7月10日から16日までの1週間、東欧ポーランドで第69回ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)が開催。別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)が出場する大会初日、モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)がスプリント勝利を飾った。

チームプレゼンテーションに登場したサクソバンク・ティンコフチームプレゼンテーションに登場したサクソバンク・ティンコフ photo:tourdepologne.plドイツ、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ロシアと国境を接する国ポーランド。日本より少し小さい面積のこの東欧の国を舞台に、ツール・ド・ポローニュは開催される。

同国最大のロードレースであり、第1回大会の開催は1928年。グランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも歴史は長い。

チームプレゼンテーションに登場した別府史之(オリカ・グリーンエッジ)チームプレゼンテーションに登場した別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Riccardo Scanferla昨年まで7月下旬〜8月上旬に開催されていたが、今年は開催時期がツール・ド・フランスと同時期に移行。ブエルタ・ア・エスパーニャやロンドン五輪に照準を合わす選手が多く出場する。

出場するのはプロ18チームに、プロコンチネンタル登録の6チームとポーランドナショナルチームを加えた25チーム。別府史之は2006年と2010年に続く3度目の出場。宮澤崇史は初出場だ。

逃げるヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)ら逃げるヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)ら photo:tourdepologne.pl初日はポーランド南部のチェコ国境に近い山岳地帯が舞台。イェレニャ・グラを起点とした1級山岳を含む39.2kmの周回コースを4周する。

レース序盤に逃げ、10分のリードを得たのはマティシアク・バルトロミエイ(ポーランド、ポーランドチーム)、ヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク・ティンコフバンク)、フェデリコ・ロッケッティ(イタリア、ウテンシルノルドネームド)、シルヴァン・ジョージ(フランス、アージェードゥーゼル)、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、オリカ・グリーンエッジ)。

4つの1級山岳でポイントを稼いだエリトリアチャンピオンのテクレハイマノが山岳賞トップに。しかしメイン集団によってラスト21km地点で吸収。ゴール前でアタックしたアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)も捉えられ、33名による集団によるスプリントでモゼールが優勝した。

メイン集団をコントロールするBMCレーシングチームメイン集団をコントロールするBMCレーシングチーム photo:Riccardo Scanferla落車したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がゴールを目指す落車したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がゴールを目指す photo:tourdepologne.pl
登りスプリントを制したモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)登りスプリントを制したモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:tourdepologne.pl

フランチェスコ・モゼールの甥にあたるモレーノ・モゼールは、昨年総合優勝を飾ったチームメイトのサガンと同じ1990年生まれ(サガンは22歳、モゼールは21歳)。今年リクイガス・キャノンデールでプロデビューすると、2月のトロフェオ・ライグエリアで優勝。ツール・ド・スイスの個人タイムトライアルで3位、イタリア選手権で3位という成績を残し、イタリアの星として注目を集める。

イエロージャージに袖を通したモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)イエロージャージに袖を通したモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Riccardo Scanferla10秒のボーナスタイムを獲得し、イエロージャージに袖を通したモレーノ。レース後のインタビューで「今日のような山岳の連続で、少し登り基調のゴールスプリントが設定されたコースは自分向き。最後の山岳でスプリンターが脱落して、終盤のコロブネフのロングスパートに美味く反応したんだ」と話す。

「まだ話すには早過ぎるけど」と前置きした上で、総合狙いであることを宣言。昨年のサガンに続く大会制覇を目指す。「明日から厳しい日々が続くけど、今年は自分の脚質に合ったコースが多い。ヴィヴィアーニで平坦スプリントを狙いながら、1週間集中して走りたい」。

この日落車したニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)とファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)はリタイア。ベルギーチャンピオンジャージで登場したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)も落車したが、無事にレースを終えている。

レース展開や選手コメントはレース公式サイトならびにオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。

ツール・ド・ポローニュ2012第1ステージ結果
1位 モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)        4h32'53"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
4位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ガーミン・シャープ)
5位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
8位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク)
9位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
90位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                 +3'51"
164位 宮澤崇史(日本、サクソバンク・ティンコフバンク)            +13'54"

個人総合成績
1位 モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)        4h32'43"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)  +04"
3位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)                     +06"
4位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ガーミン・シャープ)             +10"
5位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 ヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
8位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク)
9位 ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
90位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                 +4'01"
164位 宮澤崇史(日本、サクソバンク・ティンコフバンク)            +14'04"

山岳賞
ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、オリカ・グリーンエッジ)

ポイント賞
モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

チーム総合成績
ポーランドナショナルチーム

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, tourdepologne.pl

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