東北随一、ヨーロッパ仕込みの技術にこだわるプロショップ
杜の都、仙台。その中心地から車で30分ほど北に向かい、閑静な住宅地が広がる泉区中心部の「桂ガーデンプラザ」内に東北随一のプロショップ「BELLE EQUIPE(ベルエキップ)」はある。いくつものショップが集まる一角にあるので少し探しづらいかもしれないが、お店を見つけて、そしてもしあなたが初訪問だったならば、少しばかり驚くことだろう。なぜって、自転車ショップのイメージを覆してくれるほどに規模が大きいのだ。
人懐っこい笑顔で迎えてくれたのはオーナーである遠藤 徹(とおる)さん。招かれて店内に入れば、もう一度その広さに驚いてしまうはず。体育館のような鉄骨組みの店内は180坪を数え、余裕をもって配置されている棚やバイク類が余計に広さを感じさせる。入り口から見て左側のスペースは店舗の奥までメカニックスペースが続いていて、その光景はさながらヨーロッパ自転車メーカーのファクトリー(工場)のようだ。
ベルエキップで手腕を振るうスタッフは遠藤さんのほか、店長代理の早坂賢さん、横山彰吾さん、中鉢明秀さんという4名。全員がメカニックと接客を兼業していて、もちろん積極的にライドを楽しむ根っからの自転車乗りである。
遠藤さんがそれまで10年ほど店舗を構えていた若林区から店舗を移転させたのが2011年3月のこと。20分ほど走れば泉ヶ岳という絶好のサイクリング環境に惹かれ、ちょうど空き物件となっていたこの場所に越してきた。オープンから3年半。ベルエキップとしては今年で11年目を数えるそうだ。
人懐っこい笑顔で迎えてくれたのはオーナーである遠藤 徹(とおる)さん。招かれて店内に入れば、もう一度その広さに驚いてしまうはず。体育館のような鉄骨組みの店内は180坪を数え、余裕をもって配置されている棚やバイク類が余計に広さを感じさせる。入り口から見て左側のスペースは店舗の奥までメカニックスペースが続いていて、その光景はさながらヨーロッパ自転車メーカーのファクトリー(工場)のようだ。
ベルエキップで手腕を振るうスタッフは遠藤さんのほか、店長代理の早坂賢さん、横山彰吾さん、中鉢明秀さんという4名。全員がメカニックと接客を兼業していて、もちろん積極的にライドを楽しむ根っからの自転車乗りである。
遠藤さんがそれまで10年ほど店舗を構えていた若林区から店舗を移転させたのが2011年3月のこと。20分ほど走れば泉ヶ岳という絶好のサイクリング環境に惹かれ、ちょうど空き物件となっていたこの場所に越してきた。オープンから3年半。ベルエキップとしては今年で11年目を数えるそうだ。
開店当初からロードレーサーがメインで、MTBも在庫こそないもののメンテナンスを行っていた。店内にはロードやMTB、シクロクロスなど、いわゆる「スポーツ」として乗るためのバイクやパーツ、ウェア類が揃っており、完成車はおよそ20台、そして店舗奥のショールームには高級フレームが20本ほど。広さの割には在庫数が少ないが、ここにはベルエキップの、そして遠藤さんならではの理由がある。
「手近な在庫をさばくのではなく、乗る方に合う物を一つづつ探してお渡しする。展示も量販店的に詰め込むより、少し離れて一台一台フォルムを見ていただけたらと思ってます。」と遠藤さんは言う。
ベルエキップのコンセプトは、機材面も、乗り方に関しても"キチンと乗れるようになるまでお客の面倒を見る"ことだ。特にフィッティングやポジション合わせには注力している。
「一番最初って、すごく大事。いきなりロードバイクを乗りこなすことはできないから、フィッティングに関しては力を入れていますね。人間は身長が同じでも、腕の長さも脚の長さも違いますし、根本的に欧米人とは体型が全く違う。日本人ならではポジショニングがあるんです。盲目的に自己流で欧米人のポジションを真似るのは無理があります。」と遠藤さんは言う。
オーダーの際には身体の各部を採寸し、納車の際にも再び時間をかけてフィッティングを行う。取材時にもその作業に出くわしたが、スタッフがお客さんと対話しながら丁寧にポジションを煮詰めている姿が印象的だった。「この作業を省けばもっと簡単にたくさん売れるんでしょうけれど、ベルエキップではあえてやる。これが基本の一番大事な部分で外せない、開店したときからずっと変えていない部分なんですよ。」
