2012/03/06(火) - 14:19
2012年3月7日から13日までの7日間、イタリアで第47回ティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)が開催される。地元イタリア勢はカデル・エヴァンス(オーストラリア)の連覇を阻止することが出来るか?マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を始めとするトップスプリンターの対決にも注目だ。
1週間に濃縮された本格ステージレース
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sportが主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、半島を横断してアドリア海沿岸に至る。2つの海を結ぶその行程から、イタリアでは「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」と呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力スプリンターやオールラウンダーたちが大勢出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分ける。
数年前までスプリンターが総合争いに絡むほどの難易度の低いコースレイアウトだったが、昨年から個人タイムトライアルや山岳ステージが積極的に取り入れられ、オールラウンダーによる本格的な総合争いが見どころとなっている。ステージレースの様々な要素が1週間に詰め込まれている。
第47回大会は、ティレニア海に面したサンヴィンチェンツォで開幕する。初日は全長16.9kmの平坦なチームタイムトライアル。ここで優勝したチームが前半ステージで主導権を握る。続く平坦基調の第2・第3ステージは、スプリンターたちにとって貴重な活躍の場だ。
ステージレースのステージとして最長クラスの252kmで行なわれる第4ステージは、丘上都市キエーティにゴールする。イタリア半島の背骨にあたるアペニン山脈(ランチャーノ峠・標高1310m)を越え、標高329mに位置するキエーティ旧市街に向かって最大勾配19%の激坂を登る。ラスト2kmからラスト1kmの平均勾配は12.2%。この激坂でクライマーたちが勇んで飛び出すだろう。
続く第5ステージは196kmの本格的な山岳コース。序盤からアップダウンの連続で、ゴール34km手前)をクリア。そこから一旦標高424mまで下り、プラーティ・ディ・ティーヴォ(標高1450m)に向かって平均勾配7%・距離14kmの登坂に挑む。この難関頂上ゴールが設定されたクイーンステージで大きなタイム差がつくだろう。
丘陵地帯のオフィーダを発着する第6ステージも難易度は高い。レース後半には、平均勾配7.1%・登坂距離2.4kmの登りを含む全長16.15kmの周回コースを6周。クラシックレースさながらのサバイバルレースになるだろう。
最終日はアドリア海のリゾート地サンベネデット・デル・トロントを舞台にした恒例の個人タイムトライアル。フルフラットな9.3kmコースが大会覇者を選び出す。
ティレーノ〜アドリアティコ2012ステージリスト
3月7日(水)第1ステージ サンヴィンチェンツォ〜ドノラティコ 16.9km(チームTT)
3月8日(水)第2ステージ サンヴィンチェンツォ〜インディカトーレ 230km
3月9日(水)第3ステージ インディカトーレ〜テルニ 178km
3月10日(水)第4ステージ アメリア〜キエーティ 252km
3月11日(水)第5ステージ マルティンシクーロ〜プラーティ・ディ・ティーヴォ 196km
3月12日(水)第6ステージ オフィーダ〜オフィーダ 181km
3月13日(水)第7ステージ サンベネデット・デル・トロント 9.3km(個人TT)
エヴァンスvsイタリア勢 豪華なスプリントバトルにも注目
総合優勝候補の本命は、昨年の覇者カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)だろう。
ツール・ド・フランスを制した35歳のオージーは、「今年のコースはクライマー向きであり、連覇を狙うとともに、チーム内の連携を確認したい」とガゼッタ紙の中でコメントしている。BMCレーシングチームは強靭なメンバーを揃えており、初日のチームTTからリードを奪うだろう。
アルベルト・コンタドール(スペイン)の成績抹消に伴って、昨年ジロ・デ・イタリアのタイトルを手にする見込みのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)は、2009年大会の覇者。また、2010年大会覇者のステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)は、ジロへの招待を受けていないだけに、このレースに懸ける想いは強いはず。
2010年ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者で、今年すでにツアー・オブ・オマーンの頂上ゴールで優勝し、同大会総合2位に入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)にも注目。イタリア屈指のオールラウンダーたちがエヴァンスの連覇阻止に挑む。
ツアー・オブ・オマーンで総合優勝を飾ったペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)や、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)らも総合争いに加わるだろう。
直前のストラーデ・ビアンケで優勝したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)は、2008年大会の覇者。今年のコースレイアウトはカンチェラーラ向きではないため、クリストファー・ホーナー(アメリカ)やトニー・ギャロパン(フランス)にエースを託すだろう。
ティレーノ〜アドリアティコは、直後に行なわれるミラノ〜サンレモの前哨戦としての位置づけでもある。
世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)は、“登れるスプリンター”エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やクリストファー・サットン(オーストラリア)とタッグを組んでステージ優勝を目指す。
イタリアからはアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ISD)とダニエーレ・ベンナーティ(レディオシャック・ニッサン)の主砲2人が出動。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)やマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)、そしてオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)らと一戦を交える。第2ステージと第3ステージの闘いから目が離せない。
また、前述のボアッソンハーゲンに加え、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)は、丘陵地帯を走る第6ステージでチャンスを伺う。グランツール並の豪華な顔ぶれが揃うスプリントバトルに注目だ。
