2017/02/28(火) - 09:02
自転車と鉄道、二つを愛する「テツ店長」ことバイクプラス多摩センターの河井孝介さんの輪行サイクリング紀行。今回は復旧が決まった絶景ローカル線「只見線」へ1泊2日の旅行記が届きました。
みなさんこんにちは!鉄道と自転車を愛してやまないテツ店長です。最近はローカル線の廃止の話ばかりで、心を痛めることが多かった私ですが、昨年の12月に久方ぶりにうれしいニュースが入ってきました♪
と言うのは、2011年の豪雨水害で3本の橋梁が流失して、それ以来一部区間が不通となっていた日本屈指の絶景ローカル線"只見線"が、全線復旧の方向で動き出したとの報です。
そんなニュースが流れるより少し前の秋のこと、そんな只見線不通区間の現状視察?と、これまたちょっと前から気になっていた幻の国道を輪行で巡ってみよう、というのが今回の旅テーマなのです。
~2016年夏・日本一のもぐら駅探索で幻の国道と出会う~
さかのぼること半年前、青春18きっぷを使って行ってきたのが"日本一のモグラ駅"こと群馬県は谷川岳ふもとにある土合駅。地下深くに設けられたその駅は、何と486段の階段を上らないと地上に出られないという、文字通り日本一のモグラ駅なのですが、ここで下車して自転車を担いで階段上りに挑戦してみよう!というのがこの日の目的でした。
まあ輪行ですから当然駅を出てサイクリングに行くわけですが、この日走った国道291号がちょっと不思議な道だったのです。地図を見るとなぜか一直線に山に向かっていき、途中の"一の倉沢"で忽然と姿を消しているのです。興味が湧いてきてちょっと調べてみると、山を越えた新潟県側にも同じ国道291号があり、その昔ほんの一時だけつながっていたのだそう……。
そうなると、俄然反対側も見てみたくなるのが人情(ワタシだけ?)ということで、今回は消えた国道探索と、ながらく一部区間不通となっている、JR只見線を輪行で繋ぐ旅に出かけてきました。(この時のツーリングのレポートはこちらのブログより!)
10月のある日、青春18きっぷが使えないこの時期頼りになるのが、こちらの"秋の乗り放題パス"!3日間連続というのがタマにキズですが、秋のサイクリングシーズンにこれを使わない訳にはいきません。ということで、まだ夜も明けきらない早朝の八王子駅から輪行の旅はスタートします。今回はまた基本に立ち返ってのんびり鈍行列車の旅を楽しみながら行くことにしましょう!
八高線で高崎駅まで出ると、ホームで待っていたのはテツ店長が熱愛する国鉄型車両の115系電車でした!橙と緑で塗り分けられた湘南色の車両も今や貴重な存在。この先上越線の水上駅までこの車両のお世話になります。
乗客もまばらな車内で、高崎駅で買っておいた"上州の朝粥"を開きます。ちなみにこちらのお弁当、高崎駅で毎朝100食だけ販売されていて「幻の駅弁」とも言われている、そのスジではちょっと有名な駅弁なのですね!
かなり軽めの朝食になりましたが、これから旅先でいろいろ食べる予定もあるので、まずはお粥の優しい味わいを満喫することにしましょう!
水上駅で大好きな115系電車とはお別れして、隣のホームに待っていた真新しい電車に乗り換えると、列車は谷川岳を貫く新清水トンネルをくぐり抜けて一路新潟県へ。先日下車した"土合駅"にも停車しながら、トンネルを抜けてしばらく走ると、ようやく今回のサイクリングスタート地点"塩沢駅"に到着です。
ここからちょっと来た方向に戻りますが、"国道291号線・清水峠"をめざしてひた走ってゆきます。このあたり、魚沼産コシヒカリで有名な米作地帯でございまして、平野部には水田が広がっているのですが、この時期はもう刈り取りも終わって、すっかり静まりかえっておりました。
道中で見かける古い建物や看板、掘立小屋のようなバス停など、なんとも味わいのあるものが多くて、古いモノ好きのテツ店長的には飽きのこないコースなのでした(笑)
いよいよ山が近づいてくると、何やら意味深な青カンバンが見えてきました!このあたりからだんだん坂もキツくなってきたのですが、間もなくすると通行止の標識があらわれて、どうやらここから先は工事関係者以外は入って行けないようです。
この先が地図上では国道291号として、清水峠を越えて前回やってきた群馬県の"一ノ倉沢”まで続いているのか……。かつて国家的事業として一度は整備され、1885年にいったんは開通したものの、自然の力を前になすすべなく屈して、不通のまま100年以上の歳月を過ごしている不遇の国道というところに、なんだか歴史のロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか?
