2017/08/07(月) - 09:07
世界一ゆるーいロングライドと名乗る「走ってみっぺ南会津2017」。ボリュームたっぷりの前夜祭を終えた明くる朝は、待ちに待った本イベント。でも、天気予報は雨だったはず……?(※前日のレポートはこちらから)
今年もたくさんの人が集まりました!走ってみっぺ南会津
正直に申し上げると、自分は結構晴れ男だと思っている。というのも、イベントの実走取材で雨に降られてしまったことがほとんど無いのだ。例えば、梅雨時期に開催されるMt.富士ヒルクライムも3年ほど前から取材に訪れるようになったが、雨は降っていない。2年前の美ヶ原も前日の雨予報を覆しての快晴になるなど、我がことながらその実績はかなりのもの。といっても、晴れ男ぶりが発揮されるのは取材だけで、プライベートで走るときは結構降られるのだけれど。
さて、そんな謎の自信を持っていた私だったが、3日前ほどにチェックした天気予報では、なんと走ってみっぺ南会津の大会当日は80%程度の降水確率と表示されているではないか。しかも前日も雨模様ということで、「ついに連勝記録もここでストップか……」と一気に弱気に……。
しかし、走ってみっぺ南会津の持っているパワーは、そんな不安はあっさりと吹き飛ばしてくれた。大盛り上がりだった大会前日の前夜祭が幕を下ろし、さてもう一度天気を確認するか、とスマホを見たらなんとそこにはお日様マークが!いつの間にそんな天気予報へ変わってしまったのだ、と驚きながらも一気に気分も晴れやかに。
続々と参加者が集まってくる
地元産の木を使ったスタンドが紹介された
お茶目な一面をのぞかせた畑中選手
こちらもお茶目な廣瀬GM
そんなわけで、迎えた大会当日。予報通りの晴れ模様の下、大会会場となるたかつえスキー場に続々と参加者が集まってくる。今年も参加人数は昨年と同じということだが、定員に達する速度はどんどん早くなっているとのこと。それでも参加人数を増やさないのは、「あまり人数を増やして、手が回らなくなってしまったら申し訳ないですから」と大会を手がける堀部さん。
何千人ものサイクリストが集めるイベントも非日常感があって楽しいものだけれど、個人的にはサイクリング自体を楽しむのであれば、もうすこし小さ目の規模のイベントが適していると思う。エイドステーションや信号で渋滞することも少ないし、地元の方々に与えるインパクトも少ないから車が抜いてくれるときも大きく避けてくれる(気がする)、そして何より人間味のある雰囲気が満ちている大会が多いと感じるのだ。まさに、走ってみっぺ南会津のことでもあるのだが、レポートを書く身としては、「もっと多くの人にこの大会の楽しさを味わってほしい!」という思いとの板挟みでもある。
サポートライダーを先頭にスタートしていきます
この大会の特長であるゆるーい雰囲気に満ちた開会式では、ブリッツェンやブラーゼンの選手らに加え、全日本チャンピオンの畑中選手も登壇し、挨拶をしてくれた。思わぬビッグゲストに、参加者もビックリするも、畑中選手の気さくな挨拶で会場の空気は一気に緩む。ちなみに少し斜めな立ち姿や話し方は「僕が2分半差を付けた、別府史之をオマージュしてみました」とお茶目な一面を披露してみたり。
そんな和やかな空気のなかでも、しっかりと走行上の注意などは忘れないのが、このイベントの良いところ。むしろついつい聞き入ってしまうトークの中で、ブリッツェンの廣瀬GMやサイクルライフナビゲーターの絹代さんから、様々な注意喚起が行われるので頭に入ってきやすいとすら感じてしまう。
開会式を無事に終えればいよいよお待ちかねのスタート。10人ごとのグループをサポートライダーやその場で選ばれた参加者たちが先導し、出発!そう、このコースは始まって直ぐに3kmほどの下りがあるので、グループごとにまとまって下っていくことになっている。
一気に高度を下げていく
サポートライダーがしっかりと安全管理してくれる
ここが運命の分かれ道だ
最初の登りへ向かってアプローチしていく
第1エイドの舘岩物産館で会津クッキーを頂きつつ水分補給を済ませる。ちなみにこのイベント、水やスポーツドリンクの他に、麦茶とコーラがキンキンに冷やされた状態でどのエイドにも出てくるのは、とても嬉しいポイントだ。ボトルに水を詰め込んで再出発すると、コースを示す分岐看板が視界に飛び込んでくる。
