2016/08/11(木) - 09:29
半世紀以上の歴史を持つイタリアの老舗レーシングバイクブランド「Guerciotti(グエルチョッティ)」が、2017モデルよりミズタニ自転車と日本総代理店契約を締結した。本国からアレッサンドロ社長も来日し、開催された展示会の模様をレポートしていく。
大規模なマスプロ系から、熟練の職人が切り盛りするハンドメイド系まで、無数の自転車ブランドがひしめきあうイタリア。半生記以上に渡って同国のトップブランドの1つとして、数々の名車と共に輝かしい戦績を残してきたレーシングブランドが、2017モデルより新たな国内展開を開始するグエルチョッティである。
グエルチョッティ社の創業は1964年のこと。シクロクロスの選手だったイタロと、弟のパオロのグエルチョッティ兄弟が、ミラノに構えた20平方メートルという小さなショップが始まりである。創業当初こそ小ブランドだったものの、1970年代中盤には生産規模を大幅に拡張し、アメリカへの輸出を開始。80年代初頭には、アメリカで最もよく知られるイタリアの自転車ブランドとして認知される。その後も順調にブランドは成長し、2004年から現社長のアレッサンドロ氏が舵を取る。
イタリア内外のロードレースチームへのサポートを開始したのは70年代後半から。現在サポートを行うCCCスプランディ・ポルコウィチェに至るまで、ジロ・デ・イタリアを始めとしたヨーロッパのレースで多くの勝利に貢献。同バイクを駆ったミケーレ・スカルポーニやダヴィデ・レベリンの活躍も記憶に新しい所だ。
また、ロードレースと同様かそれ以上に、グエルチョッティが情熱を燃やすのがシクロクロスであり、1997年にパオロ自らが立ち上げて以来、現在に至るまでワークスチームを保有。ダニエル・ポントーニ(イタリア)らが所属し、チームの世界選手権優勝回数は10回以上にものぼる。一昨年の野辺山CXを圧倒的な力で制したジョエーレ・ベルトリーニ(イタリア)もグエルチョッティを駆る1人である。
日本国内におけるグエルチョッティの展開がスタートしたのは2008年ののことと、まだ日が浅い。しかし、同社は日本での更なる普及を目指し、新たな総代理店と契約した。コンチネンタルやクリスキング、トムソンといった有力ブランドの国内総代理店を務め、シマノ製品全般の卸売を行う「ミズタニ自転車」とパートナーシップを組むことになったのだ。ミズタニ自転車で担当を務める佐野真義さんは「グエルチョッティ社との間には20年以上にも渡る深い親交があり、その縁が今回の総代理店契約の締結に結びつきました」と話す。
7月中ごろに都内にて開催された2017モデル発表会では、国内展開モデルの多くが披露された。また、イタリア本国からは前代理店時代からサイクルモードなどにも頻繁に足を運んでいる親日家のアレッサンドロ社長が来場。展示会に訪れたショップ関係者やメディアに自身のブランドをPRした。
現段階で国内展開が決まっているのは、ロード5車種とシクロクロスバイク1車種。クロモリ製のロード1車種を除くバイク全てがカーボン製で、素材は東レと三菱レーヨンから供給を受ける。全車種とも"飽くなき高性能化の追求"という意味が込められた「NO LIMIT CARBON ENGINEERING」という設計手法を取り入れている。素材が持つポテンシャルを最大限に引き出すと同時に、モデルごとのターゲットにマッチした乗り味に最適化しているという。
また、開発段階ではハイエンドのみならず、エントリーグレードに至るまでのほぼ全てのモデルでプロによる実走テストを行っているというから驚きだ。ダヴィデ・レベリンは製品開発に多大な影響を与えるライダーの1人のようで「彼はグエルチョッティに乗って6年になるが、各モデルに求められる性能を的確に理解しており、重要なフィードバックをもたらしてくれるんだ」とアレッサンドロ社長は言う。
ロードのハイエンドに位置づけられるのは、CCCスプランディ・ポルコウィチェが使用する「EUREKA SHM50」。ホリゾンタルに近いシンプルな造形ながら、フレームとフォーククラウンの一体化設計やダイレクトマウントブレーキの採用により空気抵抗を低減したオールラウンドな1台だ。
セカンドグレード「EUREKA SX50」は、フレームとフォーククラウンの一体化設計などをハイエンドから受け継ぐ1台で、モビスターの下部チームが使用している。「AlLERO S」は、シートチューブやヘッドのカムテール形状を特徴とするスタンダードモデル。新型の「CARTESIO」はT700カーボンをメイン素材とし、柔軟性高い乗り味に仕上げている。
ラインアップ唯一のクロモリモデル「RECORD」はイタリアでハンドメイドされる1台で、トラディショナルなラグ構造とされている。カーボン製シクロクロスモデル「LEMBEEK」はプロ御用達のピュアレーシングモデルで、ジョエーレ・ベルトリーニ(イタリア)のイタリア選手権男子優勝など、数多くのレースで優勝に貢献。ブレーキはディスクとカンチの両仕様から選択可能だ。
完成車で販売される「CARTESIO」は、国内オリジナルアッセンブルを採用。シマノ105コンポーネント&ホイール、SMPサドル、デダ・エレメンティのハンドル&ステム、コンチネンタルのタイヤなど、信頼性高いパーツ群で固められる。その他モデルについてはフレームセットでの販売が原則となる。
ミズタニ自転車取り扱いのグエルチョッティ2017モデルは、9月末から順次店頭に並ぶ予定だ。各製品の詳細やインプレッションは今後レビューコーナーにて取り上げていく。
