2014/04/05(土) - 09:20
瀬戸内の島々を橋で繋ぎ、その風光明媚なロケーションから注目を集める「しまなみ海道」のサイクリング。その広島側拠点である尾道市にオープンしたONOMICHI U2を訪ねてみた。サイクリスト向けのお洒落な空間は、地元の新しいランドマークたるに相応しい充実ぶりだった。
倉庫として現役だった当時の扉を使うなど、意匠が凝らされる
昭和18年に建設された海運倉庫を使ったU2。外観はほぼオリジナルのまま
「坂の街」や「文学の街」、そして「映画の街」として有名な広島県・尾道市。山と海に挟まれて窮屈にたたずむ市街地からは、山に向かって急勾配の道路が、海に向かってはすぐ対岸の向島を繋ぐ渡船(とせん)の航跡が伸びていく。潮風香る街中には古い煉瓦造りの建物がまばらに存在し、かつては交通の要衝として大いに栄えたことを納得させてくれた。
U2内にはスロープが設けられ、持ち運びも楽
スタンダードツインルームに宿泊した。1人で滞在するならば自転車を入れても広々使える JR山陽本線尾道駅から徒歩5分、そんな尾道市の港湾地区に「ONOMICHI U2(オノミチ ユーツー)」はある。昭和18年に建築されたという港湾倉庫を改装したU2。外観こそオリジナルのレトロな面影を色濃く残しているが、ドアをくぐれば一転、お洒落な雰囲気漂う空間があった。
約2000㎡の広さを誇るU2は、HOTEL CYCLE(ホテル サイクル)やジャイアントストア、カフェ、レストラン、ベーカリー、ショップなどを擁する、サイクリストのためを考えた全国初の複合施設としてオープンした。
「尾道には宿泊施設が少なく、遠方からしまなみ海道を訪れるサイクリストの受け皿がありませんでした。それを解決したいという思いがU2の始まりでした。」とは、U2を運営するツネイシヒューマンサービス代表、粟根祐司さん。自身も週末にライドを楽しむサイクリストだ。
U2のメインとなるのは、天井が高く開放的な建物内の両端にあるホテルと、ジャイアントストア尾道の2つ。その間にはフード&ドリンクを提供するショップが並ぶ。各フロアはモダンなテイストにデザインされていて、歴史あるオリジナル建屋とのコントラストが面白い。海側に用意されたウッドデッキからは、すぐ対岸の向島を眺める事ができる。
U2の中心にあるブッチ・ベーカリー。高級ブーランジェリーチェーンがプロディースしている
店員さんにオススメをチョイスしてもらいました。テイクアウトして補給色にも
ブッチ・ベーカリーのパンはどれも高級指向で美味
今回CW取材班は、各メディアを招いたツアーに参加して実際にホテルに泊まってみた。落ち着いた雰囲気の客室はその全てに自転車を持ち込む事ができ、デラックスルームには壁掛け式バイクラックの準備もある。自転車持ち込みOKなホテルはあれども、ラックの用意や貸し出し工具、ポンプの準備をしているあたりは、さすが自転車のためを考えた施設ならでは。自宅から発送された自転車の受取・保管、発送サービスも、「しまなみサイクリング」をぐっと手軽にしてくれるありがたいサービスだと思う。
今回宿泊したのはスタンダードツインルーム。2名で2台のバイクを持ち込むとさすがに狭く感じたので、フロント前のラックに預けてみた。カギは掛けた方が良いだろうが、やはり常に人がいる所に自転車を置けることは安心だ。ルーム内には寝心地抜群のベッドや、尾道タオルなどアメニティも充実しており、「しまなみ海道を走るわくわく感、それをより大きくするサービスを提供していきたい。」という粟根代表の言葉通り、快適に過ごすことのできる環境が整っていた。
瀬戸内産の柑橘を使ったオリジナルカクテルが味わえるバー
The RESTAURANTでは美味しいイタリアンが振る舞われる
地産の食材を使ったディッシュ。手前のピッツァは瀬戸内レモンを効かせたオリジナル
ショップにはU2オリジナルの品々も。お土産にいかが? U2もう一つの目玉である「ジャイアントストア尾道」は、言わずと知れた世界最大規模を誇るバイクブランド「ジャイアント」の直営プロショップだ。店内にはバイクやグッズ、ウェアなどはもちろん、整備ブース、メカニックなども完璧な体勢でユーザーを迎えてくれる。
「ジャイアントストア」と聞くと、どうしても他ブランドのユーザーは訪れにくく感じるかもしれない。しかし実際はどんなブランドの、どんなバイクでも持ち込みウェルカムだ。
「例えば変速の不調など、輪行ではトラブルも起こりやすいですから。ボトルなどサイクリングに必要な小物も揃っていますし、何か忘れ物をした場合にも頼ってほしいですね。」とスタッフさんは言う。
ショップではDEFYを中心にクロスバイクからロードバイクまで、多数のレンタサイクルが準備されていることにも注目したい。しまなみ海道の対岸にある「ジャイアントストア今治」との連携でレンタサイクルの乗り捨ても可能となったことは、マイバイクを持ち運ぶ煩わしさを減らしてくれるグッドポイントだ。
ジャイアントストア尾道のスタッフさん
エントリー〜中級グレードのロードバイクを中心に品揃え
レンタサイクルの中心はDEFY 3。気楽なサイクリングには十分な性能だった
トラブルにもすぐに対応できるパーツ類が揃う
今回のメディアツアーでは尾道→今治間でレンタサイクルを利用してみたが、やはり輪行と比べてはるかに旅の自由度は高かった。「やっぱり自分の愛車でしまなみを走りたいけれど、輪行は面倒。」という向きには、前述したホテルからの配送サービスを使うと良いだろう。
