2015/11/05(木) - 09:05
秋の人気エンデューロとしてすっかり定着した「もてぎ7耐」こと、もてぎ7時間エンデューロ。参加者2割増と、過去最大の盛り上がりを見せた、関東地方屈指の人気大会の様子をお届けしましょう。
もてぎ7時間エンデューロの舞台となるのは際的に知名度の高い栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」。motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ国際的なサーキットである。
コースとなるのは、1周4.8kmの「ロードコース」。起伏に富んだ地形の中に設けられたサーキットには、大小さまざまなコーナー14か所が設けられるテクニカルコース。地脚もそうだが、コーナリングテクニックやペーシングスキルなど、速さを求めるのであれば総合的な力が要求されるコースである。
大会が行われた10月31日はかなりの冷え込みとなった。朝、サーキットに集まってくる参加者のみなさん。長袖ジャージにタイツを着用している人がかなりの割合を占めており、出走するまでは暖かいコートを羽織っている人も沢山。曇り空ではあったものの、雨は降ることがなかったのは幸いだろう。
参加チーム2,279チーム、参加者数4,008名と関東地方のエンデューロイベントとしては押しも押されぬ大規模イベントへと成長したもてぎ7耐。全国的に見ても、参加者数で優っているのは2日間開催のシマノ鈴鹿ぐらいかもしれない。ちなみに昨年比でも約2割の参加者増加となっており、その人気ぶりがうかがい知れる。
大幅な人数の増加に合わせて、今年はピットの様子も少し様変わりしていた。従前であれば、パドック以外は野ざらしであり、持ち込みのテントを用意する必要があった。しかし今年はピットエリアにテントが設置され、より多くの参加者が屋根の下で準備出来るようになったのだ。コストのかかる対応ではあるが、こういった参加者への配慮が人気の秘訣でもあるのだろう。
さて、朝の試走タイムが終わると、子どもたちのレースが始まる。未就学児のひよこレース、小学生低学年、高学年と3クラスのレースが開催され、スタート地点には大勢の家族たちが詰めかける。一生懸命さがかわいらしいひよこレースから、大人顔負けの本格的なレースを繰り広げる小学生高学年のレースまで、ホームストレートは大盛り上がり。
キッズ、そしてファミリーに優しいのもこの大会の特長の一つ。就学児であれば、キッズ種目だけでなくエンデューロにも参戦することが出来ること、そして保護者が伴走することが認められていることで、1日中家族で楽しむことが出来るのだ。
白熱のキッズバトルの裏側では、サポートライダーとして参加する宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼン、群馬グリフィンの選手らによる自転車クリニックも行われ、多くの人を集めていた。家族連れも本格派もエンデューロスタート前のひと時を楽しめる工夫がされているのだ。
そして、9時からメイン種目となるエンデューロがスタート。最も人気の4時間エンデューロが9時ちょうどに、最長種目となる7時間エンデューロがその4分後にスタートしていく。後ろが見えないほどの長いスタート列は、全参加者がスタートを切るのにかなり時間がかかるほどだ。
今年はハロウィンということもあり、仮装して走る方が多かったのが印象的。ハロウィンのオーナメントをヘルメットにつける人から、全身タイツのウルトラマン(?)まで、さまざまな楽しみ方で、自転車とハロウィンをエンジョイしていた。
4時間エンデューロが終わりに近づくころ、メインステージ横ではゲストの新城選手による記念撮影が行われ、長蛇の列が。今年、長年所属したユーロップカーを離れ、ランプレ・メリダへの移籍を発表した新城選手とともに写真に収まろうと集まった多くのファン達。中にはジャージにサインをもらう人も。そんな新城選手は、トークショーの後、2時間エンデューロへと参戦。集団の中でも参加者のみなさんとにこやかに談笑しながら走っている姿がとても印象的だった。
他にも、エンデューロ開催中にはトップDHライダーの井手川直樹選手による子ども自転車上達教室が行われており、エンデューロに参加できない年齢のキッズ達も退屈することなく7時間を過ごせるようになっている。井手川選手が見守る中、いくつかの障害物やスラロームが設けられたコースを、ルイガノのキッズバイクで縦横無尽に駆け回る姿は見ているだけで楽しそう。
そうこうしているうちに、あっというまに7時間エンデューロも終了。スプリントで西谷雅史(チーム オーベスト)を下し、7時間に及ぶ激闘を制したのはディフェンディングチャンピオンである中野公之選手(スターラインジャパン)。61周、平均時速41.41kmという記録で、今年は総合でも優勝を飾ることとなった。
年々盛り上がりを増していくもてぎ7耐。「これまでスポーツバイクに乗ってはいたけれど、イベントは初めてという方が沢山参加していただいています。motoGPを開催できるだけの設備が整ったサーキットで、安全にレースを楽しめるというのは、イベントデビューにもぴったりだと思います。」とは大会事務局の山本勇希さん。
実は、もてぎ7耐はただコースを借りて開催している大会ではなく、ツインリンクもてぎ自体が主催となっており、コース上の監視カメラや、マーシャルスタッフ、無線体制や緊急車両といった、安全面にかかわる部分が非常にしっかりとしているのだ。実際、コース上を取材していても、トラブル発生と同時に連絡が行き交い、迅速な対処がされていた。
こういった目には入りづらい部分がしっかりとしていることがこれだけ多くのサイクリストを集めることにつながり、また多くのサイクリストが怪我無く安心してイベントを楽しめる土台になっているのであろう。レースに出てみたい、集団走行してみたい、でも落車や事故が怖い、という人は多いと思う。しかし、その楽しさは走ってみないとやはり味わえないもの。最少のリスクで、最高のエンターテイメントを堪能できるデビューイベントとして、もてぎ7耐はぴったりのはずだ。
