2014/12/14(日) - 11:18
深い霧の中を進む、team Detour Partyのオンナ5人。順調に麦草峠へ。そして次のチェックポイントへと向かう。ラファ・ウイメンズプレステージはいよいよ最終章へ。そこにはもはやお約束のように大きな試練が待っていた。
CP1到着。喜びもつかの間、寒さに震える麦草峠
麦草峠の看板が見えてきた。「おっしゃー!」心の中で万歳だ。立派なヒルクライムをこなして峠にたどり着いたこの達成感。しびれる。それより、お腹が空いた(笑)。
CP1通過の印を押してもらい、テーブルに並べられた補給食をいただく。バナナと、Raphaオリジナルのミックスフルーツのライスケーキ。これが絶品! 峠を制した達成感と空腹によりかなり満足度が高かった。ちなみにこのライスケーキはRapha Cycle Club東京のカフェでも食べることができるのでぜひお試しあれ(←宣伝)。
「みなさん、予想よりかなり早く到着されたので、ショートカットは無しで。当初の予定通りグラベル走ってください!」
ざわっ… なんとグラベルが復活した!。私たちはバナナを頬張りながらちっちゃくガッツポーズ。こうでなくちゃ。
きゃっきゃしていると、次々とチームが到着。楽しくてみんなを出迎えたい気持ちだけど、気づくと身体が冷えて寒くなってきた。ここはさっさと下山した方がよさそうだ。もうすでに体温が奪われ風を切ると寒さで歯がガチガチいう。
「温泉に入りたい〜」「足湯でもいいよ」「あったか〜いコーヒーが飲みたいな」… 口から漏れるのは温かいものばかり。厳しい下山だ。
あまりの寒さに、下山途中の山小屋で暖を取ることにした。少し休みながら作戦会議としよう。メニューにうどんの文字を見つけたけど、ここはグッと我慢。コーヒーをオーダーしてCUEシート(行程表)とにらめっこ。
身体も温まったところで本格的に下山。朝のどんよりした雰囲気が一転、天気も回復してきて走りやすくなった。
気持ち良くどんどん下っていると、途中一緒になったチームの方が「この先に美味しいパン屋さんがある」と教えてくれたので、小腹を空かせた私たちはここで再び休憩。
外のウッドデッキでのんびりパンを食べていると、またあの関西(弁)チームが賑やかに通り過ぎて行った。
「あーっ(うどんも食べずに早々に引き揚げたけど)ここにおったんか〜ケラケラ」。元気だ(笑)。
どのパンも、ほどよい塩分とお腹が満たされていく感を得られて、今まさにこれが欲しかったという品ばかり。山小屋でうどんを我慢した甲斐があった。
ちょっとのんびりし過ぎた。仕切り直して出発だ。
グラベルを走破。そして最後のチェックポイントCP2へ。
どこまでも続く田園風景の中を進んで行く。カラッとした空気、身体にあたる風が軽く心地いい。
いよいよお待ちかねのグラベルに突入。一つ目はジャブのごとく軽めの砂利道。水を得た魚状態の私たち。楽しい。
いくつものグラベルを通過し、アドレナリンがじわじわ出ているのを確認。アキはかなり興奮気味だ。いや、私たち全員、ロードバイクで悪路を走る楽しさを噛みしめている。
まるでジャングルのような草ぼうぼうのダートも、路面状況がよくわからないのがまたドキドキさせる。タイヤは今回のために23Cから25や26Cに変更している。このまま遠回りして遊びに行ってしまいたい。そんな衝動を抑えながらグラベルを女子だけで進んでいく姿は、勇ましいというか、客観的に見て惚れるだろう…おそらく(笑)。
楽しかったグラベルも走破してしまい、残すはCP2のみ。道の駅こぶちざわに余裕のドヤ顔で寄り道をしてみた。「ゴールはまだもうちょっとだよね」とワイワイ記念写真を一枚。
ここですでにロストしていたとは誰一人として思わずに…。
ゴールまで残り10km付近で私たちは何となくおかしな雰囲気を感じ、脚を止め自転車から降りた。
「ホントにこの道であってるのか??」
しばらく心の中で思いながらもGARMIN様の言う通りに進んできたから間違いないはずだった。だいぶ脚を削って疲れているところで激坂も上り、もうそろそろCP2に着いても良さそうなのに、まったくその雰囲気がしない。おかしい。文明の利器がイマイチ使いこなせないと自分をわかっていたけいぞうは、地図のコピーを持参していた。いつでもアナログは大事。何が起きるかわからない。
