2009/12/25(金) - 10:02
12月だというのに、早朝から快晴で気温もかなり暖かい。昨日までの寒空から一変、おあつらえ向きの自転車日和になっている。こんな素晴らしい環境の中、残念なことにメタボ会長と合流すべく、本社を目指して自転車を走らせる。
「おぉ、おはよう!天気も良くて楽しい1日になりそうだな!」
いつも通りのメタボ会長の声が、早朝の駐車場に響き渡る。ゴルフ雑誌を小脇に挟み、右手にはホットの缶コーヒー。その緊張感の無い行楽気分全開の姿が、朝っぱらから私をガッカリさせてくれる。
クリスマスエディションだけにサンタさんで溢れています 「早く積んじゃえよ。俺の愛車もよろしくな!」
あ~ぁ、やっぱり誘わなきゃよかったよ(泣)。
憂鬱な気分とメタボ会長をお供に、会場となる昭和記念公園を目指す。助手席に目をやると、いつも通り缶コーヒー片手にゴルフ雑誌を読み耽るオヤジの姿があり、相も変わらず私を無性に腹立たせてくれる。
残り2人の編集部員とは現地集合の予定である。こんなことなら全員現地集合で!と言い出す勇気を持てない自分の立場が悲しくてならない。
「ここの所、珍しく仕事に追われちゃって全然自転車に乗れてないんだよな~。何かイベント取材ないの~?」
というメタボ会長の一言に仏心を抱いた私が、ファンライドさんにお願いしてTOKYOエンデューロ 2009 Xmas Editionの取材申請書に、メタボ会長の名前を追加したのが、ちょうど1週間前のことである。毎度のことながら自責と後悔の念にかられる私である。
会場駐車場に到着すると、既に参加者の皆さんで溢れている。皆さんそれぞれに、空気圧を確かめたり、変速機の調整をしたりと準備に余念がない。無事合流を果たした我々編集部もさっそく準備開始だ。
「会長、私達は準備と取材がありますから、あそこの喫煙所で一服してて下さい。」
邪魔者をいち早く遠方に追いやり、自分たちの作業に没頭する編集部員たち。メタボ会長の愛車にディスクホイールをセットする。新しいモノ好きな会長の習性を利用して、少しでもヤル気にさせようと云う私達の苦肉の策である。
ディスクホイールにご満悦のメタボ会長。ホイールの空気抵抗は小さくても巨体の空気抵抗が・・・
シクロワイアード号のペイントをして下さった渡辺塗装の皆さんとバッタリ遭遇
準備と取材にバタバタしていると、たちまちスタート時刻の到来だ。当のメタボ会長はスタート地点後方で行楽気分でスタンバッている。スタートのアナウンスと共に、500台を超える自転車が先頭より順次動き始める。
「じゃあ、行ってくるぞ!4時間くらいなら俺1人で事足りると思うけどな!」
まったくもって余裕シャクシャクでスタートしていくメタボ会長。だが、参加経験のある私達は「2周もてば上等だよ」と心の中で舌を出しながら、「お気をつけて!」と送り出すのであった。
スタート直後。慣れない集団走行にオロオロしながら走る
調子に乗ってガンガン追い上げ。「追い越しは右側から」
そう、この大会はのんびり走る事もできるが、トップ集団は50km/hあたりで巡航するほどレベルが高いのだ。負けず嫌いなメタボ会長が、バンバン抜かれても平気な顔で走っていられる訳がないのは想像に難くない。おそらく、あのオヤジは限界を超える巡行を強いられ、ヘロヘロになって弱音を吐きながら戻ってくるのは容易に想像がつく。
取材の撮影でカメラを構える私の前をメタボ会長が、普段の彼からはあり得ない程のハイペースで駆け抜けていく。案の定、その表情は苦痛に歪んでいるから愉快で仕方ない(笑)。
カメラを向けてもいつもの笑顔がない。かなりヘロヘロのようだ
「交代してくれ~」 心臓が止まる寸前ですか?いい気味である
あのペースは少なく見積もっても確実に40km/hオーバーなのは間違いない。メタボ会長には地獄のペースだ。
策略通りの展開に私の心は清々しく晴れ渡っていく。その後も撮影を続けていると
「なんなんだこのハイペースは?」 完全にグロッキーのメタボ会長 「次の周で交代だぞ~!」と赤鬼のような形相で苦しそうにメタボ会長が通過していく。相変わらずペースは落ちていない様子だ。
一旦撮影を中止して、ピットレーンでメタボ会長を待つ私達のもとに、ヘロヘロになりながらも、予想より遥かに早いタイムでメタボ会長が戻ってきた。時計を見るとスタートからまだ30分しか経過していない。