ちょうどゲートに管理人さんがいたので、記念に一枚写真を撮ってもらい、少し立ち話をましたが、こうやって廃道を探してやってくる物好きが時々いるそう。古いモノや廃なモノに魅かれる同類が他にも少しばかりはいるようです(笑)
いつか徒歩ででも踏破したいなぁ……、などと思いつつも、とりあえず第一の目的は果たしたので、Uターンして下山していくことにします。
今来た道をひたすら下って、次にやって来たのは六日町!ここは日本屈指の米どころ、ぜひ美味しいお米を食べてみたいということで、選んだのは"究極の親子丼"!魚沼産コシヒカリの新米と比内地鶏の卵と鶏肉が組み合わされて、これが美味しくないワケがありません!
ふだんお米の味など気にしたことが無いワタシでも歴然と分かるコメの甘味、そして鶏肉と鶏卵の甘味が合わさって、何とも幸せなお味で、正直これは再発見と言いますか、感動しちゃいましたね(笑)
腹ごしらえが終わったあとは、もう一つ国道291号で見ておきたい廃スポットめざして再スタートです!お米の名産地、魚沼地方を貫く魚野川の景色を楽しみながら川に沿って下ってゆき、明日乗車予定の只見線の線路を越えて、再び山間に入っていくと、日本一の手掘り隧道(トンネル)である"中山隧道"がようやく見えてきました。
さっそく隧道に入ってみると、内部は岩盤むき出しで、これぞ手掘り隧道の真髄と言った趣。全長は922mと歩いて通り抜けるにはけっこうな長さがあります。残念ながら現在は通り抜けることは出来ませんが、途中までは入って見学することができますので、隧道ファン?の方はここ必見ですね(笑)
ここのすごいところは、地元の方が1933年から1949年まで、足かけ16年をかけてツルハシを振るって掘り抜いたということ!途中戦争による中断もありましたが、それまでは峠を越えていく山道しかなく、しかも豪雪地帯ですので冬は遭難の危険もあったといいます。そんな状況を解決するため、何とか自力でトンネルを掘ってやろう!という昔の人の気力には本当に脱帽としか言いようがありませんね。
こうしてたっぷり走り回って一日目の予定は終了。翌日の行動に備えて只見線の始発駅である"小出駅"近くにこの日は宿泊です。
今回悩ましかったのが、何と言っても只見線の本数の少なさ(泣)。途中の不通区間を自転車でつなぐとして、両端の列車でスムーズに乗り継げるのは、7:58に小出駅を出発する始発列車しか無い!ということで、否応なしに小出に前泊することなったのでした。
翌朝はキリッとした秋晴れ!小出駅で自転車をたたんで、さっそく只見線のホームに向かうと、待っていたのはこれまた国鉄時代から走り続けるキハ40系気動車でした♪この"差し込み式の行先表示板"がなんともレトロで、テツにはたまらないアイテムだったりするのですね❤
エンジン音をうならせて駅を出発したディーゼルカーは、すぐに魚野川を渡って山に向かう線路を進んでいきます。車窓からの眺めは、これぞ日本の山村といった美しい景色で見ていて飽きることがありません!