この大会には100㎞、60km、30kmの3種目が用意されているのだが、最長となる100kmコースには登りが一つ少ない特別コース、その名も「サボッてみっぺ南会津!」が実装されているのだ。ちなみに左折すると本来のコースで、直進するとサボってみっぺのコースへつながっている。しかし、なんて悪魔的な誘惑なのだろう、仕事でなければ直進していた。
温泉街を駆け抜ける
かなりきつい勾配も現れた
ピークの橋はかなり絶景
でも、左に曲がった先には美しいロケーションが広がっている、ここを曲がらない手は無い。鄙びた温泉地である湯ノ花温泉の街並みを楽しみつつ、その先を右折すれば今大会で初めての本格的な登りとなる唐沢峠の入り口だ。とはいえ、実質的な登り区間は2kmほどなので、フレッシュな脚であればそんなに手ごわい峠ではない。ピークに近づくにつれて徐々に勾配が厳しくなっていくので、登り口からペースを上げるのは禁物だ。
ピークのトンネルを越えた先には、ヒルクライムで消費した水分を補給するためのエイドが設置されている。補給を終えれば待っているのは爽快なダウンヒル。この100kmコースを走る人のみの特権を堪能し、再び国道352号線へ合流する。ここからは、サボってみっぺや60&30kmコースと共通の区間。伊南川の渓相を眺めながら、下り基調の道を快調に飛ばしていく。国道401号線との交差点付近に設けられた3つ目のエイドステーションでは、じゅうねん味噌が塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」とひんやりとした南郷トマトにアスパラガスが用意されている。
渓流をいくつも超えていく
エイドは大賑わい
南郷トマトが身体に沁みる
伊南川のせせらぎが心を癒してくれる
一路上流へと向かっていく
サッパリとした野菜でリフレッシュしたら、次に目指すのはこの大会の目玉でもある「マトン丼」が待っている屏風岩エイドステーション。川沿いの道を上流へと向けて走っていくわけだが、勾配は1%程度と緩いのでそこまでキツイわけではない。雪国らしいスノーシェッドをいくつかくぐっていくと、前方から風に乗って運ばれてくる香ばしい匂いが。
目で見るよりも、嗅覚に訴えてくるエイドステーションというのも、日本広しといえどここだけではないだろうか。陽も登ってきて気温も上がっている中で、鉄板を並べて次々にマトンがじゅーじゅー焼かれていく。ここで先にマトン丼を食べてしまうと、満腹感で仕事をする気が減退してしまうので、先に水辺の様子を取材に向かう。
屏風岩で記念撮影
マトンが焼ける匂いがまたたまらないんです
フェアリーたちもマトンに大満足
伊南川の透明な水と柱状節理の屏風岩が、互いを引き立たせるような絶景を一目見ようと、多くの参加者が水辺に降りている。ごうごうと音を立てて流れる渓流は見ているだけでも涼し気で、夏の暑さを和らげてくれる。記念撮影はもちろん、中にはウエアを濡らしている人などもおり、思い思いに楽しまれていた様子。
さて、それではお楽しみのマトン丼を頂こう、とエイドへと戻ると「ごめんなさい!」とおばちゃんたちが謝っている声が。もしや、マトンが無くなってしまった!?と思っていると、「ご飯が無くなってしまったんです!」とまさかのパターン。肉よりも先に米が尽きるとは、予想外であろう。というわけで心なしか大盛のマトン焼肉を頂いたが、個人的には糖質制限中だったので、むしろ願ったり叶ったり。
復路のライダーとすれ違う
お腹にたまる草餅
ブリッツェンのサポートライダートレインにお邪魔しました
噛み応えのあるマトンを頂き、イベントも後半戦へ。ここからは来た道を下っていくことになる。少し向かい風を受けつつも下り基調の道を快適に走っていく。夏の緑と伊南川の青が絶妙なコントラストを描く中を一路走っていく。川にはシーズンを迎えた鮎師たちが立ち込み、長い竿を手の様に自在に操っている。
蛇岩エイドステーションで美味しい草餅を頂いたら、川を対岸へと渡って再び上流を目指していく。ちょっとのんびりしすぎたためか、周りに参加者が少なくなってきたタイミングで、後ろからブリッツェンのトレインが!ここでペースを上げていけば少し楽が出来るはず、と何とか飛び乗るも、かなり生かさず殺さずのペースで一気に脚が削られてしまった。しかし、おかげ様で道の駅きらら289へたどり着く頃には参加者の密度も高い位置までリカバリーできたのはひとえに2人のおかげである。
