2016/04/22(金) - 08:38
100周年を迎えたロンド・ファン・フラーンデレン。その前日に行われた市民レースへと参加された宇賀神善之さんから、参戦レポートが届きました。第1編は前日の準備まで。
私がロンドの市民レースに参加するようになったきっかけ
最初は2013年のサイクルモードだったと思うが、旅行代理店のブースで来年のロンド・ファン・フラーンデレン(以下、RVV)観戦ツアーが催行される事を知った。三船さんがガイドについてくれ、しかも前日に行われる市民レース「ロンド・ファン・フラーンデレン・シクロ(以下、RVVC)」も走れるという魅力的な旅行パックだ。
海外サイクリング、しかもヨーロッパは誰もが走ってみたいと憧れると思うが、初めて訪れる外国でサイクリングとなると、どの道をどう走れば良いのかもわからないだろうし言葉も不安だ。しかし日本で一番RVVを熟知してらっしゃる三船さんがガイドなら不安など微塵も無い。バイクも事前申し込みでレンタルできるので飛行機輪行の手間も省ける。至れり尽くせりの旅行パックで心を揺さぶられたが、この時は行こうかどうしよう考えているうちに年を超してしまい、気付くと締め切りになってしまっていた。
フランドルクラシックシーズンも終わり、シクロワイアードにこのツアーのレポートが掲載されると、その楽しかった様子が伝わり堪らなくなった。「来年は必ず行こう!」そう決めた。
翌年代理店への申し込みも済み、4月よ早く来い、今か今かと指折り数えてると代理店から連絡が。催行最小人数に満たないため中止になったという。なんとしたことか!このために有給休暇も緻密にコントロールし、お金も用意した。心はもうベルギーだ。行きたいものは行きたいのだ!連れてってくれないなら自ら行くのみ。
RVVCの申し込みサイトにアクセスし、レジストレーションバナーをクリック。HISでブリュッセル行きの切符を手配。グーグルマップを開きオーデナールデへの鉄道網をチェック、スタート地点から最も近くて今から予約できるホテルをHotels.comでサーチ。
こうして一人旅となった初海外サイクリング&クラシック観戦は最高の思い出となり、すっかりフランドルに魅了されてしまった。ベルギー人の友人もできてなおさらである。こうして今年も来てしまった。しかも今年はフランドルに加えてルーベにも挑戦する。
テロの影響で急きょ便を変更に。コルトレイクではティンコフのチームカーの列に遭遇。
出発の9日前、3月22日。ブリュッセル空港と地下鉄がテロ攻撃されたというニュースを知る。たくさんの方々が被害に遭われたということで胸を痛めるとともに、この先どうなるのか心配になる。翌日HISから連絡が入りブリュッセル空港行き全便がしばらくの間キャンセルになったと連絡を受けたので、急遽アムステルダム行きの切符を手配する。
なぜ、アムステルダム行きに変更したのかといえば、パリやデュッセルドルフからのアプローチも考えたがブリュッセル駅を通過するため混乱が予想されたからだ。アントウェルペン行きの高速列車も1時間に1本あるのも安心だ。万が一乗り遅れても無駄な時間が1時間以内で済む。
出発当日、成田でシクロワイアードの綾野さんをお見かけした。搭乗ゲートでお会いできたらご挨拶をと思っていたが、かなわずKLM機でAMSに向かう。スキポール空港からは列車を乗り継ぎコルトレイクまで約2時間半。
バッグとしてはいささか大きいOS-500をどこに置いたらいいか車掌さんに訪ねると「バール(軽食を扱う食堂車)に置くといい、スーツケース置き場のあるデッキでは邪魔になってしまうから。」と教えてもらう。指定席の切符だったが愛車とともに食堂車でビールを買って快適な列車の旅。椅子席ではない立ち乗りだが、車窓を楽しみ至福のひとときとなった。
さてコルトレイク駅につくとなんと駅前にティンコフのチームバス、チームカーがドーンと駐車してあり思わず「おーっ!すっげー!!」と声がでてしまう。町はケルメスといわれるお祭り期間中。移動遊園地が設置され大変な賑わいで夜遅くまで大フィーバーだ。ホテルに入り荷物を置いたら街に出る。20時を過ぎてもまだ明るいこの国でビールとフリーテンで簡単に夕食。荷解きは明日にすることにしてベッドに包まれた。
バイクにトラブル発生!地元の自転車店に駆け込むことに
