2016/10/28(金) - 09:06
大阪に本拠を構えるサイクルアクセサリーブランド、キャットアイ。フロントライトシリーズとしてお馴染みの「VOLT」ラインアップに、6000ルーメンという圧倒的光量を備えたVOLT6000が加わった。1m先も見通せない暗闇で活躍するライトを紹介しよう。
キャットアイ定番の「VOLT」は、日常生活で使いやすい光量を照射するVOLT100XCや200、400から、街灯が少ない場所でのナイトライドを支えるVOLT800、1600までが揃うフロントライトシリーズ。充実したVOLTのラインアップに、従来モデルの光量を遥かに凌駕する6000ルーメンを備えたVOLT6000が加わった。
6000ルーメンという圧倒的な光量を実現したのは、キャットアイのVOLTシリーズでは初採用となる”COB”という光源だ。従来モデルより大きな光源から照射される光は、月明かりすらも一切届かないような暗闇を、一瞬にして昼間のように変えてしまう。
最大光量に加えて、VOLT6000にはナイトライドには必要十分な光量のモードが備えられている。6000ルーメンのダイナミックモードに次ぐ明るさは、ハイモードの4000ルーメンだ。そこに2000ルーメンのミドルモード、1000ルーメンのローモード、500ルーメンのオールナイトモード、常時500ルーメンを照射し続け、一定のタイミングで2000ルーメンを照射するハイパーコンスタントモードが続く。
操作方法は通常のVOLTシリーズと同様で、ボタンをダブルクリックするとどのモードからでもダイナミックモードに切り替わる。ダイナミックモードからはシングルクリックで元のモードに戻る。
VOLT6000はキャットアイが誇るレンズテクノロジー「OPTICUBE」の配光によって、上下左右まんべんなく照らしだすライトとなっている。強力な光と広い照射範囲によって得られる広い視界は、ナイトライドに安心感をもたらしてくれるだろう。
一方で、広角配光のVOLT6000は対向車を眩惑させてしまうため、キャットアイは公道での使用を控えることを求めている。やむを得ずVOLT6000を公道で使用する際は、オールナイトモードでの使用が推奨されている。
大光量ライトは圧倒的な明るさを備える一方で、回路から発生する熱によって光源がダメージを受けることが悩みである。他のライトの追随を許さないVOLT6000は、発する熱も規格外。そのため、キャットアイは独自の制御回路を採用すると同時に、大胆な熱対策として円筒状のボディに放熱プレートと換気ファンを搭載した。この熱対策によってVOLT6000は、バッテリーが切れるまで明るさを一定に保つことが出来る冷却性能を実現している。
ボディは47x59x52mmという大きさで、重量は98g(実測値)。装着場所はバイクのハンドル、もしくはヘルメットで、いずれもお馴染みのフレックスタイトブラケットを用いる。ヘルメットに装着した際は、付属の無線サテライトスイッチを使用してライトの操作を行う。
ボディと別体とされたバッテリーには、6000ルーメンという明るさを照射しながら、実用に耐えるランタイムを確保するために、大きさ199x46x68mmで、重量601g(実測値)という大型のリチウムイオンバッテリーが選ばれた。バッテリーはあまりにも大型のため、トップチューブに装着するか、バックパックに入れて持ち運ぶ必要がある。
容量は6800mAhとされており、ランタイムはダイナミックモードで約1時間、ハイモードで約2時間、ミドルモードで約4時間、ローモードで約8時間、オールナイトモードで約12時間、ハイパーコンスタントモードで約11時間だ。充電は専用のACアダプターから行い、満充電までは5時間を要する。
圧倒的な光量と上下左右の広範囲を照らし出す配光、ナイトライドには必要十分なランタイムを備えたVOLT6000。キャットアイが誇るフロントライトの価格は100,000円(税抜)。
ーインプレッション
10万円あったら、何を買おうか。サイクリストとしては、コンポーネントを載せ替えたり、ホイールを交換したり、ハンドルやステムをカーボンにしたりというところが良くある答えだっただろう。もしくは、自転車とともに何泊かのツーリングをするのだって良いかもしれない。
しかし、VOLT6000を夜の森で点灯してしまった私の答えは決まっている。「10万円あったら、10万円のライトを買う」それが今の私の答えだ。
100ルーメンの懐中電灯を自転車用に転用していたころ、夜に走る不安は少なくなかった。バッテリー別体式の1200ルーメンのライトを購入したら、その不安は無くなった。街灯のない河川敷で真っ黒なランナーが向かってきてもかなり前から発見できる。明るいライトはいつだって、自転車で走る事が出来る安心感を与えてくれた。