text:Kei Tsuji
1週間に濃縮された本格ステージレース
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sportが主催するティレーノ〜アドリアティコ。レース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、半島を横断してアドリア海沿岸に至る。2つの海を結ぶその行程から、イタリアでは「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」と呼ばれる。
同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力スプリンターやオールラウンダーたちが大勢出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分ける。
数年前までスプリンターが総合争いに絡むほどの難易度の低いコースレイアウトだったが、昨年から個人タイムトライアルや山岳ステージが積極的に取り入れられ、オールラウンダーによる本格的な総合争いが見どころとなっている。ステージレースの様々な要素が1週間に詰め込まれている。
第47回大会は、ティレニア海に面したサンヴィンチェンツォで開幕する。初日は全長16.9kmの平坦なチームタイムトライアル。ここで優勝したチームが前半ステージで主導権を握る。続く平坦基調の第2・第3ステージは、スプリンターたちにとって貴重な活躍の場だ。
ステージレースのステージとして最長クラスの252kmで行なわれる第4ステージは、丘上都市キエーティにゴールする。イタリア半島の背骨にあたるアペニン山脈(ランチャーノ峠・標高1310m)を越え、標高329mに位置するキエーティ旧市街に向かって最大勾配19%の激坂を登る。ラスト2kmからラスト1kmの平均勾配は12.2%。この激坂でクライマーたちが勇んで飛び出すだろう。
続く第5ステージは196kmの本格的な山岳コース。序盤からアップダウンの連続で、ゴール34km手前)をクリア。そこから一旦標高424mまで下り、プラーティ・ディ・ティーヴォ(標高1450m)に向かって平均勾配7%・距離14kmの登坂に挑む。この難関頂上ゴールが設定されたクイーンステージで大きなタイム差がつくだろう。
丘陵地帯のオフィーダを発着する第6ステージも難易度は高い。レース後半には、平均勾配7.1%・登坂距離2.4kmの登りを含む全長16.15kmの周回コースを6周。クラシックレースさながらのサバイバルレースになるだろう。
最終日はアドリア海のリゾート地サンベネデット・デル・トロントを舞台にした恒例の個人タイムトライアル。フルフラットな9.3kmコースが大会覇者を選び出す。
ティレーノ〜アドリアティコ2012ステージリスト
3月7日(水)第1ステージ サンヴィンチェンツォ〜ドノラティコ 16.9km(チームTT)
3月8日(水)第2ステージ サンヴィンチェンツォ〜インディカトーレ 230km
3月9日(水)第3ステージ インディカトーレ〜テルニ 178km
3月10日(水)第4ステージ アメリア〜キエーティ 252km
3月11日(水)第5ステージ マルティンシクーロ〜プラーティ・ディ・ティーヴォ 196km
3月12日(水)第6ステージ オフィーダ〜オフィーダ 181km
3月13日(水)第7ステージ サンベネデット・デル・トロント 9.3km(個人TT)
エヴァンスvsイタリア勢 豪華なスプリントバトルにも注目
総合優勝候補の本命は、昨年の覇者カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)だろう。
ツール・ド・フランスを制した35歳のオージーは、「今年のコースはクライマー向きであり、連覇を狙うとともに、チーム内の連携を確認したい」とガゼッタ紙の中でコメントしている。BMCレーシングチームは強靭なメンバーを揃えており、初日のチームTTからリードを奪うだろう。
アルベルト・コンタドール(スペイン)の成績抹消に伴って、昨年ジロ・デ・イタリアのタイトルを手にする見込みのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)は、2009年大会の覇者。また、2010年大会覇者のステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)は、ジロへの招待を受けていないだけに、このレースに懸ける想いは強いはず。
2010年ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者で、今年すでにツアー・オブ・オマーンの頂上ゴールで優勝し、同大会総合2位に入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)にも注目。イタリア屈指のオールラウンダーたちがエヴァンスの連覇阻止に挑む。
ツアー・オブ・オマーンで総合優勝を飾ったペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)や、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)らも総合争いに加わるだろう。
直前のストラーデ・ビアンケで優勝したファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)は、2008年大会の覇者。今年のコースレイアウトはカンチェラーラ向きではないため、クリストファー・ホーナー(アメリカ)やトニー・ギャロパン(フランス)にエースを託すだろう。
ティレーノ〜アドリアティコは、直後に行なわれるミラノ〜サンレモの前哨戦としての位置づけでもある。
世界チャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)は、“登れるスプリンター”エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)やクリストファー・サットン(オーストラリア)とタッグを組んでステージ優勝を目指す。
イタリアからはアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ISD)とダニエーレ・ベンナーティ(レディオシャック・ニッサン)の主砲2人が出動。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)やマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)、そしてオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)らと一戦を交える。第2ステージと第3ステージの闘いから目が離せない。
また、前述のボアッソンハーゲンに加え、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)は、丘陵地帯を走る第6ステージでチャンスを伺う。グランツール並の豪華な顔ぶれが揃うスプリントバトルに注目だ。
text:Kei Tsuji
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