ラスト1km、福島晋一(ボンシャンス飯田)がスパートをかけると11人の集団は木っ端微塵に。チームとして初のJプロツアー優勝を達成した。

テクニカルな場面もあるクリテリウムに近いコーステクニカルな場面もあるクリテリウムに近いコース photo:Hideaki.TAKAGIほとんどの選手が連戦となった週末。前日は東京・湾岸クリテリウム、選手たちは250kmをその日のうちに移動して長野県宮田村へ。翌8月19日(日)のみやだロードに備えた。

Y 独走する岡篤志(キャノンデール・スペースゼロポイント)、スピードとテクニックが際立つY 独走する岡篤志(キャノンデール・スペースゼロポイント)、スピードとテクニックが際立つ photo:Hideaki.TAKAGI宮田村でロードレースが行われるのは4回目。2回目以降は同じコースで1周3.2kmの公道を周回するロードレースとして行われている。コースの一箇所に小さな上りがあり、ほかは直線とコーナー。全体に緩い傾斜がある。

F  西加南子(LUMINARIA)が高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)を下すF 西加南子(LUMINARIA)が高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)を下す photo:Hideaki.TAKAGI当日は朝から天候がよく強い日差しが降り注ぐが、湿度が低いため日陰では風さえあればしのぎやすい。それでも気温は30度に達し、P1クラス決勝の15時頃にはさすがに暑くなる。3周目を終え、大きく2つに分かれた集団3周目を終え、大きく2つに分かれた集団 photo:Hideaki.TAKAGI
6周目、仕掛ける福島晋一(ボンシャンス飯田)とチェックする窪木一茂(マトリックスパワータグ)6周目、仕掛ける福島晋一(ボンシャンス飯田)とチェックする窪木一茂(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki.TAKAGI5周目、豊かな自然の中を走る5周目、豊かな自然の中を走る photo:Hideaki.TAKAGIゴール前、福島晋一(ボンシャンス飯田)が先行するゴール前、福島晋一(ボンシャンス飯田)が先行する photo:Hideaki.TAKAGI福島晋一(ボンシャンス飯田)が優勝福島晋一(ボンシャンス飯田)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIP1クラス表彰P1クラス表彰 photo:Hideaki.TAKAGI
ユースは岡篤志(キャノンデール・スペースゼロポイント)が圧巻の独走

朝7時から各クラスの予選や決勝が行われた。
Y(ユース)クラスはジュニア世代の高体連に所属していない選手たちが主体。今回でツアー第3戦だ。

ふだんはJプロツアーで戦う岡篤志(キャノンデール・スペースゼロポイント)、内野直也(湘南ベルマーレ)、岸崇仁(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)に加え、野島遊(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)も参加。さらにボンシャンス飯田の選手も多数出場。

レースは6周19.2km、2周目入ってすぐにコーナーで抜け出した岡が差をつける。そしてそのまま差を広げ独走態勢に。後方ではJユースリーダーの雨澤毅明(ブラウ・ブリッツェン)と内野が抜け出して追走。しかし岡は差を広げて優勝。

「誰か来ると思って走っていたけれど誰も来なかったので独走を決めた。2人が追っていたのでやばいとは感じたが何とかいけると思った。きつかったので終わってほっとしています」と語る。

岡は自転車を始めてまだ1年半、今後が楽しみな選手だ。なお、岡の優勝平均時速は、全行程の8割を独走したにもかかわらず、ほかのどのEクラスよりも速いものだ。

F(女子)クラスは1周目の上り区間で西加南子(LUMINARIA)がペースを上げて高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)と2人に。このまま交代を続けて、ゴールスプリントを西が制した。

福島晋一が先頭集団を粉砕

P1クラスは予選2組を勝ちあがった50人、10周32.0kmで行われた。序盤から有力各チームによるアタックの応酬に。その中で3周目に大きく集団が2つに分かれる。前方に有力選手が集まる。

各チームがアタックを繰り返しライバルチームを消耗させる。積極的なのはマトリックスパワータグでは永良大誠・山下貴宏・窪木一茂、宇都宮ブリッツェンは増田成幸・普久原奨・飯野智行、シマノレーシングは平塚吉光・入部正太朗・鈴木譲、パールイズミ・スミタ・ラバネロは大久保陣ら。そして福島、小室雅成(キャノンデール・スペースゼロポイント)のベテランも加勢する。

