2015/09/15(火) - 09:06
すっかり季節も秋に移り変わった9月6日(日)、長野県大町市を中心に1市4村をまたぐロングライド「北アルプス山麓グランフォンド」が開催された。北アルプスや仁科三湖を望み、信州の味覚を堪能できるイベントの中から100kmコースの実走レポートをお届けする。
夏も過ぎ去り、秋が顔を見せつつある9月6日に開催された長野県大町市一帯を走るロングライドイベント「北アルプス山麓グランフォンド」。鹿島槍ヶ岳や剣岳、乗鞍岳などヒルクライマーにお馴染みの標高2000m級の名峰や、仁科三湖の景観、信州地場のグルメを堪能できることが人を呼ぶイベントだ。
大会前日はウェルカムイベントや、スペシャライズドによる女子会ライドなどが開かれており、一足先に長野の大自然を満喫してイベント前日を楽しむことができる。また、大町市と連携した、のんべえにはたまらない「三蔵飲み歩き」というイベントも開かれる。信濃大町市街をそぞろ歩きながら地酒を楽しむというこのイベント、昨年よりも多い1600個用意されたおちょこが売り切れてしまうほど盛り上がったというから、参加できなかったことを悔やむしか無い。
さて、大会当日の朝。安曇野ICに降り立ったシクロワイアード号は激しい雨に遭遇してしまう。天気予報よりも2足ほどはやい降雨に気をもみながら、メイン会場の鹿島槍スポーツヴィレッジ(以下、鹿島槍SV)を目指していく。朝6時過ぎに鹿島槍SVにたどり着くと雨は止み、鹿島槍ヶ岳の頂が顔をのぞかせるほど雲の位置も高い。「これは天気が持つだろう」なんて思いながら取材準備にとりかかる。
雨は降っていないものの気温は低いため、アームウォーマーやウィンドブレーカーを着こみ、雨天を覚悟する。取材班もハイエースでの伴走取材を考えながらも、太陽が顔をのぞかせることを祈りつつ、自転車実走用の装備で身を固める。
7時になりMCアケさんの目がさめるような元気いっぱいの声とともにイベントが始まる。120kmコースに参加する健脚派たちがスタートする姿を写真におさめていく。今回、シクロワイアード取材班がおじゃまをしたのは100kmコース。鹿島槍SVを出て白馬、栂池高原、木崎湖、松川、大町と巡る平坦基調のコースだ。
例年走っている120kmでなく100kmコースにしたのは、大会実行委員の鈴木幸佳さん(ぐるった大町ネットワーク)に、「女性にもオススメの100kmコースをぜひ体験してみて!」とプッシュされたからだ。
100kmコースの参加者たちの顔ぶれはバラエティに富んでいて、小中学生やカップル、一家揃っての参加の方などが目立っていた。話を聞くところでは、過去にも北アルプス山麓グランフォンドの40kmコースなど参加経験があり、今回ステップアップして初めて100kmにチャレンジするというライダーが多いことに驚いた。
いよいよ100kmコースの参加者もコースに飛び出していく。天気はどんよりと重たいが、中綱湖、青木湖一帯は低い雲が山にかかり風光明媚な景色を創りだしていて、曇りがちな天気も悪くないな、と思えてくる。白馬に差し掛かると洋風建築のホテルが並んでいたりと、スキーリゾートの雰囲気が心地よい裏道を走っていく。
しばらく進むと目の前に現れる白馬スキー場が第1エイドステーションだ。バナナやブルーベリーなど、これから長距離走るライダーには嬉しい補給食が用意されており、さっと食べて出て行く参加者が多かった。のんびりしているライダー達はジャンプ台を背に記念撮影。ジャンプのポーズもお約束だ(笑)。「秋のAACR」とも言える、アルプスあづみのセンチュリーライドと姉妹関係にあるこの大会。AACRでも訪れた場所だが、ちょっと違った雰囲気だ。
ジャンプ場を後にしたら向かうのは栂池高原。ここで待っているのは朝4時から地元の有志の方たちが手打ちで準備してくれている信州そば。スタート前のメイン会場でもMCアケさんが、このそばのことを声高らかに絶賛していたのを耳にしていただけに、期待は高まるばかりだ。