残念ながらCP2は通過していないことが判明。調べてみると、どうやら一筋隣の道を走って来てしまったようだ。最新のGARMINはなぜか2本のルート線を描いていて疑問に思いながらも間違った方の線上を進んで来たのだ。思えば、コースから外れた時、ともにゅのedge500は「off course」の表示が出たためみんなにその旨を伝えたが、けいぞうGARMINは外れていないということで最新デバイスを信じてそのまま突き進んで来たのだ。
これはテストだ。ここまで問題なく来れたけど、こんな試練が待ち受けていたとは! 裏でRaphaが操作しているのではないか!? まったくニクイ演出だ(違う)。
道端に座り込んで地図とにらめっこ。今から正しいルートに戻るか、このままゴールを目指すか。このメンバーの中で一番疲れていたのはともにゅだった。彼女は正直に、「最後に上った坂で脚を使い切ってしまった」と告白。正しいルートに戻りたいけど、緩めとはいえまた登る自信が無い。珍しく弱音を吐いた。ちなみに、その激坂は本来上る予定ではない坂だった。お疲れ様でした。
ワカが事務局に電話をして指示を仰いでいると、どこから買って来たのか、アキは濃厚プリンを美味しそうにちゅるりとしながらワカを見守っている。よく見るとここは中村農場直売所の目の前。アキはプリンを食べながらだが、ワカを見守る目は真剣そのものだった… これは余談だが。
回り道でゴール。team Detour Partyの由来がそこに?
事務局の指示もあり、時間と体力を考慮し、結局このままゴールを目指すことになった。ああ、CP2に寄れなかった… 無念。けど、壮大なブログネタはできた! ということで丸く収まった。
さあゴールを目指そう。本ルートに戻るのはおそらく最後の最後、ゴール付近であろう。それまではまだロストした状態だ。さきちゃんチーム(全日本CX女子チャンプ宮内佐季子選手の3人チーム)はきっと早々にゴールしているだろう。彼女は地図を開くと3Dで浮かび上がって見えるらしい。何という能力だ。
そんなどえらい話にまったくダメな私たちを重ね合わせて大笑いしながら、ルート外の車通りが多めの道を走っていると、前方から自転車を積んだ車が走っているのが見えた。明らかに走り終えて帰途に就いている状態、そして乗っているのは噂のチャンプとそのメンバーだった(笑)。
さきちゃんは車窓から「バイバーイ」と手を振ってくれたが、怪訝な表情には「ここルートだっけ?」という吹き出しが付いてるのが見えた。
JR小海線の線路沿いに出た。もうじきゴールだ。機材的にはほぼノートラブルだったけど、雨が降ったり、霧の中を走ったり、長い峠道を上ったり、寒さに震えて暖を求めたり、ロストしたり…。
これだけの条件をみんなで楽しく走破できたことは、自分たちの気持ちを一つにして、強くした。もう終わってしまうのか…。 寂しさも同時に込み上げてきた。
朝と打って変わって晴れ間も見える野辺山の空のもと、私たちteam Detour Partyは元気に全員一緒にゴールすることができた。「Detour」の名の通り、回り道をしてしまったけど。
ひとしきりゴールの余韻を味わい、ホテルのお風呂で湯船につかりながらみんなで今日を振り返った。一つ経験値が上がったとポジティブにとらえよう。
もし、また同じようなライドで走らせていただくチャンスがあるのなら、この5人で“まぼろし”のCP2にチェックインしたい。再び集結する日まで、けいぞうに声を掛けてもらったあのサマークロスから今日までの経験を糧に、それぞれが自立しさらに成長していることを願って。
けいぞう、ワカ、アキ、ともにゅ、この日のために協力してくれた友人たちと家族やパートナー、みんなありがとう。そしてこんなに盛大で素敵なライドイベントを走る機会を作ってくださった、Rapha Japanのみなさまに感謝します。
team Detour Party メンバー
けいぞう(cycleclub 3up/チバポンズ)
ワカ(ARAI Muraca/Team CHAINRING)
アキ(ARAI Muraca)
ともにゅ(なるしまフレンド/W.V.OTA twin)
とめっち(SNEL CYCLOCRSS TEAM/栃ナビ自転車部)