だんだんと山深くなり、スノーシェルターが多くなってきましたが、ここに(個人的に)要注目のスポットがあるんです!カメラを構えて窓から前方を窺っていると、突然にプラットホームが現れました!!通過する列車からだと、ほんの一瞬の出来事で、ほとんどの方は気付かないかも知れませんが、これが2013年に廃止された田子倉駅の跡だったのでした。
秘境駅としてこれまた一部界隈では有名な存在で、いつか訪ねたいと思っていたらその前に廃止となってしまいました(泣)やっぱりどん欲に、行ける時に行っておかないとダメですね……。
などという思いに浸っていると、列車はまもなく終点の只見駅に到着しました。駅で自転車を組み立てていると、横から不通区間を結ぶ代行バスが出発していきました。こちらも後を追って出発しようと思いますが、その前に車内から見えて気になっていた転車台をチェックしてから行くことに。
この転車台は一応今でも現役だそうで、SL運行時にはここで折り返しのために蒸気機関車の向きを変えるために使われているそうです。全線復旧したあかつきには、ぜひまたSLにも走ってもらいたいですね!
そしてようやくスタートするも、只見線に沿うように敷かれた国道252号(沼田街道)を走っていると、線路が気になって仕方がありません。駅の標識が見えるとついつい立ち寄ってしまうので、全くもって各駅停車の旅です(苦笑)
また途中には流出した橋梁が無残な姿を晒してる場所もあって、それはそれは痛々しい光景なのでした。こんな廃線感いっぱいの景色で、再びここに列車がやってくる日が訪れるとは、正直このときは思いもよらなかったのですが、やはり希望を捨ててはいけませんね!
2020年度にも復旧する予定だそうですから、これから急ピッチで工事が始まることでしょう。そんな約30kmの視察(?)サイクリングでしたが、道中はクルマも少なく、田園風景も素敵なサイクリングコースでした。全線開通したあかつきには、車窓からもう一度この景色を眺めてみたいですね!
このあと会津川口駅からふたたび只見線上の人となります。会津川口発、会津若松行きの古いキハ40系気動車に乗り、列車が走り始めるとさっそく素晴らしい景色が目に飛び込んできました!カメラを向けてシャッターを押すと、自動的に美しい景色が記録されているというミラクルワールドです(笑)
それにしても古い車両は窓が開けられるってのが魅力ですよねぇ!窓を開け放って、遮るものがない中で景色を目に焼き付ける、このライブ感が大好きなんです❤景色を堪能していると、あっという間に列車は会津若松までやってきました。これにて只見線全線走破終了です!何てことありませんが目的を達成してちょっと満足(笑)
乗り換えまでにちょっと時間が空いたので、駅近くにあった昭和な雰囲気のラーメン店"金ちゃん"で軽くラーメンを一杯。縮れ麺の喜多方ラーメン風情でしたが、お味の方は間違いなし!しかもワンコインですから。お値段も昭和のままって言うのもうれしい♪
ここからは会津若松~郡山~黒磯~大宮と普通列車の旅です。まあここは駅弁でもいただきながらのんびりと行きましょう。この経路は連載第二回でも利用した、テツ店長的にはもう慣れっこになってしまった定番コースですが、そんなに乗っていられない!という方は、郡山から新幹線利用もよろしいかと思います。
大宮駅に到着したころにはすっかり日も暮れ、ホームで八王子直通の列車"むさしの号"を待っていたところ、この日最大のサプライズが待っていたのでした!
ホームに着くと、なぜか長いレンズのカメラを持った男達がウロウロ、それに呼応するように警備員もウロウロして、何やらただならぬ雰囲気が……。テツ特有の勘でこれは何かやって来るに違いない!と確信して、自分もいそいそとカメラを取り出していると、見たこともない姿の車両が静々と入線してきましたよ!
