2015/11/02(月) - 09:55
日本のゆるキャラブームの火付け役である大人気キャラクターの「くまモン」。全国的に愛されているくまモンとイタリアのデローザが予想外のコラボレーションを果たした模様をお届けします。
くまモン デローザにきたモン! photo:Masaki Miyai
「くまモンがデローザの工房へ行くことになりました」。ある日、熊本県からプレスリリースでお知らせが届いた。日々さまざまな自転車の最新情報に触れている私達ですら、耳を疑う話だった。状況も理由もわからない。ただ、なんとなく「おもしろそう」という漠然とした期待感はあったのだが、結論からいうと、前代未聞の超絶おもしろ展開となった。
さて、くまモンといえば、2011年ゆるキャラランキング第1位に輝いた、おそらく日本でいちばん有名な熊本県出身のクマ(男の子)だ。公式HPによれば「いちおう公務員」で、熊本県知事から県の「営業部長兼しあわせ部長」に任命されている。そんな彼が、なぜデローザへ行くのか? これにはちょっとした理由があった。
キッカケは、サイクリストに絶大な人気を誇るコミック『弱虫ペダル』の劇場版。舞台は熊本県だった同作品へ、PR活動の一環で出演したくまモンは、以来ロードバイクの魅力にドップリはまり、「ぼくもロードバイクが欲しいモン」と思いを馳せていた。そんななか、黒、白、赤をブランドカラーとする「デローザ」に目が留まり、「ぼくと同じだモン!」と衝撃を受ける。
いてもたってもいられなくなった彼は、クマ並みはずれた情報収集能力を駆使して調査を開始。どんなブランドなのか、なぜこんなに美しいのか。調べているうちに、デローザを作っているところを見てみたい!と気持ちが高じ、“営業部長案件”として本場イタリアへ行くことを決意した、ということらしい。
イタリアにあるデローザの工房。世界中からオーダーされたブラックラベルのフレームたちが並ぶ
イタリアのロンバルディア州にある「ギッザロ教会」。エディ・メルクスの実車(デローザ製)などが展示されている
ミラノ郊外に残る、ウーゴが最初に立ち上げた工房の跡地。手前から2つ目の扉(灰色のシャッター)がそれだ
デローザ工場の外観。看板などの目印はなく、シャッターを開けるときれいなショールームが現れる
じつはこの営業部長案件は、ドイツの光学機器ブランド「ライカ」やフランスのクリスタルブランド「バカラ」、日本の二輪ブランド「ホンダ」など、数々の有名企業とコラボした実績をもつ、くまモンの飛び道具的権限なのだ。くまモン隊のお姉さん(しゃべれないくまモンの通訳&アテンドを担当)に航空券を手配してもらい、デローザの日本でのディストリビュータの日直商会と連携しながら、お得意のサプライズで工房を突撃見学しようと考えたのだ。
デローザ本社があるのは、イタリア、ミラノ北部の街クザーノミラニーノ。大きな倉庫のような建物が立ち並ぶ工業地域で、ミラノ・マルペンサ空港から車で約1時間の場所に位置する。茶色い工場の外観にはロゴも看板もないが、1階にショールームがあったので、くまモンにもすぐにそれとわかった。
美しいバイクと鮮やかなチームジャージが並び、くまモンのほっぺと同じ赤色のハートマークが見える。「ここだモン!」と大きな目をさらに見開き、お姉さんそっちのけで興奮するくまモン。営業部長として、日本を代表するデローザファンとして、勇気を振りしぼり元気いっぱいに突入した。
「ッくーーまモーーーーン!!」
入り口を入って右手には、デローザや姉妹ブランドのMilanino(ミラニーノ)が展示されている。ウエアの販売スペースもある
左手にある打合せスペース。奥の赤いイスがウーゴの特等席だ。ガラス窓の向こうが工場となっている
絶好調のくまモンが繰り出したロードバイクのライディングポーズ……らしい。(横にいるお姉さん談
こうして突如現れた黒い珍獣。イタリア語どころかしゃべることができないので、いつにも増してコミカルに動きながら、アドレナリン全開でアピールするくまモン。お姉さんは通訳が追い付かずにたじろいでいる。しかし、ショールームにいたデローザファミリーは意外にも笑顔で、言葉を気にせず言うなれば “大ウケ” で迎えてくれた。
さらに、「デローザに憧れて、熊本県から来たんだモン!」と叫びながら(フリ)、この日のために練習したという“ライディングポーズ”をキメる。すると、創始者にして伝説のビルダー、ウーゴ・デローザがくまモンの手を取り、やさしい口調で応えてくれた。「チャオ、くまモンさん。よく来てくれました。われわれがミラノで作り続けている、4つの素材の自転車をお見せしましょう」。
無造作に置かれた職人の道具。効率的に作られた治具と熟練した手作業により至高のフレームが生まれる
新作のスチールモデル「アジェ」。できたてのメッキフレームは心なしか輝きも増して見える