「会長、予定よりかなり早いんですけど、ちゃんと約束の4周走りましたよね?まさかズルしてないでしょうね?」
疑惑の眼差しで疑問をぶつける。
「いやいや参ったよ。走ってると色んな人が声かけてくれてさ。”メタボ頑張れよ~”とか”いつも連載読んでますよ~”とか”メタボ会長って思ってたより走れるんですね”とまで言われちゃうと、ノロノロ走ってられなくて、実力以上に頑張っちゃったよ。おかげで俺のか弱い心臓がビックリして止まる所だったぞ!しかし、なんなんだ、このハイペースは?」
疲れ切った身体に「人生の栄養剤?」を注入するメタボ会長 案の定の言葉に、笑いを堪えるのが精一杯の私達。選手交代を無事済ませると、
「俺、次のクールはパスね。タバコ吸ってくるからヨロシク!」 と滝のように流れる汗を拭っている。
メタボ会長のメーターをこっそりチェックしてみると、平均速度42km/h、最高速度に至っては56km/hを表示している。このペースで初心者オヤジがよく20kmも走ったもんだなと、妙に感心させられる。
そそくさと喫煙所の方に消えてゆくメタボ会長。足取りこそヨレヨレだが、その表情は充実感に溢れているのが誰の目にも明らかである。よっぽど楽しかったのだろう。タバコを吸い終わると、スポンサー出店ブース巡りを始める始末だ。
”バイシクル・トレーナーズ”さんのブースでは、体験マッサージをちゃっかりと味わっている。ただ、その姿はどう見ても車に轢かれた哀れなカエルそのものである。
すっかり、リフレッシュを果たしたメタボ会長は、その後もアチコチをウロつきながら、このイベントを堪能し尽くす。
バイシクル・トレーナーズ代表の大河原さん
マッサージに悲鳴を上げる。もっと強く激しくお願いします!!
体が丸すぎてストレッチポールから何度もズリ落ちる
ボランティアスタッフのお姉さんと。ただのエロオヤジ?
時折、「メタボ会長ですよね?」とか「生メタボ、見っけたぁ!」と、当サイトの読者の方から声を掛けられる。中には「お腹に触らせて下さい。」という熱心な女性読者もいて、私達編集部も思わず苦笑を浮かべる。
そんな読者さん達相手に「君たちも頑張れよ!俺は燃え尽きちゃったけどね。」 と楽しそうに話すメタボ会長の、社内では決してお目に掛かれないような輝く表情を見ていると、なんとも微笑ましい気分にもなる。
レースも残り40分となり、メタボ会長が再びコースに流れ込んでいく。先程のマッサージが効いたのか、楽しげな表情で相変わらずのハイペースで周回を重ねていく。招待選手を捕まえて一緒に走るその姿に至っては、心底幸せそうに見える。
メタボ会長の輝く笑顔を見ているとこちらまで幸せな気分になれる。これこそが自転車イベントの醍醐味なのだ(?)。
すっかり元気回復。調子に乗ってると危険ですよ
中島選手と共にゴールラインに飛び込んでくる
スタートから4時間が経過し、全員がゴールを迎える。最後はEQA梅丹本舗GDRの中島選手と並走しながら、輝く表情でゴールに飛び込むメタボ会長。
こうして彼の「取材に名を借りたレジャー」の時間も幕を下ろした。毎度の事ながら主催者の皆様、申し訳ございません。
表彰式の合間も有名人を見つけては、勝手に話しかけてはお喋りを楽しむメタボ会長。そのずーずーしさに、見ている私達が恥ずかしくなるのだが、取材で疲れ切った編集部にはこのオヤジを制する気力はもう残っていない。
新城選手と中島選手の素敵な人柄にゾッコンのメタボ会長
安原監督までお付き合い頂きまして、スミマセン
ファンライドのハシケンさんと。今日はありがとうございました
その腹に触れるとご利益がある? いいえ災いだけです
表彰式も終わり、帰り支度をこなす私にメタボ会長が声をかけてくる。
「今日はなかなか良い取材だったな!次回もヨロシク頼むぞ!」
って、アンタ!何か取材らしき事したっけ? と、心の中で叫ぶ元気もないほど疲弊している私は、黙々と帰り支度をこなすしかなかった。
ただ、今回のイベントしかり、何処でも誰とでも楽しげに喋りながら、自転車を満喫し、イベント自体を心底楽しむメタボ会長のデカイ背中を見ていると、「また連れてきてあげてもいいのかな?」と感じてしまう私がいるのも否定はできない事実だった。
次回ですか?
