2014/09/23(火) - 09:14
8月の下旬にドイツ南部のフリードリヒスハーフェンに開催された「ユーロバイク」。今回初めて海外取材を任されたCW編集部・山本による世界最大のサイクルショーの取材記を、ちょっとユルめなテイストでお届けします。
1年で最も忙しい7月つまりツール・ド・フランスが終わって、編集部内が落ち着きを取り戻し始めていた8月上旬。1ヶ月の長旅から帰ってきた編集長がふとトンデモナイことを言い放った。「山ちゃん、ユーロバイク行ってこないか?」と。今年に入ってから編集長は既に4度の海外出張をこなしていることから、かなり疲労も溜まっている様子だ。
「確かに海外取材に行ける絶好の機会だけど英語が堪能という訳でもないですし、果たして仕事として務まるのでしょうか」。個人的脳内会議では慎重派がそんな返答を用意していた気もするけど、反射的に口から飛び出したのは「キタコレッ!行かせてください」というふたつ返事。なんたって、そこには世界中から最新の自転車とパーツが一堂に会するのだからこのチャンスを逃す手はない。
その日からは、出国の日へ向けて高揚する気持ちを抑えるのが大変だったこと。そんなもんだから、編集部内からは「今なら山本に何を頼んでも大丈夫」と言われる始末。それでも、不安は尽きないのは初ヨーロッパ(!)であるから。旅行経験の少ない自分に大仕事を任せてくれた上司に感謝しつつも、出国前日の準備は深夜3時まで掛かってしまった。
そして、出国の日。成田空港では日本食が恋しくなることは間違いないと思い、うどんを食べてから搭乗する。約22時間に渡るロングフライトの始まりだ。今回はタイ国際航空便を選択。バンコクでトランジットがあるために移動時間は長くなるものの、本場のタイ料理が食べられて満足。旅にトラブルは付き物と良くいうが、幸運なことにビジネスクラスに変更になったおかげで機内での仕事が捗ること。
また、バンコクからはユーロバイク関係者も多くなって来る。なんで分かるのかと言われると、自転車ブランドのロゴが入ったのTシャツを着た人が増えたから。自分を含め国内でスポーツサイクルに関わっている方の中に限っても自転車系Tシャツを着ている人が多く、その辺りは万国共通(笑)。
お日様とは逆方向に回転し始めてからほぼ1日がたったものの旅疲れもなくチューリッヒ空港に降り立つ。ユーロバイクの会場は上記の通りドイツであるものの、最寄りの大規模空港がチューリッヒなのである。バスに乗り換えて国境の関門を越え、ドイツ、スイス、オーストリアの3カ国に接するボーデン湖の美しい眺めを横目にユーロバイクの会場であるメッセ・フリードリヒスハーフェン(以下メッセ)へ到着。自宅を発ってから約30時間が経過していた。
この日は「DEMO DAY」と称した試乗会が開催されていた。今年からメッセに隣接する駐車場にメイン会場を移動したことで客足が増え、主催者発表では約3,300名が来場したとのこと。会場を見渡してみると、海外の情報サイトでリークされていたバイクがさり気なく試乗車として用意されていたりして、初っ端からメカ好きとしてはテンション上がりまくり。試乗車の内訳はロードバイクよりも、オールマウンテン系MTBやE-Bikeの割合が高く、国内のトレンドとの間には大きな違いが。また日本では見たことも聞いたこともないブランドも多くブースを構えており、アイデア勝負のヘンテコリン(失礼!)なパーツと共に目を楽しませてくれる。
それも1,000台以上のバイクが揃えられ、テストコースは会場周辺のアップダウンに富む一般道や、MTBの性能をフルに堪能できるオフロードとその充実ぶりは国内事情から考えるとカルチャーショックなレベル。あまりに気持ち良く走れるので、写真をとることを忘れてしまうほど(実際の話)。
あいにく雨が降っていたものの、世界中のジャーナリストや関係者はドロドロになってもお構いなしにマジで楽しみながらテスト。一方で、会場内のフードコートではビールで乾杯したり、オランダのスティーブンス(STEVENS)のブース前では自前のテーブルで卓球に興じていたりと「ちゃんと仕事しているのか?」とツッコミたくなるほど。ヨーロッパは予想以上にフリーダムだ。
DEMO DAYを終えて、メッセ内に設けられたプレスルームに行くと既に最新情報を発信すべく各国のメディアが既にパソコンのスクリーンと顔を向きあわせている。中にはデスクトップのPCを持参した媒体もいて、このショーの重要度がどれほどなのかを思い知る。そして外の雰囲気に反して会場内ではブース内の設営が、メインステージでは行われるアパレルショーのリハーサルが続いていた。
ヨーロッパ初日はDEMO DAYだけではなく、既にお伝えしたリドレーの新型軽量エアロロード「NOAH SL」の発表界も取材(詳細はこちらから)。実は現在の愛車がリドレーということもあって、これも何かの縁なのだろう。会場はボーデン湖の畔に位置するツェッペリンミュージアムで、バルコニーから望む夜景が非常に美しい。
会場に着くと、ゲストとして招待されていた地元ドイツのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)の姿が。ゴリラというニックネームを持つ重量級スプリンターだが、実物は写真で見るよりもシャープな体型だったのには少々びっくり。ちょっと高そうなディナーを頂きつつ取材を終え、テーブルを共にしたアジアのジャーナリストと親交を深めつつ夜は更けていくのであった。
次回はいよいよ開幕したユーロバイクの裏側や、現地での滞在生活について振り返ってみたいと思います。
