2015/12/29(火) - 09:10
ある日、編集部にて「磯部さん、泥のシクロクロスレースを走った後の洗車ってどうやっているんですか?何か効率良い洗車方法とか、汚れ付きを防ぐノウハウってあるんですかね?」とヘタレが言ってきた。確かに泥レースは楽しいけれど、その後始末はめんどくさい。ここはプロに訊ねてみよう!
CW:というわけで洗車や整備に関するハウツーを教えてもらうべく、野辺山は滝沢牧場にやって参りました。ですが!今年は去年の泥地獄はどこいった?なほどの好天で、2日間を通して泥地獄となったのは数レースのみ。両日ともにC1レースはドライコンディションの高速ペースとしてレースが進むことに…。まずは弱虫ペダルシクロクロスチームのメカニックである、日比谷さんに話を聞きました。日比谷さん、レース中の洗車は30秒以内で済ますって本当ですか?
日比谷メカ:そうですね、大会のマニュアルにもピットの洗車機は30秒以内で、と書いてあるくらいです。野辺山や昨年の全日本選手権のような泥レースでは混み合うので、いかに素早く洗車を終えてスタンバイさせるかが大切だし、マナーですね。
CW:一般レース終了後には洗車場に長蛇の列ができるのが常ですが、洗車時間を短縮するコツは何かありますか?
日比谷メカ:基本はタイヤの泥を落としてから、フレームの上側→下側、ブレーキ周り、ギア周り、そして最後にブラケットという順番だと効率的です。レース中であれば、最悪フレームはそのままでも、とにかくブレーキとブラケットは綺麗にすることが優先ですね。特にブラケットは忘れられがちですが、シビアなハンドル操作を行う上で大切ですよ。
高圧洗浄機はあくまでざっくりと汚れを落とすためのモノですし、どうせ家に帰った後に洗車をしなくてはいけないのでパッと終わらせましょう。あまり近くから噴射すると各部を痛めるので、遠くからかけた方が良いですね。
CW:シクロクロスならではのケミカルの使い方はありますか?
日比谷メカ:弱虫ペダルシクロクロスチームではMuc-Off製品を使いますね。フレームにワックス掛けをしておくと泥付きも少ないですし、洗車の時にもだいぶ楽ができます。
それと、アドバイスとしてはレース前に駆動系を徹底的にクリーニングしておいて欲しいですね。プーリーも泥を巻き込みやすいし、最初から泥が固着していると、それが更に泥を呼んでしまうんです。またワイヤーが外出し式バイクの場合、できればライナー管で水や泥が入らないよう保護してあげれば一番良いですね。それとヘッドパーツやBBにはグリスを多めに盛っておくのもお忘れなく!
CW:日比谷さんありがとうございました!お次は小坂光選手を支える、宇都宮ブリッツェンの田村メカにも話を聞いてみましょう。田村さん、一般の方でも使えるプロメカニックならではのノウハウを、何か教えてください!
田村メカ:うーん、企業秘密を多分に含むので難しいですね(笑)。でも意外と皆さんが気付いていないのが、チューブラータイヤのケアでしょうか。最近はFMBや、宇都宮ブリッツェンでも使うDUGASTといったハンドメイドタイヤを使う方が多いのですが、これは洗車の後にしっかりケアをしてあげないと寿命が縮んでしまうんです。
田村メカ:新しくタイヤを貼る時サイドにコーティング剤を塗ったり、レース後にすぐ泥を落とすのはもちろんですが、保管する時には必ずホイールバッグに収納して室内の日陰に置いておきます。紫外線はタイヤを劣化させますし、リムセメントも高温で弱るので、夏場の保管には注意が必要なんです。こうしておけば2シーズンは平気で持ちますし、ものによっては3シーズン目でも使うことができますよ。
CW:なるほど。「チューブラータイヤは生き物」とは良く言った言葉なんですね。泥や汚れに対する予防策があれば教えてもらえますか?
田村メカ:ロードバイクと比較して水分に接することが多いので、多少回転が重くなったとしても耐水・耐塩グリスを多めに使うのがオススメです。またシクロクロスだとスチールバイク率が高いのですが、高圧洗浄をするとどうしてもフレーム内部に水が浸入するので、帰宅してからシートポストやフォークを抜いて、乾燥させてあげましょう。スプレータイプの潤滑油などをフレーム内部に吹いておくのも対策の一つです。
CW:どうしてもレース後は億劫になってしまいますよね…。自分も反省です。
田村メカ:その気持ちも良く分かるんですが、シクロクロスの基本は「こまめ」です。こまめに掃除とメンテナンスをしてあげれば機材の消耗も抑えられるし、通じてお財布にも優しくなります(笑)。ここはプロチーム以上にホビーレーサーには大事ですよね。
CW:去年どなたか「きちんとウェアの泥を落とさないと洗濯機と共に家庭が壊れる」と仰った方がいましたが、自転車のメンテナンスでも同じことが言えそうですね!田村メカ、ありがとうございました!
