2012/09/06(木) - 18:45
ロンドンパラリンピック自転車ロード競技が4日間の日程で始まった。初日の9月5日には各クラスの個人TTが行われ、藤田征樹はロード個人TT〔男子C3〕16kmを23分55秒54のタイムで走り3位、銅メダルを獲得した。石井雅史はロード個人TT〔男子C4〕24kmを37分07秒11のタイムで走り、11位となった。
アップダウン続くモーターレースサーキット
ロードレースの会場はロンドン郊外のブランズ・ハッチ。オリンピックパークから南東に車で70分ほどの距離にあるモーターレースサーキットで、9月5日の個人TTに続いて6~8日にロードレース、8日夕には大会を締めくくるハンドサイクルのリレーが行われる。TTは1周8kmでクラスごとに周回数は異なるが同じコースが使われた。
撮影の下見でコースを歩いてみた。スタート/フィニッシュ付近の一部を歩いただけだが、個人的には修善寺CSCのサーキットを歩いた時よりもきついように感じた。一見なだらかに見えるが、アップダウンは見た目よりもきつい、ハードなコースという印象を受けた。
6月にはこのブランズ・ハッチで事前公式練習があり、日本は参加しなかったが「アップダウンの多いタフなコース」という感想を口にする海外選手が多かった。このコースの厳しさを理由に、ロンドンを待たず7月のワールドカップを自分のラストレースに決めた海外のベテランハンドバイク選手もいた。
藤田の出場クラス男子C3で優勝したのはオーストラリアの若手、デビッド・ニコラス。昨年9月にデンマークで行われたパラサイクリングロード世界選手権ではタイムトライアル〔男子C3〕で初優勝し、表彰の前にタイムキーパー車に貼りだされたリザルトを見て優勝を知り、コーチと抱き合って喜びの涙を流していた姿が印象に残る、まだどこかあどけない感じの残る20歳。
2位は、あごひげが印象的な片腕の米国選手ジョゼフ・ベルニー。今年のパラサイクリングロードワールドカップ最終戦のカナダ・ベコモで男子C3クラスの総合リーダーのトロフィを手にした選手である。
石井の出場クラス男子C4は、トラックの個人追抜につづきイェリ・イェジェク(チェコ)が1位、
キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア)が2位と彼らの安定した実力を見せつけた。
3位には、石井のパラサイクリング国際大会デビュー時からのライバルにしてよき友のイェリ・ボウシュカ(チェコ)が入った。ボウシュカも一時はなかなか成績が出ない時期があったが、地道な努力を続け、ひとまわり身体も大きくなり、表彰台の常連に戻って来た。
観客たちは、ポディウムの上で手をふる尊敬すべきサイクリストたちに、惜しみない拍手を送っていた。
銅メダルを獲得した藤田のコメント
最終走者が走り終わるまで順位はわからず、自分たちは正確なタイムをしっかり把握していなかったので、表彰式のアテンドの人が来て初めて、メダル獲得がわかった。
TTのなかでは今までで一番手応えのある走りができた。もしメダルが獲れなかったとしても、(自分の走りには)納得できたと思う。
パラサイクリング日本チームは、ロンドンではまだメダルがなかった。チームの先輩たち、石井さんや大城さんからも力をもらいながら一生懸命走った。今日のところは、すべて出し切った。
コースは、そんなにテクニカルではないけれどアップダウンが激しくて、勢いをおさえると置いて行かれるコース。正直、きつかった。最後1kmのところで前を走るニュージーランドの選手を抜いたときに空っぽまで脚を使って、最後、限界まで出し切った。
メダルはうれしいけれどまだ実感がない。メダル獲得でたくさん日本からのメールや祝福のメッセージが来て、それがとてもうれしい。支えてくれた人たちに恩返しができて、ひとつ形にできてよかった。
マッサージを受けて身体も回復し、コンディションには不安はない。また明日のロードレースも落ち着いて走れればと思う。
▼ロード個人TT〔男子C3〕8km×2周=16km
1位 デビッド・ニコラス(オーストラリア) 23分22秒13
2位 ジョゼフ・ベルニー(米国) 23分31秒73
3位 藤田征樹 23分55秒54
▼ロード個人TT〔男子C4〕8km×3周=24km
1位 イェリ・イェジェク(チェコ) 32分59秒92
2位 キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア) 33分06秒93