しかし、グルメをタダではいただけないのはグランフォンドなのか。小刻みにアップダウンを繰り返す裏道を走って行き、距離にしては約500mだが平均斜度が8%もあるパンチの効いた上り坂が待ち構えており、ライダー達の体力具合を伺ってくる。
足を使ってしまったかな?なんて考えながら、両手に谷間が広がる栂池バイパスのダウンヒルと、下った勢いのまま気持よくクリアできる登り返しを過ぎたら栂池エイドに到着だ。既に到着しているライダー達が蕎麦めがけて30mほどの列をなしている。この列にひるむなかれ、だ。美味しそうに蕎麦を食べている皆さんの姿を写真に収める前に、私達取材班も列にジョインしてしまう。
蕎麦はつるつるシコシコとじつに美味しい。噛みごたえのあるコシがあり、頬が落ちてしまうほどの風味の豊かさは打ちたてならでは。なんと朝4時から打ち始め、ライダーがエイドに到着してからも打ち立ての蕎麦を次々と運んできてくれる。蕎麦の会のはっぴを着たスタッフさんたちは、蕎麦だけでなく温かい声をかけてくれる。とっても幸せな気分になる。
ぶ厚かった雲も薄くなり、ウィンドブレーカーをバックパックにしまうほどの気温まで上がってきたところ、参加者たちは白馬方面へと下り、次のやなばエイドを目指す。次の目的地は鹿島槍SVの麓にある簗場駅前のため、来た方向へ戻ることとなる。しかし、来たところへ戻ると言っても往路とは違ったコースをとるから、また違った風景が望める。
栂池高原から信濃森上まで下ってくると、黄金色の穂先を垂らした田んぼや、白く小さな花を咲かせている蕎麦畑の間を通り抜ける田舎道が姿をあらわす。色彩豊かな道は平坦基調となっているため、距離が40km過ぎていても、ここの区間は信州の爽やかな風を浴びて気持よく自転車を進めることができる。今回はじめて100kmにチャレンジしているという小学生ライダーも、疲れをみせないほど快調に飛ばしていく。
白馬スノーハープまで13kmのフラット区間を過ぎて、安曇野アートラインへと戻ってくると120kmコースと分岐する。120kmは美麻の峠道をひた走るが、100kmコースは平坦基調の道を進んでいくことになる。しかし、100kmコース最大の難所が分岐近くに待ち構えている。
それは、平均斜度5%・距離1500mという、栂池高原に至るまでの上り坂よりはゆるいが、距離が長いプロフィール。ギア比を落として省エネ走行を心がければ、これからの残りの50kmも楽しく走れる体力を残せるはずだ。
アートラインの登りをクリアすると、朝通ったばかりの青木湖畔を通り過ぎる。その神秘的な雰囲気は朝と変わらず楽しめる。というよりは「2度通ったほうが目に焼き付けられていいな」なんて考えたり。
しばらく進むと道の脇に人だかりができている。いつの間にかやな場エイドへ到着していたのだ。右手の中綱湖を見てみると、ライダー達が湖畔まで降りてのんびりくつろいでいるではないか。
ここでは信州の野菜を使ったお漬物や、生野菜、草餅そして、大好評のネギ味噌おにぎりが振る舞われていた。塩気の多いネギ味噌おにぎりやお漬物を食べた後に、デザートの草餅。サイクルイベントとしてはかなりの大盤振る舞いに、取材班も参加者たちもお腹いっぱいに。中でも驚いたのが、果物のような水々さと甘みのある生食用のかぼちゃが用意されていたことだ。
栂池高原エイドに負けず劣らず、ボランティアの方々が親しみやすく、おしゃべりも盛り上がるのが楽しい。大人気のネギ味噌や、草餅の作り方を教えてくれるなど、家に帰っても美味しかった補給食を再現してみようと思わせられたりと、なんとも居心地の良いエイドだった。
のんびり休憩したら、100kmコース最南端の安曇野ちひろ公園へと足を向ける。しかし、木崎湖に出るとこれまでこらえていた天気が一気に崩れてしまい、レインジャケット必須の雨模様になってしまった。降ってきてしまったものは仕方がない。腹をくくって先へと急ぐ。