そしてVOLT6000は、更にその先、夜のトレイルを楽しむ喜びを完全な形で教えてくれた。
闇を照らしだす光は文明の象徴だ。照明によって人間は活動時間を広げ、発展してきた。もっと光を、もっと、もっと。夜の帳が降りた森の中、シンと静まりかえり虫の鳴き声だけが聞こえる空間で、愛用のライト5台分の出力を誇るVOLT6000のスイッチを押したその瞬間、甲高いファンの音とともに放たれる暴力的な光によって、夜闇の世界は切り拓かれた。
満遍なく視界を照らすフラットな配光。足元はもちろん、上を見上げれば溢れる周辺光で木々の梢が照らされているほど。木々の間にきらめく蜘蛛の巣をかわしながら、トレイルを走り抜けていく。明るいけれど、決して白飛びするようなスポットは無く、路面状況を把握するのに一かけらの不安だって無い。
闇がもたらす静謐な世界をVOLT6000が生み出す光と共に駆け抜けていく。降り積もった新雪に踏み跡を付けていくような、えも言われぬ快感がそこにはあった。
大容量バッテリーによる異次元のランタイムは超長距離ライドでも安心につながるはず。シートチューブ側に寄せられた600gのバッテリーは、ほとんど重さを感じない。考えてみれば、600mlのボトルをくくりつけているのと同じようなもので、重厚感溢れるその姿は、むしろ安心感を与えてくれるほどだ。
10万円のライト。正直、一部の酔狂なライトギークたちへ向けた新製品か、過激なスペックで話題を作るためのアドバルーンかと思っていた方もいるだろう。それは一面の真実かもしれない。しかし、10万円のライトが生み出す6000ルーメンは、新しい遊びの世界を確かに照らし出している。
冒頭の問いに対する答えの中で、世界を広げる体験をもたらしてくれるという意味において、最も近いのは旅行へ出かけるというものかもしれない。ただ、一過性の体験ではないという点において、私はVOLT6000に軍配を上げたい。
キャットアイ VOLT6000
サイズ/重量: 47x59x52mm/118g(ライトユニット)、199x46x68mm/550g(バッテリーユニット)
、29x36x21mm/10g(リモコンスイッチ)
光源:超高輝度COB
使用電池:Li-ion 14.4V 6800mAh
使用時間:約1時間(ダイナミック)、約2時間(ハイ)、約4時間(ミドル)、約8時間(ロー)、約12時間(オールナイト)、約11時間(ハイパーコンスタント)
充電時間:約5時間
価格:100,000円(税抜)
キャットアイ定番の「VOLT」は、日常生活で使いやすい光量を照射するVOLT100XCや200、400から、街灯が少ない場所でのナイトライドを支えるVOLT800、1600までが揃うフロントライトシリーズ。充実したVOLTのラインアップに、従来モデルの光量を遥かに凌駕する6000ルーメンを備えたVOLT6000が加わった。
6000ルーメンという圧倒的な光量を実現したのは、キャットアイのVOLTシリーズでは初採用となる”COB”という光源だ。従来モデルより大きな光源から照射される光は、月明かりすらも一切届かないような暗闇を、一瞬にして昼間のように変えてしまう。
最大光量に加えて、VOLT6000にはナイトライドには必要十分な光量のモードが備えられている。6000ルーメンのダイナミックモードに次ぐ明るさは、ハイモードの4000ルーメンだ。そこに2000ルーメンのミドルモード、1000ルーメンのローモード、500ルーメンのオールナイトモード、常時500ルーメンを照射し続け、一定のタイミングで2000ルーメンを照射するハイパーコンスタントモードが続く。
操作方法は通常のVOLTシリーズと同様で、ボタンをダブルクリックするとどのモードからでもダイナミックモードに切り替わる。ダイナミックモードからはシングルクリックで元のモードに戻る。
VOLT6000はキャットアイが誇るレンズテクノロジー「OPTICUBE」の配光によって、上下左右まんべんなく照らしだすライトとなっている。強力な光と広い照射範囲によって得られる広い視界は、ナイトライドに安心感をもたらしてくれるだろう。
一方で、広角配光のVOLT6000は対向車を眩惑させてしまうため、キャットアイは公道での使用を控えることを求めている。やむを得ずVOLT6000を公道で使用する際は、オールナイトモードでの使用が推奨されている。
大光量ライトは圧倒的な明るさを備える一方で、回路から発生する熱によって光源がダメージを受けることが悩みである。他のライトの追随を許さないVOLT6000は、発する熱も規格外。そのため、キャットアイは独自の制御回路を採用すると同時に、大胆な熱対策として円筒状のボディに放熱プレートと換気ファンを搭載した。この熱対策によってVOLT6000は、バッテリーが切れるまで明るさを一定に保つことが出来る冷却性能を実現している。