そうです!これが豪華寝台列車"四季島"だったのです!!いやはやなんとも、これまでにないオーラを放つすごい車両ですねぇ。今年の5月から運行開始だそうですから、今年も鉄道界からは目が離せませんね♪
ということで、今回も鉄分満載の輪行記事にお付き合いいただきありがとうございました。そんなテツ店長は、この記事が配信される頃にはまた"春の青春18きっぷ"のシーズンもはじまって、きっと忙しくしていると思います。また次回のレポートでお会いしましょう!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める48歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
みなさんこんにちは!鉄道と自転車を愛してやまないテツ店長です。最近はローカル線の廃止の話ばかりで、心を痛めることが多かった私ですが、昨年の12月に久方ぶりにうれしいニュースが入ってきました♪
と言うのは、2011年の豪雨水害で3本の橋梁が流失して、それ以来一部区間が不通となっていた日本屈指の絶景ローカル線"只見線"が、全線復旧の方向で動き出したとの報です。
そんなニュースが流れるより少し前の秋のこと、そんな只見線不通区間の現状視察?と、これまたちょっと前から気になっていた幻の国道を輪行で巡ってみよう、というのが今回の旅テーマなのです。
~2016年夏・日本一のもぐら駅探索で幻の国道と出会う~
さかのぼること半年前、青春18きっぷを使って行ってきたのが"日本一のモグラ駅"こと群馬県は谷川岳ふもとにある土合駅。地下深くに設けられたその駅は、何と486段の階段を上らないと地上に出られないという、文字通り日本一のモグラ駅なのですが、ここで下車して自転車を担いで階段上りに挑戦してみよう!というのがこの日の目的でした。
まあ輪行ですから当然駅を出てサイクリングに行くわけですが、この日走った国道291号がちょっと不思議な道だったのです。地図を見るとなぜか一直線に山に向かっていき、途中の"一の倉沢"で忽然と姿を消しているのです。興味が湧いてきてちょっと調べてみると、山を越えた新潟県側にも同じ国道291号があり、その昔ほんの一時だけつながっていたのだそう……。
そうなると、俄然反対側も見てみたくなるのが人情(ワタシだけ?)ということで、今回は消えた国道探索と、ながらく一部区間不通となっている、JR只見線を輪行で繋ぐ旅に出かけてきました。(この時のツーリングのレポートはこちらのブログより!)
10月のある日、青春18きっぷが使えないこの時期頼りになるのが、こちらの"秋の乗り放題パス"!3日間連続というのがタマにキズですが、秋のサイクリングシーズンにこれを使わない訳にはいきません。ということで、まだ夜も明けきらない早朝の八王子駅から輪行の旅はスタートします。今回はまた基本に立ち返ってのんびり鈍行列車の旅を楽しみながら行くことにしましょう!
八高線で高崎駅まで出ると、ホームで待っていたのはテツ店長が熱愛する国鉄型車両の115系電車でした!橙と緑で塗り分けられた湘南色の車両も今や貴重な存在。この先上越線の水上駅までこの車両のお世話になります。
乗客もまばらな車内で、高崎駅で買っておいた"上州の朝粥"を開きます。ちなみにこちらのお弁当、高崎駅で毎朝100食だけ販売されていて「幻の駅弁」とも言われている、そのスジではちょっと有名な駅弁なのですね!
かなり軽めの朝食になりましたが、これから旅先でいろいろ食べる予定もあるので、まずはお粥の優しい味わいを満喫することにしましょう!
水上駅で大好きな115系電車とはお別れして、隣のホームに待っていた真新しい電車に乗り換えると、列車は谷川岳を貫く新清水トンネルをくぐり抜けて一路新潟県へ。先日下車した"土合駅"にも停車しながら、トンネルを抜けてしばらく走ると、ようやく今回のサイクリングスタート地点"塩沢駅"に到着です。
ここからちょっと来た方向に戻りますが、"国道291号線・清水峠"をめざしてひた走ってゆきます。このあたり、魚沼産コシヒカリで有名な米作地帯でございまして、平野部には水田が広がっているのですが、この時期はもう刈り取りも終わって、すっかり静まりかえっておりました。
道中で見かける古い建物や看板、掘立小屋のようなバス停など、なんとも味わいのあるものが多くて、古いモノ好きのテツ店長的には飽きのこないコースなのでした(笑)
いよいよ山が近づいてくると、何やら意味深な青カンバンが見えてきました!このあたりからだんだん坂もキツくなってきたのですが、間もなくすると通行止の標識があらわれて、どうやらここから先は工事関係者以外は入って行けないようです。
この先が地図上では国道291号として、清水峠を越えて前回やってきた群馬県の"一ノ倉沢”まで続いているのか……。かつて国家的事業として一度は整備され、1885年にいったんは開通したものの、自然の力を前になすすべなく屈して、不通のまま100年以上の歳月を過ごしている不遇の国道というところに、なんだか歴史のロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか?
