2014/07/30(水) - 11:49
全国的に梅雨明けが宣言された、7月21日。栃木県の北部、福島県との県境に位置する南会津町にて開催されたロングライドイベント、「走ってみっぺ南会津!」が開催された。夏真っ盛りのギラギラとした陽射しのもと、398人のサイクリストが駆け抜けたイベントの様子を紹介しよう。
3回目の開催となった「走ってみっぺ南会津!」
雷雨、激坂・・・不安に包まれる大会前日
大会前日の17時。走ってみっぺ南会津!の取材のために、編集部を出たシクロワイアード号は埼玉県和光市で滝のような雨に打たれていた。ハイエースの薄い天井を叩く大きな雨粒はまるでマーチングドラムのよう。そう書くと、賑やかで楽しげかもしれないが、車内の空気は重い。
「雨か。」「雨ですね。」ママチャリにのった男子中学生がずぶ濡れになりながら走り抜けていく姿が、明日の自分を暗示しているかのようで、憂鬱になりながらも、雨ならば重たい一眼レフを背負わなくてもいいのだ、と無理やりポジティブに捉えなおして東北道へと乗り込む。
大会会場となるたかつえスキー場は、東北道那須塩原ICから1時間半ほどの山間に位置する高原のリゾート地。途中には塩原温泉街があり、賑わいを見せている横を通り過ぎて、さらに北上していく。「坂か。」「坂ですね。」シクロワイアード号で走っている登りと下りしかない国道400号線が、新たな不安を連れてくる。
これは、ひょっとするとかなり貧乏くじを引いてしまったのでは?と編集部で留守番をしている同僚の姿を脳裏によぎらせながら辿りついたのは、たかつえスキー場の横、会津アストリアホテル。メールチェックをすませ、大浴場で汗を流して、雨と坂でハードになるだろう明日の取材に備えて就寝した。
伊南川沿いのなだらかな道を走っていく
受付風景
テントでくつろぐサポートライダーのブリッツェンの選手たちは
そして迎えた大会当日
朝5時半、目を覚ますと覚悟していたはずの雨音が聞こえてこない。もしかして?と思って窓から空を見上げると、青空が広がっている。部屋のテレビをつけると、折よく梅雨明け宣言が出されたことを伝えるニュースが流れていた。やった。一気に憂鬱な気分が晴れていく。
誤解を招かないように付け加えると、雨が降っていようが取材するのは嫌ではないが、写真映りがどうしても悪くなってしまうのが残念だったのだ。けして自分が濡れるのが嫌だとか、そういうことではないのである。そう、断じて違うのだ。
続々とスタートしていく
那須ブラーゼンジャージの皆さん
ゲストライダーの絹代さん
”懸案事項その1”がきれいさっぱり解消され、ホテルでおいしい朝食をいただき、取材準備を整え、メイン会場へと向かっていく。いつもは重い一眼レフも今日はこころなしか軽い。広々とした会場には駐車場が隣接しており、準備もしやすいのが好印象。夏場はMTBパークとして開業しているたかつえスキー場の施設内には、レンタル用バイクやヘルメットが所狭しと並べられていた。
7時30分から開会式が行われ、8時には早速100kmコースの参加者がスタートしていく。MCの棚橋麻衣さんのアナウンスの元、10人ごとのグループが続々とスタートしていくのを写真に収め、我々取材班もスタートを切る。メイン会場を出ると早速たかつえ高原の絶景に遭遇。青い空の下、爽快なダウンヒルを楽しみながら第1ASの舘岩物産館に駆け込むと、新鮮なトマトやごまだれ餅が迎えてくれる。
等間隔を保って下っていく参加者たち。自転車ならではの光景
会場を出ると早速ダウンヒルだ
爽快に下り坂を飛ばしていく
しばらく進むと右手に前沢曲屋集落が見える。昔ながらの藁葺き屋根の建物が並ぶ姿に何とも言えない郷愁を感じてしまう。木陰と日なたが織りなすコントラストの中を、走っていくと国道401号線にぶつかると同時に現れる内川ASでは、じゅうねん味噌がたっぷり塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」がふるまわれた。
ここからはしばらく登り区間ということで、昨日の車で走った道を思い返しつつおそるおそる進んでいくが、どこにもそんなに激しい坂はない。そう、山に囲まれたなかでも走りやすいルートを厳選してコースが設定されているのだ。”懸案事項その2”も解決し、ペダリングも軽やかに伊南川沿いの国道352号を走っていく。
前沢集落にはこういった藁葺屋根の建物がたくさんあった
中央線の看板が雪国を感じさせる
南会津の特産品「ばんでい餅」。塗られているのはじゅうねん味噌
伊南川を渡ち内川ASへ向かう
時折現れるスノーシェードが、雪国らしさを感じさせてくれる。陽射しも高くなってくるころになると、スノーシェードの日影が非常に心地良い。トンネルと違って自然光が入ってくるため、走りやすいのだ。川の様子が渓流らしくなってきたころ、3つ目のAS、屏風岩ASが現れた。
60kmコースは折り返し地点となる屏風岩ASでは、マトン丼がふるまわれた。南会津では羊を食べる習慣があるとのことで、実際に後半に走った街中でも、精肉店に「マトン・ラム」と掲げられていたのが目に付いた。そして、特筆すべきは、その量。「2,3切れかなー」などと思っていたら、ASのお姉さんの肉を入れる手は止まらない。ご飯が肉で隠れて見えない、なんてものではなく、もはやご飯よりも肉が多い。小食の人は、「少なめで」と先に伝えたほうが良いだろう。
ここの標高608m
スノーシェッドに入っていく
どんどん焼かれるマトンたち
え、まだ盛るんですか!?