3位 イェリ・ボウシュカ(チェコ) 33分34秒92
11位 石井雅史 37分07秒11
Photo&Text Yuko SATO
アップダウン続くモーターレースサーキット
ロードレースの会場はロンドン郊外のブランズ・ハッチ。オリンピックパークから南東に車で70分ほどの距離にあるモーターレースサーキットで、9月5日の個人TTに続いて6~8日にロードレース、8日夕には大会を締めくくるハンドサイクルのリレーが行われる。TTは1周8kmでクラスごとに周回数は異なるが同じコースが使われた。
撮影の下見でコースを歩いてみた。スタート/フィニッシュ付近の一部を歩いただけだが、個人的には修善寺CSCのサーキットを歩いた時よりもきついように感じた。一見なだらかに見えるが、アップダウンは見た目よりもきつい、ハードなコースという印象を受けた。
6月にはこのブランズ・ハッチで事前公式練習があり、日本は参加しなかったが「アップダウンの多いタフなコース」という感想を口にする海外選手が多かった。このコースの厳しさを理由に、ロンドンを待たず7月のワールドカップを自分のラストレースに決めた海外のベテランハンドバイク選手もいた。
藤田の出場クラス男子C3で優勝したのはオーストラリアの若手、デビッド・ニコラス。昨年9月にデンマークで行われたパラサイクリングロード世界選手権ではタイムトライアル〔男子C3〕で初優勝し、表彰の前にタイムキーパー車に貼りだされたリザルトを見て優勝を知り、コーチと抱き合って喜びの涙を流していた姿が印象に残る、まだどこかあどけない感じの残る20歳。
2位は、あごひげが印象的な片腕の米国選手ジョゼフ・ベルニー。今年のパラサイクリングロードワールドカップ最終戦のカナダ・ベコモで男子C3クラスの総合リーダーのトロフィを手にした選手である。
石井の出場クラス男子C4は、トラックの個人追抜につづきイェリ・イェジェク(チェコ)が1位、
キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア)が2位と彼らの安定した実力を見せつけた。
3位には、石井のパラサイクリング国際大会デビュー時からのライバルにしてよき友のイェリ・ボウシュカ(チェコ)が入った。ボウシュカも一時はなかなか成績が出ない時期があったが、地道な努力を続け、ひとまわり身体も大きくなり、表彰台の常連に戻って来た。
観客たちは、ポディウムの上で手をふる尊敬すべきサイクリストたちに、惜しみない拍手を送っていた。
銅メダルを獲得した藤田のコメント
最終走者が走り終わるまで順位はわからず、自分たちは正確なタイムをしっかり把握していなかったので、表彰式のアテンドの人が来て初めて、メダル獲得がわかった。
TTのなかでは今までで一番手応えのある走りができた。もしメダルが獲れなかったとしても、(自分の走りには)納得できたと思う。
パラサイクリング日本チームは、ロンドンではまだメダルがなかった。チームの先輩たち、石井さんや大城さんからも力をもらいながら一生懸命走った。今日のところは、すべて出し切った。
コースは、そんなにテクニカルではないけれどアップダウンが激しくて、勢いをおさえると置いて行かれるコース。正直、きつかった。最後1kmのところで前を走るニュージーランドの選手を抜いたときに空っぽまで脚を使って、最後、限界まで出し切った。
メダルはうれしいけれどまだ実感がない。メダル獲得でたくさん日本からのメールや祝福のメッセージが来て、それがとてもうれしい。支えてくれた人たちに恩返しができて、ひとつ形にできてよかった。
マッサージを受けて身体も回復し、コンディションには不安はない。また明日のロードレースも落ち着いて走れればと思う。
▼ロード個人TT〔男子C3〕8km×2周=16km
1位 デビッド・ニコラス(オーストラリア) 23分22秒13
2位 ジョゼフ・ベルニー(米国) 23分31秒73
3位 藤田征樹 23分55秒54
▼ロード個人TT〔男子C4〕8km×3周=24km
1位 イェリ・イェジェク(チェコ) 32分59秒92
2位 キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア) 33分06秒93
3位 イェリ・ボウシュカ(チェコ) 33分34秒92
11位 石井雅史 37分07秒11
Photo&Text Yuko SATO
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