豊かな田園地帯を行く
チャリオットを装着して走ってきた絹代さん
地元の材木を使ったスタンドがエイドに用意されていた
トマトソフトがおいしいんです
ここでおすすめなのが、道の駅のカフェで販売されている南郷トマトを使用したソフトクリーム。エイドのふるまいではないけれど、独特の酸味と甘みがまろやかに調和したほんのりピンクに色づいたソフトクリームは、ここまで走ってきた身体に沁み込んでいくよう。え、糖質制限中じゃないのって?走ったからいいかなって……。
ここまでくれば、残すエイドもあと一つ。最初に訪れた舘岩物産館が、最後のエイドにもなっている。山菜そばが用意されており、ラストスパートへと向けたエネルギーも準備完了。朝とはまた違った光に照らされた渓流に目を癒されながら上流へとひた走る。
再び川沿いをさかのぼっていきます
最後のエイドでは山菜そばをゲット
前沢集落の前を通り過ぎればもう少し
そして最後にして最大の難関となるのが、たかつえスキー場へのヒルクライムだ。朝、スタート直後に爽やかな下りであった道が、100kmを終えて疲れた脚の前に立ちはだかる。距離は約2.8km、平均勾配6.8%とかなり走り応えのある登りで、健脚派サイクリストでも10分以上はかかるはず。
ヒーヒー言いながら最後の壁を越えていく人もいれば、かなり良いペースで登っていく人もいる。押して歩く人もいるけれど、どうしても登れない人の救世主となるのが、頼りになるサポートライダーたち。女性や子供が優先だけれど、背中を押して一緒に登ってくれるのだ。グイグイ登って行ってしまうプロライダーのパワフルさを直接体感できる貴重な機会でもある。そういう意味でも少し羨ましい。
ラストの登りをこなします
絹代さんには全日本チャンプのアシストが
仲間でフィニッシュゲートへ向かいます
そうして最後の坂を登り終えれば、感動のフィニッシュ!メインMCの棚橋麻衣さんとレディオベリーレポーターのAZUSAさんがフィニッシュゲートでお出迎え。ゴール地点では完走証も発行され、100kmの記念をしっかりとカタチにした後は、お楽しみの抽選会が待っている。
前夜祭でも行われた抽選会だけれど、本大会とあって、そのボリュームもグレードアップ。豪華な景品に大盛り上がりの中、6年目の走ってみっぺ南会津は無事に幕を下ろすこととなった。その後は、隣接する会津アストリアホテルにある「白樺の湯」にて汗を流し、さっぱりすることもできる。なんと参加者はゼッケンを提示すれば無料で入浴できるのだ。
多くの方が残って抽選会に参加していました
フェアリーから賞品をもらう少年
こちらはウーロン茶をもらえたようです
グルメも良ければ景色も良し、コースも絶妙で初心者からベテランまで楽しめること間違いなし。そんな三拍子そろった走ってみっぺ南会津だけれど、一番の魅力は大会全体を包む「世界一ゆるーい」雰囲気。郷愁を掻き立てる南会津の景観と相まって、どこか故郷へ帰ってきたかのような安心できるイベントだ。きっと来年もここに帰ってきているのだろう。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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正直に申し上げると、自分は結構晴れ男だと思っている。というのも、イベントの実走取材で雨に降られてしまったことがほとんど無いのだ。例えば、梅雨時期に開催されるMt.富士ヒルクライムも3年ほど前から取材に訪れるようになったが、雨は降っていない。2年前の美ヶ原も前日の雨予報を覆しての快晴になるなど、我がことながらその実績はかなりのもの。といっても、晴れ男ぶりが発揮されるのは取材だけで、プライベートで走るときは結構降られるのだけれど。
さて、そんな謎の自信を持っていた私だったが、3日前ほどにチェックした天気予報では、なんと走ってみっぺ南会津の大会当日は80%程度の降水確率と表示されているではないか。しかも前日も雨模様ということで、「ついに連勝記録もここでストップか……」と一気に弱気に……。