ゴールを狙うのは畑中勇介(シマノレーシング)、窪木、初山翔(宇都宮ブリッツェン)、大久保そして福島と小室らだ。
5周目に窪木がアタック、半周ほどで吸収。6周目に普久原がアタックし大きくリード。追走には山下、永良、そして特に平塚が先頭固定状態で走り吸収。その後は仕掛け合いが続くものの集団のまま。

9周目後半で飯野そして窪木が落車、大きなダメージは無いが遅れたため全開で集団を追走する。そして最終周回、仕掛け合いが続き、ラスト1kmで福島がアタック、差を広げる。いっぽうで後方から落車していた窪木が追いつき、カウンターアタックで福島を追う。この動きに畑中と初山が反応する。福島がぎりぎり逃げ切って優勝、窪木をかわした畑中と初山が僅差で2位3位に。

福島の強さが際立つレースとなったみやだロード。単騎参戦のためそれまでアタック合戦に参加していたにもかかわらず、先頭集団を一撃で粉砕した。驚異だったのは窪木。ラスト4kmの重要場面で落車して遅れたが追いつき2位を目指した。「このメンバーで今日の自分の調子ならば」というだけに悔やまれる。

シマノは数的不利があったが予定通りに畑中がスプリントに参加。唯一の誤算は福島の強さ。キャノンデールも鈴木真理がいなくとも小室が5位、遠藤績穂が7位と前日に続いて結果を出した。

「真理さんがいない分、僕達で頑張らねば」と語るフルタイムサラリーマンの遠藤。チームは確実に成長している。大久保も連日の表彰台で走りの内容とともに存在感を示した。

「大勢の声援が聞こえて地元のレースで勝てたのが嬉しい。Jプロツアーの勝利はチームとして初めて。9月に向けて調子は上がっている」と喜びを語る。信州大学出身で飯田市に住み、地元の名を冠したチームを主宰、大勢の応援団も来ていた中での優勝だ。

結果
P1 32.0km
1位 福島晋一(ボンシャンス飯田)48分43秒(AV39.40km/h)
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 初山翔(宇都宮ブリッツェン)
4位 窪木一茂(マトリックスパワータグ)+01秒
5位 小室雅成(キャノンデール・スペースゼロポイント)
6位 大久保陣(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+04秒
7位 遠藤績穂(キャノンデール・スペースゼロポイント)+06秒
8位 永良大誠(マトリックスパワータグ)+08秒
9位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
10位 向川尚樹(マトリックスパワータグ)+11秒

F 16.0km
1位 西加南子(LUMINARIA)29分03秒(AV33.04km/h)
2位 高橋奈美(Vitesse-Serotta-Feminin)
3位 日野友葵(ボンシャンス飯田)+49秒

Y 19.2km
1位 岡篤志(キャノンデール・スペースゼロポイント)30分13秒(AV38.10km/h)
2位 雨澤毅明(ブラウ・ブリッツェン)+23秒
3位 内野直也(湘南ベルマーレ)+46秒

E1 25.6km
1位 小坂光(ブラウ・ブリッツェン)41分19秒(AV37.17km/h)
2位 中村龍太郎(信州大学)
3位 今井雄輝(EURO-WORKS Racing)
4位 筧五郎(イナーメ・アイランド信濃山形)
5位 阿部健弥(チーム スキップ)
6位 小坂正則(スワコレーシングチーム)

E2 22.4km
1位 末永周平(明治大学)36分37秒(AV36.70km/h)
2位 山崎潤(Team Logisty Jack)+16秒
3位 郷津勝之(SPACE ZEROPOINT)+17秒
4位 木下雅貴(masahikomifune.com CyclingTeam)
5位 サミュエル・ギルバート(FAST LANE Racing)
6位 菱田政美(マルコADONパンターニ)

E3 22.4km
1位 豊田勝徳(チーム・アヴェル)35分58秒(AV37.35km/h)
2位 中元寺琢磨(Team UKYO Reve)
3位 加藤康則(AACA)+03秒
4位 後藤哲朗(エルドラード・エスペランザ)+22秒
5位 川田優作(TEAM MILANO)+28秒
6位 石川海璃(ブラウ・ブリッツェン)+29秒

photo&text:高木秀彰

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