真っ先にコルトレイク駅前のティンコフのチームバスが思い浮かんだ。メカニシャンに頼んで見てもらおうか?いやいやそれはないよ、と自分にツッコミながらでも今日中に解決しないとと、まず自転車店を探すことにする。探すと行っても町と町をつなぐ国道沿いには何も無い。とにかくオーデナールデまで行けばあるはずだ。
不安な気持ちのまましばらく走っていると突然ポンと自転車店が現れた。ウインドーいっぱいにママチャリと子供用自転車がびっしりとディスプレーされている。一見普通の自転車屋さんといった店構えだ。ダメもとで「ヘルプミー」と作業スペースに行くとそこでは高らかにラチェット音を響かせてロードバイクのメンテナンスをしていた。
さすが自転車大国ベルギー!「日本から来たの?明日のために?凄い!」とさっそくバイクを見てくれた。気持ちもリフレッシュ。受付会場に向かうが時間が早かったのでお土産などを物色。あれもこれも欲しいが小さなリュックには限界がある。
14時を過ぎオープンした会場で無事にゼッケンをもらってとりあえずホッとしていると、新聞社の記者さんにインタビューされた。カメラマンさんもやってきて写真も撮らせてくれという。どうせならバイクと一緒に撮ってもらっていいですか?と申し出ると「そりゃあいい!」とノリノリで「もっと笑って!」とか「バイクを持ち上げてこんなカンジで!」とたくさん撮っていただいた。
そんな派手なことをしていたら「ヨシ!」と声がかかる。振り向くと去年知り合ったベルギー人ミッシェルがそこに居た。今年も行くとFBで知らせていたけれど今ここで遭えるとはなんて偶然!ボトルの水で乾杯をして再会を祝った。今日は何かと長い一日だったが結果オーライ。ホテルに帰り明日に備える。
プロフィール
宇賀神善之(うがじんよしゆき)
出版広告制作会社の撮影部を経て、現在はフリーランスフォトグラファーに。撮影ジャンルはビューティからアウトドアまで幅広いが、趣味が高じて近年は遂に自転車分野に着手。写真を通じてロードレースの文化を伝えたいと意気込む。東京と宇都宮のダブルプレイスで活動し、ジャパンカップには深い思い入れがある。目標はプロの観客。
text&photo:YOSHIYUKI UGAJIN
私がロンドの市民レースに参加するようになったきっかけ
最初は2013年のサイクルモードだったと思うが、旅行代理店のブースで来年のロンド・ファン・フラーンデレン(以下、RVV)観戦ツアーが催行される事を知った。三船さんがガイドについてくれ、しかも前日に行われる市民レース「ロンド・ファン・フラーンデレン・シクロ(以下、RVVC)」も走れるという魅力的な旅行パックだ。
海外サイクリング、しかもヨーロッパは誰もが走ってみたいと憧れると思うが、初めて訪れる外国でサイクリングとなると、どの道をどう走れば良いのかもわからないだろうし言葉も不安だ。しかし日本で一番RVVを熟知してらっしゃる三船さんがガイドなら不安など微塵も無い。バイクも事前申し込みでレンタルできるので飛行機輪行の手間も省ける。至れり尽くせりの旅行パックで心を揺さぶられたが、この時は行こうかどうしよう考えているうちに年を超してしまい、気付くと締め切りになってしまっていた。
フランドルクラシックシーズンも終わり、シクロワイアードにこのツアーのレポートが掲載されると、その楽しかった様子が伝わり堪らなくなった。「来年は必ず行こう!」そう決めた。
翌年代理店への申し込みも済み、4月よ早く来い、今か今かと指折り数えてると代理店から連絡が。催行最小人数に満たないため中止になったという。なんとしたことか!このために有給休暇も緻密にコントロールし、お金も用意した。心はもうベルギーだ。行きたいものは行きたいのだ!連れてってくれないなら自ら行くのみ。
RVVCの申し込みサイトにアクセスし、レジストレーションバナーをクリック。HISでブリュッセル行きの切符を手配。グーグルマップを開きオーデナールデへの鉄道網をチェック、スタート地点から最も近くて今から予約できるホテルをHotels.comでサーチ。
こうして一人旅となった初海外サイクリング&クラシック観戦は最高の思い出となり、すっかりフランドルに魅了されてしまった。ベルギー人の友人もできてなおさらである。こうして今年も来てしまった。しかも今年はフランドルに加えてルーベにも挑戦する。