text&photo:Naoki.YASUOKA
もてぎ7時間エンデューロの舞台となるのは際的に知名度の高い栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」。motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ国際的なサーキットである。
コースとなるのは、1周4.8kmの「ロードコース」。起伏に富んだ地形の中に設けられたサーキットには、大小さまざまなコーナー14か所が設けられるテクニカルコース。地脚もそうだが、コーナリングテクニックやペーシングスキルなど、速さを求めるのであれば総合的な力が要求されるコースである。
大会が行われた10月31日はかなりの冷え込みとなった。朝、サーキットに集まってくる参加者のみなさん。長袖ジャージにタイツを着用している人がかなりの割合を占めており、出走するまでは暖かいコートを羽織っている人も沢山。曇り空ではあったものの、雨は降ることがなかったのは幸いだろう。
参加チーム2,279チーム、参加者数4,008名と関東地方のエンデューロイベントとしては押しも押されぬ大規模イベントへと成長したもてぎ7耐。全国的に見ても、参加者数で優っているのは2日間開催のシマノ鈴鹿ぐらいかもしれない。ちなみに昨年比でも約2割の参加者増加となっており、その人気ぶりがうかがい知れる。
大幅な人数の増加に合わせて、今年はピットの様子も少し様変わりしていた。従前であれば、パドック以外は野ざらしであり、持ち込みのテントを用意する必要があった。しかし今年はピットエリアにテントが設置され、より多くの参加者が屋根の下で準備出来るようになったのだ。コストのかかる対応ではあるが、こういった参加者への配慮が人気の秘訣でもあるのだろう。
さて、朝の試走タイムが終わると、子どもたちのレースが始まる。未就学児のひよこレース、小学生低学年、高学年と3クラスのレースが開催され、スタート地点には大勢の家族たちが詰めかける。一生懸命さがかわいらしいひよこレースから、大人顔負けの本格的なレースを繰り広げる小学生高学年のレースまで、ホームストレートは大盛り上がり。
キッズ、そしてファミリーに優しいのもこの大会の特長の一つ。就学児であれば、キッズ種目だけでなくエンデューロにも参戦することが出来ること、そして保護者が伴走することが認められていることで、1日中家族で楽しむことが出来るのだ。
白熱のキッズバトルの裏側では、サポートライダーとして参加する宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼン、群馬グリフィンの選手らによる自転車クリニックも行われ、多くの人を集めていた。家族連れも本格派もエンデューロスタート前のひと時を楽しめる工夫がされているのだ。
そして、9時からメイン種目となるエンデューロがスタート。最も人気の4時間エンデューロが9時ちょうどに、最長種目となる7時間エンデューロがその4分後にスタートしていく。後ろが見えないほどの長いスタート列は、全参加者がスタートを切るのにかなり時間がかかるほどだ。
今年はハロウィンということもあり、仮装して走る方が多かったのが印象的。ハロウィンのオーナメントをヘルメットにつける人から、全身タイツのウルトラマン(?)まで、さまざまな楽しみ方で、自転車とハロウィンをエンジョイしていた。
4時間エンデューロが終わりに近づくころ、メインステージ横ではゲストの新城選手による記念撮影が行われ、長蛇の列が。今年、長年所属したユーロップカーを離れ、ランプレ・メリダへの移籍を発表した新城選手とともに写真に収まろうと集まった多くのファン達。中にはジャージにサインをもらう人も。そんな新城選手は、トークショーの後、2時間エンデューロへと参戦。集団の中でも参加者のみなさんとにこやかに談笑しながら走っている姿がとても印象的だった。
他にも、エンデューロ開催中にはトップDHライダーの井手川直樹選手による子ども自転車上達教室が行われており、エンデューロに参加できない年齢のキッズ達も退屈することなく7時間を過ごせるようになっている。井手川選手が見守る中、いくつかの障害物やスラロームが設けられたコースを、ルイガノのキッズバイクで縦横無尽に駆け回る姿は見ているだけで楽しそう。
そうこうしているうちに、あっというまに7時間エンデューロも終了。スプリントで西谷雅史(チーム オーベスト)を下し、7時間に及ぶ激闘を制したのはディフェンディングチャンピオンである中野公之選手(スターラインジャパン)。61周、平均時速41.41kmという記録で、今年は総合でも優勝を飾ることとなった。
年々盛り上がりを増していくもてぎ7耐。「これまでスポーツバイクに乗ってはいたけれど、イベントは初めてという方が沢山参加していただいています。motoGPを開催できるだけの設備が整ったサーキットで、安全にレースを楽しめるというのは、イベントデビューにもぴったりだと思います。」とは大会事務局の山本勇希さん。
実は、もてぎ7耐はただコースを借りて開催している大会ではなく、ツインリンクもてぎ自体が主催となっており、コース上の監視カメラや、マーシャルスタッフ、無線体制や緊急車両といった、安全面にかかわる部分が非常にしっかりとしているのだ。実際、コース上を取材していても、トラブル発生と同時に連絡が行き交い、迅速な対処がされていた。
こういった目には入りづらい部分がしっかりとしていることがこれだけ多くのサイクリストを集めることにつながり、また多くのサイクリストが怪我無く安心してイベントを楽しめる土台になっているのであろう。レースに出てみたい、集団走行してみたい、でも落車や事故が怖い、という人は多いと思う。しかし、その楽しさは走ってみないとやはり味わえないもの。最少のリスクで、最高のエンターテイメントを堪能できるデビューイベントとして、もてぎ7耐はぴったりのはずだ。
text&photo:Naoki.YASUOKA
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