男子UCIレース前のお忙しいところ、ご協力頂いた日比谷メカ、田村メカ、ありがとうございました。本記事が好評を頂ければ、他チームの知られざるノウハウを聞く続編を取材しようと思います。乞うご期待。
text:So.Isobe
CW:というわけで洗車や整備に関するハウツーを教えてもらうべく、野辺山は滝沢牧場にやって参りました。ですが!今年は去年の泥地獄はどこいった?なほどの好天で、2日間を通して泥地獄となったのは数レースのみ。両日ともにC1レースはドライコンディションの高速ペースとしてレースが進むことに…。まずは弱虫ペダルシクロクロスチームのメカニックである、日比谷さんに話を聞きました。日比谷さん、レース中の洗車は30秒以内で済ますって本当ですか?
日比谷メカ:そうですね、大会のマニュアルにもピットの洗車機は30秒以内で、と書いてあるくらいです。野辺山や昨年の全日本選手権のような泥レースでは混み合うので、いかに素早く洗車を終えてスタンバイさせるかが大切だし、マナーですね。
CW:一般レース終了後には洗車場に長蛇の列ができるのが常ですが、洗車時間を短縮するコツは何かありますか?
日比谷メカ:基本はタイヤの泥を落としてから、フレームの上側→下側、ブレーキ周り、ギア周り、そして最後にブラケットという順番だと効率的です。レース中であれば、最悪フレームはそのままでも、とにかくブレーキとブラケットは綺麗にすることが優先ですね。特にブラケットは忘れられがちですが、シビアなハンドル操作を行う上で大切ですよ。
高圧洗浄機はあくまでざっくりと汚れを落とすためのモノですし、どうせ家に帰った後に洗車をしなくてはいけないのでパッと終わらせましょう。あまり近くから噴射すると各部を痛めるので、遠くからかけた方が良いですね。
CW:シクロクロスならではのケミカルの使い方はありますか?
日比谷メカ:弱虫ペダルシクロクロスチームではMuc-Off製品を使いますね。フレームにワックス掛けをしておくと泥付きも少ないですし、洗車の時にもだいぶ楽ができます。
それと、アドバイスとしてはレース前に駆動系を徹底的にクリーニングしておいて欲しいですね。プーリーも泥を巻き込みやすいし、最初から泥が固着していると、それが更に泥を呼んでしまうんです。またワイヤーが外出し式バイクの場合、できればライナー管で水や泥が入らないよう保護してあげれば一番良いですね。それとヘッドパーツやBBにはグリスを多めに盛っておくのもお忘れなく!
CW:日比谷さんありがとうございました!お次は小坂光選手を支える、宇都宮ブリッツェンの田村メカにも話を聞いてみましょう。田村さん、一般の方でも使えるプロメカニックならではのノウハウを、何か教えてください!
田村メカ:うーん、企業秘密を多分に含むので難しいですね(笑)。でも意外と皆さんが気付いていないのが、チューブラータイヤのケアでしょうか。最近はFMBや、宇都宮ブリッツェンでも使うDUGASTといったハンドメイドタイヤを使う方が多いのですが、これは洗車の後にしっかりケアをしてあげないと寿命が縮んでしまうんです。
田村メカ:新しくタイヤを貼る時サイドにコーティング剤を塗ったり、レース後にすぐ泥を落とすのはもちろんですが、保管する時には必ずホイールバッグに収納して室内の日陰に置いておきます。紫外線はタイヤを劣化させますし、リムセメントも高温で弱るので、夏場の保管には注意が必要なんです。こうしておけば2シーズンは平気で持ちますし、ものによっては3シーズン目でも使うことができますよ。
CW:なるほど。「チューブラータイヤは生き物」とは良く言った言葉なんですね。泥や汚れに対する予防策があれば教えてもらえますか?
田村メカ:ロードバイクと比較して水分に接することが多いので、多少回転が重くなったとしても耐水・耐塩グリスを多めに使うのがオススメです。またシクロクロスだとスチールバイク率が高いのですが、高圧洗浄をするとどうしてもフレーム内部に水が浸入するので、帰宅してからシートポストやフォークを抜いて、乾燥させてあげましょう。スプレータイプの潤滑油などをフレーム内部に吹いておくのも対策の一つです。
CW:どうしてもレース後は億劫になってしまいますよね…。自分も反省です。
田村メカ:その気持ちも良く分かるんですが、シクロクロスの基本は「こまめ」です。こまめに掃除とメンテナンスをしてあげれば機材の消耗も抑えられるし、通じてお財布にも優しくなります(笑)。ここはプロチーム以上にホビーレーサーには大事ですよね。
CW:去年どなたか「きちんとウェアの泥を落とさないと洗濯機と共に家庭が壊れる」と仰った方がいましたが、自転車のメンテナンスでも同じことが言えそうですね!田村メカ、ありがとうございました!
男子UCIレース前のお忙しいところ、ご協力頂いた日比谷メカ、田村メカ、ありがとうございました。本記事が好評を頂ければ、他チームの知られざるノウハウを聞く続編を取材しようと思います。乞うご期待。
text:So.Isobe
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