2012/08/20(月) - 13:56
8月19日、ドイツ北西部のハンブルグを舞台に第17回ヴァッテンフォール・サイクラシックスが開催された。勝負は例年通り集団スプリントに持ち込まれた結果、2011年のU23世界王者、アルノー・デマール(フランス、FDJ・ビッグマット)が勝利を飾った。
ハンブルグ市庁舎前をスタートしていく (c)CorVosヴァッテンフォール・サイクラシックス(UCIプロツアー)は、ドイツで開催される貴重なプロツアークラスのワンデイレース。前身のHEWサイクラシックスから数えて今年で開催17回目を迎える、クラシックレースの中では比較的新しい大会だ。
序盤に形成されたジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)ら3名の逃げグループ (c)CorVosコースはドイツの港湾都市ハンブルグを起点とするコースで、その途中には登坂距離700m、平均勾配10%、最大勾配16%をマークするヴァーゼベルグが控える。この名物登坂を含む周回コースを駆け抜け、最後はハンブルグ市内に設けられたゴールへと向かう計245.9kmの行程だ。
勝負のポイントは計4回通過するヴァーゼベルグ。難易度は高くないものの、勝負の流れを決定づけるアタックが頻発しるポイントだ。頂上からゴール地点までにある平坦路の距離が長いため、近年は中~大集団によるスプリント合戦が繰り広げられる。近年の優勝者にはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア)などスプリンターの名が連ねられる。
ハンブルグ市内を駆け抜けるメイン集団 (c)CorVos今年は計20チーム、157名の選手たちがレースに出走。ブエルタ・ア・エスパーニャとの同時併催だが、今年はスプリンターを中心に豪華な顔ぶれがスタートリストに揃った。
ヴァーゼベルグでアタックするマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット) (c)CorVos昨年大会を制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)は連覇を目指して出場。地元の期待を背負うアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベルソル)やトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)などの動きにも注目が注がれた。
レースは好天の下、ハンブルグ中心地からスタート。レースが始まってすぐにジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)を含む3名の逃げグループが形成されたものの、追いかける集団は2分以上の差を与えず。60kmを経過した地点からマルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム)のアタックで逃げた3名は吸収。このアタックをきっかけとする次なる逃げグループが発生した。
エスケープしたのはマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック・ニッサン)、マッテオ・ボーノ(イタリア、ランプレ・ISD)を含む強力な7名。
スプリント勝負を制したアルノー・デマール(フランス、FDJ・ビッグマット) (c)CorVosしかし昨年覇者ボアッソンハーゲン擁するチームスカイがこの動きを注視したことでレースを決定づける動きにはならず、レース後半、3回目のヴァーゼベルグでこの逃げグループは吸収。すぐさまトム・ボーネンやペーター・サガンを含む10名以上の逃げグループが飛び出したが、グループ内の統率がとれずにこの動きは失敗。サガンはメカトラによって後退を喫した。
最後のヴァーゼベルグをクリアした集団からソロエスケープを敢行したのはベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)。残り14kmから飛び出したヘルマンスには数名の追走グループが合流したが、スピードの上がりきったメイン集団はゴールまで8kmを残して全ての逃げを飲み込み、大集団スプリントへの体制を整えていく。
スプリントで落車したダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)は鎖骨を骨折 (c)CorVosレディオシャック・ニッサンやアルゴス・シマノ、オメガファーマ・クイックステップなどが代わる代わる集団の先頭に立つが、決定的な支配力でコントロールを行うチームは現れず、集団は混沌とした状況のままテクニカルなハンブルグ市内を駆け抜けていく。
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2012表彰台 (c)CorVosそして残り1kmを切ってから先頭に立ったのはアルノー・デマール(フランス)を引き連れたミカエル・ドラージュ(フランス)のFDJ・ビッグマットコンビ。早めに仕掛けたマーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)の背後に上手く入ったデマールが先頭に立つと、追うグライペルを寄せ付けない力強いスプリントを披露し先頭でゴールを駆け抜けた。2位はグライペル、3位にはイタリアの若きスプリンター、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)が入った。
一方スプリントでは集団の前方で落車が発生し、ダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)が鎖骨を折るケガを負った。またレース途中に落車したスチュアート・オグレディ(オーストラリア)も鎖骨と助骨を骨折するなど、オリカ・グリーンエッジ受難の一日となった。
豪快なスプリントを決めて優勝を飾ったデマールは、2011年のロード世界選手権U23を制し、今年鳴り物入りでFDJ・ビッグマット入りした1991年生まれの20歳。今シーズン初戦のツアーオブ・カタールでステージ優勝、ワンデーレースでの強みを見せ、今年のフランスナショナル選手権では2位に入ったフランス期待のスプリンターだ。
デマールは「みんなは僕が勝てるってずっと信じていたけれど、それを達成することはまた別の話だ。自分でも驚いている…猛暑の中の格別な勝利だね!ミカエル・ドラージュの働きはまったくスーパーで、まるで僕が最有力候補であるかのようにスプリントへ解き放ってくれた。チームには感謝の言葉しか無いよ。」と喜びを口にした。
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2012 結果
1位 アルノー・デマール(フランス、FDJ・ビッグマット)6h03'19"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベルソル)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
6位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
7位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
8位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
9位 トム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)
10位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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勝負のポイントは計4回通過するヴァーゼベルグ。難易度は高くないものの、勝負の流れを決定づけるアタックが頻発しるポイントだ。頂上からゴール地点までにある平坦路の距離が長いため、近年は中~大集団によるスプリント合戦が繰り広げられる。近年の優勝者にはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア)などスプリンターの名が連ねられる。
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エスケープしたのはマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック・ニッサン)、マッテオ・ボーノ(イタリア、ランプレ・ISD)を含む強力な7名。
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一方スプリントでは集団の前方で落車が発生し、ダリル・インペイ(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)が鎖骨を折るケガを負った。またレース途中に落車したスチュアート・オグレディ(オーストラリア)も鎖骨と助骨を骨折するなど、オリカ・グリーンエッジ受難の一日となった。
豪快なスプリントを決めて優勝を飾ったデマールは、2011年のロード世界選手権U23を制し、今年鳴り物入りでFDJ・ビッグマット入りした1991年生まれの20歳。今シーズン初戦のツアーオブ・カタールでステージ優勝、ワンデーレースでの強みを見せ、今年のフランスナショナル選手権では2位に入ったフランス期待のスプリンターだ。
デマールは「みんなは僕が勝てるってずっと信じていたけれど、それを達成することはまた別の話だ。自分でも驚いている…猛暑の中の格別な勝利だね!ミカエル・ドラージュの働きはまったくスーパーで、まるで僕が最有力候補であるかのようにスプリントへ解き放ってくれた。チームには感謝の言葉しか無いよ。」と喜びを口にした。
ヴァッテンフォール・サイクラシックス2012 結果
1位 アルノー・デマール(フランス、FDJ・ビッグマット)6h03'19"
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベルソル)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
6位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
7位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
8位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
9位 トム・フィーラース(オランダ、アルゴス・シマノ)
10位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
text:So.Isobe
photo:CorVos