しかし、走ってみっぺ南会津の持っているパワーは、そんな不安はあっさりと吹き飛ばしてくれた。大盛り上がりだった大会前日の前夜祭が幕を下ろし、さてもう一度天気を確認するか、とスマホを見たらなんとそこにはお日様マークが!いつの間にそんな天気予報へ変わってしまったのだ、と驚きながらも一気に気分も晴れやかに。
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そんなわけで、迎えた大会当日。予報通りの晴れ模様の下、大会会場となるたかつえスキー場に続々と参加者が集まってくる。今年も参加人数は昨年と同じということだが、定員に達する速度はどんどん早くなっているとのこと。それでも参加人数を増やさないのは、「あまり人数を増やして、手が回らなくなってしまったら申し訳ないですから」と大会を手がける堀部さん。
何千人ものサイクリストが集めるイベントも非日常感があって楽しいものだけれど、個人的にはサイクリング自体を楽しむのであれば、もうすこし小さ目の規模のイベントが適していると思う。エイドステーションや信号で渋滞することも少ないし、地元の方々に与えるインパクトも少ないから車が抜いてくれるときも大きく避けてくれる(気がする)、そして何より人間味のある雰囲気が満ちている大会が多いと感じるのだ。まさに、走ってみっぺ南会津のことでもあるのだが、レポートを書く身としては、「もっと多くの人にこの大会の楽しさを味わってほしい!」という思いとの板挟みでもある。
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そんな和やかな空気のなかでも、しっかりと走行上の注意などは忘れないのが、このイベントの良いところ。むしろついつい聞き入ってしまうトークの中で、ブリッツェンの廣瀬GMやサイクルライフナビゲーターの絹代さんから、様々な注意喚起が行われるので頭に入ってきやすいとすら感じてしまう。
開会式を無事に終えればいよいよお待ちかねのスタート。10人ごとのグループをサポートライダーやその場で選ばれた参加者たちが先導し、出発!そう、このコースは始まって直ぐに3kmほどの下りがあるので、グループごとにまとまって下っていくことになっている。
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この大会には100㎞、60km、30kmの3種目が用意されているのだが、最長となる100kmコースには登りが一つ少ない特別コース、その名も「サボッてみっぺ南会津!」が実装されているのだ。ちなみに左折すると本来のコースで、直進するとサボってみっぺのコースへつながっている。しかし、なんて悪魔的な誘惑なのだろう、仕事でなければ直進していた。
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ピークのトンネルを越えた先には、ヒルクライムで消費した水分を補給するためのエイドが設置されている。補給を終えれば待っているのは爽快なダウンヒル。この100kmコースを走る人のみの特権を堪能し、再び国道352号線へ合流する。ここからは、サボってみっぺや60&30kmコースと共通の区間。伊南川の渓相を眺めながら、下り基調の道を快調に飛ばしていく。国道401号線との交差点付近に設けられた3つ目のエイドステーションでは、じゅうねん味噌が塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」とひんやりとした南郷トマトにアスパラガスが用意されている。
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サッパリとした野菜でリフレッシュしたら、次に目指すのはこの大会の目玉でもある「マトン丼」が待っている屏風岩エイドステーション。川沿いの道を上流へと向けて走っていくわけだが、勾配は1%程度と緩いのでそこまでキツイわけではない。雪国らしいスノーシェッドをいくつかくぐっていくと、前方から風に乗って運ばれてくる香ばしい匂いが。
目で見るよりも、嗅覚に訴えてくるエイドステーションというのも、日本広しといえどここだけではないだろうか。陽も登ってきて気温も上がっている中で、鉄板を並べて次々にマトンがじゅーじゅー焼かれていく。ここで先にマトン丼を食べてしまうと、満腹感で仕事をする気が減退してしまうので、先に水辺の様子を取材に向かう。
