2015/02/18(水) - 09:03
もしあなたが突然、海外のライダーに「ねえ、トウキョウを案内してくれよ」と頼まれたら、どうする? こっちだってそんなに東京に詳しいわけじゃないよ、とオノノクなかれ。先日のシクロクロス東京のために来日した日本通、ティム・ジョンソンすらうならせた、素人ガイドのためのトウキョウ・スポットを、お伝えしましょう。
全米選手権を6回制し、現在はアメリカにおけるMr.シクロクロス的な存在であるティ ム・ジョンソン(キャノンデール・シクロクロスワールド.com)。日本にも多く来日しており、野辺山シクロクロス、シクロクロス東京には積極的に出場。
「コンニチ・ワァァァァァァット?(Kon nichi whaaaatttt?)」を挨拶に、「アイ・ラブ♡東京」を公言する男が、今年も東京にやって来ました。

3年前、山本和弘(元)選手と自転車での東京観光をメイクしたティム(参照☞ ティム・ジョンソンと行く 爆笑・東京オノボリ観光2012 )ですが、今回は「もっとゆっくりしたスピードで、東京を見たい! (しかも奥さん連れだし)」とのこと。ということで、電車を使った、日本のリアルな文化を体感できるスポットへと連れまわしました。

すでに東京通であるティムをもうならせられる、コネやカネを必要としない『あなたにも出来る! 海外ライダー向け素人トウキョウ案内』。東京五輪を5年後に控え、海外ゲストを迎えることもあるかもしれない、あなたへのヒントになれば、幸いです。
築地市場
海外から来た方は、特に北米からの来客は、たいてい時差ボケです。おおまかに言うと、午後6時には眠くなって、朝2時には目が覚めちゃうことが多い。ということで、早朝から目がギンギンになっちゃってるゲストを、まずはすべてのトウキョウガイドブックに載っているスポット、築地市場=フィッシュ・マーケットに連れて行きましょう。
ここの一番の目玉は「マグロ卸売場の見学」です。朝5時から受付開始、先着120名が 参加可能なイベントで、なかなかに壮大なショーであるよう。電車は走っていない時間なので、ご覧になるならタクシー、車、自走などでの来場がよろしいかと。
ですが、これは世界的にも大人気。受付開始は朝5時ですが、週末にもなると午前3時半ぐらいから並び始めないと見ることができないとか。今回、案内を信じて5時前に集合した我々は見学できず、残念。
「本気で見たいなら、午前4時には並ばなきゃ」、とは受付の方の弁。
それでも場内にある寿司屋で、トロ、ブリ、いくら、シラスを食べました。ちなみにトロはFat Tuna、ブリはYellow Tail、イクラはSalmon egg、シラスはLittle whitebaitと言えばわかってもらえます。

この時間、場内のリアルな市場は一般人は進入不可。なので場外にある市場をふらふらと探索し、かつお節(dried bonito)を見せたり、焼きたてのホタテ(scallop)を食べさせ、日本ならではの食材を紹介していきましょう。
浅草寺 to 仲見世
築地でたっぷり遊んだあとでも、多分まだ午前7時半ぐらい。そこで、銀座までふらりふらりと歩き、地下鉄銀座線に乗って、「これが東京で一番古いメトロなんだぜ」と豆知識を披露しながら浅草に向かいましょう。終点浅草までは一本です。
午前中の早い時間なら、雷門周辺も、その中にある仲見世も、まだまだ人通りもまばら。人混みが苦手なことの多い海外ライダーでも、浅草観光を楽しめます。シャッターの閉まった仲見世通りも、そこに書かれたイラストがポップで、結構楽しめるものなのです。

