全てのはじまりは私、磯部の友人の香西真介さん(FIETS GROEN 日本ロボティクス)が、脱着を簡単にするためにズース(DZUS)を使った自作のゼッケンプレートホルダーをFacebookにアップしていたこと。
今まで特別意識したことはなかったけれど、そう言われてみれば、かつてマトリックスパワータグがタイヤのゴミ取り用チェーンを取り付けたホルダーを用意していたり、ライトの取り付け台座(と思われるもの)を流用していたチームも見かけたこともある。あれこれ考えているうちにトップチームのホルダー事情がとても気になってきたので、JBCF開幕戦である宇都宮クリテリウム&ロードレースで調査を行うことにしてみた。
しょっぱなから結論を申し上げると、なんと10のTOP-Pチーム中、5チームが自作のホルダーを運用しており、そのDIY率の高さに大変驚かされた。取材前は「面白いのがあればプロバイク記事に混ぜよう」程度だったのに、話を聞けば聞くほど各チームの指針やメカのこだわりが現れまくっており、もはやゼッケンプレートホルダーを巡る物語は、ある種の小宇宙を形作っているように思われた。非常にゆるいが、果たして自転車メディアにおいて前例の無いであろうこの企画、読者の方々の参考になれば幸いである。
「業界最軽量ホルダー」と宇都宮ブリッツェンの田村メカ
スクルトゥーラ用はDIY。「テーマは業界最軽量かつ簡単取り付けのホルダーです」
リアクト用はカーボンを使ったアティーク製。ナットが埋め込まれているのもポイント
サドルバッグが付かずに不評だったという第1世代 CW:というわけでやって参りましたJBCF開幕戦。国内レースでこれだけの観客が集まるのはジャパンカップかTOJ東京ステージくらいのもので、さすがブリッツェンを抱える宇都宮のパワーを感じますね。では早速、常に人だかりだできている宇都宮ブリッツェンの田村メカに話を聞いてみましょう。田村さーん、ゼッケンプレートホルダーってどうしてます?
田村メカ:うははは、最高な切り口です。うちはシートポスト形状が異なる2種類のバイクを運用しているのですが、どちらもそこに合わせたオリジナル品を使っていますよ。
CW:おお、早速出ましたね、自作。
田村メカ:メリダのバイクはリアブレーキがBB下についているので、ホルダーはシートポストに装着するタイプです。
CW:どちらもタイラップを使った非常にミニマルなデザインですね。凄い。
田村メカ:山場のステージで使うスクルトゥーラ用ホルダーは私の自作ですが、テーマは「業界最軽量かつ簡単取り付けのホルダー」。ホームセンターでアルミ板を買ってきて加工して、滑り止めにスポンジシートを貼り付けています。実はこれバージョン2で、以前はサドルのやぐらに挟み込むタイプ(写真参照)でしたが、練習の際にサドルバッグがつかないと不評で。選手たちは付け外ししている間にどっかに無くしてきちゃうし、それじゃあ絶対に無くさないものを作ったろう、ということで。
CW:リアクト用はシートポストの形に合わせたカーボン製なんですね。
田村メカ:これは2〜3年前に「サドル工房アティーク」さんが作ってくれたものです。これ、すごいのがナットが埋め込まれているので、両手を使わずに済むんですよ。カーボン製なのでかっこいいでしょ?
CW:むー、いきなり濃いお話を聞くことができました。素晴らしい。それではお隣にチームカーを並べていた那須ブラーゼンを直撃です。郡司メカ、ゼッケンプレートホルダーってどうなってます?
郡司メカ:うちも自作ですよ!JBCFのホルダーは正直言ってデカいし重いし使い勝手が悪い。固定ゼッケンのJBCFと違ってUCIレースは毎回ゼッケンが変わるので、渡されるプレートを加工する上でホルダーは自分が一番作業しやすい形にしていますね。落車しても壊れることがないので、これは3年目かな?
