相模原の一等地に立つ創業70年超の老舗ショップが目指すのは「日本一の街の自転車店」
JR横浜線・相模線、そして京王相模原線が乗り入れる橋本駅。将来はリニア中央新幹線の停車も予定され、相模原市北部の玄関口としてその姿を日に日に変えていく様子を70年以上の長きに渡って見守ってきた老舗自転車店がNakajima Cycleだ。
その老舗の三代目として、代表取締役を務めるのは三浦茂雄さん、と書くと「あれ?中島さんじゃないの?」と思われる方も多いだろう。「もう数えきれないくらい聞かれた質問なんです」と、微笑みながら教えてくれた答えはシンプルで、奥さんの実家が営んでいた自転車店を受け継いだから。
近江商人の家に生まれた初代店主は、7人兄弟の中で「やることがないから」と外に出され、日本軍に志願して相模陸軍造兵造兵廠に配属。現在は米軍基地となっている施設から、三菱重工製の戦車を検査場まで運ぶ際の先導任務に就いていたという。その検査場というのが、現在も相模原から町田にかけて繋がる「戦車道路」。このエリアのサイクリストにとっては身近な名前でもある。
終戦後、自転車の車輪を使った手作りのリアカーを米軍に売り込み、それが飛ぶように売れたことが、現在まで続くNakajima Cycleのルーツなのだという。自転車だけでなくスクーターなども扱う時代も挟みつつ、今から30年ほど前に現代表である三浦さんに代替わり。今の3階建ての店舗へと改築すると同時に、スポーツバイクへと大きく舵を切り、以来30年、橋本の街にスポーツサイクリングの文化を育んできた。
30年前に店を受け継いだ三浦さんが目指したものは「日本一の町の自転車屋」。1階は軽快車が並び、軒先に置かれた年季の入った昇降式の作業台で、「彼に直せないものは無いんじゃないかな」と三浦さんが絶対の信頼を置くベテランの増井店長が惚れ惚れする手際でパンク修理やタチ交換といった修理作業をこなしていく。
一方、店内正面に設けられた大きな階段を登った先には、全く別の景色が広がる。スペシャライズドやメリダ、オルベアといった名だたるスポーツバイクブランドの人気モデルが並び、リトゥールのフィッティングブースも展開。まさに、スポーツサイクリングに必要なものが全て揃ったフロアとなっている。
その老舗の三代目として、代表取締役を務めるのは三浦茂雄さん、と書くと「あれ?中島さんじゃないの?」と思われる方も多いだろう。「もう数えきれないくらい聞かれた質問なんです」と、微笑みながら教えてくれた答えはシンプルで、奥さんの実家が営んでいた自転車店を受け継いだから。
近江商人の家に生まれた初代店主は、7人兄弟の中で「やることがないから」と外に出され、日本軍に志願して相模陸軍造兵造兵廠に配属。現在は米軍基地となっている施設から、三菱重工製の戦車を検査場まで運ぶ際の先導任務に就いていたという。その検査場というのが、現在も相模原から町田にかけて繋がる「戦車道路」。このエリアのサイクリストにとっては身近な名前でもある。
終戦後、自転車の車輪を使った手作りのリアカーを米軍に売り込み、それが飛ぶように売れたことが、現在まで続くNakajima Cycleのルーツなのだという。自転車だけでなくスクーターなども扱う時代も挟みつつ、今から30年ほど前に現代表である三浦さんに代替わり。今の3階建ての店舗へと改築すると同時に、スポーツバイクへと大きく舵を切り、以来30年、橋本の街にスポーツサイクリングの文化を育んできた。
30年前に店を受け継いだ三浦さんが目指したものは「日本一の町の自転車屋」。1階は軽快車が並び、軒先に置かれた年季の入った昇降式の作業台で、「彼に直せないものは無いんじゃないかな」と三浦さんが絶対の信頼を置くベテランの増井店長が惚れ惚れする手際でパンク修理やタチ交換といった修理作業をこなしていく。
一方、店内正面に設けられた大きな階段を登った先には、全く別の景色が広がる。スペシャライズドやメリダ、オルベアといった名だたるスポーツバイクブランドの人気モデルが並び、リトゥールのフィッティングブースも展開。まさに、スポーツサイクリングに必要なものが全て揃ったフロアとなっている。
スポーツやレジャーといった「目的」としての自転車と、生活に密着した「手段」としての自転車。どちらも同じ自転車ではありつつも、あまり重なり合うことのない二つが、自然と一つになっているのがNakajima Cycleの魅力。
スポーツバイク専門店然としたショップに憧れつつも、それだけでは取りこぼしてしまうものがあると、三浦さんは考えている。「街の自転車屋って、スポーツのプロショップに比べるとちょっと低く見られがちじゃないですか。でも、そうじゃない自転車屋があってもいいと思うんです」