2016年からはシマノバイクフィッティングシステムと3Dモーションキャプチャカメラを駆使したフィッティングにも対応している。ただ、それらのマシンを使いながらも「フィッティングはやはり経験からアドバイスできる面も大きいので、来店いただいてマンツーマンでご相談いただくのがいちばんですね」と遠藤さん。
完成車やフレームの在庫数が少ないのは、一人一人に最適なバイクに乗ってもらいたいから。もちろんニーズとサイズがピッタリならばOKだが、基本的には注文を承ってからの発注を行っている。ウィリエールやジャイアント、タイム、デローザなど大手ブランドが主力だが、面白いところでは宮古市のフレームビルダー・盛合博美氏さんが手がける「エンメアッカ」も取り扱う。こちらはベテランや金属フレーム派からの根強い支持があるそうだ。
「手近な在庫をさばくのではなく、乗る方に合う物を一つづつ探してお渡しする。展示も量販店的に詰め込むより、少し離れて一台一台フォルムを見ていただけたらと思ってます。」と遠藤さんは言う。
ベルエキップのコンセプトは、機材面も、乗り方に関しても"キチンと乗れるようになるまでお客の面倒を見る"ことだ。特にフィッティングやポジション合わせには注力している。
「一番最初って、すごく大事。いきなりロードバイクを乗りこなすことはできないから、フィッティングに関しては力を入れていますね。人間は身長が同じでも、腕の長さも脚の長さも違いますし、根本的に欧米人とは体型が全く違う。日本人ならではポジショニングがあるんです。盲目的に自己流で欧米人のポジションを真似るのは無理があります。」と遠藤さんは言う。
オーダーの際には身体の各部を採寸し、納車の際にも再び時間をかけてフィッティングを行う。取材時にもその作業に出くわしたが、スタッフがお客さんと対話しながら丁寧にポジションを煮詰めている姿が印象的だった。「この作業を省けばもっと簡単にたくさん売れるんでしょうけれど、ベルエキップではあえてやる。これが基本の一番大事な部分で外せない、開店したときからずっと変えていない部分なんですよ。」
2016年からはシマノバイクフィッティングシステムと3Dモーションキャプチャカメラを駆使したフィッティングにも対応している。ただ、それらのマシンを使いながらも「フィッティングはやはり経験からアドバイスできる面も大きいので、来店いただいてマンツーマンでご相談いただくのがいちばんですね」と遠藤さん。
完成車やフレームの在庫数が少ないのは、一人一人に最適なバイクに乗ってもらいたいから。もちろんニーズとサイズがピッタリならばOKだが、基本的には注文を承ってからの発注を行っている。ウィリエールやジャイアント、タイム、デローザなど大手ブランドが主力だが、面白いところでは宮古市のフレームビルダー・盛合博美氏さんが手がける「エンメアッカ」も取り扱う。こちらはベテランや金属フレーム派からの根強い支持があるそうだ。
ふと店内を見渡せば、有名プロ選手のプロマイドやサイン、有名レースのリーダージャージ、果てはヨーロッパのレースでチームカーに装着するプレートなどが、あちこちに飾られてることに気づくはず。これらは全て遠藤さんが実際のレース現場で関わったり、選手からベルエキップに贈られたりしたものだそうだ。
遠藤さんは1996年、市川雅敏さんの紹介で渡欧した。スイスの「チームPMU」でスタッフとして働くのがその理由だ。遠藤さんはそのときのことを振り返って話す。「当時は名古屋のショップで働いていたけれど、中3の時からめちゃくちゃヨーロッパへ行きたかった。本当のレースがある環境を知りたかったし見たかった。話をもらった時に"すぐに行かなきゃならん"と思って、退職してスイスへ行ったんです。」
チームの諸々をこなす雑務係として加入した遠藤さんだが、その腕を買われてすぐに正式メカニックへ昇格。翌年にチームのスポンサーが交代し、名称は「ポストスイス」に。これが後にツール・ド・フランスでも活躍するフォナックである。「当時は、郵便局のチームだから俺は郵便局員になるんだろうか?なんて思いました。でも金銭的な待遇も良かったし、レースも生活も面白くて飽きませんでした。本場ヨーロッパのレース現場で働けた経験は現在につながる貴重な糧となりましたね。」