雨だから気分が落ちるかと思ったが、そんなことはなかった。木崎湖では頭上近くまで迫った雲が幻想的な光景を作り出し、黄金色の稲穂が気分を上げてくれる。雨が降らなければよかったが、降ってしまったらそれはそれでエピックな雰囲気を味わえるので良し。
そんなことを考えながら、田畑の間を縫うようにコース取りされた平坦区間を進んでいく。雨は降っていたが、気持よく走れるため、脚の疲労も忘れたように淡々とペースを刻めた。あっという間に安曇野ちひろ公園にある松川エイドにたどり着く。
ここでは林檎「サンつがる」とブドウの「ナガノパープル」に加えて、皮まで食べられる「黄金桃」といった甘〜いあまい信州フルーツが振る舞われていた。じつは昨年食べることができなかったナガノパープル。ひと房1,000円以上する超高級ぶどうで、「1人2個まで」となっていることも納得の美味しさで驚いた。なんとも豪華なフルーツで糖分補給をしたら、鹿島槍SVに向けての帰路につく。
林檎畑や蕎麦畑、コスモスなど季節と地域のハイライトを感じられる緩い上り道を淡々と進んでいく。最終エイドの大町温泉郷では、この地方特有の名物「おざんざ」を頂いた。イベントも佳境でお腹が空いてきたところに、ガッツリと食べれるのは嬉しい。さらにエイドの目の前にある洋菓子屋「コンディトライ・アン・マリーレ」が提供している焼きドーナッツも振る舞われている。参加者のなかには店先でコーヒーをすすり、身体を温める方も。
そして、いよいよ鹿島槍SVへと帰る最後の1区間に突入している。ややのぼり基調の10kmは、90kmを走ってきた足にはやや辛く感じるが、パンチ力のある坂はないため、淡々とペダルを踏んでいくだけ。古風な日本家屋や欧州風のロッジが点在しており、飽きることなく最後まで進んでいける。
そして、約10kmをこなすと平均勾配7%、距離約2kmのハードな上り坂が待ち構えている。登りの一番つらい場所に立てられた「いつがんばるの? 今でしょ!」という(ちょっと古い)毎年恒例の看板に笑いながら、つづら折りを蛇行あり、押し歩きありでゴールへと向かう。
登りを終えてゴールへ駆け込むと、MCアケさんが明るい声で出迎えてくれ、最後の最後にハードなヒルクライムをこなした満足感が一気に溢れてくる。ゴール後は鹿島槍SVの大浴場であったかい湯につかると、満足感もひとしおだ。
100kmという長い距離だが、おおむね平坦基調となっており、エイドステーションのポイントや内容が絶妙なため、はじめてのロングライドを走るライダーにはピッタリだろう。抜群のロケーション、ご当地グルメを楽しめるエイドステーションと、サイクリングするには最高の大会だった。
「見てよし食べてよしの100kmコースは女性ライダーにオススメ」鈴木幸佳さん(大会実行委員)
120kmコースがキツイのはもはや周知のことですが、100kmコースはシャカリキに走るライダーはもちろんですが、女性ライダーたちが楽しめるようにしました。その中でも、やなばエイドでは好評のネギ味噌おにぎりや草餅を新しく用意して豪華なエイドに仕立てています。松川エイドも甘いフルーツが振る舞われているので、長野の高原と味を楽しんでいただけたらと思います。
「雨は降ってしまいましたが、事故はゼロ」西沢勇人さん(大会実行委員)
今年はあいにく雨が降ってしまいましたが、事故ゼロで終えることができてよかったです。昨年はグレーチングの溝や舗装が荒れている所でパンクや、落車などがありましたが、今年は危険なポイントを事前に舗装しなおしてもらったりと対策を行ったため、トラブルに見舞われる方は少なかったようです。
今年は730名もの方が出走してくれ、応援バスツアーもバスが満席になるほど大好評でした。中には走行予定だったけど雨模様なので急遽バスツアーでコースをまわる方もいらっしゃいましたね(笑)。家族連れの方も楽しんでくれるのは嬉しいですね。
