2015/06/02(火) - 09:05
5月10日に埼玉県加須市(かぞし)の利根川河川敷で開催された「加須こいのぼり杯・第9回埼玉県タイムトライアル・ロードレース大会」には、毎年関東近県からタイムトライアルバイクに乗る参加者が多数集まった。そこで今回は、各クラスの優勝者を中心に、自慢のTTバイクを見せて頂きました。
毎年5月に行われる埼玉県タイムトライアル・ロードレース大会。今年から会場を「加須未来館」に移し、若干のコース変更を加えて行われた。
トップカテゴリーとなるクラスAは14kmで争われ、平均時速45.91kmで駆け抜けたポール・ソールスベリー(イナーメ信濃山形)が18分17秒で大会4連覇を達成。10kmで争われた女子は、細谷夢菜(浦和工業高等学校)が、連覇中の須藤むつみ(Ready Go JAPAN)に30秒差をつける15分57秒で優勝しました。またチームタイムトライアルでは、1チームだけ18分を切ったイナーメ信濃山形が17分57秒で優勝。昨年に続き2連覇を達成した。
ポール・ソールスベリーさん イナーメ信濃山形
個人TT4連覇、チームTTと合わせて2年連続で2冠達成のソールスベリーさん。BMCのTime Machine TM01は昨年優勝した時とは大きく変えていないそうですが、UCIルールに変更があったのでポジションに5cmの余裕が出来たそう。「今までは窮屈なポジションになっていたので、ありがたい変更です。パーツよりもポジションが大事です」と、ポジショニングの重要性を強調。4連覇しているだけに説得力があります。
高井岳人さん 浦和工業高等学校自転車部
高校2年生の高井さんが使うのはキャノンデールのアルミフレーム、CAAD10。タイムトライアルの大会は今回が初めて。「普段使っているノーマルロードにDHバーを付けただけです」と言う通り、ドロップハンドルにDHバーが付けられているが、ハンドル位置を下げてあったり、前後ホイールをディープリムとディスクにしてあったりと、タイムトライアル対策はぬかりなし。
「ポジションは自転車部の先生からアドバイスをもらって決めました。初めてのタイムトライアルはとにかくキツかったです。今年の目標は全日本選手権で良い結果を出せるようにする事です」
白鳥興寛さん ARCCレーシングチーム
登録40才以上クラスで優勝した白鳥さんが使うのはトレックのSPEED CONCEPT。「ノーマルロードもトレックに乗っているのですが、違和感が無く乗り替えられるのが良いですね」とのこと。
こだわりはホイールやハンドルなどをボントレガーで統一する事とタイヤ。「ボントレガーが好きなので、全部揃えたらカッコいいかな、と。でもサドルが廃盤になってしまったので、次をどうしようか悩んでます。タイヤはレース中にパンクしたら終わりなので、軽さよりもパンクしない事を重視しています」
小野忠さん パインヒルズ90
臨時登録50才以上のクラスで優勝した小野さん。「昨年のこの大会は2位だったんですが、今年はこのタイムトライアルバイクで優勝することができました」と言う。
スペシャライズドのTRANSITIONと、後輪のディスクはチームメイトに譲ってもらったそうで、使い始めてまだ1年くらいしか経っていないとか。「ノーマルのロードバイクと違ってスピードの乗りが違いますね」と、今日の結果とあわせて満足されている様子でした。
和地恵美さん スーパーKアスリートラボ
トラックの元マスターズ世界チャンピオンの和地さん。「コルナゴが好きなんです」と言う和地さんは、このFLIGHTの他にトラックでもコルナゴを使用。「ロードはたまにタイムトライアルの大会に出る程度なので、あまりこだわりは無いです」とは言うものの、ライトウェイトのディスクホイールやコンチネンタルのタイヤ、カンパニョーロ・レコードのカーボンクランクやリアディレーラーなど、かなりのこだわりを感じさせる組み合わせです。
澤村銀姫(うに)さん メイドさん学科自転車部
女子臨時登録の部で優勝した澤村銀姫(うに)さん。「これなら値段も手頃だし、ポジションを出しやすいので選びました」と言うのは、カナダのバイクブランドであるアルゴン18のアルミフレーム「E-80」。女性としてはマニアックな選択だなと思ったら、勧めたのはダンナさん。聞けば、以前シクロワイアードでインプレライダーを務めてくれた澤村健太郎さん!。「機材の選択は夫の言うことを聞いていれば間違いないですね」と信頼する一方、「使ってみたいと思う物があって相談すると『それはちょっと・・・』って言われてしまうこともありますね」とか。
