2013/09/13(金) - 09:42
9月8日に開催されたMt.Fujiエコサイクリング。今年はあいにくの雨に見舞われてしまったが、延べ1,000人以上のサイクリストが自然豊かな富士山麓を駆け抜けた。随行したイベントレポートをお届けしよう。
森田正美さんを迎えて行われたロングライド講習会
富士山周辺のクリーンアップ活動
今年で開催5回目を迎えるMt.Fujiエコサイクリング。世界遺産登録を果たしたことで話題の富士山をぐるっと1周するダイナミックなコースが毎年人気を呼び、まだ歴史が浅いながらも毎年1000人以上の参加者を集める人気のイベントだ。
ただ単にロングライドを楽しむだけなら他の大会と変わらないが、大会名称に"エコ"とつけられているのが「エコサイ」のミソだ。サイクリング自体は日曜日に行われるが、例年、前日の土曜日には富士山周辺のクリーンアップ活動を継続して行っている。ゴミ拾いを通じて富士山の貴重な自然環境の保全についての意識を高めているのだ。
雨の中、110kmコース参加者がスタートしていく
会場には延べ1000人の参加者が集った
また、日本初の盲導犬育成総合センターである「盲導犬の里・富士ハーネス」への立ち寄りや、前日イベントでの疋田智さん、駐日デンマーク大使であるイェンス・イェンセンさんらによる「環境フォーラム」の開催なども行われ、日本の交通事情をメインテーマに、様々な討論がなされ注目を集めていた。「エコサイ」は、単に走るだけでは無い、社会派イベントとしての側面も持ち合わせているのだ。
その他、エコサイでは毎年ゲストを迎えてのロングライド講座が人気で、過去にはマトリックス・パワータグの安原監督や、絹代さんなども登場した実績がある。今年は元プロロード選手として活躍した森田正美さんを迎え、基本の走り方はもちろんのこと、女性ならではの細かいアドバイスが好評を博していた。
豪雨の青木ヶ原樹海を走る。気温も低く、厳しいコンディションだった
サイクリングが開催された日曜日は、スタートから気温が低く、雨が降り続く天候となってしまった。実行委員会の方も「2年連続で降られちゃったから開催日を移動したんだけど…」と残念そうだが、それでも1000人を超える参加者がスタートラインに並んだ。
コースは富士急ハイランド横の会場をスタートし、国道139号線や469号線を経由して御殿場に向かい、そこから箱根裏街道と旧鎌倉往還を使って会場にゴールする115km。全体的に高低差の大きなアップダウンが続き、最後は難所・籠坂峠が待ち構えている。
「寒いけど、頑張ります!」と笑顔の学生グループ
第2エイドで振る舞われた大福餅。適度な大きさと甘さが嬉しい
雄大な富士山を横目に…となるはずが、この日は悪天候によって終日山体は霧中から姿を見せてくれなかった。特に第1エイド周辺は、思わず苦笑いしてしまうほどの豪雨。下り基調のルートと相まって、リタイアを選択する参加者も出るほどの過酷な条件となってしまった。9月初旬であっても、富士の自然は時として厳しい表情を見せる。
安全のために速度を落としつつ、隊列は朝霧高原に設けられた第2エイドへ。この周辺は晴れていれば富士山が眺望できるとのことだったが、その名の通り100m先も見えないほどの深い霧が辺りを包み込んでしまった。
深い霧に包まれた朝霧高原。晴れていれば富士山が見渡せたのだが...
コース途中には道が細くなる区間も。対向車に注意しつつ進む
こどもの国エイドに向けた長い上りは、深い霧に包まれた
そんな過酷なコンディションだったが、ほぼ15kmおきにやってくるエイドステーションが参加者を元気づけてくれる。地元の和菓子屋さんがつくる大福や、富士山麓の牛乳、そしてB級グルメとして有名となった富士宮やきそばなどが各エイド毎に配られ、しかもお腹が膨れない適当な量であるため、走るライダーに嬉しい。
深い霧を延々と登った先の「富士山こどもの国」エイドでは地元製パンメーカーの協力により、その場で具材を詰めてくれるサンドイッチの提供もあった。どれも食べやすい美味しさで、エコサイの定番メニューとなりつつあるそうだ。
名物の富士宮やきそば。少量ずつ配られていて美味しかった
ヤマザキが無償提供してくれた総菜パン。その場で具材を詰めてくれた
盲導犬の里「富士ハーネス」へと立ち寄る。人なつこいPR犬が出迎えてくれた
味の濃さに驚いた朝霧高原の牛乳
そして後半に差し掛かる84km地点には、「スルガ銀行サイクルステーション」がエイドとして解放され、ミニシュークリームなどが配られた。スルガ銀行御殿場支店に併設されるこの施設は、「御殿場を走るサイクリストを応援したい」との思いから2年前にオープンした場所だ。
完全予約制ではあるものの、施設内にはシャワーやキッチン、更に工具やメンテナンススタンドを完備したメカニックブースが用意されているなど、ライドの拠点として、そしてライド後のリラックスに便利な設備が揃う。サイクルステーションとして最上級の充実ぶりである。
スルガ銀行のサイクルステーションがエイドとして開放された
シュークリームやバナナ等が振る舞われた
ライドの拠点として使うのに最適だ
とても清潔な、暖かいイメージの施設内。完全予約制で使うことができる
バイク購入ローンなどを提案しているスルガ銀行だが、こういったソフト面の整備にも"本気"を感じた。この7月には湯河原にも銀行併設のサイクルステーションをオープンさせたとのことで、より広いエリアでサイクリストをサポートしたい、とも語ってくれた。
サイクルステーションを出発すると、箱根裏街道を経由して最大の難所である籠坂峠へと向かう。頂上への登り坂は計16kmと長く、およそ100kmを走ってきた身体には辛いところ。しかし距離こそ長くとも、平均勾配は4%ほどなので、リタイアするほどでも無い。実力のある方なら問題にならないだろうし、脱ビギナーを目指す方にはふんばりどころだ。
参加者のペースを作ってくれたサイクルリーダー。この後再び峠を下っていった
籠坂峠を過ぎれば山中湖はすぐ。ゴールも近い
ピークをクリアしたあとは、交通量の多い道を外れて旧鎌倉往還へと入り、山中湖横を通過していく。ここからは下り基調となるので、ゴールまでの15kmはひとっ飛び。同行取材したトップグループは、滑り込むように会場へとゴールした。
ゴール地点で取材をしていると、前述したスルガ銀行のサイクルジャージに身を包んだ方を発見したので、お話を伺ってみた。スルガ銀行にお務めする、小田英雄さんだ。
ゴールする小田英雄さん。スルガ銀行のサイクリングチームメンバーだ
家族連れで24kmコースを感想。「こどもの頑張りに感動しました」とはお父さん談
お二人で参加した清水さんと杉本さん「来年もまた参加したいと思います!」
スタートすぐの豪雨でリタイアとなってしまった山田さん。「やっちまいました!」
「スタート後しばらくは雨と低温がとてもキツくて…。会社のサイクリングクラブの仲間と参加したのですが、気づいたら私が先頭でゴールしてしまいました(笑)。このイベントを通じてサイクルステーションの認知度も高まっているようですので、良かったです。今年は悪天候にやられてしまいましたが、富士周辺の自然を満喫できる良いイベントだと思います。また来年も参加したいですね。」と語ってくれた。
3年連続で大雨に降られてしまったMt.FUJIエコサイクリングだが、小田さんの言葉通り、富士山周辺のダイナミックな自然を満喫できる、走りごたえ充分のイベントだと感じた。決して華やかさは無いが、自転車で走る楽しさや自然の大切さに触れることができた。来年こそは晴天に恵まれることを期待したい!
photo&report:So.Isobe