フォトアルバム(CW facebook)
夏も過ぎ去り、秋が顔を見せつつある9月6日に開催された長野県大町市一帯を走るロングライドイベント「北アルプス山麓グランフォンド」。鹿島槍ヶ岳や剣岳、乗鞍岳などヒルクライマーにお馴染みの標高2000m級の名峰や、仁科三湖の景観、信州地場のグルメを堪能できることが人を呼ぶイベントだ。
大会前日はウェルカムイベントや、スペシャライズドによる女子会ライドなどが開かれており、一足先に長野の大自然を満喫してイベント前日を楽しむことができる。また、大町市と連携した、のんべえにはたまらない「三蔵飲み歩き」というイベントも開かれる。信濃大町市街をそぞろ歩きながら地酒を楽しむというこのイベント、昨年よりも多い1600個用意されたおちょこが売り切れてしまうほど盛り上がったというから、参加できなかったことを悔やむしか無い。
さて、大会当日の朝。安曇野ICに降り立ったシクロワイアード号は激しい雨に遭遇してしまう。天気予報よりも2足ほどはやい降雨に気をもみながら、メイン会場の鹿島槍スポーツヴィレッジ(以下、鹿島槍SV)を目指していく。朝6時過ぎに鹿島槍SVにたどり着くと雨は止み、鹿島槍ヶ岳の頂が顔をのぞかせるほど雲の位置も高い。「これは天気が持つだろう」なんて思いながら取材準備にとりかかる。
雨は降っていないものの気温は低いため、アームウォーマーやウィンドブレーカーを着こみ、雨天を覚悟する。取材班もハイエースでの伴走取材を考えながらも、太陽が顔をのぞかせることを祈りつつ、自転車実走用の装備で身を固める。
7時になりMCアケさんの目がさめるような元気いっぱいの声とともにイベントが始まる。120kmコースに参加する健脚派たちがスタートする姿を写真におさめていく。今回、シクロワイアード取材班がおじゃまをしたのは100kmコース。鹿島槍SVを出て白馬、栂池高原、木崎湖、松川、大町と巡る平坦基調のコースだ。
例年走っている120kmでなく100kmコースにしたのは、大会実行委員の鈴木幸佳さん(ぐるった大町ネットワーク)に、「女性にもオススメの100kmコースをぜひ体験してみて!」とプッシュされたからだ。
100kmコースの参加者たちの顔ぶれはバラエティに富んでいて、小中学生やカップル、一家揃っての参加の方などが目立っていた。話を聞くところでは、過去にも北アルプス山麓グランフォンドの40kmコースなど参加経験があり、今回ステップアップして初めて100kmにチャレンジするというライダーが多いことに驚いた。
いよいよ100kmコースの参加者もコースに飛び出していく。天気はどんよりと重たいが、中綱湖、青木湖一帯は低い雲が山にかかり風光明媚な景色を創りだしていて、曇りがちな天気も悪くないな、と思えてくる。白馬に差し掛かると洋風建築のホテルが並んでいたりと、スキーリゾートの雰囲気が心地よい裏道を走っていく。
しばらく進むと目の前に現れる白馬スキー場が第1エイドステーションだ。バナナやブルーベリーなど、これから長距離走るライダーには嬉しい補給食が用意されており、さっと食べて出て行く参加者が多かった。のんびりしているライダー達はジャンプ台を背に記念撮影。ジャンプのポーズもお約束だ(笑)。「秋のAACR」とも言える、アルプスあづみのセンチュリーライドと姉妹関係にあるこの大会。AACRでも訪れた場所だが、ちょっと違った雰囲気だ。
ジャンプ場を後にしたら向かうのは栂池高原。ここで待っているのは朝4時から地元の有志の方たちが手打ちで準備してくれている信州そば。スタート前のメイン会場でもMCアケさんが、このそばのことを声高らかに絶賛していたのを耳にしていただけに、期待は高まるばかりだ。