text&photo:Yuya.Yamamoto
1年で最も忙しい7月つまりツール・ド・フランスが終わって、編集部内が落ち着きを取り戻し始めていた8月上旬。1ヶ月の長旅から帰ってきた編集長がふとトンデモナイことを言い放った。「山ちゃん、ユーロバイク行ってこないか?」と。今年に入ってから編集長は既に4度の海外出張をこなしていることから、かなり疲労も溜まっている様子だ。
「確かに海外取材に行ける絶好の機会だけど英語が堪能という訳でもないですし、果たして仕事として務まるのでしょうか」。個人的脳内会議では慎重派がそんな返答を用意していた気もするけど、反射的に口から飛び出したのは「キタコレッ!行かせてください」というふたつ返事。なんたって、そこには世界中から最新の自転車とパーツが一堂に会するのだからこのチャンスを逃す手はない。
その日からは、出国の日へ向けて高揚する気持ちを抑えるのが大変だったこと。そんなもんだから、編集部内からは「今なら山本に何を頼んでも大丈夫」と言われる始末。それでも、不安は尽きないのは初ヨーロッパ(!)であるから。旅行経験の少ない自分に大仕事を任せてくれた上司に感謝しつつも、出国前日の準備は深夜3時まで掛かってしまった。
そして、出国の日。成田空港では日本食が恋しくなることは間違いないと思い、うどんを食べてから搭乗する。約22時間に渡るロングフライトの始まりだ。今回はタイ国際航空便を選択。バンコクでトランジットがあるために移動時間は長くなるものの、本場のタイ料理が食べられて満足。旅にトラブルは付き物と良くいうが、幸運なことにビジネスクラスに変更になったおかげで機内での仕事が捗ること。
また、バンコクからはユーロバイク関係者も多くなって来る。なんで分かるのかと言われると、自転車ブランドのロゴが入ったのTシャツを着た人が増えたから。自分を含め国内でスポーツサイクルに関わっている方の中に限っても自転車系Tシャツを着ている人が多く、その辺りは万国共通(笑)。
お日様とは逆方向に回転し始めてからほぼ1日がたったものの旅疲れもなくチューリッヒ空港に降り立つ。ユーロバイクの会場は上記の通りドイツであるものの、最寄りの大規模空港がチューリッヒなのである。バスに乗り換えて国境の関門を越え、ドイツ、スイス、オーストリアの3カ国に接するボーデン湖の美しい眺めを横目にユーロバイクの会場であるメッセ・フリードリヒスハーフェン(以下メッセ)へ到着。自宅を発ってから約30時間が経過していた。
この日は「DEMO DAY」と称した試乗会が開催されていた。今年からメッセに隣接する駐車場にメイン会場を移動したことで客足が増え、主催者発表では約3,300名が来場したとのこと。会場を見渡してみると、海外の情報サイトでリークされていたバイクがさり気なく試乗車として用意されていたりして、初っ端からメカ好きとしてはテンション上がりまくり。試乗車の内訳はロードバイクよりも、オールマウンテン系MTBやE-Bikeの割合が高く、国内のトレンドとの間には大きな違いが。また日本では見たことも聞いたこともないブランドも多くブースを構えており、アイデア勝負のヘンテコリン(失礼!)なパーツと共に目を楽しませてくれる。
それも1,000台以上のバイクが揃えられ、テストコースは会場周辺のアップダウンに富む一般道や、MTBの性能をフルに堪能できるオフロードとその充実ぶりは国内事情から考えるとカルチャーショックなレベル。あまりに気持ち良く走れるので、写真をとることを忘れてしまうほど(実際の話)。
あいにく雨が降っていたものの、世界中のジャーナリストや関係者はドロドロになってもお構いなしにマジで楽しみながらテスト。一方で、会場内のフードコートではビールで乾杯したり、オランダのスティーブンス(STEVENS)のブース前では自前のテーブルで卓球に興じていたりと「ちゃんと仕事しているのか?」とツッコミたくなるほど。ヨーロッパは予想以上にフリーダムだ。
DEMO DAYを終えて、メッセ内に設けられたプレスルームに行くと既に最新情報を発信すべく各国のメディアが既にパソコンのスクリーンと顔を向きあわせている。中にはデスクトップのPCを持参した媒体もいて、このショーの重要度がどれほどなのかを思い知る。そして外の雰囲気に反して会場内ではブース内の設営が、メインステージでは行われるアパレルショーのリハーサルが続いていた。
ヨーロッパ初日はDEMO DAYだけではなく、既にお伝えしたリドレーの新型軽量エアロロード「NOAH SL」の発表界も取材(詳細はこちらから)。実は現在の愛車がリドレーということもあって、これも何かの縁なのだろう。会場はボーデン湖の畔に位置するツェッペリンミュージアムで、バルコニーから望む夜景が非常に美しい。
会場に着くと、ゲストとして招待されていた地元ドイツのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)の姿が。ゴリラというニックネームを持つ重量級スプリンターだが、実物は写真で見るよりもシャープな体型だったのには少々びっくり。ちょっと高そうなディナーを頂きつつ取材を終え、テーブルを共にしたアジアのジャーナリストと親交を深めつつ夜は更けていくのであった。
次回はいよいよ開幕したユーロバイクの裏側や、現地での滞在生活について振り返ってみたいと思います。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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