絹代さんとサポートライダーのみなさん
屏風岩にはここまで近づけるのだ
濃いめの味付けの肉は、塩分の抜けた体が求めている味がした。ASからは、伊南川に降りることができる。川の浸食作用で形作られた、屏風岩の絶景をすぐ近くで見ることができる。水もきれいで、最高の休憩スポットだ。とはいえ、残り70kmほどを残しているので先に進んでいく。伊南川沿いを今度は下流へと向かっていく。
下流になるにつれ、渓相は変わっていき、川幅もかなり広くなっていく。鮎釣りに興じる釣り人たちを横目に眺めながら、快調に下っていく。4つ目のエイドとなるのは、蛇岩AS。笹団子や山菜を頂き、再び走りだす。下流側も折り返しのコースだが、川を挟んで下りは左岸、上りは右岸を通るようなコースなので飽きずに走っていける。
往路と復路で出会いがあるのも良いところ
家族の先頭を引く息子さん
こここまでくればあと少し!
川沿いの道は勾配も緩く、追い風ということもあってあまり苦にならない。少しさかのぼったところを左に入ると5つ目のAS、きらら289ASに到着。道の駅きらら289では、観光案内所のほか温泉施設も併設され、渓流を望む絶景の露天風呂が人気だそう。ちなみに289というのは国道289号沿いにあるから。
さて、もう少し伊南川を遡り352号線との交差点を左折すると、ゴールはもう少し。1つ目のASだった舘岩物産館ASは最終ASでもあり、往路にはなかった山菜そばをふるまってくれる。最後にカロリーを補給したら、たかつえスキー場への2kmの登りが待っている。平均斜度約6.5%と走りごたえのある登り坂が最後に参加者を待っている。ところどころで立ち止まって休憩している参加者さんもちらほらいる中、ゴールに向かって進んでいく。
右っぺよ!
木陰で休憩する人も
ブリッツェン養成マシーン体験コーナーも。ランプが全部点灯すればブリッツェンに入れるらしいです
ゴールで迎えてくれたMCの棚橋麻衣さん
ゴールにたどり着くと、温かい豚汁が用意されておりヒルクライム後の体に沁みわたっていく。会場近くの「白樺の湯」ではゼッケンを見せることで無料入浴でき、汗を流して帰宅の途につく参加者も多かった。取材班もご多分にもれず温泉に入ってからの帰社となった。
抜群の景色、質と量を兼ね備えたエイドステーション、登り区間が少ないコースと、自転車を楽しむには最高の大会だった「走ってみっぺ 南会津!」。車も少なく、信号もほとんどない(記憶にある限りだと3つ。)最高のサイクリング環境をもつ南会津の魅力がぎっしり詰まったイベントだった。次はあなたも走ってみっぺ!