しかし、グルメをタダではいただけないのはグランフォンドなのか。小刻みにアップダウンを繰り返す裏道を走って行き、距離にしては約500mだが平均斜度が8%もあるパンチの効いた上り坂が待ち構えており、ライダー達の体力具合を伺ってくる。
足を使ってしまったかな?なんて考えながら、両手に谷間が広がる栂池バイパスのダウンヒルと、下った勢いのまま気持よくクリアできる登り返しを過ぎたら栂池エイドに到着だ。既に到着しているライダー達が蕎麦めがけて30mほどの列をなしている。この列にひるむなかれ、だ。美味しそうに蕎麦を食べている皆さんの姿を写真に収める前に、私達取材班も列にジョインしてしまう。
蕎麦はつるつるシコシコとじつに美味しい。噛みごたえのあるコシがあり、頬が落ちてしまうほどの風味の豊かさは打ちたてならでは。なんと朝4時から打ち始め、ライダーがエイドに到着してからも打ち立ての蕎麦を次々と運んできてくれる。蕎麦の会のはっぴを着たスタッフさんたちは、蕎麦だけでなく温かい声をかけてくれる。とっても幸せな気分になる。
ぶ厚かった雲も薄くなり、ウィンドブレーカーをバックパックにしまうほどの気温まで上がってきたところ、参加者たちは白馬方面へと下り、次のやなばエイドを目指す。次の目的地は鹿島槍SVの麓にある簗場駅前のため、来た方向へ戻ることとなる。しかし、来たところへ戻ると言っても往路とは違ったコースをとるから、また違った風景が望める。
栂池高原から信濃森上まで下ってくると、黄金色の穂先を垂らした田んぼや、白く小さな花を咲かせている蕎麦畑の間を通り抜ける田舎道が姿をあらわす。色彩豊かな道は平坦基調となっているため、距離が40km過ぎていても、ここの区間は信州の爽やかな風を浴びて気持よく自転車を進めることができる。今回はじめて100kmにチャレンジしているという小学生ライダーも、疲れをみせないほど快調に飛ばしていく。
白馬スノーハープまで13kmのフラット区間を過ぎて、安曇野アートラインへと戻ってくると120kmコースと分岐する。120kmは美麻の峠道をひた走るが、100kmコースは平坦基調の道を進んでいくことになる。しかし、100kmコース最大の難所が分岐近くに待ち構えている。
それは、平均斜度5%・距離1500mという、栂池高原に至るまでの上り坂よりはゆるいが、距離が長いプロフィール。ギア比を落として省エネ走行を心がければ、これからの残りの50kmも楽しく走れる体力を残せるはずだ。
アートラインの登りをクリアすると、朝通ったばかりの青木湖畔を通り過ぎる。その神秘的な雰囲気は朝と変わらず楽しめる。というよりは「2度通ったほうが目に焼き付けられていいな」なんて考えたり。
しばらく進むと道の脇に人だかりができている。いつの間にかやな場エイドへ到着していたのだ。右手の中綱湖を見てみると、ライダー達が湖畔まで降りてのんびりくつろいでいるではないか。
ここでは信州の野菜を使ったお漬物や、生野菜、草餅そして、大好評のネギ味噌おにぎりが振る舞われていた。塩気の多いネギ味噌おにぎりやお漬物を食べた後に、デザートの草餅。サイクルイベントとしてはかなりの大盤振る舞いに、取材班も参加者たちもお腹いっぱいに。中でも驚いたのが、果物のような水々さと甘みのある生食用のかぼちゃが用意されていたことだ。
栂池高原エイドに負けず劣らず、ボランティアの方々が親しみやすく、おしゃべりも盛り上がるのが楽しい。大人気のネギ味噌や、草餅の作り方を教えてくれるなど、家に帰っても美味しかった補給食を再現してみようと思わせられたりと、なんとも居心地の良いエイドだった。
のんびり休憩したら、100kmコース最南端の安曇野ちひろ公園へと足を向ける。しかし、木崎湖に出るとこれまでこらえていた天気が一気に崩れてしまい、レインジャケット必須の雨模様になってしまった。降ってきてしまったものは仕方がない。腹をくくって先へと急ぐ。