ちょうどゲートに管理人さんがいたので、記念に一枚写真を撮ってもらい、少し立ち話をましたが、こうやって廃道を探してやってくる物好きが時々いるそう。古いモノや廃なモノに魅かれる同類が他にも少しばかりはいるようです(笑)
いつか徒歩ででも踏破したいなぁ……、などと思いつつも、とりあえず第一の目的は果たしたので、Uターンして下山していくことにします。
今来た道をひたすら下って、次にやって来たのは六日町!ここは日本屈指の米どころ、ぜひ美味しいお米を食べてみたいということで、選んだのは"究極の親子丼"!魚沼産コシヒカリの新米と比内地鶏の卵と鶏肉が組み合わされて、これが美味しくないワケがありません!
ふだんお米の味など気にしたことが無いワタシでも歴然と分かるコメの甘味、そして鶏肉と鶏卵の甘味が合わさって、何とも幸せなお味で、正直これは再発見と言いますか、感動しちゃいましたね(笑)
腹ごしらえが終わったあとは、もう一つ国道291号で見ておきたい廃スポットめざして再スタートです!お米の名産地、魚沼地方を貫く魚野川の景色を楽しみながら川に沿って下ってゆき、明日乗車予定の只見線の線路を越えて、再び山間に入っていくと、日本一の手掘り隧道(トンネル)である"中山隧道"がようやく見えてきました。
さっそく隧道に入ってみると、内部は岩盤むき出しで、これぞ手掘り隧道の真髄と言った趣。全長は922mと歩いて通り抜けるにはけっこうな長さがあります。残念ながら現在は通り抜けることは出来ませんが、途中までは入って見学することができますので、隧道ファン?の方はここ必見ですね(笑)
ここのすごいところは、地元の方が1933年から1949年まで、足かけ16年をかけてツルハシを振るって掘り抜いたということ!途中戦争による中断もありましたが、それまでは峠を越えていく山道しかなく、しかも豪雪地帯ですので冬は遭難の危険もあったといいます。そんな状況を解決するため、何とか自力でトンネルを掘ってやろう!という昔の人の気力には本当に脱帽としか言いようがありませんね。
こうしてたっぷり走り回って一日目の予定は終了。翌日の行動に備えて只見線の始発駅である"小出駅"近くにこの日は宿泊です。
今回悩ましかったのが、何と言っても只見線の本数の少なさ(泣)。途中の不通区間を自転車でつなぐとして、両端の列車でスムーズに乗り継げるのは、7:58に小出駅を出発する始発列車しか無い!ということで、否応なしに小出に前泊することなったのでした。
翌朝はキリッとした秋晴れ!小出駅で自転車をたたんで、さっそく只見線のホームに向かうと、待っていたのはこれまた国鉄時代から走り続けるキハ40系気動車でした♪この"差し込み式の行先表示板"がなんともレトロで、テツにはたまらないアイテムだったりするのですね❤
エンジン音をうならせて駅を出発したディーゼルカーは、すぐに魚野川を渡って山に向かう線路を進んでいきます。車窓からの眺めは、これぞ日本の山村といった美しい景色で見ていて飽きることがありません!
だんだんと山深くなり、スノーシェルターが多くなってきましたが、ここに(個人的に)要注目のスポットがあるんです!カメラを構えて窓から前方を窺っていると、突然にプラットホームが現れました!!通過する列車からだと、ほんの一瞬の出来事で、ほとんどの方は気付かないかも知れませんが、これが2013年に廃止された田子倉駅の跡だったのでした。
秘境駅としてこれまた一部界隈では有名な存在で、いつか訪ねたいと思っていたらその前に廃止となってしまいました(泣)やっぱりどん欲に、行ける時に行っておかないとダメですね……。
などという思いに浸っていると、列車はまもなく終点の只見駅に到着しました。駅で自転車を組み立てていると、横から不通区間を結ぶ代行バスが出発していきました。こちらも後を追って出発しようと思いますが、その前に車内から見えて気になっていた転車台をチェックしてから行くことに。
この転車台は一応今でも現役だそうで、SL運行時にはここで折り返しのために蒸気機関車の向きを変えるために使われているそうです。全線復旧したあかつきには、ぜひまたSLにも走ってもらいたいですね!