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さて、それではお楽しみのマトン丼を頂こう、とエイドへと戻ると「ごめんなさい!」とおばちゃんたちが謝っている声が。もしや、マトンが無くなってしまった!?と思っていると、「ご飯が無くなってしまったんです!」とまさかのパターン。肉よりも先に米が尽きるとは、予想外であろう。というわけで心なしか大盛のマトン焼肉を頂いたが、個人的には糖質制限中だったので、むしろ願ったり叶ったり。
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蛇岩エイドステーションで美味しい草餅を頂いたら、川を対岸へと渡って再び上流を目指していく。ちょっとのんびりしすぎたためか、周りに参加者が少なくなってきたタイミングで、後ろからブリッツェンのトレインが!ここでペースを上げていけば少し楽が出来るはず、と何とか飛び乗るも、かなり生かさず殺さずのペースで一気に脚が削られてしまった。しかし、おかげ様で道の駅きらら289へたどり着く頃には参加者の密度も高い位置までリカバリーできたのはひとえに2人のおかげである。
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ここまでくれば、残すエイドもあと一つ。最初に訪れた舘岩物産館が、最後のエイドにもなっている。山菜そばが用意されており、ラストスパートへと向けたエネルギーも準備完了。朝とはまた違った光に照らされた渓流に目を癒されながら上流へとひた走る。
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そして最後にして最大の難関となるのが、たかつえスキー場へのヒルクライムだ。朝、スタート直後に爽やかな下りであった道が、100kmを終えて疲れた脚の前に立ちはだかる。距離は約2.8km、平均勾配6.8%とかなり走り応えのある登りで、健脚派サイクリストでも10分以上はかかるはず。
ヒーヒー言いながら最後の壁を越えていく人もいれば、かなり良いペースで登っていく人もいる。押して歩く人もいるけれど、どうしても登れない人の救世主となるのが、頼りになるサポートライダーたち。女性や子供が優先だけれど、背中を押して一緒に登ってくれるのだ。グイグイ登って行ってしまうプロライダーのパワフルさを直接体感できる貴重な機会でもある。そういう意味でも少し羨ましい。
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そうして最後の坂を登り終えれば、感動のフィニッシュ!メインMCの棚橋麻衣さんとレディオベリーレポーターのAZUSAさんがフィニッシュゲートでお出迎え。ゴール地点では完走証も発行され、100kmの記念をしっかりとカタチにした後は、お楽しみの抽選会が待っている。
前夜祭でも行われた抽選会だけれど、本大会とあって、そのボリュームもグレードアップ。豪華な景品に大盛り上がりの中、6年目の走ってみっぺ南会津は無事に幕を下ろすこととなった。その後は、隣接する会津アストリアホテルにある「白樺の湯」にて汗を流し、さっぱりすることもできる。なんと参加者はゼッケンを提示すれば無料で入浴できるのだ。
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グルメも良ければ景色も良し、コースも絶妙で初心者からベテランまで楽しめること間違いなし。そんな三拍子そろった走ってみっぺ南会津だけれど、一番の魅力は大会全体を包む「世界一ゆるーい」雰囲気。郷愁を掻き立てる南会津の景観と相まって、どこか故郷へ帰ってきたかのような安心できるイベントだ。きっと来年もここに帰ってきているのだろう。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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520 - 赤岩, THE - アリゾナ州 - 楕円形市外局番ステッカー
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