CW:プレート自体も加工するんですね。
「プレートの穴あけにもこだわっていますよ」と那須ブラーゼン郡司メカ
ギリギリまでプレートをバイクに寄せたいので自作しています。安いですし
コンパクトにカットされたゼッケンプレート
郡司メカ:大きいとバタつくしかっこ悪いじゃないですか。うちは番号ギリギリまでカットして、更に自転車にピタッとフィットさせるようにホルダーも小さくしています。もちろんスポンサーロゴは切らないこと。ここ注意ですね。基本はアルミ板を曲げているだけなのですが、1個あたりの単価は40円弱かな?市販品も人数分揃えると高価です。プレートのプラ材質もいろいろあって、あまり質が悪いとパンチングで割れたりしますし。穴の径ですか?4.5mm一択ですね。っていうか大丈夫ですかこれ?記事になるんですか?
CW:大丈夫です。全国の悩めるレーサーに方法を伝授する使命がありますから。ゼッケンプレートの穴の径は4.5mm一択、そしてDIYこそ安上がり。郡司メカからのありがたいお言葉でした。それじゃどんどん行きましょう。お次は吉田隼人選手がクリテリウムで優勝したマトリックスパワータグです。安原監督、ホルダーってど…
「ワシのは全日本チャンピオンカラーなんやで。見てみいやこれすごいやろ。」
全日本チャンピオンジャージと同じカラーリングのカーボン製ホルダー
土井選手のバイクに取り付けられたホルダー。こちらもナットが埋め込まれている
安原監督:ウチのか?ウチのはなぁ、何とカーボン製やで!見てみいやこれすごいやろ。かっこいいし軽いんやで。大阪の職人さんが作ってくれてるんやけどな、職人すぎて気まぐれでしか作ってくれへんのよ。そやから記事にしてくれたら喜んで足りてへん分を作ってくれると思うわ。
しかもワシのは全日本チャンピオンカラーなんやで。渡してくれた時には土井も佐野もおらんかったから、これ付けられる資格あんのはワシだけやろー!って付けてんねん。土井と佐野の分もスペシャルカラーで用意したりたいんやけどな。喜田さんよろしく頼むでホンマ。
CW:ありがとうございました。さすがマトリックス、ゼッケンプレートホルダーにも仁義がありません。そのうち土井選手と佐野選手のバイクにも全日本王者カラーのホルダーが付くか?注目していきたいところです。続いてはキナンサイクリングチームの加藤GMにお話を伺いましょう。
加藤GM:キナンはDIYじゃなくて既製品ですよ。これも意味があるんですけどね。
CW:ほほう。
Vol.2に続く
text&photo:So.Isobe
今まで特別意識したことはなかったけれど、そう言われてみれば、かつてマトリックスパワータグがタイヤのゴミ取り用チェーンを取り付けたホルダーを用意していたり、ライトの取り付け台座(と思われるもの)を流用していたチームも見かけたこともある。あれこれ考えているうちにトップチームのホルダー事情がとても気になってきたので、JBCF開幕戦である宇都宮クリテリウム&ロードレースで調査を行うことにしてみた。
しょっぱなから結論を申し上げると、なんと10のTOP-Pチーム中、5チームが自作のホルダーを運用しており、そのDIY率の高さに大変驚かされた。取材前は「面白いのがあればプロバイク記事に混ぜよう」程度だったのに、話を聞けば聞くほど各チームの指針やメカのこだわりが現れまくっており、もはやゼッケンプレートホルダーを巡る物語は、ある種の小宇宙を形作っているように思われた。非常にゆるいが、果たして自転車メディアにおいて前例の無いであろうこの企画、読者の方々の参考になれば幸いである。




田村メカ:うははは、最高な切り口です。うちはシートポスト形状が異なる2種類のバイクを運用しているのですが、どちらもそこに合わせたオリジナル品を使っていますよ。
CW:おお、早速出ましたね、自作。
田村メカ:メリダのバイクはリアブレーキがBB下についているので、ホルダーはシートポストに装着するタイプです。
CW:どちらもタイラップを使った非常にミニマルなデザインですね。凄い。
田村メカ:山場のステージで使うスクルトゥーラ用ホルダーは私の自作ですが、テーマは「業界最軽量かつ簡単取り付けのホルダー」。ホームセンターでアルミ板を買ってきて加工して、滑り止めにスポンジシートを貼り付けています。実はこれバージョン2で、以前はサドルのやぐらに挟み込むタイプ(写真参照)でしたが、練習の際にサドルバッグがつかないと不評で。選手たちは付け外ししている間にどっかに無くしてきちゃうし、それじゃあ絶対に無くさないものを作ったろう、ということで。
CW:リアクト用はシートポストの形に合わせたカーボン製なんですね。
田村メカ:これは2〜3年前に「サドル工房アティーク」さんが作ってくれたものです。これ、すごいのがナットが埋め込まれているので、両手を使わずに済むんですよ。カーボン製なのでかっこいいでしょ?