今年で開催5回目を迎えるMt.Fujiエコサイクリング。世界遺産登録を果たしたことで話題の富士山をぐるっと1周するダイナミックなコースが毎年人気を呼び、まだ歴史が浅いながらも毎年1000人以上の参加者を集める人気のイベントだ。
ただ単にロングライドを楽しむだけなら他の大会と変わらないが、大会名称に"エコ"とつけられているのが「エコサイ」のミソだ。サイクリング自体は日曜日に行われるが、例年、前日の土曜日には富士山周辺のクリーンアップ活動を継続して行っている。ゴミ拾いを通じて富士山の貴重な自然環境の保全についての意識を高めているのだ。


また、日本初の盲導犬育成総合センターである「盲導犬の里・富士ハーネス」への立ち寄りや、前日イベントでの疋田智さん、駐日デンマーク大使であるイェンス・イェンセンさんらによる「環境フォーラム」の開催なども行われ、日本の交通事情をメインテーマに、様々な討論がなされ注目を集めていた。「エコサイ」は、単に走るだけでは無い、社会派イベントとしての側面も持ち合わせているのだ。
その他、エコサイでは毎年ゲストを迎えてのロングライド講座が人気で、過去にはマトリックス・パワータグの安原監督や、絹代さんなども登場した実績がある。今年は元プロロード選手として活躍した森田正美さんを迎え、基本の走り方はもちろんのこと、女性ならではの細かいアドバイスが好評を博していた。