浅草寺にお参りしましょう。浅草寺の起こりは1400年ほど前。隅田川を流れてきた仏像を漁師さんが拾い、それを祀ったのが始まりと言われています。そんな話をわざわざお寺の方に聞いてライダーに伝えてあげると、相手はリアルな情報だ、と喜んでくれることでしょう。ネットではなく今そこで聞いた生な情報、旅行中にはそんな一期一会こそが、喜びにつながるもの。
合羽橋道具街
浅草寺から少し足を伸ばせば、そこには業務用調理器具がズラリと並ぶ、合羽橋道具街に出ます。調理器具かと思うことなかれ。ここには外国の方がお土産にちょうどいい茶碗や木の器などが、手頃な価格で並んでいるのです。
とはいえ、ここの見ものは蝋でできたサンプル料理です。寿司、てんぷら、焼き魚、生ビール。ありとあらゆる日本食が展示会のように並びます。気の利いた店なら、にぎり寿司のキーホルダーなんかも見つかります。お土産はここで買うといいよ、プロフェッショナル用で安いんだ。こう言えば、これであなたの東京ローカルとしての株はぐんと上がるはず。
もちろん、「カッパってなんだ?」と尋ねられることでしょう。「ジャパンのリバーにロングタイムいる、リトルでキュートでウィケッドで、スイムがグッドなレジェンダリー・クリーチャーだよ」、と答えれば、相手はわからないまでも納得してくれます。さらに、通りを歩いていると、金のカッパ像が見つかります。これと記念写真を撮ってもらえれば、それでカッパの説明は終わったも同然。次の場所へと移動します。
たい焼き
ランチ前のフィンガーフードとして、日本の伝統スイーツを食べていただきましょう。 オススメなのはたい焼きです。小豆=Red Beansを材料にしたアンコのフィリングは、 日本以外で食べられることはありませんし、なにせフォルムがフィッシュです。
ここでもやはりティムからのお決まりの質問。「なあ、なんで鯛(Snapper)なんだ?」 さて。日本全国どこでもたい焼きは鯛です。もちろんそんな質問を、直接お店の方にぶつけるのがサイトシーイングの礼儀です。すると、店内で少々ざわざわっとした後に、「えと『めでたい』の鯛、なんでしょうね」との答えをいただきました。
ぬな? めでたい、って英語でなんて言うんだ? こちらも一瞬考えた後に、「ハッピ ーをジャパニーズでいうと、鯛の言葉遊び(word play)になるからさ」と適当にお茶を濁しつつ、「ところでティーの「オカワリ」(another one)はどうだい」と話題を変えるのが日本流のコミュニケーションです。

寿司
ランチには、寿司をいただきましょう。昨今では回転寿司のクオリティも高く、価格もリーズナブルで、実際に目でさまざまな寿司を見られるのがエンターテイニングでもあります。が、今回は回転寿司が近くに見当たらなかったので、通常の寿司アソートを頂きました。
寿司屋ではぜひとも、うに(Sea Urchin)、しらこ(Cod milt)、あん肝(monkfish liver)といった、日本ならではのクリーミーテイスト珍味を召し上がっていただきたいも のです。一生語り継げる思い出となってくれることでしょう。
アメ横
ランチの後は、上野駅~御徒町駅の間にあるアメ横にご案内しましょう。ここは東京のカオス。スニーカーから食材まで、ウィンドウショッピングだけでも楽しいストリートです。
昨今は自転車プロショップも多くあるアメ横近辺、ウィンドウに大きく本人の写真が貼ってあったりもして、(今回は残念ながらティムのではありませんでしたが)、そんなのを見るだけでも大喜びです。
歌舞伎座
そして、夕刻近くになったらまた銀座に戻り、歌舞伎座の前で記念写真を撮ってあげましょう。時間と興味があれば、一幕だけ見られるお試し歌舞伎、幕見席に案内してあげられれば最高です。
当日販売、予約なし、料金も内容により500~2000円程度とリーズナブル。ここまで メイクできればライダーは、「アイラブ東京!」叫ぶこと間違いなし(かも)。
ナイトライフ
そしてまだライダーの体力が残っているようであれば、最近、東京観光のひとつとして 流行っている新宿の「ロボットレストラン」はどうで しょう。 内容は、現代日本文化の象徴とも言える
「アニメ」
「ロボット」
「サイバーパンク」
「サムライギャル」
「オッケーイェーイ!」
的な要素が全て混じったもの。日本人にはあまり知られていない穴場です。レストランというより2時間の壮大なショー。ご飯はおまけのようなもの、食べないという選択肢だってあるんです。
というところで、バイクを使わない東京観光を楽しんでもらったティム。いかがでした?
「楽しかった! また日本には来るつもりだよ」
次はどんなことしたい?
「今度は大阪だな! 美味しいお好み焼き食べたい!」
おっとぉ!
text&photo:中村パンソニ( Nakamura Pandasonic)
全米選手権を6回制し、現在はアメリカにおけるMr.シクロクロス的な存在であるティ ム・ジョンソン(キャノンデール・シクロクロスワールド.com)。日本にも多く来日しており、野辺山シクロクロス、シクロクロス東京には積極的に出場。
「コンニチ・ワァァァァァァット?(Kon nichi whaaaatttt?)」を挨拶に、「アイ・ラブ♡東京」を公言する男が、今年も東京にやって来ました。

