2014/03/24(月) - 08:54
南国の離島ならではのコバルトブルーと白い砂を横目に見つつ、サトウキビ畑と亜熱帯植物の間を縫ってロングライド。そんな旅派サイクリストの欲求を一度に叶えてくれるのが、シュガーライド久米島だ。まずは前日編のレポートからお届けします。
「この島は、ある意味"忘れられた島"なんですよ。本島からこんなにも近いのに、こんなにも多くの沖縄の原風景が残っている。ずっと離れた宮古島や石垣島のほうがずっと都会ですからね。若い人にとってはつまらないと思うけど(笑)、自然が好きな人にとっては天国ですよ。」
と話してくれたのは、島を2周する90kmコースに参加されていた方。「私は仕事で赴任してきましたが、もうすっかりこの島の魅力にはまってしまいましたね。」とも。沖縄本島に住む方でさえ羨む魅力的な島、それが那覇空港より距離100kmの場所に浮かぶ久米島だ。「シュガーライド久米島」は、そんな彼の地で開催されたロングライドイベントである。
「球美(くみ)の島」と呼ばれる久米島。その意味は琉球方言で「米」を意味し、泡盛で有名な米どころ・久米島を指すと考えられているらしい(Wikipedia調べ)。そんな意味を知らずとも、琉球の「球」と「美」の組み合わせは、現地に赴く前から想像力を十分にかき立ててくれる。
東京から久米島へと移動するに掛かる時間は、乗り継ぎ時間を含めても約4時間。羽田〜那覇はJALだが、那覇〜久米島までは「沖縄の翼」として路線を展開するJTA(日本トランスオーシャン航空)の小さなジェット機に乗る。
プロペラ式の小型機も就航していると聞いていたので乗ってみたかったが、ターミナルから直接乗り込むのではなく、バスを使って遠くの駐機場まで移動する辺りにも十分「離島感」があって楽しい。「トランスオーシャン航空」という響きにも実に南国の趣がある。
実際にエアチケットの行程表をみて知ったけれど、沖縄本島から真西に向かって35分、距離にして100kmと、意外なほど近くに久米島はある。上昇したらすぐに下降して、あっという間に久米島空港に到着。ジェット排気の甘ったるい香りが漂う、いかにもハブ空港然とした那覇空港とは違い、タラップで降り立った久米島空港は、ここが空港とは思えないほど静かで、そして澄み切った空気がそよいでいた。
「この島には信号が5つくらいしか無いのよねー。だから内地から来た人はみんなびっくりするんですよぉ。」とは、空港から乗ったタクシーを裸足+サンダルで走らせるおじぃ。車窓にはずっとサトウキビ畑が続き、今が刈り入れの最盛期だという。道には至るところに軽トラの荷台からこぼれたサトウキビがポツリ、ポツリと落ちていた。
離島と言うとついつい平坦な土地柄をイメージしがちだが、実は久米島は全体的に山がちだ。主要道は緩いアップダウンが続いていて、その向こうには火成岩から成るという急峻な峰が居座っている。島の一周はほぼ40km。沖縄本島と比べると本部半島よりも少し小さいと言えば、ツール・ド・おきなわなどに参加する、コアなサイクリストに良く伝わるだろうか。
この小さな島を、シュガーライドでは最長3周、距離130kmを走る。他に2周の90kmコース、1周の45kmコースの3バリエーションが用意されていて、ビギナーから健脚自慢のライダーまで十分に満足できる。何しろ最長コースは距離こそ130kmだが、獲得標高は1800mほどもあるのだから。
私はもちろん130kmコースに取材参加。最高標高地点は標高309mにある陸上自衛隊久米島分屯基地だ。
大会の会場となるのは久米島の東に隣あって浮かぶ奥武島(おうじま)。会場入りした時には既にビギナーライダーに向けた走り方やトラブル対処法を教えるセミナーがのんびりと行われていた。
私は受付を済ませ、すぐ裏にある沖縄県指定天然記念物「久米島町奥武島の畳石」へ。2千万年前に噴火した安山岩が冷えて固まった時にできたという甲羅のような割れ目の先にはオーハ島と、かの有名な「はての浜」がある。白く長い砂州と360°広がるエメラルドグリーンの海の組み合わせは東洋一の美しさと呼ばれるが、船で渡る必要があるため、今回は残念ながらパスすることにした。
この記事を読んで、来年大会に参加しようと思った方は是非、ここを訪れるために一日余裕を持ってもらえたら良いと思う。3月中旬とは言え久米島の気候はとても暖かく、ビーチで遊ぶにもきっと十分だろうから。
このように小さいスケールながら見所十分な久米島を走るシュガーライド。観光をするにも最適な本イベントだが、飛行機輪行は少しハードルが高いと感じる方も多いはず。しかし大会の運営には沖縄輪業が深く関わっていて、その豊富な試乗車が多く用意されるため安心だ。ジャイアントのAnyroadやSeekなどが30台ほど勢揃い。ポジション合わせや基本的な乗り方のレクチャーもしてくれていたので、ビギナーさんでも安心だったことだろう。
さて、大会の前日イベント(と言うにはとてもローカルなのんびりしたものだったが)はそつなく終了し、気づけば既に17時前。関東と比べて1時間以上日の入りが遅く、まだまだ島時間の夕暮れには余裕がある。会場近く、「日本の渚百選」に選ばれたイーフビーチで暫しゆったりし、会場に居合わせた関係者の皆さんと夕べをご一緒させて頂くべく、地区で人気だという居酒屋に向かった。
