2014/07/12(土) - 09:18
7月2日、都内にてピナレロ2015年モデルの展示会が開催された。旗艦モデルであるDOGMAのフルモデルチェンジをはじめとした2015年モデルのお披露目が行われ、ハイエンドバイクからキッズバイクまで幅広いラインナップが並べられた展示会の様子をレポートしよう。
30台以上のバイクが並べられたピナレロ2015モデル展示会
200名を超えるショップスタッフや関係者が集まった
ニューモデルの説明会も併催された
展示会会場に足を踏み入れると、所狭しと並べられた30台以上のピナレロバイクが来場者を迎えてくれた。ハイエンドバイクからエントリーバイクまで刷新された2015年ラインナップの説明役として、イタリア本社のセールスマネージャーであるルチアーノ氏が来日。全国から展示会に訪れたショップスタッフや関係者達と親交を深めた。
数多くの展示車の中でも常に人垣が絶えなかったのは、フルモデルチェンジを果たしたDOGMA F8だ。ピナレロラインナップの中でも、ハイエンドモデルを超える「スーパーハイエンドモデル」として位置づけられたDOGMA F8。これまでのピナレロバイクのデザインコンセプトから大きな路線変更を行ったスーパーハイエンドモデルには、常に熱い視線が注がれていた。DOGMA F8についてはシクロワイアード内の特設ページにて特集している。
DOGMA F8に次いで注目を集めていたのは、ハイエンドモデルとして復活したPRINCE。さらには、ミドルグレードのMARVEL、エントリーグレードとして新登場したアルミバイクPRIMAなど、ほぼ全てのモデルが展示され、最先端の技術を駆使したバイクを作るレーシングブランドとして、エントリーモデルにも妥協しない姿勢が伺える。
復活したPRINCE
DOGMA F8は様々なカラーバリエーションが展示された
一風変わったデザインのRAZHA。クラシックな胴抜きデザインが流行することを見越してのグラフィックだと言う。
キッズバイク SPEEDY。ピナレロが「原点」と大事にしているモデルだ
BOLIDEの展示車にアッセンブルされていたDi2スイッチはピナレロのオリジナル。カーボン製だ
チームスカイカラーの展示車。選手供給用の122mm(!)ステムが取り付けられていた
ピナレロのレースバイクへの情熱が最も端的に表れているのが、キッズ用ロードバイクのSPEEDY。この24インチのキッズバイクが定番バイクとして長年製作され続けている理由は、サイクリストを育てたいという想いに他ならない。「人生で最初のスポーツバイクとしてピナレロに乗ることは、大きくなってもピナレロに乗り続ける選ぶ理由となってくれます。」とピナレロ・ジャパンのマーケティングマネージャーの藤井さんは言う通り、子どものころに乗っていたバイクは特別な存在として心に刻まれるだろう。
次々と新しくなるピナレロラインナップの中で、ロングセラーを続けるモデルがもうひとつある。それがトレヴィーゾだ。アップライトなポジションをとれるシティ用バイクだが、軽快な走行性能も持つフラットバーロードという位置づけ。「ただ単に安楽志向のシティバイクではなく、レーシーな味付けがされているのは、楽なポジションでも速く走りたいというニーズを受けているからです。」と藤井さん。
シティ用フラットバーロード トレヴィーゾ
クラシックスタイルのヘッドバッヂ
トレヴィーゾ県の紋章がプリント
トレヴィーゾの特徴はクラシカルなイメージや高級感を演出するスタイル。ケーブルの取り回しが内装となるなど、10年以上前の登場以来フレームには細かいアップデートがされ続けている。常に新しいテクノロジーを自転車へ取り入れていくピナレロの姿勢が、ピュアレーシングモデルではないトレヴィーゾにも反映されている。
ピナレロがイタリアで発売している実用車。クラシックなスタイルが美しい。(写真はトレヴィーゾを取材した際に撮影したもの)
トレヴィーゾ郊外のファクトリーでDOGMA F8を持つファウスト・ピナレロ氏 ピナレロ本拠地の地名が冠されたトレヴィーゾ。「イタリア人はルーツとなる土地に非常に強い愛着を持ちます。トレヴィーゾはピナレロが高いプライド意識を持って作っていると思います。それはペイントされた紋章やモデル名からも想像できますね。」と藤井さんは語る。
ピナレロの地元への愛情は本物だ。以前ピナレロ本社を取材した際にトレヴィーゾを訪れたのだが、その旧き町並みの中心部には直営店の自転車店が構えられ、ロードレーサーのみならず、日本では発売されていない実用車(もちろんピナレロブランド)も取りそろえられる。トレヴィーゾの街に整備されているレンタサイクルにはピナレロのバイクが採用されているし、ショップ横のカフェではピナレロファミリーが顔を出すと、地元の人たちがみな挨拶していくほど。いかに地域に密着し、受け入れられているブランドなのか伺い知れよう。
地域密着型の経営方針は、製品開発にも活かされている。2代目となるファウスト・ピナレロ氏は現在も地元のクラブチーム員とともにサイクリングに出かけて、一般サイクリストの要望を聞き製品にフィードバックするという。真の意味でユーザーと近い位置にいるブランドといえる。
レースに出るわけではないが、速く、快適に、遠くまでツーリングに出かけたいというニーズがイタリア国内で高まりつつある。その声に応えたのが、2015年モデルからラインナップに加わったMERCURIO。リアキャリアやフェンダー取り付け用のダボ穴がしつらえられたカーボンバイクを作る理由について藤井さんはこう語る。「レーシングバイクを追求するブランドであるピナレロが、ツーリングバイクをラインナップするのは、いかに自転車を楽しむかを常に考えているためでしょう。」
また、ピナレロは2015年モデル全てにおいてボトムブラケットを圧入規格からねじ切りのイタリアン規格に切り替えた。トラディショナルなねじ切り規格のBBはメンテナンス性の良さや潜在的なリスクが小さく、長期に渡る使用においてはBB30やBB86といった圧入規格よりも信頼性が高い。圧入規格が主流となっている昨今、先陣を切ってネジきり規格に戻ってきたことは、ピナレロがユーザーのことを考えている証といえるだろう。
ピナレロ・ジャパンの藤井さんと、本社から視察に訪れたルチアーノさん
「ファウストはユーザーが欲しいと思うようなバイクづくりを心がけています。ピナレロ社にとって最も大切なものがいわゆる普通のサイクリストという彼の考えに基づいているためです。この考えはピナレロのベースとなっており、これからも変わっていくことはないでしょう。」と藤井さん。
ピナレロが作り出すのは、常に時代をリードする「速くてカッコイイ」自転車だけではない。キッズバイク、シティバイク、ツーリングバイクと、どの分野においても妥協しない自転車を送りだしている。それは自らの立ち位置を自覚し、求められる美的センスや先進性、機能性などを理解しているブランドだから。今回の展示会でお披露目されたバイクはすでに国内入荷済みのモデルもある。気になる方は最寄りの販売店でチェックしてみては?