ニューモデルSK Pininfarinaの塗装前フレームを発見!無造作に置かれたプロトタイプのフレームもあって面白い
フレームのもととなる部材も、工房のあちこちに見られた。ロゴマークが誇らしげに刻まれる
ショールームの奥に広がる工場は、まるで巨大な倉庫のようだ。現在、既成サイズのカーボンフレームは台湾で生産しているが、「ブラックラベル」のフレームたちはすべてこの工場で生産され、世界中のユーザーに届けられている。
ブラックラベルとは、2013年のブランド60周年を機に登場したプロジェクトで、かつて多くの栄光を勝ち取ってきた「カスタムメイド」で造られるフレームのこと。デローザのアイデンティティでもある4つの素材で展開され、プロトス、アジェ、スカンジウム、ヌーボクラシコ、コラム、チタニオに対応している。
組み付け途中のフレームをイジりはじめるくまモン。怒られるかと思いきや、職人も大ウケでパシャリ
チタニオを溶接するニコラス。「まぶしいモン!」と驚くが、手が目に届かないモン……
なぜか万力に手を挟んでリアクション芸を披露。イタリアの職人にはツボだったらしく、2回くらいやっていた
これら各フレームの製造スペースから、組み付けスペース、梱包スペース、耐久性試験機、保管庫、新製品の開発を行う会議室などを案内してくれたのは、長男のダニーロだ。これまでいろいろな場所を訪れてきたくまモンも感動を隠せない様子で、「これはなんだモン!?」と見るものすべてに興味津々。
組み付け途中のフレームをさわったり、万力に手を挟んでみたり、治具に顔をスリスリしてみたり……ハシャぎすぎているようにも見えたが、それも人情もといクマ情。そして、リアルな工房感を満喫した以上、フレームの製造現場も見たくなるのがクマの性だ。「フレームを作ってほしいモン!」とワガママを言ってみる。
ダニーロによれば、この日はスチールフレームの製造現場のみお休みだが、その他の素材は見学できるとのこと。まずは弱冠23歳にして次世代のデローザを継ぐ職人ニコラス(三男クリスティアーノの息子)が「チタニオ」を、そして、金属フレームのベテラン職人アレッシオが「コラム」を溶接してくれた。
バチバチと光を出しながらパイプとパイプをつないでいくティグ溶接に、「す、すごいモーンッ!」と驚くくまモン。まぶしくてツラいのを我慢しながら(まぶたがないので)、職人の技を文字どおり目に焼き付ける。
カーボンの軽さに目を丸くするくまモン。あろうことかゴルフのスイングをしはじめたが、これも職人にウケていた
オーナーのサイズに合わせて作られたカーボンのピースを、接着剤で接合していく。非常に手間のかかる作業だ
アレッシオはチタンフレームも得意。寸分狂わぬすぐれた溶接技術で、デローザを支えるベテラン職人だ
「プロトス」の製造現場はジョバンニが見せてくれた。「持ってごらん?」と最高級フレームのチューブを渡されると、あまりの軽さに驚愕した。さまざまな素材でフレームが造られていることを学んだくまモンは、自分でも何かやりたくなってしまい、「ぼくもフレームを造りたいモン」とワガママを続ける。さすがのお姉さんも「それはムリだよ~」となだめるが、「スカンジウムパイプをカットしてみるかい?」とダニーロが笑った。音のない雄叫びをあげるくまモン。
手順を聞き、おそらく関係のない屈伸などをしてウォームアップ。ところが、機械に手をかけると、ミトンのようなくまモンの手では安全装置のスイッチ(通常、人の手ならば人差し指で押すボタン)が押せないことが発覚し、機械が動かない。ぼう然とするくまモン。
「ま、また今度にしよっか?ね!」とお姉さんがフォローした瞬間、ギャリギャリと歯が動き出し、見事にパイプをカット。なんと親指で器用にボタンを押すというクマとは思えない機転を利かせたらしく、職人たちも思わず「ブラボ~!」と喜んで、妙な一体感が生まれた。
パイプをカットするくまモン。営業部長のマルチな才能が生んだ奇跡の瞬間に大盛り上がり。おそらくイタリア自転車史上もっともシュールな絵だ
日本では決して見ることができない職人技を見学、体験したくまモン。もともと自分と同じ色だからという簡単な理由で気に入ったデローザだが、本場イタリアにて今なおカスタムメイドにこだわり、スチール、アルミ、チタン、カーボンといった各素材を生かしながら、乗って気持ちよく、速く、なにより美しいバイクを生み出す至高のブランドだった。
すっかりファンになってしまい、残惜しそうに工房をウロウロしていると、ファミリーが集まってきて「写真を撮ろう!」と言ってきた。そして、喜ぶくまモンにニコラスが1台のバイクをプレゼント。「キミのために特別に造ったんだぜ!」