そしてようやくスタートするも、只見線に沿うように敷かれた国道252号(沼田街道)を走っていると、線路が気になって仕方がありません。駅の標識が見えるとついつい立ち寄ってしまうので、全くもって各駅停車の旅です(苦笑)
また途中には流出した橋梁が無残な姿を晒してる場所もあって、それはそれは痛々しい光景なのでした。こんな廃線感いっぱいの景色で、再びここに列車がやってくる日が訪れるとは、正直このときは思いもよらなかったのですが、やはり希望を捨ててはいけませんね!
2020年度にも復旧する予定だそうですから、これから急ピッチで工事が始まることでしょう。そんな約30kmの視察(?)サイクリングでしたが、道中はクルマも少なく、田園風景も素敵なサイクリングコースでした。全線開通したあかつきには、車窓からもう一度この景色を眺めてみたいですね!
このあと会津川口駅からふたたび只見線上の人となります。会津川口発、会津若松行きの古いキハ40系気動車に乗り、列車が走り始めるとさっそく素晴らしい景色が目に飛び込んできました!カメラを向けてシャッターを押すと、自動的に美しい景色が記録されているというミラクルワールドです(笑)
それにしても古い車両は窓が開けられるってのが魅力ですよねぇ!窓を開け放って、遮るものがない中で景色を目に焼き付ける、このライブ感が大好きなんです❤景色を堪能していると、あっという間に列車は会津若松までやってきました。これにて只見線全線走破終了です!何てことありませんが目的を達成してちょっと満足(笑)
乗り換えまでにちょっと時間が空いたので、駅近くにあった昭和な雰囲気のラーメン店"金ちゃん"で軽くラーメンを一杯。縮れ麺の喜多方ラーメン風情でしたが、お味の方は間違いなし!しかもワンコインですから。お値段も昭和のままって言うのもうれしい♪
ここからは会津若松~郡山~黒磯~大宮と普通列車の旅です。まあここは駅弁でもいただきながらのんびりと行きましょう。この経路は連載第二回でも利用した、テツ店長的にはもう慣れっこになってしまった定番コースですが、そんなに乗っていられない!という方は、郡山から新幹線利用もよろしいかと思います。
大宮駅に到着したころにはすっかり日も暮れ、ホームで八王子直通の列車"むさしの号"を待っていたところ、この日最大のサプライズが待っていたのでした!
ホームに着くと、なぜか長いレンズのカメラを持った男達がウロウロ、それに呼応するように警備員もウロウロして、何やらただならぬ雰囲気が……。テツ特有の勘でこれは何かやって来るに違いない!と確信して、自分もいそいそとカメラを取り出していると、見たこともない姿の車両が静々と入線してきましたよ!
そうです!これが豪華寝台列車"四季島"だったのです!!いやはやなんとも、これまでにないオーラを放つすごい車両ですねぇ。今年の5月から運行開始だそうですから、今年も鉄道界からは目が離せませんね♪
ということで、今回も鉄分満載の輪行記事にお付き合いいただきありがとうございました。そんなテツ店長は、この記事が配信される頃にはまた"春の青春18きっぷ"のシーズンもはじまって、きっと忙しくしていると思います。また次回のレポートでお会いしましょう!
旅する人 河井孝介プロフィール
バイクプラス多摩センターの店長を務める48歳。前職で足かけ10年にわたる勤務を鉄道の無い(モノレール除く)縄県で過ごした反動からか、帰京後は輪行サイクリングの虜となり、現在は鉄道と自転車を組み合わせ、鉄道廃線跡や未成線など鉄道の歴史を辿るサイクリングをライフワークとする。鉄道趣味のジャンルは「乗り鉄」。旧国鉄型車両を心から愛し、ひそかにJR全線乗車にチャレンジ中。非常勤の防衛省職員である予備三等陸曹の身分も合わせ持っている。
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