2016/08/10(水) - 09:13
充実の前夜祭を過ごし、お腹も心も一杯になって迎えた「第5回走ってみっぺ南会津!」。過去最大人数の参加者を集めた今大会の実走レポートをお届けします。前篇のレポートはこちらから。
人数は増えても、例年通りのゆるーい雰囲気は変わらない開会式を終え、スタートを切った「走ってみっぺ南会津!」。10人ごとのグループをサポートライダーもしくはその場で選ばれた参加者が先導し、スタートアーチをくぐりぬけていく。
たかつえスキー場からは3km弱の下りを走っていく。薄く雲がかかった空の下、爽快なダウンヒルを楽しんだ後、しばらく走ると第1エイドの舘岩物産館に到着。すこし気温が高いこともあり、早速水分補給をすることに。ちなみにどのエイドでも、水とお茶、アクエリアスにコーラが用意されており、気分と体調に合わせて好きなドリンクを選ぶことができるのはとても嬉しいポイントだ。
第一エイドを出発すると、すぐに目に入ってくる立て看板には100kmコースは左折、60kmと30kmコースは直進と書いている。そう、走ってみっぺ南会津!100kmコースとサボってみっぺ南会津!100kmコースの分かれ道でもある。
正直なところ、心と脚はサボってみっぺに傾いていたのだが、そこを何とかわずかに残った職業倫理で押しとどめ、左へと曲がっていく。その先はひなびた温泉地である湯ノ花温泉を通り抜けていく。抜群の泉質で温泉マニアを唸らす隠れた小さい温泉郷を右折し、唐沢峠への本格的な登りへとアプローチしていく。
本格的な登り区間は2kmほどだが、徐々に斜度がきつくなってくるこの登り。登り口では5%程度の斜度だが、ピークが近付くにつれて段々と厳しくなっていき、所によっては10%ほどの勾配の箇所もちらほらと現れる。
過去のレポートを読んでヒルクライムは最後だけだと思って参加した方にとっては、かなり裏切られた気分になることは間違いないな、と思いつつも、エイドステーションの「これでもか」と言わんばかりの大盤振る舞いを考えると、これくらいのカロリーは消費しておいた方が良いのかも?
ともあれ、健脚派のみなさんにとっては良い刺激になるだろうし、まったりとライドを楽しみたい人はショートカットできるという選択肢が用意されているのは、とても参加者に寄り添った目線を持った大会であると感じた。ショートカットしたルートも、復路で通るため見どころを逃すということも無い。
さて、唐沢峠を登り終え、トンネルを越えるとヒルクライムで消費した水などを補給できるエイドステーションが設置されている。必要なものを補給したら爽快なダウンヒルを経て、再び国道352号へと合流する。
清流のせせらぎを見ながら緩やかな下りを軽快に飛ばしていくと国道401号線とぶつかる地点に、第2エイドとなる内川ASが現れる。今年もじゅうねん味噌が塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」とひんやりとした南郷トマトにアスパラガスがお出迎え。
ここから先は、伊南川の上流へとゆるやかな登りを走っていくことになる。とはいえ、実際の斜度にしてみれば1%あるかどうかという登りなので、そんなに身構える必要はない。少しづつ高くなってきた陽射しが夏を思わせてくれるが、路肩に設置された温度計は25℃のあたりを行ったり来たりしており、とても走りやすい。
いくつかのスノーシェッドをくぐりぬけ、30分ほどひた走ると前方からいーい匂いの粒子が鼻をくすぐる。この大会を特徴づけるといっても過言ではない屏風岩エイドステーションのマトン丼の匂いだ!ついつい取材であることも忘れ、長い列の最後尾にいそいそと並ぶ。
参加者が増えた事もあり、さすがに今年は盛りは大人しかったりするのでは?などと思っていたが、それは余計なお世話だったよう。一昨年、去年と変わらぬ大量のマトンは健在で、満腹大満足である。一服ついたところで川辺へと下りて休憩する。伊南川の透明な水と荘厳な屏風岩の織りなす景色は何度見てもダイナミックで、ついつい時間を忘れて見入ってしまうほど。
さて、マトン丼で身体を、屏風岩で心を満たしたら出発だ。出来ればずっと川辺でゴロゴロしていたいほど快適な空間だけれど、この先にも素敵な道が待っている。この時点で約30km。まだまだ先は長いのだ。ここから先は伊南川を一路下流へと向かっていく事になる。
尾瀬を源流とする伊南川の清らかな水は豊かな命を育んでいるようだ。前夜祭で供された岩魚もそうだが、下流へと進むにつれて目立つのは、鮎の友釣りを楽しむ釣り人達。長い竿を自由自在に操り、川を遡上してきた鮎を釣り上げる姿は見ているだけでも面白い。