text&photo:Naoki.YASUOKA
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雷雨、激坂・・・不安に包まれる大会前日
大会前日の17時。走ってみっぺ南会津!の取材のために、編集部を出たシクロワイアード号は埼玉県和光市で滝のような雨に打たれていた。ハイエースの薄い天井を叩く大きな雨粒はまるでマーチングドラムのよう。そう書くと、賑やかで楽しげかもしれないが、車内の空気は重い。
「雨か。」「雨ですね。」ママチャリにのった男子中学生がずぶ濡れになりながら走り抜けていく姿が、明日の自分を暗示しているかのようで、憂鬱になりながらも、雨ならば重たい一眼レフを背負わなくてもいいのだ、と無理やりポジティブに捉えなおして東北道へと乗り込む。
大会会場となるたかつえスキー場は、東北道那須塩原ICから1時間半ほどの山間に位置する高原のリゾート地。途中には塩原温泉街があり、賑わいを見せている横を通り過ぎて、さらに北上していく。「坂か。」「坂ですね。」シクロワイアード号で走っている登りと下りしかない国道400号線が、新たな不安を連れてくる。
これは、ひょっとするとかなり貧乏くじを引いてしまったのでは?と編集部で留守番をしている同僚の姿を脳裏によぎらせながら辿りついたのは、たかつえスキー場の横、会津アストリアホテル。メールチェックをすませ、大浴場で汗を流して、雨と坂でハードになるだろう明日の取材に備えて就寝した。
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そして迎えた大会当日
朝5時半、目を覚ますと覚悟していたはずの雨音が聞こえてこない。もしかして?と思って窓から空を見上げると、青空が広がっている。部屋のテレビをつけると、折よく梅雨明け宣言が出されたことを伝えるニュースが流れていた。やった。一気に憂鬱な気分が晴れていく。
誤解を招かないように付け加えると、雨が降っていようが取材するのは嫌ではないが、写真映りがどうしても悪くなってしまうのが残念だったのだ。けして自分が濡れるのが嫌だとか、そういうことではないのである。そう、断じて違うのだ。
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”懸案事項その1”がきれいさっぱり解消され、ホテルでおいしい朝食をいただき、取材準備を整え、メイン会場へと向かっていく。いつもは重い一眼レフも今日はこころなしか軽い。広々とした会場には駐車場が隣接しており、準備もしやすいのが好印象。夏場はMTBパークとして開業しているたかつえスキー場の施設内には、レンタル用バイクやヘルメットが所狭しと並べられていた。
7時30分から開会式が行われ、8時には早速100kmコースの参加者がスタートしていく。MCの棚橋麻衣さんのアナウンスの元、10人ごとのグループが続々とスタートしていくのを写真に収め、我々取材班もスタートを切る。メイン会場を出ると早速たかつえ高原の絶景に遭遇。青い空の下、爽快なダウンヒルを楽しみながら第1ASの舘岩物産館に駆け込むと、新鮮なトマトやごまだれ餅が迎えてくれる。
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しばらく進むと右手に前沢曲屋集落が見える。昔ながらの藁葺き屋根の建物が並ぶ姿に何とも言えない郷愁を感じてしまう。木陰と日なたが織りなすコントラストの中を、走っていくと国道401号線にぶつかると同時に現れる内川ASでは、じゅうねん味噌がたっぷり塗られた南会津の特産品「ばんでい餅」がふるまわれた。
ここからはしばらく登り区間ということで、昨日の車で走った道を思い返しつつおそるおそる進んでいくが、どこにもそんなに激しい坂はない。そう、山に囲まれたなかでも走りやすいルートを厳選してコースが設定されているのだ。”懸案事項その2”も解決し、ペダリングも軽やかに伊南川沿いの国道352号を走っていく。
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時折現れるスノーシェードが、雪国らしさを感じさせてくれる。陽射しも高くなってくるころになると、スノーシェードの日影が非常に心地良い。トンネルと違って自然光が入ってくるため、走りやすいのだ。川の様子が渓流らしくなってきたころ、3つ目のAS、屏風岩ASが現れた。
60kmコースは折り返し地点となる屏風岩ASでは、マトン丼がふるまわれた。南会津では羊を食べる習慣があるとのことで、実際に後半に走った街中でも、精肉店に「マトン・ラム」と掲げられていたのが目に付いた。そして、特筆すべきは、その量。「2,3切れかなー」などと思っていたら、ASのお姉さんの肉を入れる手は止まらない。ご飯が肉で隠れて見えない、なんてものではなく、もはやご飯よりも肉が多い。小食の人は、「少なめで」と先に伝えたほうが良いだろう。
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下流になるにつれ、渓相は変わっていき、川幅もかなり広くなっていく。鮎釣りに興じる釣り人たちを横目に眺めながら、快調に下っていく。4つ目のエイドとなるのは、蛇岩AS。笹団子や山菜を頂き、再び走りだす。下流側も折り返しのコースだが、川を挟んで下りは左岸、上りは右岸を通るようなコースなので飽きずに走っていける。
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川沿いの道は勾配も緩く、追い風ということもあってあまり苦にならない。少しさかのぼったところを左に入ると5つ目のAS、きらら289ASに到着。道の駅きらら289では、観光案内所のほか温泉施設も併設され、渓流を望む絶景の露天風呂が人気だそう。ちなみに289というのは国道289号沿いにあるから。
さて、もう少し伊南川を遡り352号線との交差点を左折すると、ゴールはもう少し。1つ目のASだった舘岩物産館ASは最終ASでもあり、往路にはなかった山菜そばをふるまってくれる。最後にカロリーを補給したら、たかつえスキー場への2kmの登りが待っている。平均斜度約6.5%と走りごたえのある登り坂が最後に参加者を待っている。ところどころで立ち止まって休憩している参加者さんもちらほらいる中、ゴールに向かって進んでいく。
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抜群の景色、質と量を兼ね備えたエイドステーション、登り区間が少ないコースと、自転車を楽しむには最高の大会だった「走ってみっぺ 南会津!」。車も少なく、信号もほとんどない(記憶にある限りだと3つ。)最高のサイクリング環境をもつ南会津の魅力がぎっしり詰まったイベントだった。次はあなたも走ってみっぺ!
text&photo:Naoki.YASUOKA
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