それはニコラスの名を冠したカーボンバイクの新作、Nick(ニック)のくまモンカラーバージョンだった。サプライズとして訪れたくまモンが、憧れのブランドに逆サプライズされるというまさかの展開に「ッモーーーーン!!!」と昇天寸前。すがりつくようにバイクをなでまわし、ファミリーにハグをする。最後はダニーロの美しい愛娘ソフィアもかけつけ、全員集合でとっておきの記念写真を撮影した。
いよいよファミリーとお別れのとき、くまモンは最後にもうひとつだけワガママを言った。「ウーゴさんのサインが欲しいんだモン」。「チェルト(もちろん)!」とほほ笑んだウーゴ・デローザはペンをとり、ニックのトップチューブに慣れた手つきでサインをする。
「ぼくの使命はサプライズとハピネスの種まきだモン。このすばらしいバイクをサイクルモードに展示して、日本のファンにプレゼントしてあげるんだモン!」。
ファミリーたちと笑顔の記念撮影。ブランドへのプライドを大事にする気さくな職人たちは本当にカッコよかった
ファミリーからの逆サプライズに歓喜するくまモン。黒、白、赤のカラーにくまモンをあしらった特別デザインのニック
くまモンバージョンのニックに書かれた、ウーゴの直筆サイン。はたして世界でひとつのハピネスはだれの手に?
本当は手放したくないが、みんなの幸せために涙をこらえるくまモン。「あげちゃうの?本当にいいの?」と茶化すお姉さんだったが、彼の営業部長としての心意気、イタリアと日本をつなぐ架け橋としてのはたらきに、デローザファミリーも喜んだ。
くまモンのデローザNickをサイクルモードで展示、抽選でプレゼント!
こうして、思いつきの営業部長案件は完璧なオチをもって無事完了した。このデローザ工場での様子は、デローザジャパンのフェイスブックページにて公開しているのでチェックしてみよう。くまモンカラーのニックは、サイクルモードインターナショナル2015のプレゼントキャンペーンブースにて展示され、厳正な抽選の上、幸運なひとりのサイクリストの元に届けられる。(プレゼントキャンペーンは事前申し込みが必要。登録はサイクルモードプレゼントキャンペーンページから)
ここだけの話、くまモンも11月8日にデローザブースに来場予定だ。世界でも類を見ない、最高のコラボレーションバイクをその目で見よう。
report:Atsushi.Tomohiro (BiCYCLE CLUB)
くまモン デローザNickの紹介 日直商会より
ベースとなったのはデローザのニューモデル、Nick(ニック)。創業者ウーゴ・デ・ローザ氏の孫、ニコラスのニックネームから命名された、エントリーレベルから中級者まで、あらゆるライディングシーンにおいてロードバイクを楽しめる1台です。ノーマルモデルはポップなカラーリングが特長のNickですが、ワンオフペイントのスペシャルモデルはくまモンを構成するカラーである黒、白、赤の3色だけで構成されています。ヘッドバッジにはくまモンの顔、シートチューブには足跡がデザインされた遊び心満載のフレームが目を惹きます。くまモンNickは非売品で、サイクルモードインターナショナル2015の「累計入場者数50万人を突破記念プレゼントキャンペーン」の賞品として、キャンペーンページに登録された方の中から抽選でプレゼントされます。
くまモン デローザNick ダウンチューブにKUMAMON、ヘッドバッジにはくまモンの顔、シートチューブには足跡がデザインされる
くまもんNickの展示&くまモン来場の詳細
くまモンNickはサイクルモード会場内に展示されます。展示場所のブースナンバーは3-45-1。メインステージの近く「プロショップGO!GO!キャンペーンチケット配布所」。プレゼントの応募はインターネットの専用サイトから登録が必要ですが、会場内でスマートフォンからの登録も可能です。
そして、くまモン自身も来場します。来場は11月8日の日曜日。時間は11:30~12:00。会場内DE ROSAブース(4-33)の特設ステージにて、くまモンのデローザ訪問報告を行い、このステージの時のみ、くまモンNickもステージに上がります。
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さて、くまモンといえば、2011年ゆるキャラランキング第1位に輝いた、おそらく日本でいちばん有名な熊本県出身のクマ(男の子)だ。公式HPによれば「いちおう公務員」で、熊本県知事から県の「営業部長兼しあわせ部長」に任命されている。そんな彼が、なぜデローザへ行くのか? これにはちょっとした理由があった。
キッカケは、サイクリストに絶大な人気を誇るコミック『弱虫ペダル』の劇場版。舞台は熊本県だった同作品へ、PR活動の一環で出演したくまモンは、以来ロードバイクの魅力にドップリはまり、「ぼくもロードバイクが欲しいモン」と思いを馳せていた。そんななか、黒、白、赤をブランドカラーとする「デローザ」に目が留まり、「ぼくと同じだモン!」と衝撃を受ける。
