今年もツール・デ・ワロニー・ピカルディ-シルキュイ・フランコ・ベルジュが開幕。ベルギーを舞台とする4日間のステージレース初日は、逃げ集団のスプリントを制したユルゲン・ルーランツが勝利。宮澤崇史は落車して足首を捻挫、リタイアした。

逃げるダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ・ビッグマット)ら逃げるダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ・ビッグマット)ら photo:http://www.circuitfrancobelge.comベルギーで開催されるツール・デ・ワロニー・ピカルディ-シルキュイ・フランコ・ベルジュ(UCI2.1)は、今年で30回目、1982年に第1回大会が開催された比較的歴史の浅いステージレース。ベルギー西部を駆け巡る4日間のレース中には、石畳や短いながらも急勾配の丘が設定され、レースの雰囲気はベルギーワンデーレースのそれに似る。総走行距離は671.8kmだ。

レース最初の1時間は平均速度47km/hを記録したレース最初の1時間は平均速度47km/hを記録した photo:http://www.circuitfrancobelge.com長い上りが設定されないため、過去の総合優勝者にはロビー・マキュアンやタイラー・ファラー(現アメリカ、ガーミン・シャープ)、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)などスプリンターやクラシックレーサーが揃う。

今年は13のUCIプロツアーチームと、ベルギー、フランスを中心とした12のプロコンチネンタルチームとコンチネンタルチームから計200名の選手がスタートラインに並んだ。日本からは宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)が出場した。

レースをコントロールするロット・ベリソル勢レースをコントロールするロット・ベリソル勢 photo:http://www.circuitfrancobelge.com9月27日に開催された第1ステージは、ラ・ルヴィエールから西へ向かい、コルトレイクにほど近いメーネンへと至る165.8km。スタートから中盤にかけては短い丘が連続する丘陵地帯を走るものの、後半にかけてはほぼフラットなレイアウトだ。午後1時、雨に濡れるルヴィエールの街をスタート。この日はめまぐるしい展開でレースは推移した。

アタック合戦ののちに形成された逃げグループは、ウラジミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ)やダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ・ビッグマット)ら5名。レース最初の1時間の平均速度は47km/hを記録した。

BMCレーシングチームやロット・ベリソルがペースを上げるBMCレーシングチームやロット・ベリソルがペースを上げる photo:http://www.circuitfrancobelge.com逃げグループが徐々にタイム差を広げていくその頃、集団内では宮澤崇史が前で発生したクラッシュを避けきれずに落車し、病院へと搬送される事態に。宮澤は後に足首の捻挫と診断されている。

逃げグループをおよそ3分差で追う集団は、強い横風によっておよそ3つに分断。やがて100kmを消化した時点で逃げる5名は第1集団に吸収される。追走の後に第2グループも先頭に合流し、レースはここから一層展開を激しくしていく。するとスプリントポイント狙いのアタックをきっかけに、残り20km地点から30名の先行が決まった。

8名によるスプリント勝負を制したユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル)8名によるスプリント勝負を制したユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:http://www.circuitfrancobelge.com先頭グループは集団に対して最大50秒ほどの差を付けることに成功したものの、再び集団は1つとなる。そこからカウンターで強力な8名が抜け出しに成功すると、この動きが勝負を決定づけた。

リーダージャージを手に入れたユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル)リーダージャージを手に入れたユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:CorVosフルスロットルで追走した集団も追いきれず、最後は8名によるスプリント勝負をユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル)が制した。2位はギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、3位はマールテン・ワイナンツ(オランダ、ラボバンク)が入っている。

「今日はチームが一日中ハイペースでコントロールし、レースを厳しいものとしてくれた。重要な局面にも多くのメンバーが残っていたし、主導権を握れていたんだ。シーズン終盤に掛けてもメンバーは皆コンディションが良いし、オリンピックでも世界選でもレースの中心にいた。今日は一丸となって勝利に結びついた。本当に嬉しいよ」ケガによる療養を終えたルーランツにとって、これが今シーズン2勝目だ。

DNFとなった宮澤崇史は、「落車はちょうど雨の石畳で、抜いて来たガーミンの選手が目の前で落車してよけきれませんでした。 足首の捻挫と膝の擦過傷です。踵をついて歩くのが辛いですが、早く回復できるように休養です。来週火曜日のレース「ビンシュ」からレース復帰します。」とTwitterで自身の容態と展望を語った。


レース展開はライブティッカー、コメントはチーム公式サイト、選手Twitterなどより。


ツール・デ・ワロニー・ピカルディ-シルキュイ・フランコ・ベルジュ2012 第1ステージ結果
1位 ユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル) 3h44′22″
2位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 マールテン・ワイナンツ(オランダ、ラボバンク)
4位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
5位 カルステン・クローン(オランダ、サクソバンク・ティンコフバンク)
6位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、FDJ・ビッグマット)
7位 ミカエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)
8位 セプ・ファンマルケ(ベルギー、ガーミン・シャープ)
9位 ロバート・ワグナー(ドイツ、レディオシャック・ニッサン) +39″
10位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
DNF 宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)

ツール・デ・ワロニー・ピカルディ-シルキュイ・フランコ・ベルジュ2012総合順位
1位 ユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル) 3h44′07″
2位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +09″
3位 マールテン・ワイナンツ(オランダ、ラボバンク) +10″
4位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) +13″
5位 カルステン・クローン(オランダ、サクソバンク・ティンコフバンク) +15″
6位 ブノワ・ヴォグルナール(フランス、FDJ・ビッグマット) 
7位 ミカエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)
8位 セプ・ファンマルケ(ベルギー、ガーミン・シャープ)
9位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ) +51″
10位 ダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ・ビッグマット) +52″


text:So.Isobe
photo.CorVos,http://www.circuitfrancobelge.com