全日本4連覇の山本幸平がスペシャライズドグローバルチームに移籍

MTBクロスカントリーの全日本選手権で4連覇を達成した山本幸平が、12月21日、グローバルチームであるスペシャライズドレーシングへの移籍を発表した。世界チャンピオンも在籍するトップチームで活動するその意気込みとは。大きな一歩を踏み出す山本幸平のインタビューをお伝えする。

スペシャライズドレーシングへの移籍を発表した全日本チャンピオンの山本幸平 photo:Hoshi - K. YoshidaCW：今回スペシャライズドレーシング移籍に至った経緯を教えて下さい
山本：今年10月の半ばにマレーシアのランカウイ島で行なわれたMTBステージレースに出場している時、スペシャライズドレーシングのメンバーとの縁があり、そこでチームの首脳に直接話しをしました。そこからはトントン拍子で移籍が決まりました。

スペシャライズドレーシングへの移籍を発表した全日本チャンピオンの山本幸平 photo:Akihiro NAKAOCW：世界トップチームに移籍する気持ちは？
山本：昔は世界一のワークスチームに入ることが夢で、それが切っ掛けで競技を始めた面もあります。実際、チームには2人の世界チャンピオン（ヤロスラフ・クルハヴィとクリストフ・サウザー）がいる。もちろん嬉しいですが、冷静に考えると、スポーツは成績の世界なので結果を残さないと認められない。契約は1年間なので「来年（2013年）は契約がないです」と言われてもおかしくない状況。だからシビアに練習して、コンディショニングして、しっかりとした走りを見せたい。「アジア人でも強いんだ」というところを見せたいという強い思いも、今回のチーム移籍に繋がりました。

CW：移籍後はレース活動の環境が大きく変わるのでは？
山本：個人契約しているフランス人コーチは来年も継続します。チームの方針である良いトレーニング環境を優先して、イタリア国境に近いスイス南部のロカルノ近郊（イタリア語圏）に拠点を置きます。イタリア語は出来ませんが大丈夫ですよ（笑）チーム内の共通言語は英語です。チームの中に良く知っている選手やスタッフはいません。でもワールドカップをはじめとする重要なレースではチーム内のコミュニケーションは欠かせないので、積極的にチームにとけ込むよう頑張ります。

CW：2012年シーズンに達成したいことは？
山本：チームを移籍することは置いておいて、ワールドカップ全7戦でいち早くトップ10に入って認められたい。やっぱりトップ10に入ることで、選手の中で認められるという気持ちがあります。そしてロンドンオリンピック。まだ正式に発表されていませんが「出れるんだ」という気持ちでコンディショニングしていきたい。今まで感じてきたことや成果をすべてレースで出し切るイメージで挑戦していきたいです。

CW：日本でのレース出場予定は？
山本：5月のJシリーズ八幡浜と、翌週に長野で行なわれる全日本選手権に出場する予定です。八幡浜はロンドンオリンピックの出場枠が2枠あった場合の選考にあたるのと、UCIポイントが獲得できるレース。それ以外はスイスを拠点に世界各国を飛び回ることになります。

CW：オリンピック前のタイミングで環境を変えることに不安は？
山本：つい最近まで「オリンピック！オリンピック！」という気持ちが強かったのは確かです。でも（キャリアは）オリンピックで終わるわけじゃない。オリンピックも重要ですが、その先を見据えた移籍です。世界のトップレベルに達するためには、このような環境の変化にも対応しなければならない。落ち着くのではなく、常に新しいことにトライして、常に厳しい環境に身を置く。挑戦する気持ちで頑張らないと、世界トップの“化け物”みたいな選手と互角に闘えない。そんな気持ちが自分の中にありました。目標はアルカンシェル（世界チャンピオンジャージ）獲得に変わりはありません。

interview:Kei Tsuji