テロの影響で急きょ便を変更に。コルトレイクではティンコフのチームカーの列に遭遇。
出発の9日前、3月22日。ブリュッセル空港と地下鉄がテロ攻撃されたというニュースを知る。たくさんの方々が被害に遭われたということで胸を痛めるとともに、この先どうなるのか心配になる。翌日HISから連絡が入りブリュッセル空港行き全便がしばらくの間キャンセルになったと連絡を受けたので、急遽アムステルダム行きの切符を手配する。
なぜ、アムステルダム行きに変更したのかといえば、パリやデュッセルドルフからのアプローチも考えたがブリュッセル駅を通過するため混乱が予想されたからだ。アントウェルペン行きの高速列車も1時間に1本あるのも安心だ。万が一乗り遅れても無駄な時間が1時間以内で済む。
出発当日、成田でシクロワイアードの綾野さんをお見かけした。搭乗ゲートでお会いできたらご挨拶をと思っていたが、かなわずKLM機でAMSに向かう。スキポール空港からは列車を乗り継ぎコルトレイクまで約2時間半。
バッグとしてはいささか大きいOS-500をどこに置いたらいいか車掌さんに訪ねると「バール(軽食を扱う食堂車)に置くといい、スーツケース置き場のあるデッキでは邪魔になってしまうから。」と教えてもらう。指定席の切符だったが愛車とともに食堂車でビールを買って快適な列車の旅。椅子席ではない立ち乗りだが、車窓を楽しみ至福のひとときとなった。
さてコルトレイク駅につくとなんと駅前にティンコフのチームバス、チームカーがドーンと駐車してあり思わず「おーっ!すっげー!!」と声がでてしまう。町はケルメスといわれるお祭り期間中。移動遊園地が設置され大変な賑わいで夜遅くまで大フィーバーだ。ホテルに入り荷物を置いたら街に出る。20時を過ぎてもまだ明るいこの国でビールとフリーテンで簡単に夕食。荷解きは明日にすることにしてベッドに包まれた。
バイクにトラブル発生!地元の自転車店に駆け込むことに
真っ先にコルトレイク駅前のティンコフのチームバスが思い浮かんだ。メカニシャンに頼んで見てもらおうか?いやいやそれはないよ、と自分にツッコミながらでも今日中に解決しないとと、まず自転車店を探すことにする。探すと行っても町と町をつなぐ国道沿いには何も無い。とにかくオーデナールデまで行けばあるはずだ。
不安な気持ちのまましばらく走っていると突然ポンと自転車店が現れた。ウインドーいっぱいにママチャリと子供用自転車がびっしりとディスプレーされている。一見普通の自転車屋さんといった店構えだ。ダメもとで「ヘルプミー」と作業スペースに行くとそこでは高らかにラチェット音を響かせてロードバイクのメンテナンスをしていた。
さすが自転車大国ベルギー!「日本から来たの?明日のために?凄い!」とさっそくバイクを見てくれた。気持ちもリフレッシュ。受付会場に向かうが時間が早かったのでお土産などを物色。あれもこれも欲しいが小さなリュックには限界がある。
14時を過ぎオープンした会場で無事にゼッケンをもらってとりあえずホッとしていると、新聞社の記者さんにインタビューされた。カメラマンさんもやってきて写真も撮らせてくれという。どうせならバイクと一緒に撮ってもらっていいですか?と申し出ると「そりゃあいい!」とノリノリで「もっと笑って!」とか「バイクを持ち上げてこんなカンジで!」とたくさん撮っていただいた。
そんな派手なことをしていたら「ヨシ!」と声がかかる。振り向くと去年知り合ったベルギー人ミッシェルがそこに居た。今年も行くとFBで知らせていたけれど今ここで遭えるとはなんて偶然!ボトルの水で乾杯をして再会を祝った。今日は何かと長い一日だったが結果オーライ。ホテルに帰り明日に備える。
プロフィール
宇賀神善之(うがじんよしゆき)
出版広告制作会社の撮影部を経て、現在はフリーランスフォトグラファーに。撮影ジャンルはビューティからアウトドアまで幅広いが、趣味が高じて近年は遂に自転車分野に着手。写真を通じてロードレースの文化を伝えたいと意気込む。東京と宇都宮のダブルプレイスで活動し、ジャパンカップには深い思い入れがある。目標はプロの観客。
text&photo:YOSHIYUKI UGAJIN
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