いてもたってもいられなくなった彼は、クマ並みはずれた情報収集能力を駆使して調査を開始。どんなブランドなのか、なぜこんなに美しいのか。調べているうちに、デローザを作っているところを見てみたい!と気持ちが高じ、“営業部長案件”として本場イタリアへ行くことを決意した、ということらしい。
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デローザ本社があるのは、イタリア、ミラノ北部の街クザーノミラニーノ。大きな倉庫のような建物が立ち並ぶ工業地域で、ミラノ・マルペンサ空港から車で約1時間の場所に位置する。茶色い工場の外観にはロゴも看板もないが、1階にショールームがあったので、くまモンにもすぐにそれとわかった。
美しいバイクと鮮やかなチームジャージが並び、くまモンのほっぺと同じ赤色のハートマークが見える。「ここだモン!」と大きな目をさらに見開き、お姉さんそっちのけで興奮するくまモン。営業部長として、日本を代表するデローザファンとして、勇気を振りしぼり元気いっぱいに突入した。
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ダニーロによれば、この日はスチールフレームの製造現場のみお休みだが、その他の素材は見学できるとのこと。まずは弱冠23歳にして次世代のデローザを継ぐ職人ニコラス(三男クリスティアーノの息子)が「チタニオ」を、そして、金属フレームのベテラン職人アレッシオが「コラム」を溶接してくれた。
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いよいよファミリーとお別れのとき、くまモンは最後にもうひとつだけワガママを言った。「ウーゴさんのサインが欲しいんだモン」。「チェルト(もちろん)!」とほほ笑んだウーゴ・デローザはペンをとり、ニックのトップチューブに慣れた手つきでサインをする。
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くまモンのデローザNickをサイクルモードで展示、抽選でプレゼント!
こうして、思いつきの営業部長案件は完璧なオチをもって無事完了した。このデローザ工場での様子は、デローザジャパンのフェイスブックページにて公開しているのでチェックしてみよう。くまモンカラーのニックは、サイクルモードインターナショナル2015のプレゼントキャンペーンブースにて展示され、厳正な抽選の上、幸運なひとりのサイクリストの元に届けられる。(プレゼントキャンペーンは事前申し込みが必要。登録はサイクルモードプレゼントキャンペーンページから)
ここだけの話、くまモンも11月8日にデローザブースに来場予定だ。世界でも類を見ない、最高のコラボレーションバイクをその目で見よう。
report:Atsushi.Tomohiro (BiCYCLE CLUB)
くまモン デローザNickの紹介 日直商会より
ベースとなったのはデローザのニューモデル、Nick(ニック)。創業者ウーゴ・デ・ローザ氏の孫、ニコラスのニックネームから命名された、エントリーレベルから中級者まで、あらゆるライディングシーンにおいてロードバイクを楽しめる1台です。ノーマルモデルはポップなカラーリングが特長のNickですが、ワンオフペイントのスペシャルモデルはくまモンを構成するカラーである黒、白、赤の3色だけで構成されています。ヘッドバッジにはくまモンの顔、シートチューブには足跡がデザインされた遊び心満載のフレームが目を惹きます。くまモンNickは非売品で、サイクルモードインターナショナル2015の「累計入場者数50万人を突破記念プレゼントキャンペーン」の賞品として、キャンペーンページに登録された方の中から抽選でプレゼントされます。
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くまもんNickの展示&くまモン来場の詳細
くまモンNickはサイクルモード会場内に展示されます。展示場所のブースナンバーは3-45-1。メインステージの近く「プロショップGO!GO!キャンペーンチケット配布所」。プレゼントの応募はインターネットの専用サイトから登録が必要ですが、会場内でスマートフォンからの登録も可能です。
そして、くまモン自身も来場します。来場は11月8日の日曜日。時間は11:30~12:00。会場内DE ROSAブース(4-33)の特設ステージにて、くまモンのデローザ訪問報告を行い、このステージの時のみ、くまモンNickもステージに上がります。
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