大会のレポートは次回に続きます。
text&photo:So.Isobe
「この島は、ある意味"忘れられた島"なんですよ。本島からこんなにも近いのに、こんなにも多くの沖縄の原風景が残っている。ずっと離れた宮古島や石垣島のほうがずっと都会ですからね。若い人にとってはつまらないと思うけど(笑)、自然が好きな人にとっては天国ですよ。」
と話してくれたのは、島を2周する90kmコースに参加されていた方。「私は仕事で赴任してきましたが、もうすっかりこの島の魅力にはまってしまいましたね。」とも。沖縄本島に住む方でさえ羨む魅力的な島、それが那覇空港より距離100kmの場所に浮かぶ久米島だ。「シュガーライド久米島」は、そんな彼の地で開催されたロングライドイベントである。
「球美(くみ)の島」と呼ばれる久米島。その意味は琉球方言で「米」を意味し、泡盛で有名な米どころ・久米島を指すと考えられているらしい(Wikipedia調べ)。そんな意味を知らずとも、琉球の「球」と「美」の組み合わせは、現地に赴く前から想像力を十分にかき立ててくれる。
東京から久米島へと移動するに掛かる時間は、乗り継ぎ時間を含めても約4時間。羽田〜那覇はJALだが、那覇〜久米島までは「沖縄の翼」として路線を展開するJTA(日本トランスオーシャン航空)の小さなジェット機に乗る。
プロペラ式の小型機も就航していると聞いていたので乗ってみたかったが、ターミナルから直接乗り込むのではなく、バスを使って遠くの駐機場まで移動する辺りにも十分「離島感」があって楽しい。「トランスオーシャン航空」という響きにも実に南国の趣がある。
実際にエアチケットの行程表をみて知ったけれど、沖縄本島から真西に向かって35分、距離にして100kmと、意外なほど近くに久米島はある。上昇したらすぐに下降して、あっという間に久米島空港に到着。ジェット排気の甘ったるい香りが漂う、いかにもハブ空港然とした那覇空港とは違い、タラップで降り立った久米島空港は、ここが空港とは思えないほど静かで、そして澄み切った空気がそよいでいた。
「この島には信号が5つくらいしか無いのよねー。だから内地から来た人はみんなびっくりするんですよぉ。」とは、空港から乗ったタクシーを裸足+サンダルで走らせるおじぃ。車窓にはずっとサトウキビ畑が続き、今が刈り入れの最盛期だという。道には至るところに軽トラの荷台からこぼれたサトウキビがポツリ、ポツリと落ちていた。
離島と言うとついつい平坦な土地柄をイメージしがちだが、実は久米島は全体的に山がちだ。主要道は緩いアップダウンが続いていて、その向こうには火成岩から成るという急峻な峰が居座っている。島の一周はほぼ40km。沖縄本島と比べると本部半島よりも少し小さいと言えば、ツール・ド・おきなわなどに参加する、コアなサイクリストに良く伝わるだろうか。
この小さな島を、シュガーライドでは最長3周、距離130kmを走る。他に2周の90kmコース、1周の45kmコースの3バリエーションが用意されていて、ビギナーから健脚自慢のライダーまで十分に満足できる。何しろ最長コースは距離こそ130kmだが、獲得標高は1800mほどもあるのだから。
私はもちろん130kmコースに取材参加。最高標高地点は標高309mにある陸上自衛隊久米島分屯基地だ。
大会の会場となるのは久米島の東に隣あって浮かぶ奥武島(おうじま)。会場入りした時には既にビギナーライダーに向けた走り方やトラブル対処法を教えるセミナーがのんびりと行われていた。
私は受付を済ませ、すぐ裏にある沖縄県指定天然記念物「久米島町奥武島の畳石」へ。2千万年前に噴火した安山岩が冷えて固まった時にできたという甲羅のような割れ目の先にはオーハ島と、かの有名な「はての浜」がある。白く長い砂州と360°広がるエメラルドグリーンの海の組み合わせは東洋一の美しさと呼ばれるが、船で渡る必要があるため、今回は残念ながらパスすることにした。
この記事を読んで、来年大会に参加しようと思った方は是非、ここを訪れるために一日余裕を持ってもらえたら良いと思う。3月中旬とは言え久米島の気候はとても暖かく、ビーチで遊ぶにもきっと十分だろうから。
このように小さいスケールながら見所十分な久米島を走るシュガーライド。観光をするにも最適な本イベントだが、飛行機輪行は少しハードルが高いと感じる方も多いはず。しかし大会の運営には沖縄輪業が深く関わっていて、その豊富な試乗車が多く用意されるため安心だ。ジャイアントのAnyroadやSeekなどが30台ほど勢揃い。ポジション合わせや基本的な乗り方のレクチャーもしてくれていたので、ビギナーさんでも安心だったことだろう。
さて、大会の前日イベント(と言うにはとてもローカルなのんびりしたものだったが)はそつなく終了し、気づけば既に17時前。関東と比べて1時間以上日の入りが遅く、まだまだ島時間の夕暮れには余裕がある。会場近く、「日本の渚百選」に選ばれたイーフビーチで暫しゆったりし、会場に居合わせた関係者の皆さんと夕べをご一緒させて頂くべく、地区で人気だという居酒屋に向かった。
大会のレポートは次回に続きます。
text&photo:So.Isobe
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