3年前、山本和弘(元)選手と自転車での東京観光をメイクしたティム(参照☞ ティム・ジョンソンと行く 爆笑・東京オノボリ観光2012 )ですが、今回は「もっとゆっくりしたスピードで、東京を見たい! (しかも奥さん連れだし)」とのこと。ということで、電車を使った、日本のリアルな文化を体感できるスポットへと連れまわしました。

すでに東京通であるティムをもうならせられる、コネやカネを必要としない『あなたにも出来る! 海外ライダー向け素人トウキョウ案内』。東京五輪を5年後に控え、海外ゲストを迎えることもあるかもしれない、あなたへのヒントになれば、幸いです。
築地市場
海外から来た方は、特に北米からの来客は、たいてい時差ボケです。おおまかに言うと、午後6時には眠くなって、朝2時には目が覚めちゃうことが多い。ということで、早朝から目がギンギンになっちゃってるゲストを、まずはすべてのトウキョウガイドブックに載っているスポット、築地市場=フィッシュ・マーケットに連れて行きましょう。
ここの一番の目玉は「マグロ卸売場の見学」です。朝5時から受付開始、先着120名が 参加可能なイベントで、なかなかに壮大なショーであるよう。電車は走っていない時間なので、ご覧になるならタクシー、車、自走などでの来場がよろしいかと。
ですが、これは世界的にも大人気。受付開始は朝5時ですが、週末にもなると午前3時半ぐらいから並び始めないと見ることができないとか。今回、案内を信じて5時前に集合した我々は見学できず、残念。
「本気で見たいなら、午前4時には並ばなきゃ」、とは受付の方の弁。
それでも場内にある寿司屋で、トロ、ブリ、いくら、シラスを食べました。ちなみにトロはFat Tuna、ブリはYellow Tail、イクラはSalmon egg、シラスはLittle whitebaitと言えばわかってもらえます。

この時間、場内のリアルな市場は一般人は進入不可。なので場外にある市場をふらふらと探索し、かつお節(dried bonito)を見せたり、焼きたてのホタテ(scallop)を食べさせ、日本ならではの食材を紹介していきましょう。
浅草寺 to 仲見世
築地でたっぷり遊んだあとでも、多分まだ午前7時半ぐらい。そこで、銀座までふらりふらりと歩き、地下鉄銀座線に乗って、「これが東京で一番古いメトロなんだぜ」と豆知識を披露しながら浅草に向かいましょう。終点浅草までは一本です。
午前中の早い時間なら、雷門周辺も、その中にある仲見世も、まだまだ人通りもまばら。人混みが苦手なことの多い海外ライダーでも、浅草観光を楽しめます。シャッターの閉まった仲見世通りも、そこに書かれたイラストがポップで、結構楽しめるものなのです。

