2013/01/21(月) - 08:55
1月20日に行われたUCIシクロクロスワールドカップ最終戦。スリッピーな凍結コースを最速で駆け抜けたのはダークホース、マルティン・ビーナ(チェコ、シクロチーム・ターボル)。ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)がUCIワールドカップ年間王者に輝いた。
UCIシクロクロスワールドカップ第8戦の舞台となったのは、南オランダ、ベルギーの国境からほど近い沿岸都市ホーヘルハイデ。林の中の小さな丘陵地と平地を組み合わせたコースで、高低差はそれほどハードなものではない。
しかしこの日オランダは寒波に見舞われ、コースは一面銀世界に。ライン上はそれまでに選手が走行したことから圧雪となり、常にコース上ではスリップダウンが発生する非常にスリッピーで難しいコンディションとなった。
この日スタートダッシュを決めたのはラドミール・シムネク(チェコ、クワドロ・スタナーサイクリングチーム)。これにスヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)やケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)らが順に続いていき、アルカンシエルを着るニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)はそれをやや後ろから追う展開に。
やがてマルティン・ビーナ(チェコ、シクロチーム・ターボル)が加わり4人パックとなった先頭は、徐々に後続との距離を離していく。すると下りのキャンバー区間で、脚を滑らせたネイスが落車し、第2集団後方へと順位を落としてしまう。
シムネク、ビーナ、パウエルスの先頭3名にはパウエルスとジム・アールノウト(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)が追いつき、やや時間を明けてU23世界王者&オランダナショナル王者のラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントデベロップメントチーム)が個々に加わり、先頭は6名となる。
互いに見合う牽制から抜け出しを図ったのはファンデルハール。持ち前の攻めの走りでハイペースを刻むと、ここでアルベルトが先頭パックから脱落。約1周の独走の後にファンデルハールが吸収されると、ここから決定的なアタックをビーナが仕掛ける。
後輪を滑らせながら見事なテクニックでアイスバーンを攻めていくビーナ。その後ろでは後方から抜け出したネイスが第2グループまで浮上。2位を走行していたパウエルスはメカトラで後退を喫してしまった。
ビーナは逆バンクの下り区間で落車するものの、直ぐにリカバリーに成功。ペースを持ち直すと、後続のファンデルハールを7秒引き離してゴールへと飛び込んだ。2位はファンデルハール、3位にはザーナーが入り、ベルギーは表彰台に選手を送り込むことができなかった。
「今日はとてもスピーディーかつテクニカルなコースで、僕向きのレースだった。僕にとってとても大切な勝利だよ」語るのは、ダークホースと目されていたビーナ。直近ではチェコナショナル選手権で2位に入るなど好調を見せていた。
またこの日パウエルスが8位に沈んだため、UCIワールドカップリーダーはアルベルトが戴冠。「コンディションは上々で踏むことが出来たけれど、コーナーでは慎重にならざるを得なかった。リーダーの座は正直期待していなかったけれど、運があったということ。世界選に向けてコンディションを維持していきたい」と語った。
豊岡英子は31位でフィニッシュ
ヨーロッパのレースを転戦中の豊岡英子(パナソニックレディース)もホーヘルハイデのアイスレースに出場。不慣れな凍結コースでトップのマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)から6分20秒遅れの31位で完走を果たした。海外遠征で残すはアメリカで開催される世界選手権のみ。目前に迫ったビッグレースにコンディションを高めている。
豊岡英子のコメント
経験が少ない雪と氷のレースでした。前日の試走のときから“怖い”というイメージしかなかったし、当日は体感温度はマイナス14℃と言われるくらい寒くなって、路面も凍り、今までに経験したことがない“デンジャラス・サーキット”って感じでした。気がつけば転んでいて……というか自転車から降りても転ぶくらいで、今日も何回転んだかわからないです。
レース前は『完走できればいいな……』と不安に思っていましたが、このようなコースはレースでないとなかなか経験できないものですし、ヨーロッパで走る上では必ず通らないといけないところなので、来年に繋げるためにも、最後に経験できて本当に良かったです。日本ではゼッタイに経験できないコースなので。
12月下旬にベルギーに来たときはひどい泥で、“泥の洗礼”を受けましたが、最後の最後に“雪と氷の洗礼”を受けれて良かったと思っています。今回が自分のヨーロッパ遠征では最終戦になりますが、どのレースも難しいコースで本当に大変でしたが、今年は走れているというのもあったので、いいスピード域で走れて、これまでよりも見えてくるものがありました。レースが終わってから、よくレースのことを振り返るようにもなりました。
海外遠征でのレースは、アメリカでの世界選手権だけです。天気予報を見てもなかなかコースのコンディションは読めませんが、ここまでレースをこなしてきたので、あとは体調を整えて万全の体制で挑みたいと思います。
UCIシクロクロスワールドカップ2012-2013第7戦結果
エリート男子
1位 マルティン・ビーナ(チェコ、シクロチーム・ターボル) 1h02'17"
2位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントデベロップメントチーム)+07″
3位 シモン・ザーナー(スイス)+11″
4位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー) +22″
5位 ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス) +27″
6位 ラドミール・シムネク(チェコ、クワドロ・スタナーサイクリングチーム)
7位 フランシス・ムレー(フランス、FDJ)+33″
8位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)+42″
9位 ジュリアン・タラマルカス(スイス、BMCマウンテンバイクレーシングチーム) +46″
10位 ルーカス・フルッキガー(スイス) +49″
エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)38'54"
2位 ヴァン・パーセンサンヌ(オランダ、ラボバンク) +53″
3位 フェリアブルノー・クリステル(フランス、ファレン・レッツゴーフィンランドチーム)+01′12″