いい加減、大会主催者さんに断られると思いますよ。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
「ポイ捨てはダメだぞ!携帯灰皿を忘れずに。」 メタボ会長
身長 : 172cm
体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 7ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。
高校3年まで野球に明け暮れ、大学時代にオートバイのロードレースに夢中になり、卒業後メーカー系チームに所属し全日本選手権に3年間出場。鳴かず飛ばずで所属チームを解雇された後、平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となるが、その勤務実態や社内での立場は謎に包まれている。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。
「おぉ、おはよう!天気も良くて楽しい1日になりそうだな!」
いつも通りのメタボ会長の声が、早朝の駐車場に響き渡る。ゴルフ雑誌を小脇に挟み、右手にはホットの缶コーヒー。その緊張感の無い行楽気分全開の姿が、朝っぱらから私をガッカリさせてくれる。
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あ~ぁ、やっぱり誘わなきゃよかったよ(泣)。
憂鬱な気分とメタボ会長をお供に、会場となる昭和記念公園を目指す。助手席に目をやると、いつも通り缶コーヒー片手にゴルフ雑誌を読み耽るオヤジの姿があり、相も変わらず私を無性に腹立たせてくれる。
残り2人の編集部員とは現地集合の予定である。こんなことなら全員現地集合で!と言い出す勇気を持てない自分の立場が悲しくてならない。
「ここの所、珍しく仕事に追われちゃって全然自転車に乗れてないんだよな~。何かイベント取材ないの~?」
というメタボ会長の一言に仏心を抱いた私が、ファンライドさんにお願いしてTOKYOエンデューロ 2009 Xmas Editionの取材申請書に、メタボ会長の名前を追加したのが、ちょうど1週間前のことである。毎度のことながら自責と後悔の念にかられる私である。
会場駐車場に到着すると、既に参加者の皆さんで溢れている。皆さんそれぞれに、空気圧を確かめたり、変速機の調整をしたりと準備に余念がない。無事合流を果たした我々編集部もさっそく準備開始だ。
「会長、私達は準備と取材がありますから、あそこの喫煙所で一服してて下さい。」
邪魔者をいち早く遠方に追いやり、自分たちの作業に没頭する編集部員たち。メタボ会長の愛車にディスクホイールをセットする。新しいモノ好きな会長の習性を利用して、少しでもヤル気にさせようと云う私達の苦肉の策である。
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準備と取材にバタバタしていると、たちまちスタート時刻の到来だ。当のメタボ会長はスタート地点後方で行楽気分でスタンバッている。スタートのアナウンスと共に、500台を超える自転車が先頭より順次動き始める。
「じゃあ、行ってくるぞ!4時間くらいなら俺1人で事足りると思うけどな!」
まったくもって余裕シャクシャクでスタートしていくメタボ会長。だが、参加経験のある私達は「2周もてば上等だよ」と心の中で舌を出しながら、「お気をつけて!」と送り出すのであった。
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そう、この大会はのんびり走る事もできるが、トップ集団は50km/hあたりで巡航するほどレベルが高いのだ。負けず嫌いなメタボ会長が、バンバン抜かれても平気な顔で走っていられる訳がないのは想像に難くない。おそらく、あのオヤジは限界を超える巡行を強いられ、ヘロヘロになって弱音を吐きながら戻ってくるのは容易に想像がつく。
取材の撮影でカメラを構える私の前をメタボ会長が、普段の彼からはあり得ない程のハイペースで駆け抜けていく。案の定、その表情は苦痛に歪んでいるから愉快で仕方ない(笑)。
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策略通りの展開に私の心は清々しく晴れ渡っていく。その後も撮影を続けていると