遠藤さんは3シーズンをヨーロッパで過ごし、その後に帰国。自転車販売代理店勤務を経て大門宏監督率いるNIPPOのメカニックとしても働き、その後仙台にベルエキップをオープンさせ現在に至っている。レース現場を知り、販売代理店も知り、そし現ショップオーナー。スポーツサイクル業界の全てを知り尽くしていると言っても過言では無いだろう。
そうした経験を持つ遠藤さん、ひいてはベルエキップのスタッフ陣の技術を買って、今でも様々なチームからレース時の臨時メカニックとしての依頼の声がかかるそう。なかなか仕事で忙しく帯同は難しいそうだが、タイミングが合えば是非任せてもらいたい、と遠藤さんは胸を張って言う。
ちなみに店名の「BELLE EQUIPE」とはフランス語で直訳すると「美しいチーム」という意味だ。遠藤さんは「例えば2013年ツールでのチームスカイ、圧倒的な強さを誇ったあの姿は、まさにBELLE EQUIPEでした。そんなショップができれば良いなと思って名付けたんです。」と教えてくれた。
遠藤さんは1996年、市川雅敏さんの紹介で渡欧した。スイスの「チームPMU」でスタッフとして働くのがその理由だ。遠藤さんはそのときのことを振り返って話す。「当時は名古屋のショップで働いていたけれど、中3の時からめちゃくちゃヨーロッパへ行きたかった。本当のレースがある環境を知りたかったし見たかった。話をもらった時に"すぐに行かなきゃならん"と思って、退職してスイスへ行ったんです。」
チームの諸々をこなす雑務係として加入した遠藤さんだが、その腕を買われてすぐに正式メカニックへ昇格。翌年にチームのスポンサーが交代し、名称は「ポストスイス」に。これが後にツール・ド・フランスでも活躍するフォナックである。「当時は、郵便局のチームだから俺は郵便局員になるんだろうか?なんて思いました。でも金銭的な待遇も良かったし、レースも生活も面白くて飽きませんでした。本場ヨーロッパのレース現場で働けた経験は現在につながる貴重な糧となりましたね。」
遠藤さんは3シーズンをヨーロッパで過ごし、その後に帰国。自転車販売代理店勤務を経て大門宏監督率いるNIPPOのメカニックとしても働き、その後仙台にベルエキップをオープンさせ現在に至っている。レース現場を知り、販売代理店も知り、そし現ショップオーナー。スポーツサイクル業界の全てを知り尽くしていると言っても過言では無いだろう。
そうした経験を持つ遠藤さん、ひいてはベルエキップのスタッフ陣の技術を買って、今でも様々なチームからレース時の臨時メカニックとしての依頼の声がかかるそう。なかなか仕事で忙しく帯同は難しいそうだが、タイミングが合えば是非任せてもらいたい、と遠藤さんは胸を張って言う。
ちなみに店名の「BELLE EQUIPE」とはフランス語で直訳すると「美しいチーム」という意味だ。遠藤さんは「例えば2013年ツールでのチームスカイ、圧倒的な強さを誇ったあの姿は、まさにBELLE EQUIPEでした。そんなショップができれば良いなと思って名付けたんです。」と教えてくれた。
そんな「勝つための完璧な機材」に携わってきた遠藤さんらしく、ベルエキップではメカニックスペースにもこだわりが凝縮されている。その筆頭が「SSC(=Special Servise Course)」という特別組み上げメニューだ。
完成車はいわゆる7分組み状態でメーカーから納品され、通常ならばそこから組み立てていくが、SSCを選択した場合には完全にバラしてから再び組み直す。金属フレームならBBタップを立て直して面を取り、フレーム内部には錆び止めを。ネジ類はすべてグリスやケミカル類を使い分けて締め込んでいく。他にも多くの手を加えることでバイクの完成度と耐久性を上げ、水にも強くする。これは実際に過酷な環境で使用するプロレーサーたちのバイクに施しているものと同じサービスであるそうだ。
当然、通常の組み上げの際にも数多くのノウハウが注ぎこまれており、例えば体の曲がり方でステム長も変わる事があるから、それに合わせて調整する。バイク一台一台にカルテが用意され、整備後はスタッフ同士によるダブルチェックを欠かさない。メカへのこだわりが高じ、ベルエキップオリジナルの洗車用刷毛(1つ1,800円で販売中)を作ってしまったという話も面白い。