さて、サイクリストならばホテルとジャイアントストアにばかり目に行きがちだが、その間にあるフード&ドリンクコーナーにも注目せねばならない。ベーカリー、カフェ、レストラン…。そのどれをとっても味のレベルは高い。
対岸に見えるのは向島。波静かな尾道水道を船舶が行き交う
瀬戸内の太陽が降り注ぐデッキスペース
ツネイシヒューマンサービス代表、粟根祐司さん。自身も週末にライドを楽しむサイクリスト
海沿いテラスでオリジナルのレモンソーダと、ベーカリーのパンを
反対の向島へは渡船を使うのが便利
自転車はそのまま持ち込む事ができる。地域の大切な公共交通機関だ 例えば、石釜を備えたイタリアンレストランでは、元ホテルオークラのシェフが腕を振るう地産料理が食べられる。「ブッチ・ベーカリー」のプロデュースはフランスの有名ブーランジェリー、メゾン・カイザー。「サイクルスルー」がある「ヤードカフェ」では、高級マシンで抽出したエスプレッソを楽しめる。大きなガラス窓から夜景を望むバーのスペシャリテは、瀬戸内の柑橘を使ったカクテルだ。
サイクリング中にふらりと立ち寄るならば、ベーカリーのパンと、ハード系のレモンソーダ「G-motto("地元"を意味しているらしい)」の組み合わせが個人的なオススメNo.1。ちょっと苦みばしったソーダを片手に、海沿いテラスのベンチで小休止なんて、新しいしまなみ海道サイクリングの楽しみ方として定着するかもしれない。
「しまなみ海道周辺には、サイクリストの喜ぶTIPSが多く点在しています。これからはU2がそら情報のハブとなり、活用して頂けるよう努力したいですね。」とは、冒頭の粟根代表の言葉だ。
「サイクリストのため」と謳うU2だが、この充実ぶりならばサイクリストのみならず、尾道の新たなランドマークとしても定着していくのではないだろうか。しまなみ海道ツーリングの楽しみを、より大きく、より幅広く、よりフレキシブルにしてくれるU2。そのこれからに、大きな期待を寄せたい。
text&photo:So.Isobe
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約2000㎡の広さを誇るU2は、HOTEL CYCLE(ホテル サイクル)やジャイアントストア、カフェ、レストラン、ベーカリー、ショップなどを擁する、サイクリストのためを考えた全国初の複合施設としてオープンした。
「尾道には宿泊施設が少なく、遠方からしまなみ海道を訪れるサイクリストの受け皿がありませんでした。それを解決したいという思いがU2の始まりでした。」とは、U2を運営するツネイシヒューマンサービス代表、粟根祐司さん。自身も週末にライドを楽しむサイクリストだ。
U2のメインとなるのは、天井が高く開放的な建物内の両端にあるホテルと、ジャイアントストア尾道の2つ。その間にはフード&ドリンクを提供するショップが並ぶ。各フロアはモダンなテイストにデザインされていて、歴史あるオリジナル建屋とのコントラストが面白い。海側に用意されたウッドデッキからは、すぐ対岸の向島を眺める事ができる。
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今回宿泊したのはスタンダードツインルーム。2名で2台のバイクを持ち込むとさすがに狭く感じたので、フロント前のラックに預けてみた。カギは掛けた方が良いだろうが、やはり常に人がいる所に自転車を置けることは安心だ。ルーム内には寝心地抜群のベッドや、尾道タオルなどアメニティも充実しており、「しまなみ海道を走るわくわく感、それをより大きくするサービスを提供していきたい。」という粟根代表の言葉通り、快適に過ごすことのできる環境が整っていた。
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ショップではDEFYを中心にクロスバイクからロードバイクまで、多数のレンタサイクルが準備されていることにも注目したい。しまなみ海道の対岸にある「ジャイアントストア今治」との連携でレンタサイクルの乗り捨ても可能となったことは、マイバイクを持ち運ぶ煩わしさを減らしてくれるグッドポイントだ。
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さて、サイクリストならばホテルとジャイアントストアにばかり目に行きがちだが、その間にあるフード&ドリンクコーナーにも注目せねばならない。ベーカリー、カフェ、レストラン…。そのどれをとっても味のレベルは高い。
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「しまなみ海道周辺には、サイクリストの喜ぶTIPSが多く点在しています。これからはU2がそら情報のハブとなり、活用して頂けるよう努力したいですね。」とは、冒頭の粟根代表の言葉だ。
「サイクリストのため」と謳うU2だが、この充実ぶりならばサイクリストのみならず、尾道の新たなランドマークとしても定着していくのではないだろうか。しまなみ海道ツーリングの楽しみを、より大きく、より幅広く、よりフレキシブルにしてくれるU2。そのこれからに、大きな期待を寄せたい。
text&photo:So.Isobe
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