浅草寺にお参りしましょう。浅草寺の起こりは1400年ほど前。隅田川を流れてきた仏像を漁師さんが拾い、それを祀ったのが始まりと言われています。そんな話をわざわざお寺の方に聞いてライダーに伝えてあげると、相手はリアルな情報だ、と喜んでくれることでしょう。ネットではなく今そこで聞いた生な情報、旅行中にはそんな一期一会こそが、喜びにつながるもの。
合羽橋道具街
浅草寺から少し足を伸ばせば、そこには業務用調理器具がズラリと並ぶ、合羽橋道具街に出ます。調理器具かと思うことなかれ。ここには外国の方がお土産にちょうどいい茶碗や木の器などが、手頃な価格で並んでいるのです。
とはいえ、ここの見ものは蝋でできたサンプル料理です。寿司、てんぷら、焼き魚、生ビール。ありとあらゆる日本食が展示会のように並びます。気の利いた店なら、にぎり寿司のキーホルダーなんかも見つかります。お土産はここで買うといいよ、プロフェッショナル用で安いんだ。こう言えば、これであなたの東京ローカルとしての株はぐんと上がるはず。
もちろん、「カッパってなんだ?」と尋ねられることでしょう。「ジャパンのリバーにロングタイムいる、リトルでキュートでウィケッドで、スイムがグッドなレジェンダリー・クリーチャーだよ」、と答えれば、相手はわからないまでも納得してくれます。さらに、通りを歩いていると、金のカッパ像が見つかります。これと記念写真を撮ってもらえれば、それでカッパの説明は終わったも同然。次の場所へと移動します。
たい焼き
ランチ前のフィンガーフードとして、日本の伝統スイーツを食べていただきましょう。 オススメなのはたい焼きです。小豆=Red Beansを材料にしたアンコのフィリングは、 日本以外で食べられることはありませんし、なにせフォルムがフィッシュです。
ここでもやはりティムからのお決まりの質問。「なあ、なんで鯛(Snapper)なんだ?」 さて。日本全国どこでもたい焼きは鯛です。もちろんそんな質問を、直接お店の方にぶつけるのがサイトシーイングの礼儀です。すると、店内で少々ざわざわっとした後に、「えと『めでたい』の鯛、なんでしょうね」との答えをいただきました。
ぬな? めでたい、って英語でなんて言うんだ? こちらも一瞬考えた後に、「ハッピ ーをジャパニーズでいうと、鯛の言葉遊び(word play)になるからさ」と適当にお茶を濁しつつ、「ところでティーの「オカワリ」(another one)はどうだい」と話題を変えるのが日本流のコミュニケーションです。

寿司
ランチには、寿司をいただきましょう。昨今では回転寿司のクオリティも高く、価格もリーズナブルで、実際に目でさまざまな寿司を見られるのがエンターテイニングでもあります。が、今回は回転寿司が近くに見当たらなかったので、通常の寿司アソートを頂きました。
寿司屋ではぜひとも、うに(Sea Urchin)、しらこ(Cod milt)、あん肝(monkfish liver)といった、日本ならではのクリーミーテイスト珍味を召し上がっていただきたいも のです。一生語り継げる思い出となってくれることでしょう。
アメ横
ランチの後は、上野駅~御徒町駅の間にあるアメ横にご案内しましょう。ここは東京のカオス。スニーカーから食材まで、ウィンドウショッピングだけでも楽しいストリートです。
昨今は自転車プロショップも多くあるアメ横近辺、ウィンドウに大きく本人の写真が貼ってあったりもして、(今回は残念ながらティムのではありませんでしたが)、そんなのを見るだけでも大喜びです。
歌舞伎座
そして、夕刻近くになったらまた銀座に戻り、歌舞伎座の前で記念写真を撮ってあげましょう。時間と興味があれば、一幕だけ見られるお試し歌舞伎、幕見席に案内してあげられれば最高です。
当日販売、予約なし、料金も内容により500~2000円程度とリーズナブル。ここまで メイクできればライダーは、「アイラブ東京!」叫ぶこと間違いなし(かも)。
ナイトライフ
そしてまだライダーの体力が残っているようであれば、最近、東京観光のひとつとして 流行っている新宿の「ロボットレストラン」はどうで しょう。 内容は、現代日本文化の象徴とも言える
「アニメ」
「ロボット」
「サイバーパンク」
「サムライギャル」
「オッケーイェーイ!」
的な要素が全て混じったもの。日本人にはあまり知られていない穴場です。レストランというより2時間の壮大なショー。ご飯はおまけのようなもの、食べないという選択肢だってあるんです。
というところで、バイクを使わない東京観光を楽しんでもらったティム。いかがでした?
「楽しかった! また日本には来るつもりだよ」
次はどんなことしたい?
「今度は大阪だな! 美味しいお好み焼き食べたい!」
おっとぉ!
text&photo:中村パンソニ( Nakamura Pandasonic)
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