細谷夢菜さん 浦和工業高等学校自転車部
女子登録の部で優勝した細谷さんは、買ったばかりと言うリドレーのDEAN RSで出場。体が小さいので、ポジショニングには悩みもあったそう。「1月の伊豆大島のタイムトライアルを走った時は、サドルよりもハンドルが高くなってしまったんです。それでタイムトライアルバイクが欲しかったんですけど、自分に合ったサイズのフレームがなかなか無くて。このリドレーならハンドルを低く出来るし、スピードの維持も楽だし、カッコいいので気に入ってます」
山下 精さん チーム光
臨時登録40才以上クラスで優勝した山下精さん。愛知県から関東に単身赴任中との事で、この大会は初出場。愛知県豊田市の「サイクルショップ光」オリジナルカラーのシーポは「もう何年も使っているので、色落ちしてきてるんです」。それでも白や黒のフレームカラーが主流の昨今にあって、鮮やかなオレンジ色は存在感抜群。ライトウェイトのホイールや、肉抜きされたプーリーを組み込んだリアディレーラーなど、「自分が重いので自転車の重量に気を遣っている」とか。
「今日は走っている最中にメーターのセンサーが取れちゃって、後半はペース配分がわからなくなってしまった」そうで。それでも優勝とは、さすがです。
あとがき
いかがだったでしょうか。タイムトライアルバイクはインパクトある外見に目が行きがちですが、それらは全て速く走るために造られたもの。今回見せて頂いた方々も、見た目だけでなく自分が速く走れるか否かを決め手としてフレームやパーツを選ぶ事が共通した意見でした。
この日は風が強かったので、ホイールの選択が分かれました。全体的には6:4くらいの比率でディスクホイールを使う人が多めな印象でしたが、結果として後輪ディスク+前輪に50mm前後のディープリムの組み合わせが優勝者に多かった事も興味深いところ。複雑なコーナーが無い直線路の折り返しコースならではの選択と言えるかもしれません。
なお、7月12日には、同じ場所でタイムトライアルの大会が開催されます。詳細は後日、埼玉県自転車競技連盟公式サイトにて発表されます。
text&photo:Satoru.Kato
毎年5月に行われる埼玉県タイムトライアル・ロードレース大会。今年から会場を「加須未来館」に移し、若干のコース変更を加えて行われた。
トップカテゴリーとなるクラスAは14kmで争われ、平均時速45.91kmで駆け抜けたポール・ソールスベリー(イナーメ信濃山形)が18分17秒で大会4連覇を達成。10kmで争われた女子は、細谷夢菜(浦和工業高等学校)が、連覇中の須藤むつみ(Ready Go JAPAN)に30秒差をつける15分57秒で優勝しました。またチームタイムトライアルでは、1チームだけ18分を切ったイナーメ信濃山形が17分57秒で優勝。昨年に続き2連覇を達成した。
ポール・ソールスベリーさん イナーメ信濃山形
個人TT4連覇、チームTTと合わせて2年連続で2冠達成のソールスベリーさん。BMCのTime Machine TM01は昨年優勝した時とは大きく変えていないそうですが、UCIルールに変更があったのでポジションに5cmの余裕が出来たそう。「今までは窮屈なポジションになっていたので、ありがたい変更です。パーツよりもポジションが大事です」と、ポジショニングの重要性を強調。4連覇しているだけに説得力があります。
高井岳人さん 浦和工業高等学校自転車部
高校2年生の高井さんが使うのはキャノンデールのアルミフレーム、CAAD10。タイムトライアルの大会は今回が初めて。「普段使っているノーマルロードにDHバーを付けただけです」と言う通り、ドロップハンドルにDHバーが付けられているが、ハンドル位置を下げてあったり、前後ホイールをディープリムとディスクにしてあったりと、タイムトライアル対策はぬかりなし。
「ポジションは自転車部の先生からアドバイスをもらって決めました。初めてのタイムトライアルはとにかくキツかったです。今年の目標は全日本選手権で良い結果を出せるようにする事です」
白鳥興寛さん ARCCレーシングチーム
登録40才以上クラスで優勝した白鳥さんが使うのはトレックのSPEED CONCEPT。「ノーマルロードもトレックに乗っているのですが、違和感が無く乗り替えられるのが良いですね」とのこと。