text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka,CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ第8戦の舞台となったのは、南オランダ、ベルギーの国境からほど近い沿岸都市ホーヘルハイデ。林の中の小さな丘陵地と平地を組み合わせたコースで、高低差はそれほどハードなものではない。
しかしこの日オランダは寒波に見舞われ、コースは一面銀世界に。ライン上はそれまでに選手が走行したことから圧雪となり、常にコース上ではスリップダウンが発生する非常にスリッピーで難しいコンディションとなった。
この日スタートダッシュを決めたのはラドミール・シムネク(チェコ、クワドロ・スタナーサイクリングチーム)。これにスヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)やケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)らが順に続いていき、アルカンシエルを着るニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)はそれをやや後ろから追う展開に。
やがてマルティン・ビーナ(チェコ、シクロチーム・ターボル)が加わり4人パックとなった先頭は、徐々に後続との距離を離していく。すると下りのキャンバー区間で、脚を滑らせたネイスが落車し、第2集団後方へと順位を落としてしまう。
シムネク、ビーナ、パウエルスの先頭3名にはパウエルスとジム・アールノウト(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)が追いつき、やや時間を明けてU23世界王者&オランダナショナル王者のラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントデベロップメントチーム)が個々に加わり、先頭は6名となる。
互いに見合う牽制から抜け出しを図ったのはファンデルハール。持ち前の攻めの走りでハイペースを刻むと、ここでアルベルトが先頭パックから脱落。約1周の独走の後にファンデルハールが吸収されると、ここから決定的なアタックをビーナが仕掛ける。
後輪を滑らせながら見事なテクニックでアイスバーンを攻めていくビーナ。その後ろでは後方から抜け出したネイスが第2グループまで浮上。2位を走行していたパウエルスはメカトラで後退を喫してしまった。
ビーナは逆バンクの下り区間で落車するものの、直ぐにリカバリーに成功。ペースを持ち直すと、後続のファンデルハールを7秒引き離してゴールへと飛び込んだ。2位はファンデルハール、3位にはザーナーが入り、ベルギーは表彰台に選手を送り込むことができなかった。
「今日はとてもスピーディーかつテクニカルなコースで、僕向きのレースだった。僕にとってとても大切な勝利だよ」語るのは、ダークホースと目されていたビーナ。直近ではチェコナショナル選手権で2位に入るなど好調を見せていた。
またこの日パウエルスが8位に沈んだため、UCIワールドカップリーダーはアルベルトが戴冠。「コンディションは上々で踏むことが出来たけれど、コーナーでは慎重にならざるを得なかった。リーダーの座は正直期待していなかったけれど、運があったということ。世界選に向けてコンディションを維持していきたい」と語った。
豊岡英子は31位でフィニッシュ
ヨーロッパのレースを転戦中の豊岡英子(パナソニックレディース)もホーヘルハイデのアイスレースに出場。不慣れな凍結コースでトップのマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)から6分20秒遅れの31位で完走を果たした。海外遠征で残すはアメリカで開催される世界選手権のみ。目前に迫ったビッグレースにコンディションを高めている。
豊岡英子のコメント
経験が少ない雪と氷のレースでした。前日の試走のときから“怖い”というイメージしかなかったし、当日は体感温度はマイナス14℃と言われるくらい寒くなって、路面も凍り、今までに経験したことがない“デンジャラス・サーキット”って感じでした。気がつけば転んでいて……というか自転車から降りても転ぶくらいで、今日も何回転んだかわからないです。
レース前は『完走できればいいな……』と不安に思っていましたが、このようなコースはレースでないとなかなか経験できないものですし、ヨーロッパで走る上では必ず通らないといけないところなので、来年に繋げるためにも、最後に経験できて本当に良かったです。日本ではゼッタイに経験できないコースなので。
12月下旬にベルギーに来たときはひどい泥で、“泥の洗礼”を受けましたが、最後の最後に“雪と氷の洗礼”を受けれて良かったと思っています。今回が自分のヨーロッパ遠征では最終戦になりますが、どのレースも難しいコースで本当に大変でしたが、今年は走れているというのもあったので、いいスピード域で走れて、これまでよりも見えてくるものがありました。レースが終わってから、よくレースのことを振り返るようにもなりました。
海外遠征でのレースは、アメリカでの世界選手権だけです。天気予報を見てもなかなかコースのコンディションは読めませんが、ここまでレースをこなしてきたので、あとは体調を整えて万全の体制で挑みたいと思います。
UCIシクロクロスワールドカップ2012-2013第7戦結果
エリート男子
1位 マルティン・ビーナ(チェコ、シクロチーム・ターボル) 1h02'17"
2位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントデベロップメントチーム)+07″
3位 シモン・ザーナー(スイス)+11″
4位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー) +22″
5位 ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス) +27″
6位 ラドミール・シムネク(チェコ、クワドロ・スタナーサイクリングチーム)
7位 フランシス・ムレー(フランス、FDJ)+33″
8位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)+42″
9位 ジュリアン・タラマルカス(スイス、BMCマウンテンバイクレーシングチーム) +46″
10位 ルーカス・フルッキガー(スイス) +49″
エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)38'54"
2位 ヴァン・パーセンサンヌ(オランダ、ラボバンク) +53″
3位 フェリアブルノー・クリステル(フランス、ファレン・レッツゴーフィンランドチーム)+01′12″
text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka,CorVos
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