実際、取材でお邪魔している最中にも「パンクしちゃって!」と気さくに声をかけてくる方もいれば、ロードバイクのカスタムの相談に訪れた常連客の姿もあった。一般車の修理とスポーツバイクの本格整備、その両方を丁寧にこなすことこそが、先代から受け継いだ矜持だ。
その哲学は、店の特典にも表れている。自転車の購入者は工賃が半額。例えば、パンク修理は通常1400円のところ700円だし、ロードバイクのオーバーホールも半額というのだから驚きだ。そして納車後の点検はなんと永久に無料。参加する前にショップでの点検が求められるイベントもある中で、気軽に点検に持っていけるのは心強い。
「点検というのはあらゆる作業の土台ですし、安全に乗るために欠かせないものですから」と語る三浦さん。工賃の見積りを出す際は、依頼された作業内容だけでなく、車体全体の点検は欠かさない。特に、フレームやフォークといった致命的な箇所から確認し、追加作業の可能性があれば先に伝えることで、納得して整備を受けてもらえるという。
一方、パンク修理に来たサドルが低めのお客さんには1cmくらい上げてから引き渡すのだそう。「修理してもらってからすごく調子が良い、って喜んでもらえるんですよ」と、茶目っ気たっぷりの笑顔で語る三浦さん。そうした細やかな気配りの積み重ねが、長年続く「街の自転車屋」の存在意義だと、三浦さんは考えているのだ。
スポーツバイク専門店然としたショップに憧れつつも、それだけでは取りこぼしてしまうものがあると、三浦さんは考えている。「街の自転車屋って、スポーツのプロショップに比べるとちょっと低く見られがちじゃないですか。でも、そうじゃない自転車屋があってもいいと思うんです」
実際、取材でお邪魔している最中にも「パンクしちゃって!」と気さくに声をかけてくる方もいれば、ロードバイクのカスタムの相談に訪れた常連客の姿もあった。一般車の修理とスポーツバイクの本格整備、その両方を丁寧にこなすことこそが、先代から受け継いだ矜持だ。
その哲学は、店の特典にも表れている。自転車の購入者は工賃が半額。例えば、パンク修理は通常1400円のところ700円だし、ロードバイクのオーバーホールも半額というのだから驚きだ。そして納車後の点検はなんと永久に無料。参加する前にショップでの点検が求められるイベントもある中で、気軽に点検に持っていけるのは心強い。
「点検というのはあらゆる作業の土台ですし、安全に乗るために欠かせないものですから」と語る三浦さん。工賃の見積りを出す際は、依頼された作業内容だけでなく、車体全体の点検は欠かさない。特に、フレームやフォークといった致命的な箇所から確認し、追加作業の可能性があれば先に伝えることで、納得して整備を受けてもらえるという。
一方、パンク修理に来たサドルが低めのお客さんには1cmくらい上げてから引き渡すのだそう。「修理してもらってからすごく調子が良い、って喜んでもらえるんですよ」と、茶目っ気たっぷりの笑顔で語る三浦さん。そうした細やかな気配りの積み重ねが、長年続く「街の自転車屋」の存在意義だと、三浦さんは考えているのだ。
地域に根差した自転車店としての活動をベースに、スポーツバイクショップとしても魅力的な存在であり続けているNakajima Cycle。その源泉となるのが、三浦さん自身が率先して「自転車沼」にハマっている姿。特にその象徴的なエピソードが、48歳から始めたトライアスロンだ。
忘年会の勢いで「来年からみんなでトライアスロンをやるぞ」と言い出したものの、いざプールに行ってみると25メートルすら泳げなかったという三浦さん。しかし、そこで挫けることなく、泳げるようになっていく過程そのものを楽しみ、アイアンマンを完走するほどに。そんなふうに、全力で楽しむ三浦さんに魅了された人たちが、Nakajima Cycleに集まっている。
毎週日曜朝8時、店の前には多いときで20人ほどのメンバーが集まり走り出す。コースや難易度はその時々に応じて、臨機応変に。クロスバイクの初心者でも参加できるような敷居の低さと、ベテランが満足する奥深さ。世代も脚力もバラバラな面々が、それぞれのペースで楽しめるような機会になっているのだとか。
ライド企画にも積極的で、富士ヒルクライムや佐渡トライアスロンといったイベントへの参加はもちろん、チームライドや合宿イベントも盛ん。中でも乗鞍のロッジ「ノーススター」でロードバイクとマウンテンバイクの両方を楽しみ、温泉とバーベキューで〆、なんて、聞いてるだけで楽しそうな企画も。