ボディは47x59x52mmという大きさで、重量は98g(実測値)。装着場所はバイクのハンドル、もしくはヘルメットで、いずれもお馴染みのフレックスタイトブラケットを用いる。ヘルメットに装着した際は、付属の無線サテライトスイッチを使用してライトの操作を行う。
ボディと別体とされたバッテリーには、6000ルーメンという明るさを照射しながら、実用に耐えるランタイムを確保するために、大きさ199x46x68mmで、重量601g(実測値)という大型のリチウムイオンバッテリーが選ばれた。バッテリーはあまりにも大型のため、トップチューブに装着するか、バックパックに入れて持ち運ぶ必要がある。
容量は6800mAhとされており、ランタイムはダイナミックモードで約1時間、ハイモードで約2時間、ミドルモードで約4時間、ローモードで約8時間、オールナイトモードで約12時間、ハイパーコンスタントモードで約11時間だ。充電は専用のACアダプターから行い、満充電までは5時間を要する。
圧倒的な光量と上下左右の広範囲を照らし出す配光、ナイトライドには必要十分なランタイムを備えたVOLT6000。キャットアイが誇るフロントライトの価格は100,000円(税抜)。
ーインプレッション
10万円あったら、何を買おうか。サイクリストとしては、コンポーネントを載せ替えたり、ホイールを交換したり、ハンドルやステムをカーボンにしたりというところが良くある答えだっただろう。もしくは、自転車とともに何泊かのツーリングをするのだって良いかもしれない。
しかし、VOLT6000を夜の森で点灯してしまった私の答えは決まっている。「10万円あったら、10万円のライトを買う」それが今の私の答えだ。
100ルーメンの懐中電灯を自転車用に転用していたころ、夜に走る不安は少なくなかった。バッテリー別体式の1200ルーメンのライトを購入したら、その不安は無くなった。街灯のない河川敷で真っ黒なランナーが向かってきてもかなり前から発見できる。明るいライトはいつだって、自転車で走る事が出来る安心感を与えてくれた。
そしてVOLT6000は、更にその先、夜のトレイルを楽しむ喜びを完全な形で教えてくれた。
闇を照らしだす光は文明の象徴だ。照明によって人間は活動時間を広げ、発展してきた。もっと光を、もっと、もっと。夜の帳が降りた森の中、シンと静まりかえり虫の鳴き声だけが聞こえる空間で、愛用のライト5台分の出力を誇るVOLT6000のスイッチを押したその瞬間、甲高いファンの音とともに放たれる暴力的な光によって、夜闇の世界は切り拓かれた。
満遍なく視界を照らすフラットな配光。足元はもちろん、上を見上げれば溢れる周辺光で木々の梢が照らされているほど。木々の間にきらめく蜘蛛の巣をかわしながら、トレイルを走り抜けていく。明るいけれど、決して白飛びするようなスポットは無く、路面状況を把握するのに一かけらの不安だって無い。
闇がもたらす静謐な世界をVOLT6000が生み出す光と共に駆け抜けていく。降り積もった新雪に踏み跡を付けていくような、えも言われぬ快感がそこにはあった。
大容量バッテリーによる異次元のランタイムは超長距離ライドでも安心につながるはず。シートチューブ側に寄せられた600gのバッテリーは、ほとんど重さを感じない。考えてみれば、600mlのボトルをくくりつけているのと同じようなもので、重厚感溢れるその姿は、むしろ安心感を与えてくれるほどだ。
10万円のライト。正直、一部の酔狂なライトギークたちへ向けた新製品か、過激なスペックで話題を作るためのアドバルーンかと思っていた方もいるだろう。それは一面の真実かもしれない。しかし、10万円のライトが生み出す6000ルーメンは、新しい遊びの世界を確かに照らし出している。
冒頭の問いに対する答えの中で、世界を広げる体験をもたらしてくれるという意味において、最も近いのは旅行へ出かけるというものかもしれない。ただ、一過性の体験ではないという点において、私はVOLT6000に軍配を上げたい。
キャットアイ VOLT6000
サイズ/重量: 47x59x52mm/118g(ライトユニット)、199x46x68mm/550g(バッテリーユニット)
、29x36x21mm/10g(リモコンスイッチ)
光源:超高輝度COB
使用電池:Li-ion 14.4V 6800mAh
使用時間:約1時間(ダイナミック)、約2時間(ハイ)、約4時間(ミドル)、約8時間(ロー)、約12時間(オールナイト)、約11時間(ハイパーコンスタント)
充電時間:約5時間
価格:100,000円(税抜)
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