Text: Yukie.Hayashiguchi
Edit: Tomoko.Yasuda
CP1到着。喜びもつかの間、寒さに震える麦草峠
麦草峠の看板が見えてきた。「おっしゃー!」心の中で万歳だ。立派なヒルクライムをこなして峠にたどり着いたこの達成感。しびれる。それより、お腹が空いた(笑)。
CP1通過の印を押してもらい、テーブルに並べられた補給食をいただく。バナナと、Raphaオリジナルのミックスフルーツのライスケーキ。これが絶品! 峠を制した達成感と空腹によりかなり満足度が高かった。ちなみにこのライスケーキはRapha Cycle Club東京のカフェでも食べることができるのでぜひお試しあれ(←宣伝)。
「みなさん、予想よりかなり早く到着されたので、ショートカットは無しで。当初の予定通りグラベル走ってください!」
ざわっ… なんとグラベルが復活した!。私たちはバナナを頬張りながらちっちゃくガッツポーズ。こうでなくちゃ。
きゃっきゃしていると、次々とチームが到着。楽しくてみんなを出迎えたい気持ちだけど、気づくと身体が冷えて寒くなってきた。ここはさっさと下山した方がよさそうだ。もうすでに体温が奪われ風を切ると寒さで歯がガチガチいう。
「温泉に入りたい〜」「足湯でもいいよ」「あったか〜いコーヒーが飲みたいな」… 口から漏れるのは温かいものばかり。厳しい下山だ。
あまりの寒さに、下山途中の山小屋で暖を取ることにした。少し休みながら作戦会議としよう。メニューにうどんの文字を見つけたけど、ここはグッと我慢。コーヒーをオーダーしてCUEシート(行程表)とにらめっこ。
身体も温まったところで本格的に下山。朝のどんよりした雰囲気が一転、天気も回復してきて走りやすくなった。
気持ち良くどんどん下っていると、途中一緒になったチームの方が「この先に美味しいパン屋さんがある」と教えてくれたので、小腹を空かせた私たちはここで再び休憩。
外のウッドデッキでのんびりパンを食べていると、またあの関西(弁)チームが賑やかに通り過ぎて行った。
「あーっ(うどんも食べずに早々に引き揚げたけど)ここにおったんか〜ケラケラ」。元気だ(笑)。
どのパンも、ほどよい塩分とお腹が満たされていく感を得られて、今まさにこれが欲しかったという品ばかり。山小屋でうどんを我慢した甲斐があった。
ちょっとのんびりし過ぎた。仕切り直して出発だ。
グラベルを走破。そして最後のチェックポイントCP2へ。
どこまでも続く田園風景の中を進んで行く。カラッとした空気、身体にあたる風が軽く心地いい。
いよいよお待ちかねのグラベルに突入。一つ目はジャブのごとく軽めの砂利道。水を得た魚状態の私たち。楽しい。
いくつものグラベルを通過し、アドレナリンがじわじわ出ているのを確認。アキはかなり興奮気味だ。いや、私たち全員、ロードバイクで悪路を走る楽しさを噛みしめている。
まるでジャングルのような草ぼうぼうのダートも、路面状況がよくわからないのがまたドキドキさせる。タイヤは今回のために23Cから25や26Cに変更している。このまま遠回りして遊びに行ってしまいたい。そんな衝動を抑えながらグラベルを女子だけで進んでいく姿は、勇ましいというか、客観的に見て惚れるだろう…おそらく(笑)。
楽しかったグラベルも走破してしまい、残すはCP2のみ。道の駅こぶちざわに余裕のドヤ顔で寄り道をしてみた。「ゴールはまだもうちょっとだよね」とワイワイ記念写真を一枚。
ここですでにロストしていたとは誰一人として思わずに…。
ゴールまで残り10km付近で私たちは何となくおかしな雰囲気を感じ、脚を止め自転車から降りた。
「ホントにこの道であってるのか??」
しばらく心の中で思いながらもGARMIN様の言う通りに進んできたから間違いないはずだった。だいぶ脚を削って疲れているところで激坂も上り、もうそろそろCP2に着いても良さそうなのに、まったくその雰囲気がしない。おかしい。文明の利器がイマイチ使いこなせないと自分をわかっていたけいぞうは、地図のコピーを持参していた。いつでもアナログは大事。何が起きるかわからない。