CW:むー、いきなり濃いお話を聞くことができました。素晴らしい。それではお隣にチームカーを並べていた那須ブラーゼンを直撃です。郡司メカ、ゼッケンプレートホルダーってどうなってます?
郡司メカ:うちも自作ですよ!JBCFのホルダーは正直言ってデカいし重いし使い勝手が悪い。固定ゼッケンのJBCFと違ってUCIレースは毎回ゼッケンが変わるので、渡されるプレートを加工する上でホルダーは自分が一番作業しやすい形にしていますね。落車しても壊れることがないので、これは3年目かな?
CW:プレート自体も加工するんですね。



郡司メカ:大きいとバタつくしかっこ悪いじゃないですか。うちは番号ギリギリまでカットして、更に自転車にピタッとフィットさせるようにホルダーも小さくしています。もちろんスポンサーロゴは切らないこと。ここ注意ですね。基本はアルミ板を曲げているだけなのですが、1個あたりの単価は40円弱かな?市販品も人数分揃えると高価です。プレートのプラ材質もいろいろあって、あまり質が悪いとパンチングで割れたりしますし。穴の径ですか?4.5mm一択ですね。っていうか大丈夫ですかこれ?記事になるんですか?
CW:大丈夫です。全国の悩めるレーサーに方法を伝授する使命がありますから。ゼッケンプレートの穴の径は4.5mm一択、そしてDIYこそ安上がり。郡司メカからのありがたいお言葉でした。それじゃどんどん行きましょう。お次は吉田隼人選手がクリテリウムで優勝したマトリックスパワータグです。安原監督、ホルダーってど…



安原監督:ウチのか?ウチのはなぁ、何とカーボン製やで!見てみいやこれすごいやろ。かっこいいし軽いんやで。大阪の職人さんが作ってくれてるんやけどな、職人すぎて気まぐれでしか作ってくれへんのよ。そやから記事にしてくれたら喜んで足りてへん分を作ってくれると思うわ。
しかもワシのは全日本チャンピオンカラーなんやで。渡してくれた時には土井も佐野もおらんかったから、これ付けられる資格あんのはワシだけやろー!って付けてんねん。土井と佐野の分もスペシャルカラーで用意したりたいんやけどな。喜田さんよろしく頼むでホンマ。
CW:ありがとうございました。さすがマトリックス、ゼッケンプレートホルダーにも仁義がありません。そのうち土井選手と佐野選手のバイクにも全日本王者カラーのホルダーが付くか?注目していきたいところです。続いてはキナンサイクリングチームの加藤GMにお話を伺いましょう。
加藤GM:キナンはDIYじゃなくて既製品ですよ。これも意味があるんですけどね。
CW:ほほう。
Vol.2に続く
text&photo:So.Isobe
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