れこのマラサダをよく知っている絹代さんをもってしても「ここが今までで一番美味しいかも!」との感想。来年このコースに参加する人は要チェックかもしれない。
日が傾いてきて昼間とはまた違った情景に心奪われながら帰り道を行く。キレイな景色も堪能したし海にも入れたしと、ここで満足してはいけない、明日が本番なのだから。ツアーデスクまで戻り、明日に向けて機材を栗田さんに調整してもらう人もチラホラ。意外と日焼けのダメージが大きく疲れているなと感じつつ、ホテルのベッドの上でセルフマッサージ。明日は早起きなので、この辺でおやすみなさい(村田悠人)。

プラクティスライドB 絶景の海岸線からヌウアヌパリ峠でパノラマを楽しんだ70kmライド
「プラクティスライドB」は、大会日には通らない絶景の海岸線とヌウアヌパリ峠を越える冒険チックなライドだ。「上級者限定」とプランに銘打たれており、それなりの走行経験者でないと参加できないコースだ。

走ったのは8名。うちサポートとして今中大介さん、そして私・CW編集部の綾野が実走サポートにあたるため、実質6人が参加者だ(参加人数に対するサポートの手厚さ!笑)。そしてなんと4人が女性だ。
ルートの距離は約70km、峠の標高が約356m。ルート全体通してアップダウンがそれなりにあるので、センチュリーライドの前日にしては走りこむライドだ。
このプランは7年前に始まった。中〜上級者やリピーターさんの「もっといろんなハワイを走りたい」の声に応えて企画した。コースの概要をざっと紹介すると、ワイキキからハワイカイを経てハナウマ湾へ(ここまでAコースと同じ)、そしてマウイ随一の海岸線を走り、サンデービーチへ。マカプー岬を越えてワイナマロ〜カイルアへ。パリ・ハイウェーでコオラウ山脈のヌウアヌパリ峠を越えてワイキキへと戻るワンウェイ周回コースだ。


実はこのツアー、参加した人が口々に「素晴らしい」と口にするほどのもの。というのも、ココクレーター、ハナウマベイ、ヌウアヌパリ展望台、そして鬱蒼としたジャングル道路など、日曜のセンチュリーライドでは通らない名所をめぐるツアーだからだ。ただし険しい箇所が多いため、天候や状況、そして参加したメンバーの脚をみながらアドリブでアレンジしての催行です。
昨年のセンチュリーライドはハナウマ湾から先の海岸線を走ったが、今年は再び「ハートブレイクヒル」に戻った。だが、じつはこのスキップする区間こそがオアフでもっとも美しい海岸線であることはあまり知られていない。

ハワイカイからハナウマベイへ上り、下りながら走る海岸道路は、青い海と見渡す限りの断崖、そしてココクレーターの荒々しいコントラストが眩しい。皆が思わず歓声を上げ、ダイナミックな風景に息を飲む。この素晴らしい景色は本番じゃ味わえない。
海の眺めをたっぷり楽しみながら走る一行。サンディービーチパークの海岸線はサーファーたちで大賑わいだ。天気も良く、最高の発色の海を眺められた。


曙関の出身地であるワイマナロでは小さなショッピングセンターに入ったロコ(ローカル)なスイーツショップに立ち寄るのが近年の定番だ。ここではシェイブアイス(かき氷)にアイスクリームにアサイーなど、冷たいスウィーツを楽しむ。安くて大盛り具合はすごい(笑)。


パリ峠の麓のカイルアからヒルクライムのスタートだ。「パリ・ハイウェー」は東海岸と西海岸をつなく主要道なので交通量が多いが、今回の参加者は健脚揃いとあってヒルクライムに突き進んでいく。



パリ峠の頂上からはコオラウ山脈の荒々しい山肌を眺め、遠くにセンチュリーライド100マイル折り返し地点の海岸線や、海に浮かぶチャイナマンズハットを眺めた。明日走るルートの大半は、このヌウアウパリ峠から俯瞰することができる。折り返し地点のスワンジービーチパークは遥か彼方だ。
帰路は豪快なダウンヒルでホノルルを目指す。このハイウェーの下りはちょっとスリリング。夕日の沈む前に赤く染まるワイキキビーチに到着。走りごたえたっぷりでした。


その日は早めの夕食を摂り、栄養補給。明日の大会は6時15分スタートだから4時すぎの起床ということで、大急ぎで明日の準備を整えて、ベッドに潜り込んだ。
このライドは「上級者限定」としているものの、距離と標高差でその難易度がイメージできる人なら大丈夫。「来年は前日からたっぷり走りたい!」という方の参加を今中大介さんと一緒にお待ちしています(綾野 真)。

さぁ、明日はいよいよホノルルセンチュリーライド。天気予報も晴れで心配なし。いい一日になればいいな。
次編からいよいよホノルルセンチュリーライド当日編をお送りします。
東武トップツアーズ ホノルルセンチュリーライドツアーFacebookフォトアルバム
DAY1 大会前日 走り方講座&プラクティスライド
DAY2 大会当日 ホノルルセンチュリーライド&後夜祭
DAY3 大会翌日 タンタラスの丘モーニングライド&ノースショアライド
text&photo:Yuto.Murata,Makoto.AYANO
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