そして、4つ目のエイドとなる蛇岩エイドステーションまで辿りつけば、今度は伊南川の対岸を上流へと向かって引き返していく。この日は風が強かったが、向かい風の下り基調の往路、追い風の登り基調の復路ということで、苦しさはさほど変わらず。一定ペースで走るにはむしろ助かるほど。天気に気温に風向きに、なにからなにまでおあつらえ向きな大会である。
少しさかのぼったところを左に入るときらら289エイドステーションへと到着。ここは道の駅ということもあり、エイドでの振る舞いだけでなく施設内の食堂で販売されている「トマトソフト」も大人気。ゲストライダーの絹代さんもイチオシ!とのことで、トマトが少し苦手な筆者も食べてみることに。
ほんのりピンク色のソフトクリームは、確かにトマトの味はするが、とてもさっぱりした味。ほのかな酸味と甘味が調和しており、野菜というよりフルーツのような。火照った身体もあいまって、ぺろりと平らげてしまうことに。
さて、ここまでくれば後はもう少し。1つ目のエイドであり最後のエイドでもある舘岩物産館でそばを頂き、最後の登り坂へむけて補給は万全。走ってみっぺ名物のたかつえスキー場への登りは、距離約2.8km平均斜度約6.5%とかなり走り応えのある登り。ここまでの100km、もしくは60kmで脚を使った参加者にとっては、一級山岳である。
中には押して歩いている人や立ち止まって休憩する人もちらほらいる中、スゴイ勢いで登っていく人も。そして、どうしても登れない!という人のために用意されているのが、サポートライダーのアシストだ。グイグイと背中を押してもらいながら進んでいくと、6.5%の坂がまるで平地に様変わり。トップ選手の力をその身体で感じることができる、貴重な機会でもある。
ゴール地点では、MCの棚橋麻衣さんとブリッツェンフェアリー自転車競技部の杏寿沙さんがハイタッチで迎えてくれる……、ハズだったのだが大分遅くなってしまったようで、会場では間もなく抽選会が始まろうとしていた。
前夜祭と同じく、豪華な景品が用意された抽選会も大盛り上がりの内に幕を閉じ、5回目の走ってみっペ南会津!も無事に終了。会津アストリアホテルの敷地内にある白樺の湯で汗を流し、さっぱりとした気分で帰ることができるのも嬉しいポイントだ。
食・景色・温泉。南会津の魅力がギュッとつまった、走ってみっぺ南会津。それだけでも十分魅力的なイベントだけれど、何より流れるゆるーい雰囲気がたまらない。ここまで参加者と共に造り上げていこうというロングライドは無いのではないだろうか。来年もここに帰ってきたいと思わせてくれる、里帰り風のロングライドが走ってみっぺ南会津!だ。
text&photo:Naoki,YASUOKA
人数は増えても、例年通りのゆるーい雰囲気は変わらない開会式を終え、スタートを切った「走ってみっぺ南会津!」。10人ごとのグループをサポートライダーもしくはその場で選ばれた参加者が先導し、スタートアーチをくぐりぬけていく。
たかつえスキー場からは3km弱の下りを走っていく。薄く雲がかかった空の下、爽快なダウンヒルを楽しんだ後、しばらく走ると第1エイドの舘岩物産館に到着。すこし気温が高いこともあり、早速水分補給をすることに。ちなみにどのエイドでも、水とお茶、アクエリアスにコーラが用意されており、気分と体調に合わせて好きなドリンクを選ぶことができるのはとても嬉しいポイントだ。
第一エイドを出発すると、すぐに目に入ってくる立て看板には100kmコースは左折、60kmと30kmコースは直進と書いている。そう、走ってみっぺ南会津!100kmコースとサボってみっぺ南会津!100kmコースの分かれ道でもある。
正直なところ、心と脚はサボってみっぺに傾いていたのだが、そこを何とかわずかに残った職業倫理で押しとどめ、左へと曲がっていく。その先はひなびた温泉地である湯ノ花温泉を通り抜けていく。抜群の泉質で温泉マニアを唸らす隠れた小さい温泉郷を右折し、唐沢峠への本格的な登りへとアプローチしていく。
本格的な登り区間は2kmほどだが、徐々に斜度がきつくなってくるこの登り。登り口では5%程度の斜度だが、ピークが近付くにつれて段々と厳しくなっていき、所によっては10%ほどの勾配の箇所もちらほらと現れる。
過去のレポートを読んでヒルクライムは最後だけだと思って参加した方にとっては、かなり裏切られた気分になることは間違いないな、と思いつつも、エイドステーションの「これでもか」と言わんばかりの大盤振る舞いを考えると、これくらいのカロリーは消費しておいた方が良いのかも?
