2012年2月7日、ツアー・オブ・カタール(UCI2.HC)第3ステージは風で分断された40名弱の集団によるゴールスプリントに。ゴールデンジャージを着るトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)を振り切り、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)が勝利した。

製油所を横目にプロトンが進む製油所を横目にプロトンが進む photo:A.S.O.カタール3日目は、デュカンからドーハ郊外のアルガラファ・スタジアムまでの146.5km。カタール半島を西から東へ、南北に蛇行しながら横断する。

レース前半にアタックを仕掛けて飛び出したのは、今年タブリス・ペトロケミカルからUCIプロチームに移籍したメフディ・ソフラビ(イラン、ロット・ベリソル)と、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、マルト・オイェビー(エストニア、チャンピオンシステム)、そしてアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)の4名。

逃げるアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)ら4名逃げるアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)ら4名 photo:A.S.O.メイン集団とのタイム差は最大5分25秒まで拡大。2つのスプリントポイントはいずれもソフラビが先頭通過した。

展開に動きが見られたのは、ゴールまで40kmを切ってから。横風が吹き付ける直線路でペースアップが始まり、集団がいくつものグループに粉砕される。メイン集団は、ゴールデンジャージを着るボーネンを含む35名まで絞り込まれた。

集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)とベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)とベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ) photo:A.S.O.別府史之(グリーンエッジ)を始め、ブリヂストンアンカーの選手はこの絞り込みによって後方集団に取り残された。

フミはこの時の状況を「今日はとてもコンディションが良くて、集団が風で分裂する勝負どころにはいたけど、ガーター(沿道)にはめられて一気にポジションをロスしてしまい、先頭集団には残れなかった」とツイートしている。

オメガファーマ・クイックステップやガーミン・バラクーダが集団のペースを上げるオメガファーマ・クイックステップやガーミン・バラクーダが集団のペースを上げる photo:A.S.O.他にも、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)やロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア)、トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)らがメイン集団から脱落している。

横風で先行した35名は、ゴールまで25kmを残して逃げていたルメアら4名をキャッチ。勢いそのままに後続集団を振り切り、39名でゴールスプリント態勢へ。

スプリントでボーネンを下したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)スプリントでボーネンを下したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) photo:A.S.O.ガーミン・バラクーダのトレインが優勢と見られたが、ゴールまで500mを残してヘルト・ステーグマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が強力にボーネンを先頭まで引き上げる。そしてゴールデンジャージがそのまま先頭でスプリントを開始した。

しかしゴールデンジャージの後ろから、アルカンシェル(世界チャンピオンジャージ)が追い上げる。ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)の助けを借りて好位置をキープしていたカヴェンディッシュが、持ち前の加速でボーネンに並び、そして抜き去る。ボーネンが諦めてペダルを止める中、カヴェンディッシュが手を挙げた。

体調不良によって、第1ステージの勝負に絡めずにいたカヴェンディッシュが、アルカンシェルでの初勝利。チームスカイに移籍した今シーズン初勝利を早くも飾った。

「100%のコンディションではないけど、スプリントに持ち込まれるなら勝負したいと思っていた。風で集団が割れた時は、チームメイトのおかげでポジションをキープ。最後はアイゼルとフレチャのおかげで勝負に挑めたんだ。ゴール前は向かい風が強かったので、ボーネンがスプリントを開始したとき、少しだけ飛び出すのを待った。アルカンシェルを着て勝つのは信じられない気分だ(カヴェンディッシュ)」

ボーネンはスプリント真っ向勝負で敗れたものの総合首位をキープ。新人賞ジャージはリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)の手に渡っている。

レース内容はレース公式サイト、選手コメントはチームスカイ公式サイトより。


ツアー・オブ・カタール2012第3ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)      3h23'48"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 アイディス・クルオピス(リトアニア、グリーンエッジ)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
5位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、プロジェクト1t4i)
6位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
7位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
8位 ダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ・ビッグマット)
9位 ロバート・ワグナー(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)
10位 アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、カチューシャ)
53位 別府史之(日本、グリーンエッジ)                +1'29"
54位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)
116位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)            +10'57"
119位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)            +12'15"
120位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)

個人総合成績
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)  6h47'49"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)        +06"
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)        +08"
4位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)     +12"
4位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
5位 トーマス・デッケル(オランダ、ガーミン・バラクーダ)
6位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・バラクーダ)
7位 ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)           +17"
8位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)        +18"
9位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)
10位 アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム)         +19"
54位 別府史之(日本、グリーンエッジ)                 +1'54"
91位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)              +2'49"
116位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)             +13'35"
117位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)             +14'06"
120位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)             +15'11"

ポイント賞
トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)

新人賞
リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、カチューシャ)

チーム総合成績
ガーミン・バラクーダ

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.