ロンドンパラリンピック自転車ロード競技が4日間の日程で始まった。初日の9月5日には各クラスの個人TTが行われ、藤田征樹はロード個人TT〔男子C3〕16kmを23分55秒54のタイムで走り3位、銅メダルを獲得した。石井雅史はロード個人TT〔男子C4〕24kmを37分07秒11のタイムで走り、11位となった。

藤田征樹、ロード個人TT(男子C3)のスタート藤田征樹、ロード個人TT(男子C3)のスタート (c)Yuko SATO

アップダウン続くモーターレースサーキット

ロードレースの会場はロンドン郊外のブランズ・ハッチ。オリンピックパークから南東に車で70分ほどの距離にあるモーターレースサーキットで、9月5日の個人TTに続いて6~8日にロードレース、8日夕には大会を締めくくるハンドサイクルのリレーが行われる。TTは1周8kmでクラスごとに周回数は異なるが同じコースが使われた。

ロードレース会場のブランズ・ハッチロードレース会場のブランズ・ハッチ (c)Yuko SATO


ロード個人TT(男子C4) 石井雅史のスタートロード個人TT(男子C4) 石井雅史のスタート (c)Yuko SATO撮影の下見でコースを歩いてみた。スタート/フィニッシュ付近の一部を歩いただけだが、個人的には修善寺CSCのサーキットを歩いた時よりもきついように感じた。一見なだらかに見えるが、アップダウンは見た目よりもきつい、ハードなコースという印象を受けた。

6月にはこのブランズ・ハッチで事前公式練習があり、日本は参加しなかったが「アップダウンの多いタフなコース」という感想を口にする海外選手が多かった。このコースの厳しさを理由に、ロンドンを待たず7月のワールドカップを自分のラストレースに決めた海外のベテランハンドバイク選手もいた。

藤田の出場クラス男子C3で優勝したのはオーストラリアの若手、デビッド・ニコラス。昨年9月にデンマークで行われたパラサイクリングロード世界選手権ではタイムトライアル〔男子C3〕で初優勝し、表彰の前にタイムキーパー車に貼りだされたリザルトを見て優勝を知り、コーチと抱き合って喜びの涙を流していた姿が印象に残る、まだどこかあどけない感じの残る20歳。

2位は、あごひげが印象的な片腕の米国選手ジョゼフ・ベルニー。今年のパラサイクリングロードワールドカップ最終戦のカナダ・ベコモで男子C3クラスの総合リーダーのトロフィを手にした選手である。

ロード個人TT(男子C3)表彰 銅メダルの藤田征樹ロード個人TT(男子C3)表彰 銅メダルの藤田征樹 (c)Yuko SATO石井の出場クラス男子C4は、トラックの個人追抜につづきイェリ・イェジェク(チェコ)が1位、
キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア)が2位と彼らの安定した実力を見せつけた。
3位には、石井のパラサイクリング国際大会デビュー時からのライバルにしてよき友のイェリ・ボウシュカ(チェコ)が入った。ボウシュカも一時はなかなか成績が出ない時期があったが、地道な努力を続け、ひとまわり身体も大きくなり、表彰台の常連に戻って来た。
観客たちは、ポディウムの上で手をふる尊敬すべきサイクリストたちに、惜しみない拍手を送っていた。

ロード個人TT(男子H4)では、レース中の事故で両足を切断し、2009年のパラサイクリングロード世界選手権でハンドサイクルに本格参戦したモータードライバーのザナルディが優勝ロード個人TT(男子H4)では、レース中の事故で両足を切断し、2009年のパラサイクリングロード世界選手権でハンドサイクルに本格参戦したモータードライバーのザナルディが優勝 (c)Yuko SATO初めてのパラリンピックの表彰台で、子供を抱きしめるコービー・ライアン。ロード個人TT(男子H1)表彰初めてのパラリンピックの表彰台で、子供を抱きしめるコービー・ライアン。ロード個人TT(男子H1)表彰 (c)Yuko SATO


銅メダルを獲得した藤田のコメント

表彰台の藤田征樹表彰台の藤田征樹 (c)Yuko SATO最終走者が走り終わるまで順位はわからず、自分たちは正確なタイムをしっかり把握していなかったので、表彰式のアテンドの人が来て初めて、メダル獲得がわかった。
TTのなかでは今までで一番手応えのある走りができた。もしメダルが獲れなかったとしても、(自分の走りには)納得できたと思う。
パラサイクリング日本チームは、ロンドンではまだメダルがなかった。チームの先輩たち、石井さんや大城さんからも力をもらいながら一生懸命走った。今日のところは、すべて出し切った。
コースは、そんなにテクニカルではないけれどアップダウンが激しくて、勢いをおさえると置いて行かれるコース。正直、きつかった。最後1kmのところで前を走るニュージーランドの選手を抜いたときに空っぽまで脚を使って、最後、限界まで出し切った。
メダルはうれしいけれどまだ実感がない。メダル獲得でたくさん日本からのメールや祝福のメッセージが来て、それがとてもうれしい。支えてくれた人たちに恩返しができて、ひとつ形にできてよかった。
マッサージを受けて身体も回復し、コンディションには不安はない。また明日のロードレースも落ち着いて走れればと思う。

▼ロード個人TT〔男子C3〕8km×2周=16km

この地でも空に日の丸があがったこの地でも空に日の丸があがった (c)Yuko SATO1位 デビッド・ニコラス(オーストラリア) 23分22秒13
2位 ジョゼフ・ベルニー(米国) 23分31秒73
3位 藤田征樹 23分55秒54


▼ロード個人TT〔男子C4〕8km×3周=24km

1位 イェリ・イェジェク(チェコ) 32分59秒92
2位 キャロルエドワード・ノヴァク(ルーマニア) 33分06秒93
3位 イェリ・ボウシュカ(チェコ) 33分34秒92

11位 石井雅史 37分07秒11

Photo&Text Yuko SATO

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