残念ながらCP2は通過していないことが判明。調べてみると、どうやら一筋隣の道を走って来てしまったようだ。最新のGARMINはなぜか2本のルート線を描いていて疑問に思いながらも間違った方の線上を進んで来たのだ。思えば、コースから外れた時、ともにゅのedge500は「off course」の表示が出たためみんなにその旨を伝えたが、けいぞうGARMINは外れていないということで最新デバイスを信じてそのまま突き進んで来たのだ。
これはテストだ。ここまで問題なく来れたけど、こんな試練が待ち受けていたとは! 裏でRaphaが操作しているのではないか!? まったくニクイ演出だ(違う)。
道端に座り込んで地図とにらめっこ。今から正しいルートに戻るか、このままゴールを目指すか。このメンバーの中で一番疲れていたのはともにゅだった。彼女は正直に、「最後に上った坂で脚を使い切ってしまった」と告白。正しいルートに戻りたいけど、緩めとはいえまた登る自信が無い。珍しく弱音を吐いた。ちなみに、その激坂は本来上る予定ではない坂だった。お疲れ様でした。
ワカが事務局に電話をして指示を仰いでいると、どこから買って来たのか、アキは濃厚プリンを美味しそうにちゅるりとしながらワカを見守っている。よく見るとここは中村農場直売所の目の前。アキはプリンを食べながらだが、ワカを見守る目は真剣そのものだった… これは余談だが。
回り道でゴール。team Detour Partyの由来がそこに?
事務局の指示もあり、時間と体力を考慮し、結局このままゴールを目指すことになった。ああ、CP2に寄れなかった… 無念。けど、壮大なブログネタはできた! ということで丸く収まった。
さあゴールを目指そう。本ルートに戻るのはおそらく最後の最後、ゴール付近であろう。それまではまだロストした状態だ。さきちゃんチーム(全日本CX女子チャンプ宮内佐季子選手の3人チーム)はきっと早々にゴールしているだろう。彼女は地図を開くと3Dで浮かび上がって見えるらしい。何という能力だ。
そんなどえらい話にまったくダメな私たちを重ね合わせて大笑いしながら、ルート外の車通りが多めの道を走っていると、前方から自転車を積んだ車が走っているのが見えた。明らかに走り終えて帰途に就いている状態、そして乗っているのは噂のチャンプとそのメンバーだった(笑)。
さきちゃんは車窓から「バイバーイ」と手を振ってくれたが、怪訝な表情には「ここルートだっけ?」という吹き出しが付いてるのが見えた。
JR小海線の線路沿いに出た。もうじきゴールだ。機材的にはほぼノートラブルだったけど、雨が降ったり、霧の中を走ったり、長い峠道を上ったり、寒さに震えて暖を求めたり、ロストしたり…。
これだけの条件をみんなで楽しく走破できたことは、自分たちの気持ちを一つにして、強くした。もう終わってしまうのか…。 寂しさも同時に込み上げてきた。
朝と打って変わって晴れ間も見える野辺山の空のもと、私たちteam Detour Partyは元気に全員一緒にゴールすることができた。「Detour」の名の通り、回り道をしてしまったけど。
ひとしきりゴールの余韻を味わい、ホテルのお風呂で湯船につかりながらみんなで今日を振り返った。一つ経験値が上がったとポジティブにとらえよう。
もし、また同じようなライドで走らせていただくチャンスがあるのなら、この5人で“まぼろし”のCP2にチェックインしたい。再び集結する日まで、けいぞうに声を掛けてもらったあのサマークロスから今日までの経験を糧に、それぞれが自立しさらに成長していることを願って。
けいぞう、ワカ、アキ、ともにゅ、この日のために協力してくれた友人たちと家族やパートナー、みんなありがとう。そしてこんなに盛大で素敵なライドイベントを走る機会を作ってくださった、Rapha Japanのみなさまに感謝します。
team Detour Party メンバー
けいぞう(cycleclub 3up/チバポンズ)
ワカ(ARAI Muraca/Team CHAINRING)
アキ(ARAI Muraca)
ともにゅ(なるしまフレンド/W.V.OTA twin)
とめっち(SNEL CYCLOCRSS TEAM/栃ナビ自転車部)
Text: Yukie.Hayashiguchi
Edit: Tomoko.Yasuda
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