雨だから気分が落ちるかと思ったが、そんなことはなかった。木崎湖では頭上近くまで迫った雲が幻想的な光景を作り出し、黄金色の稲穂が気分を上げてくれる。雨が降らなければよかったが、降ってしまったらそれはそれでエピックな雰囲気を味わえるので良し。
そんなことを考えながら、田畑の間を縫うようにコース取りされた平坦区間を進んでいく。雨は降っていたが、気持よく走れるため、脚の疲労も忘れたように淡々とペースを刻めた。あっという間に安曇野ちひろ公園にある松川エイドにたどり着く。
ここでは林檎「サンつがる」とブドウの「ナガノパープル」に加えて、皮まで食べられる「黄金桃」といった甘〜いあまい信州フルーツが振る舞われていた。じつは昨年食べることができなかったナガノパープル。ひと房1,000円以上する超高級ぶどうで、「1人2個まで」となっていることも納得の美味しさで驚いた。なんとも豪華なフルーツで糖分補給をしたら、鹿島槍SVに向けての帰路につく。
林檎畑や蕎麦畑、コスモスなど季節と地域のハイライトを感じられる緩い上り道を淡々と進んでいく。最終エイドの大町温泉郷では、この地方特有の名物「おざんざ」を頂いた。イベントも佳境でお腹が空いてきたところに、ガッツリと食べれるのは嬉しい。さらにエイドの目の前にある洋菓子屋「コンディトライ・アン・マリーレ」が提供している焼きドーナッツも振る舞われている。参加者のなかには店先でコーヒーをすすり、身体を温める方も。
そして、いよいよ鹿島槍SVへと帰る最後の1区間に突入している。ややのぼり基調の10kmは、90kmを走ってきた足にはやや辛く感じるが、パンチ力のある坂はないため、淡々とペダルを踏んでいくだけ。古風な日本家屋や欧州風のロッジが点在しており、飽きることなく最後まで進んでいける。
そして、約10kmをこなすと平均勾配7%、距離約2kmのハードな上り坂が待ち構えている。登りの一番つらい場所に立てられた「いつがんばるの? 今でしょ!」という(ちょっと古い)毎年恒例の看板に笑いながら、つづら折りを蛇行あり、押し歩きありでゴールへと向かう。
登りを終えてゴールへ駆け込むと、MCアケさんが明るい声で出迎えてくれ、最後の最後にハードなヒルクライムをこなした満足感が一気に溢れてくる。ゴール後は鹿島槍SVの大浴場であったかい湯につかると、満足感もひとしおだ。
100kmという長い距離だが、おおむね平坦基調となっており、エイドステーションのポイントや内容が絶妙なため、はじめてのロングライドを走るライダーにはピッタリだろう。抜群のロケーション、ご当地グルメを楽しめるエイドステーションと、サイクリングするには最高の大会だった。
「見てよし食べてよしの100kmコースは女性ライダーにオススメ」鈴木幸佳さん(大会実行委員)
120kmコースがキツイのはもはや周知のことですが、100kmコースはシャカリキに走るライダーはもちろんですが、女性ライダーたちが楽しめるようにしました。その中でも、やなばエイドでは好評のネギ味噌おにぎりや草餅を新しく用意して豪華なエイドに仕立てています。松川エイドも甘いフルーツが振る舞われているので、長野の高原と味を楽しんでいただけたらと思います。
「雨は降ってしまいましたが、事故はゼロ」西沢勇人さん(大会実行委員)
今年はあいにく雨が降ってしまいましたが、事故ゼロで終えることができてよかったです。昨年はグレーチングの溝や舗装が荒れている所でパンクや、落車などがありましたが、今年は危険なポイントを事前に舗装しなおしてもらったりと対策を行ったため、トラブルに見舞われる方は少なかったようです。
今年は730名もの方が出走してくれ、応援バスツアーもバスが満席になるほど大好評でした。中には走行予定だったけど雨模様なので急遽バスツアーでコースをまわる方もいらっしゃいましたね(笑)。家族連れの方も楽しんでくれるのは嬉しいですね。
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