text&photo:Yuya.Yamamoto
大規模なマスプロ系から、熟練の職人が切り盛りするハンドメイド系まで、無数の自転車ブランドがひしめきあうイタリア。半生記以上に渡って同国のトップブランドの1つとして、数々の名車と共に輝かしい戦績を残してきたレーシングブランドが、2017モデルより新たな国内展開を開始するグエルチョッティである。
グエルチョッティ社の創業は1964年のこと。シクロクロスの選手だったイタロと、弟のパオロのグエルチョッティ兄弟が、ミラノに構えた20平方メートルという小さなショップが始まりである。創業当初こそ小ブランドだったものの、1970年代中盤には生産規模を大幅に拡張し、アメリカへの輸出を開始。80年代初頭には、アメリカで最もよく知られるイタリアの自転車ブランドとして認知される。その後も順調にブランドは成長し、2004年から現社長のアレッサンドロ氏が舵を取る。
イタリア内外のロードレースチームへのサポートを開始したのは70年代後半から。現在サポートを行うCCCスプランディ・ポルコウィチェに至るまで、ジロ・デ・イタリアを始めとしたヨーロッパのレースで多くの勝利に貢献。同バイクを駆ったミケーレ・スカルポーニやダヴィデ・レベリンの活躍も記憶に新しい所だ。
また、ロードレースと同様かそれ以上に、グエルチョッティが情熱を燃やすのがシクロクロスであり、1997年にパオロ自らが立ち上げて以来、現在に至るまでワークスチームを保有。ダニエル・ポントーニ(イタリア)らが所属し、チームの世界選手権優勝回数は10回以上にものぼる。一昨年の野辺山CXを圧倒的な力で制したジョエーレ・ベルトリーニ(イタリア)もグエルチョッティを駆る1人である。
日本国内におけるグエルチョッティの展開がスタートしたのは2008年ののことと、まだ日が浅い。しかし、同社は日本での更なる普及を目指し、新たな総代理店と契約した。コンチネンタルやクリスキング、トムソンといった有力ブランドの国内総代理店を務め、シマノ製品全般の卸売を行う「ミズタニ自転車」とパートナーシップを組むことになったのだ。ミズタニ自転車で担当を務める佐野真義さんは「グエルチョッティ社との間には20年以上にも渡る深い親交があり、その縁が今回の総代理店契約の締結に結びつきました」と話す。
7月中ごろに都内にて開催された2017モデル発表会では、国内展開モデルの多くが披露された。また、イタリア本国からは前代理店時代からサイクルモードなどにも頻繁に足を運んでいる親日家のアレッサンドロ社長が来場。展示会に訪れたショップ関係者やメディアに自身のブランドをPRした。
現段階で国内展開が決まっているのは、ロード5車種とシクロクロスバイク1車種。クロモリ製のロード1車種を除くバイク全てがカーボン製で、素材は東レと三菱レーヨンから供給を受ける。全車種とも"飽くなき高性能化の追求"という意味が込められた「NO LIMIT CARBON ENGINEERING」という設計手法を取り入れている。素材が持つポテンシャルを最大限に引き出すと同時に、モデルごとのターゲットにマッチした乗り味に最適化しているという。
また、開発段階ではハイエンドのみならず、エントリーグレードに至るまでのほぼ全てのモデルでプロによる実走テストを行っているというから驚きだ。ダヴィデ・レベリンは製品開発に多大な影響を与えるライダーの1人のようで「彼はグエルチョッティに乗って6年になるが、各モデルに求められる性能を的確に理解しており、重要なフィードバックをもたらしてくれるんだ」とアレッサンドロ社長は言う。
ロードのハイエンドに位置づけられるのは、CCCスプランディ・ポルコウィチェが使用する「EUREKA SHM50」。ホリゾンタルに近いシンプルな造形ながら、フレームとフォーククラウンの一体化設計やダイレクトマウントブレーキの採用により空気抵抗を低減したオールラウンドな1台だ。
セカンドグレード「EUREKA SX50」は、フレームとフォーククラウンの一体化設計などをハイエンドから受け継ぐ1台で、モビスターの下部チームが使用している。「AlLERO S」は、シートチューブやヘッドのカムテール形状を特徴とするスタンダードモデル。新型の「CARTESIO」はT700カーボンをメイン素材とし、柔軟性高い乗り味に仕上げている。
ラインアップ唯一のクロモリモデル「RECORD」はイタリアでハンドメイドされる1台で、トラディショナルなラグ構造とされている。カーボン製シクロクロスモデル「LEMBEEK」はプロ御用達のピュアレーシングモデルで、ジョエーレ・ベルトリーニ(イタリア)のイタリア選手権男子優勝など、数多くのレースで優勝に貢献。ブレーキはディスクとカンチの両仕様から選択可能だ。
完成車で販売される「CARTESIO」は、国内オリジナルアッセンブルを採用。シマノ105コンポーネント&ホイール、SMPサドル、デダ・エレメンティのハンドル&ステム、コンチネンタルのタイヤなど、信頼性高いパーツ群で固められる。その他モデルについてはフレームセットでの販売が原則となる。
ミズタニ自転車取り扱いのグエルチョッティ2017モデルは、9月末から順次店頭に並ぶ予定だ。各製品の詳細やインプレッションは今後レビューコーナーにて取り上げていく。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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