三上店長の協力のもと組み上がった5日後に、早くもレースデビューを迎えた我がIF。砂地獄と名高いシクロクロス東京と、その1週間後に開催されGPミストラルと連戦した。そこでのインプレッションをレポートしよう。

完成したIndependent Fabrication Factory Lightweight Planet-X完成したIndependent Fabrication Factory Lightweight Planet-X

構想からほぼ半年(オーダーバイクとしてはかなりの短期間である)を経て完成に至ったIndependent Fabrication、Factory Lightweight Planet-X。前々からエントリーしていたシクロクロス東京に間に合わせるため深夜まで作業してくれた三上店長のおかげで、何とか組み上がり。

組んでから1日、2日、3日と経って改めて見ても、スケルトンオーダーをした"世界に1台だけ"のマシンはカッコイイ。でもカラーコーディネイトが実は完璧では無く、組んでから気になる部分がいくつか見つかった。

Fブレーキケーブル受けはPAULのシルバーカラーにしようと思っていたけれど、ブラックカラーのヘッドセットとステム/ハンドルとはカラーが合わず、残念ながら装着を見送り。またAvidのブレーキはレッドアルマイトのパーツとイエローのブレーキシューが使われているため、全体の統一感がやや薄れた感も。この辺りは将来的に見直しを図りたい部分だ。

替えたい部分その1:Fブレーキケーブル受けをPAULにしたい替えたい部分その1:Fブレーキケーブル受けをPAULにしたい 替えたい部分その2:レッドアルマイトを使ったカンチブレーキと黄色のシュー替えたい部分その2:レッドアルマイトを使ったカンチブレーキと黄色のシュー


シートクランプの刻印。もっと目立って良いと思うのは私だけ?シートクランプの刻印。もっと目立って良いと思うのは私だけ? エナメル塗料でホワイトを色差し。良いアクセントになったエナメル塗料でホワイトを色差し。良いアクセントになった


シートクランプにはIFの王冠ロゴが刻印されているのだが、せっかくのロゴもブラック一色で目立たず、後で気づいたほど。もったいないのでエナメル塗料を溶剤で薄め、しょぼつく目と格闘つつ面相筆で色差しを行うことで解決。他の人は気づかないような所だけれど、こうやって手を加えるから、より愛着も増す。

後は海外プロ選手供給用のようにSRAMロゴに色差し(昔マイヨ・ジョーヌを獲得したアルベルト・コンタドールがイエローロゴ品を使った)を加えたり、ケーブル受けをブラックのPAUL製にしたり。やりたいことはいくらでも出てくる。ここらは財布との相談次第で...。




さて、完成から5日後に迎えたシクロクロス東京でレースデビューを迎えることになった私のIF。ジェレミー・パワーズ講習会で受けたコース攻略のヒントを元にして、空気圧は前1.3、後ろ1.5で砂浜コースに臨んでみた。そこでのファーストインプレッションを紹介しよう。

フライオーバーを越える。海外レースのようで楽しいフライオーバーを越える。海外レースのようで楽しい photo:Satoshi.Odaしかし剛性の高さと引き換えに、普段乗っているカーボンロードよりも早く脚が"売り切れ"状態になってしまい、長距離ライドでは苦労した。走り始めとは打って変わり「もう終わりなの?」とバイクに嘲笑されてしまう。

しかし硬い中にあっても、「クロモリらしさ」はしっかりとある。ペダルをクルクルと回しているだけならただ硬いバイクだが、高強度で踏み込むとウィップが生まれ、微妙に"後から付いてくる"反発を利用した加速が可能だ。路面のアンジュレーションとウィップのタイミングをうまく合わせてやると、ダートの上でも面白いように進んでくれる。

また、軽いハンドリングを出すジオメトリーにしたため、ダンシングは軽く、抜重・荷重の操作も行い易い。上下1-1/8インチのクラシックなヘッドチューブだが、コーナーではフォークが左右に踏ん張り、タイヤをよじらせる走りができる。こういった部分はテクニカルセクションで役立ってくれ、多少無理を強いる操作でもライントレースが容易だ。

シクロクロス東京の砂浜区間はほぼ降車を強いられてしまったが、僅かにあった乗車区間ではディープリムのホイールが効果あり。ロープロファイルのホイールも使ってみたが、サラサラのお台場の砂ではスポークまで埋まってしまう。ディープリムホイールだと勢いで砂浜に突っ込んだ際の安定感と、速度を失う早さが違う。湿った重たい砂場を走る場合はロープロホイールの方が良いとのことで、砂の質によって適切なホイールは変わるのだろう。

先頭集団で走る。抜きつ抜かれつの駆け引きが楽しい先頭集団で走る。抜きつ抜かれつの駆け引きが楽しい photo:Satoshi.Oda途中でハンドル位置を上げて後ろ荷重になるようセッティングしたことも良かった。これは、ドライコンディションのレースではハンドルを下に、泥や砂など重馬場ではハンドルを上にすることで後輪荷重にし、トラクションを稼ぎながら不安定な路面に前輪が刺さって立ち往生するのを防ぐという矢野さんからのアドバイス。ヘッドスペーサーは(格好悪いけれど)ある程度の調整幅をもたせておいた方が良いように思う。


C2昇格を逃したものの、3位表彰台を獲得。AJOCC初戦にしてはまずまず?C2昇格を逃したものの、3位表彰台を獲得。AJOCC初戦にしてはまずまず? photo:Satoshi.OdaそんなIFのレースデビューとなったシクロクロス東京を終え、次は1週間後のGPミストラルへと初出場した。開催場所はお馴染みの吉見運動公園だが、最終戦はバンプや鋭角コーナーの多い加減速を繰り返すコースだ。

小集団でバンプに突っ込むと、車間が詰まって低速走行を強いられるが(特にC3クラスは顕著)、36T×30Tのローギアを装備しているので加速への移行もスムーズだ。バンプの登り返しで詰まっても降車しなくて良いため、結果速い。かなりのワイドギアだが歯飛びすることも無く、非常に使いやすく思う。

加減速が得意なバイクとテクニカルなコースがバッチリフィットして序盤はトップを走ったものの、日頃の練習不足がたたってズルリと後退し、最終的に3位に。ギリギリC2への昇格を逃してしまったものの、初AJOCCレースとしてはまずまずの結果となったのではないだろうか。ロードシーズンに乗り込んで、来シーズンはバイクのポテンシャルを活かしきる走りをしたいものだ。


さて、シーズン後半にバイクが完成したことで出場したレースは2戦のみ。せっかく"走る"バイクなのだから、春~秋までお蔵入りにしてしまうのは勿体ない。ロードレースやMTBレースなど、シクロクロスバイクの枠を越えた使い方をしてみたいと思う。

あれに出ようかな、あれに。


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,Satoshi.Oda