ともあれ、健脚派のみなさんにとっては良い刺激になるだろうし、まったりとライドを楽しみたい人はショートカットできるという選択肢が用意されているのは、とても参加者に寄り添った目線を持った大会であると感じた。ショートカットしたルートも、復路で通るため見どころを逃すということも無い。
さて、唐沢峠を登り終え、トンネルを越えるとヒルクライムで消費した水などを補給できるエイドステーションが設置されている。必要なものを補給したら爽快なダウンヒルを経て、再び国道352号へと合流する。
清流のせせらぎを見ながら緩やかな下りを軽快に飛ばしていくと国道401号線とぶつかる地点に、第2エイドとなる内川ASが現れる。今年もじゅうねん味噌が塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」とひんやりとした南郷トマトにアスパラガスがお出迎え。
ここから先は、伊南川の上流へとゆるやかな登りを走っていくことになる。とはいえ、実際の斜度にしてみれば1%あるかどうかという登りなので、そんなに身構える必要はない。少しづつ高くなってきた陽射しが夏を思わせてくれるが、路肩に設置された温度計は25℃のあたりを行ったり来たりしており、とても走りやすい。
いくつかのスノーシェッドをくぐりぬけ、30分ほどひた走ると前方からいーい匂いの粒子が鼻をくすぐる。この大会を特徴づけるといっても過言ではない屏風岩エイドステーションのマトン丼の匂いだ!ついつい取材であることも忘れ、長い列の最後尾にいそいそと並ぶ。
参加者が増えた事もあり、さすがに今年は盛りは大人しかったりするのでは?などと思っていたが、それは余計なお世話だったよう。一昨年、去年と変わらぬ大量のマトンは健在で、満腹大満足である。一服ついたところで川辺へと下りて休憩する。伊南川の透明な水と荘厳な屏風岩の織りなす景色は何度見てもダイナミックで、ついつい時間を忘れて見入ってしまうほど。
さて、マトン丼で身体を、屏風岩で心を満たしたら出発だ。出来ればずっと川辺でゴロゴロしていたいほど快適な空間だけれど、この先にも素敵な道が待っている。この時点で約30km。まだまだ先は長いのだ。ここから先は伊南川を一路下流へと向かっていく事になる。
尾瀬を源流とする伊南川の清らかな水は豊かな命を育んでいるようだ。前夜祭で供された岩魚もそうだが、下流へと進むにつれて目立つのは、鮎の友釣りを楽しむ釣り人達。長い竿を自由自在に操り、川を遡上してきた鮎を釣り上げる姿は見ているだけでも面白い。
そして、4つ目のエイドとなる蛇岩エイドステーションまで辿りつけば、今度は伊南川の対岸を上流へと向かって引き返していく。この日は風が強かったが、向かい風の下り基調の往路、追い風の登り基調の復路ということで、苦しさはさほど変わらず。一定ペースで走るにはむしろ助かるほど。天気に気温に風向きに、なにからなにまでおあつらえ向きな大会である。
少しさかのぼったところを左に入るときらら289エイドステーションへと到着。ここは道の駅ということもあり、エイドでの振る舞いだけでなく施設内の食堂で販売されている「トマトソフト」も大人気。ゲストライダーの絹代さんもイチオシ!とのことで、トマトが少し苦手な筆者も食べてみることに。
ほんのりピンク色のソフトクリームは、確かにトマトの味はするが、とてもさっぱりした味。ほのかな酸味と甘味が調和しており、野菜というよりフルーツのような。火照った身体もあいまって、ぺろりと平らげてしまうことに。
さて、ここまでくれば後はもう少し。1つ目のエイドであり最後のエイドでもある舘岩物産館でそばを頂き、最後の登り坂へむけて補給は万全。走ってみっぺ名物のたかつえスキー場への登りは、距離約2.8km平均斜度約6.5%とかなり走り応えのある登り。ここまでの100km、もしくは60kmで脚を使った参加者にとっては、一級山岳である。
中には押して歩いている人や立ち止まって休憩する人もちらほらいる中、スゴイ勢いで登っていく人も。そして、どうしても登れない!という人のために用意されているのが、サポートライダーのアシストだ。グイグイと背中を押してもらいながら進んでいくと、6.5%の坂がまるで平地に様変わり。トップ選手の力をその身体で感じることができる、貴重な機会でもある。
ゴール地点では、MCの棚橋麻衣さんとブリッツェンフェアリー自転車競技部の杏寿沙さんがハイタッチで迎えてくれる……、ハズだったのだが大分遅くなってしまったようで、会場では間もなく抽選会が始まろうとしていた。
前夜祭と同じく、豪華な景品が用意された抽選会も大盛り上がりの内に幕を閉じ、5回目の走ってみっペ南会津!も無事に終了。会津アストリアホテルの敷地内にある白樺の湯で汗を流し、さっぱりとした気分で帰ることができるのも嬉しいポイントだ。
食・景色・温泉。南会津の魅力がギュッとつまった、走ってみっぺ南会津。それだけでも十分魅力的なイベントだけれど、何より流れるゆるーい雰囲気がたまらない。ここまで参加者と共に造り上げていこうというロングライドは無いのではないだろうか。来年もここに帰ってきたいと思わせてくれる、里帰り風のロングライドが走ってみっぺ南会津!だ。
text&photo:Naoki,YASUOKA
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