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「会長、予定よりかなり早いんですけど、ちゃんと約束の4周走りましたよね?まさかズルしてないでしょうね?」
疑惑の眼差しで疑問をぶつける。
「いやいや参ったよ。走ってると色んな人が声かけてくれてさ。”メタボ頑張れよ~”とか”いつも連載読んでますよ~”とか”メタボ会長って思ってたより走れるんですね”とまで言われちゃうと、ノロノロ走ってられなくて、実力以上に頑張っちゃったよ。おかげで俺のか弱い心臓がビックリして止まる所だったぞ!しかし、なんなんだ、このハイペースは?」
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メタボ会長のメーターをこっそりチェックしてみると、平均速度42km/h、最高速度に至っては56km/hを表示している。このペースで初心者オヤジがよく20kmも走ったもんだなと、妙に感心させられる。
そそくさと喫煙所の方に消えてゆくメタボ会長。足取りこそヨレヨレだが、その表情は充実感に溢れているのが誰の目にも明らかである。よっぽど楽しかったのだろう。タバコを吸い終わると、スポンサー出店ブース巡りを始める始末だ。
”バイシクル・トレーナーズ”さんのブースでは、体験マッサージをちゃっかりと味わっている。ただ、その姿はどう見ても車に轢かれた哀れなカエルそのものである。
すっかり、リフレッシュを果たしたメタボ会長は、その後もアチコチをウロつきながら、このイベントを堪能し尽くす。
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時折、「メタボ会長ですよね?」とか「生メタボ、見っけたぁ!」と、当サイトの読者の方から声を掛けられる。中には「お腹に触らせて下さい。」という熱心な女性読者もいて、私達編集部も思わず苦笑を浮かべる。
そんな読者さん達相手に「君たちも頑張れよ!俺は燃え尽きちゃったけどね。」 と楽しそうに話すメタボ会長の、社内では決してお目に掛かれないような輝く表情を見ていると、なんとも微笑ましい気分にもなる。
レースも残り40分となり、メタボ会長が再びコースに流れ込んでいく。先程のマッサージが効いたのか、楽しげな表情で相変わらずのハイペースで周回を重ねていく。招待選手を捕まえて一緒に走るその姿に至っては、心底幸せそうに見える。
メタボ会長の輝く笑顔を見ているとこちらまで幸せな気分になれる。これこそが自転車イベントの醍醐味なのだ(?)。
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表彰式の合間も有名人を見つけては、勝手に話しかけてはお喋りを楽しむメタボ会長。そのずーずーしさに、見ている私達が恥ずかしくなるのだが、取材で疲れ切った編集部にはこのオヤジを制する気力はもう残っていない。
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って、アンタ!何か取材らしき事したっけ? と、心の中で叫ぶ元気もないほど疲弊している私は、黙々と帰り支度をこなすしかなかった。
ただ、今回のイベントしかり、何処でも誰とでも楽しげに喋りながら、自転車を満喫し、イベント自体を心底楽しむメタボ会長のデカイ背中を見ていると、「また連れてきてあげてもいいのかな?」と感じてしまう私がいるのも否定はできない事実だった。
次回ですか?
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メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
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身長 : 172cm
体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 7ヶ月目
当サイト運営法人の代表取締役。
高校3年まで野球に明け暮れ、大学時代にオートバイのロードレースに夢中になり、卒業後メーカー系チームに所属し全日本選手権に3年間出場。鳴かず飛ばずで所属チームを解雇された後、平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となるが、その勤務実態や社内での立場は謎に包まれている。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。