サイクリングが開催された日曜日は、スタートから気温が低く、雨が降り続く天候となってしまった。実行委員会の方も「2年連続で降られちゃったから開催日を移動したんだけど…」と残念そうだが、それでも1000人を超える参加者がスタートラインに並んだ。
コースは富士急ハイランド横の会場をスタートし、国道139号線や469号線を経由して御殿場に向かい、そこから箱根裏街道と旧鎌倉往還を使って会場にゴールする115km。全体的に高低差の大きなアップダウンが続き、最後は難所・籠坂峠が待ち構えている。


雄大な富士山を横目に…となるはずが、この日は悪天候によって終日山体は霧中から姿を見せてくれなかった。特に第1エイド周辺は、思わず苦笑いしてしまうほどの豪雨。下り基調のルートと相まって、リタイアを選択する参加者も出るほどの過酷な条件となってしまった。9月初旬であっても、富士の自然は時として厳しい表情を見せる。
安全のために速度を落としつつ、隊列は朝霧高原に設けられた第2エイドへ。この周辺は晴れていれば富士山が眺望できるとのことだったが、その名の通り100m先も見えないほどの深い霧が辺りを包み込んでしまった。



そんな過酷なコンディションだったが、ほぼ15kmおきにやってくるエイドステーションが参加者を元気づけてくれる。地元の和菓子屋さんがつくる大福や、富士山麓の牛乳、そしてB級グルメとして有名となった富士宮やきそばなどが各エイド毎に配られ、しかもお腹が膨れない適当な量であるため、走るライダーに嬉しい。
深い霧を延々と登った先の「富士山こどもの国」エイドでは地元製パンメーカーの協力により、その場で具材を詰めてくれるサンドイッチの提供もあった。どれも食べやすい美味しさで、エコサイの定番メニューとなりつつあるそうだ。




そして後半に差し掛かる84km地点には、「スルガ銀行サイクルステーション」がエイドとして解放され、ミニシュークリームなどが配られた。スルガ銀行御殿場支店に併設されるこの施設は、「御殿場を走るサイクリストを応援したい」との思いから2年前にオープンした場所だ。
完全予約制ではあるものの、施設内にはシャワーやキッチン、更に工具やメンテナンススタンドを完備したメカニックブースが用意されているなど、ライドの拠点として、そしてライド後のリラックスに便利な設備が揃う。サイクルステーションとして最上級の充実ぶりである。




バイク購入ローンなどを提案しているスルガ銀行だが、こういったソフト面の整備にも"本気"を感じた。この7月には湯河原にも銀行併設のサイクルステーションをオープンさせたとのことで、より広いエリアでサイクリストをサポートしたい、とも語ってくれた。
サイクルステーションを出発すると、箱根裏街道を経由して最大の難所である籠坂峠へと向かう。頂上への登り坂は計16kmと長く、およそ100kmを走ってきた身体には辛いところ。しかし距離こそ長くとも、平均勾配は4%ほどなので、リタイアするほどでも無い。実力のある方なら問題にならないだろうし、脱ビギナーを目指す方にはふんばりどころだ。


ピークをクリアしたあとは、交通量の多い道を外れて旧鎌倉往還へと入り、山中湖横を通過していく。ここからは下り基調となるので、ゴールまでの15kmはひとっ飛び。同行取材したトップグループは、滑り込むように会場へとゴールした。
ゴール地点で取材をしていると、前述したスルガ銀行のサイクルジャージに身を包んだ方を発見したので、お話を伺ってみた。スルガ銀行にお務めする、小田英雄さんだ。




「スタート後しばらくは雨と低温がとてもキツくて…。会社のサイクリングクラブの仲間と参加したのですが、気づいたら私が先頭でゴールしてしまいました(笑)。このイベントを通じてサイクルステーションの認知度も高まっているようですので、良かったです。今年は悪天候にやられてしまいましたが、富士周辺の自然を満喫できる良いイベントだと思います。また来年も参加したいですね。」と語ってくれた。
3年連続で大雨に降られてしまったMt.FUJIエコサイクリングだが、小田さんの言葉通り、富士山周辺のダイナミックな自然を満喫できる、走りごたえ充分のイベントだと感じた。決して華やかさは無いが、自転車で走る楽しさや自然の大切さに触れることができた。来年こそは晴天に恵まれることを期待したい!
photo&report:So.Isobe
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