一方で、そんなチームからは、2025年の国民スポーツ大会を制した中山紗莉那選手のように、アスリートとして羽ばたいていったメンバーも。現在は、期待のホープであるスタッフの堀田さんもいわゆる「ガチ勢」として、ツール・ド・ふくしまやツール・ド・おきなわといったロードレースを目指して走り込んでいる一人だ。
ロードバイクやトライアスロンだけでなく、オフロード系の遊び方もカバーしている。津久井エリアのつちざわの森でのMTBコースを始め、地域のトレイル情報もどんとこい。ゆるく楽しみたい人も、真剣に打ち込みたい人も、どんなバイクでも、広く受け容れるのがNakajima Cycleなのだ。
忘年会の勢いで「来年からみんなでトライアスロンをやるぞ」と言い出したものの、いざプールに行ってみると25メートルすら泳げなかったという三浦さん。しかし、そこで挫けることなく、泳げるようになっていく過程そのものを楽しみ、アイアンマンを完走するほどに。そんなふうに、全力で楽しむ三浦さんに魅了された人たちが、Nakajima Cycleに集まっている。
毎週日曜朝8時、店の前には多いときで20人ほどのメンバーが集まり走り出す。コースや難易度はその時々に応じて、臨機応変に。クロスバイクの初心者でも参加できるような敷居の低さと、ベテランが満足する奥深さ。世代も脚力もバラバラな面々が、それぞれのペースで楽しめるような機会になっているのだとか。
ライド企画にも積極的で、富士ヒルクライムや佐渡トライアスロンといったイベントへの参加はもちろん、チームライドや合宿イベントも盛ん。中でも乗鞍のロッジ「ノーススター」でロードバイクとマウンテンバイクの両方を楽しみ、温泉とバーベキューで〆、なんて、聞いてるだけで楽しそうな企画も。
一方で、そんなチームからは、2025年の国民スポーツ大会を制した中山紗莉那選手のように、アスリートとして羽ばたいていったメンバーも。現在は、期待のホープであるスタッフの堀田さんもいわゆる「ガチ勢」として、ツール・ド・ふくしまやツール・ド・おきなわといったロードレースを目指して走り込んでいる一人だ。
ロードバイクやトライアスロンだけでなく、オフロード系の遊び方もカバーしている。津久井エリアのつちざわの森でのMTBコースを始め、地域のトレイル情報もどんとこい。ゆるく楽しみたい人も、真剣に打ち込みたい人も、どんなバイクでも、広く受け容れるのがNakajima Cycleなのだ。
取材中、強く感じたのは三浦さんの溢れるバイタリティ。先述したトライアスロンへの挑戦に象徴されるように、見知らぬ世界へ躊躇なく飛び込み、世界を広げていくその行動力こそが、Nakajima Cycleの原動力でもあるのだろう。
一般車も、スポーツバイクも。初心者もシリアスライダーも。ロードも、MTBも、トライアスロンも。一つの分野にこだわるのではなく、必要とされるもの、面白そうなもの、それら全てをカバーするというのはそう簡単なことではない。知識、経験、そして何より自転車への愛と情熱が必要だ。
先々代から受け継がれてきた街の自転車屋の温かさと、アスリートのシビアな要望にしっかりと応える高い技術と広く深い知見。三浦さんが描く理想は、既に確かな実を結んでいる。都心からのアクセスの良さと、宮ヶ瀬・津久井・陣馬といった本格的なライドフィールドへの近さを併せ持つこの街で、Nakajima Cycleは一般車からロードバイク、トライアスロン、グラベル、マウンテンバイクまでをワンストップでカバーする稀有な存在であり続けている。
「日本一の街の自転車店」は、橋本にあった。
一般車も、スポーツバイクも。初心者もシリアスライダーも。ロードも、MTBも、トライアスロンも。一つの分野にこだわるのではなく、必要とされるもの、面白そうなもの、それら全てをカバーするというのはそう簡単なことではない。知識、経験、そして何より自転車への愛と情熱が必要だ。
先々代から受け継がれてきた街の自転車屋の温かさと、アスリートのシビアな要望にしっかりと応える高い技術と広く深い知見。三浦さんが描く理想は、既に確かな実を結んでいる。都心からのアクセスの良さと、宮ヶ瀬・津久井・陣馬といった本格的なライドフィールドへの近さを併せ持つこの街で、Nakajima Cycleは一般車からロードバイク、トライアスロン、グラベル、マウンテンバイクまでをワンストップでカバーする稀有な存在であり続けている。
「日本一の街の自転車店」は、橋本にあった。
アクセス
JR橋本駅北口から徒歩3分
JR橋本駅南口から徒歩5分
自動車で来店の場合、新町自治会館横の月極駐車場内、一番奥の「中島サイクル駐車場」が利用可能
JR橋本駅南口から徒歩5分
自動車で来店の場合、新町自治会館横の月極駐車場内、一番奥の「中島サイクル駐車場」が利用可能