text:CW編集部
photo:So.Isobe
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展示会会場に足を踏み入れると、所狭しと並べられた30台以上のピナレロバイクが来場者を迎えてくれた。ハイエンドバイクからエントリーバイクまで刷新された2015年ラインナップの説明役として、イタリア本社のセールスマネージャーであるルチアーノ氏が来日。全国から展示会に訪れたショップスタッフや関係者達と親交を深めた。
数多くの展示車の中でも常に人垣が絶えなかったのは、フルモデルチェンジを果たしたDOGMA F8だ。ピナレロラインナップの中でも、ハイエンドモデルを超える「スーパーハイエンドモデル」として位置づけられたDOGMA F8。これまでのピナレロバイクのデザインコンセプトから大きな路線変更を行ったスーパーハイエンドモデルには、常に熱い視線が注がれていた。DOGMA F8についてはシクロワイアード内の特設ページにて特集している。
DOGMA F8に次いで注目を集めていたのは、ハイエンドモデルとして復活したPRINCE。さらには、ミドルグレードのMARVEL、エントリーグレードとして新登場したアルミバイクPRIMAなど、ほぼ全てのモデルが展示され、最先端の技術を駆使したバイクを作るレーシングブランドとして、エントリーモデルにも妥協しない姿勢が伺える。
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次々と新しくなるピナレロラインナップの中で、ロングセラーを続けるモデルがもうひとつある。それがトレヴィーゾだ。アップライトなポジションをとれるシティ用バイクだが、軽快な走行性能も持つフラットバーロードという位置づけ。「ただ単に安楽志向のシティバイクではなく、レーシーな味付けがされているのは、楽なポジションでも速く走りたいというニーズを受けているからです。」と藤井さん。
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地域密着型の経営方針は、製品開発にも活かされている。2代目となるファウスト・ピナレロ氏は現在も地元のクラブチーム員とともにサイクリングに出かけて、一般サイクリストの要望を聞き製品にフィードバックするという。真の意味でユーザーと近い位置にいるブランドといえる。
レースに出るわけではないが、速く、快適に、遠くまでツーリングに出かけたいというニーズがイタリア国内で高まりつつある。その声に応えたのが、2015年モデルからラインナップに加わったMERCURIO。リアキャリアやフェンダー取り付け用のダボ穴がしつらえられたカーボンバイクを作る理由について藤井さんはこう語る。「レーシングバイクを追求するブランドであるピナレロが、ツーリングバイクをラインナップするのは、いかに自転車を楽しむかを常に考えているためでしょう。」
また、ピナレロは2015年モデル全てにおいてボトムブラケットを圧入規格からねじ切りのイタリアン規格に切り替えた。トラディショナルなねじ切り規格のBBはメンテナンス性の良さや潜在的なリスクが小さく、長期に渡る使用においてはBB30やBB86といった圧入規格よりも信頼性が高い。圧入規格が主流となっている昨今、先陣を切ってネジきり規格に戻ってきたことは、ピナレロがユーザーのことを考えている証といえるだろう。
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「ファウストはユーザーが欲しいと思うようなバイクづくりを心がけています。ピナレロ社にとって最も大切なものがいわゆる普通のサイクリストという彼の考えに基づいているためです。この考えはピナレロのベースとなっており、これからも変わっていくことはないでしょう。」と藤井さん。
ピナレロが作り出すのは、常に時代をリードする「速くてカッコイイ」自転車だけではない。キッズバイク、シティバイク、ツーリングバイクと、どの分野においても妥協しない自転車を送りだしている。それは自らの立ち位置を自覚し、求められる美的センスや先進性、機能性などを理解しているブランドだから。今回の展示会でお披露目されたバイクはすでに国内入荷済みのモデルもある。気になる方は最寄りの販売店でチェックしてみては?
text:CW編集部
photo:So.Isobe
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