遠藤さんは「自転車はただ組んで渡すだけでは完成していないんです。人間が自転車の上でストレスが無い状態でようやく完成する。だからこだわりをもってやりたいし、実際にそうしている。だって、その方が面白いじゃないですか。」と笑う。これはレースメカニックとしての経験を長く積んできた遠藤さんならではの姿勢だろう。
また、「イタリアやフランスと比べると、まだ日本は自転車を楽しむ層が少ないし、薄い。どうしても速い人がエライという実力至上主義になることが多いですね。ヨーロッパでは一つの街のサイクリンググループの中に、ジロやツールを走ったというおじさまがいる。そうした人が初心者の面倒を見ていて、ポジションや走り方の指導をするというシステムができあがっているんです。頂点を知っている人が身近にいることで、自分に合った無理ない楽しみ方が自然と見えてくる。まず一番は安全に走れるようになること。ベルエキップはそういうお手伝いをする立場でありたいですね。」とも。
ベルエキップでは実際にビギナーの乗り降りから始まり、ビンディングの使い方、乗り方・走り方講習会を随時開催しており、ユーザー主導のサークルやクラブ、レーシングチームも多いという。
こだわりのメカ作業と、ビギナーをしっかりと支えるサポート体勢、そして多用なクラブ活動。ベルエキップのサービスを慕うユーザーは宮城を中心に北は北海道、南は九州まで存在するそうだが、今回の訪問で、その理由が理解できたように思う。近隣にお住まいの方はもちろん、遠方からでも是非訪れる価値のあるプロショップだ。
完成車はいわゆる7分組み状態でメーカーから納品され、通常ならばそこから組み立てていくが、SSCを選択した場合には完全にバラしてから再び組み直す。金属フレームならBBタップを立て直して面を取り、フレーム内部には錆び止めを。ネジ類はすべてグリスやケミカル類を使い分けて締め込んでいく。他にも多くの手を加えることでバイクの完成度と耐久性を上げ、水にも強くする。これは実際に過酷な環境で使用するプロレーサーたちのバイクに施しているものと同じサービスであるそうだ。
当然、通常の組み上げの際にも数多くのノウハウが注ぎこまれており、例えば体の曲がり方でステム長も変わる事があるから、それに合わせて調整する。バイク一台一台にカルテが用意され、整備後はスタッフ同士によるダブルチェックを欠かさない。メカへのこだわりが高じ、ベルエキップオリジナルの洗車用刷毛(1つ1,800円で販売中)を作ってしまったという話も面白い。
遠藤さんは「自転車はただ組んで渡すだけでは完成していないんです。人間が自転車の上でストレスが無い状態でようやく完成する。だからこだわりをもってやりたいし、実際にそうしている。だって、その方が面白いじゃないですか。」と笑う。これはレースメカニックとしての経験を長く積んできた遠藤さんならではの姿勢だろう。
また、「イタリアやフランスと比べると、まだ日本は自転車を楽しむ層が少ないし、薄い。どうしても速い人がエライという実力至上主義になることが多いですね。ヨーロッパでは一つの街のサイクリンググループの中に、ジロやツールを走ったというおじさまがいる。そうした人が初心者の面倒を見ていて、ポジションや走り方の指導をするというシステムができあがっているんです。頂点を知っている人が身近にいることで、自分に合った無理ない楽しみ方が自然と見えてくる。まず一番は安全に走れるようになること。ベルエキップはそういうお手伝いをする立場でありたいですね。」とも。
ベルエキップでは実際にビギナーの乗り降りから始まり、ビンディングの使い方、乗り方・走り方講習会を随時開催しており、ユーザー主導のサークルやクラブ、レーシングチームも多いという。
こだわりのメカ作業と、ビギナーをしっかりと支えるサポート体勢、そして多用なクラブ活動。ベルエキップのサービスを慕うユーザーは宮城を中心に北は北海道、南は九州まで存在するそうだが、今回の訪問で、その理由が理解できたように思う。近隣にお住まいの方はもちろん、遠方からでも是非訪れる価値のあるプロショップだ。
アクセス
仙台市営地下鉄泉中央駅よりタクシーで10分
駐車場あり
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