こだわりはホイールやハンドルなどをボントレガーで統一する事とタイヤ。「ボントレガーが好きなので、全部揃えたらカッコいいかな、と。でもサドルが廃盤になってしまったので、次をどうしようか悩んでます。タイヤはレース中にパンクしたら終わりなので、軽さよりもパンクしない事を重視しています」
小野忠さん パインヒルズ90
臨時登録50才以上のクラスで優勝した小野さん。「昨年のこの大会は2位だったんですが、今年はこのタイムトライアルバイクで優勝することができました」と言う。
スペシャライズドのTRANSITIONと、後輪のディスクはチームメイトに譲ってもらったそうで、使い始めてまだ1年くらいしか経っていないとか。「ノーマルのロードバイクと違ってスピードの乗りが違いますね」と、今日の結果とあわせて満足されている様子でした。
和地恵美さん スーパーKアスリートラボ
トラックの元マスターズ世界チャンピオンの和地さん。「コルナゴが好きなんです」と言う和地さんは、このFLIGHTの他にトラックでもコルナゴを使用。「ロードはたまにタイムトライアルの大会に出る程度なので、あまりこだわりは無いです」とは言うものの、ライトウェイトのディスクホイールやコンチネンタルのタイヤ、カンパニョーロ・レコードのカーボンクランクやリアディレーラーなど、かなりのこだわりを感じさせる組み合わせです。
澤村銀姫(うに)さん メイドさん学科自転車部
女子臨時登録の部で優勝した澤村銀姫(うに)さん。「これなら値段も手頃だし、ポジションを出しやすいので選びました」と言うのは、カナダのバイクブランドであるアルゴン18のアルミフレーム「E-80」。女性としてはマニアックな選択だなと思ったら、勧めたのはダンナさん。聞けば、以前シクロワイアードでインプレライダーを務めてくれた澤村健太郎さん!。「機材の選択は夫の言うことを聞いていれば間違いないですね」と信頼する一方、「使ってみたいと思う物があって相談すると『それはちょっと・・・』って言われてしまうこともありますね」とか。
細谷夢菜さん 浦和工業高等学校自転車部
女子登録の部で優勝した細谷さんは、買ったばかりと言うリドレーのDEAN RSで出場。体が小さいので、ポジショニングには悩みもあったそう。「1月の伊豆大島のタイムトライアルを走った時は、サドルよりもハンドルが高くなってしまったんです。それでタイムトライアルバイクが欲しかったんですけど、自分に合ったサイズのフレームがなかなか無くて。このリドレーならハンドルを低く出来るし、スピードの維持も楽だし、カッコいいので気に入ってます」
山下 精さん チーム光
臨時登録40才以上クラスで優勝した山下精さん。愛知県から関東に単身赴任中との事で、この大会は初出場。愛知県豊田市の「サイクルショップ光」オリジナルカラーのシーポは「もう何年も使っているので、色落ちしてきてるんです」。それでも白や黒のフレームカラーが主流の昨今にあって、鮮やかなオレンジ色は存在感抜群。ライトウェイトのホイールや、肉抜きされたプーリーを組み込んだリアディレーラーなど、「自分が重いので自転車の重量に気を遣っている」とか。
「今日は走っている最中にメーターのセンサーが取れちゃって、後半はペース配分がわからなくなってしまった」そうで。それでも優勝とは、さすがです。
あとがき
いかがだったでしょうか。タイムトライアルバイクはインパクトある外見に目が行きがちですが、それらは全て速く走るために造られたもの。今回見せて頂いた方々も、見た目だけでなく自分が速く走れるか否かを決め手としてフレームやパーツを選ぶ事が共通した意見でした。
この日は風が強かったので、ホイールの選択が分かれました。全体的には6:4くらいの比率でディスクホイールを使う人が多めな印象でしたが、結果として後輪ディスク+前輪に50mm前後のディープリムの組み合わせが優勝者に多かった事も興味深いところ。複雑なコーナーが無い直線路の折り返しコースならではの選択と言えるかもしれません。
なお、7月12日には、同じ場所でタイムトライアルの大会が開催されます。詳細は後日、埼玉県自転車競技連盟公式サイトにて発表されます。
text&photo:Satoru.Kato
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