2011/12/01(木) - 16:50
ツール・ド・おきなわで総合1・2位を獲得した愛三工業レーシングチームの盛一大と西谷泰治。本来、冬に向かいロード選手はオフシーズンを迎えるが、彼らはトラック・オムニアム種目でのロンドン五輪出場に向けて、トラック選手としての本格的なシーズンを迎えている。
ロンドン五輪で初採用される“オムニアム”
2010年トラック世界選手権スクラッチで銅メダルを獲得した盛一大 photo:Sonoko Tanaka2008年の北京五輪で開催されたポイントレースやマディソンなどの中距離種目はロンドン五輪では廃止される。それに代わって新たにオムニアムという複合種目が取り入れられ、トラック種目は、男女ともにチームスプリント、スプリント、ケイリン、チーム・パシュート、オムニアムの5種目になった。
西谷&盛が五輪出場に向けて挑んでいる“オムニアム”を改めて説明しよう。
以下の6種目を2日間の日程で開催し、順位の累計で勝者が決まる複合競技(同順位の場合はタイムトライアル競技のタイム累計で順位が決まる)で、短距離から長距離、駆け引きやスプリント力などトラック競技における総合力が求められる。
競技順序は1日目に予選、フライング・ラップ、ポイントレース、エリミネイションが行われ、2日目に個人追い抜き、スクラッチレース、1kmタイムトライアル(女子は500m)が行われることになっている。
●250mフライング・ラップ
助走付きのスタートで計測するタイムトライアル。
●ポイントレース(30km/女子は20km)
20〜30選手といった大人数が同時にスタートし、2kmごとの得点地点で与えられているポイントを獲得し、そのポイントの累積で勝者が決まる。
●エリミネイション
大人数でスタートし、規定周回ごとに最下位の選手が除外され、最後は残った2選手によるスプリントで勝者が決まる。除外された順に最下位から順位が決まっていく競技。
●個人追い抜き(4km/女子は3km)
トラックの2ヶ所(ホームとバック)からスタートし、お互いに前にいる選手を追い抜く種目。追い抜けない場合は、所定距離のタイムで勝者が決まる。
●スクラッチレース(15km/女子は10km)
大人数選手が同時にスタートし、着順がそのまま順位になる。ロードレースにもっとも近い競技。
●1kmタイムトライアル(女子は500m)
2011年全日本選手権マディソン優勝の愛三工業レーシング 盛一大と西谷泰治 (c)Haruo.Fukushima
オリンピック出場枠は男女ともに18ヶ国
ツール・ド・おきなわ、総合順位の表彰台 photo:Sonoko TANAKA出場枠は男女ともに18と発表されている。1ヶ国1枠なので、18ヶ国が出場できる。UCIオリンピックランキング2010-2012の上位の国から出場枠を獲得していく仕組みだ。
11月に開催されたワールドカップ・アスタナ大会を終え、日本男子のランキングは20位。出場枠のボーダーとなる18位には入れていないが、大陸ごとの最多数が決まっているため、最多数を超えるヨーロッパの国が除外され、日本は16番目まで繰り上がる。つまり、このままの順位であれば、出場枠を獲得できるといえる。
ツール・ド・おきなわで総合1・2位を獲得した盛一大と西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko TANAKA最終的にランキングが確定するのは、ワールドカップ全ラウンドに加え、来年2月のアジア選手権大会や4月の世界選手権大会を終えてから。
2月にマレーシアで開催されるアジア選手権大会では、ポイントを多く獲得することが可能であり、アジアのライバル国との差を広げる意味でも、出場枠をかけた戦いのハイライトになるだろう。
オムニアムの強化指定選手は、愛三工業レーシングチームの西谷と盛に加え、日本大学の窪木一茂選手が選ばれており、この3選手を中心にロンドン五輪をめざしている。
田中光輝(現GM)以来の五輪出場をめざす愛三工業
(filter error or malformed img_assist tag)UCIアジアツアー、チームランキング首位を目標にアジアのハイレベルなレースを転戦する愛三工業レーシングチーム。近年、ロードシーズンの開幕は早く、来年は2月からアジア選手権大会やツール・ド・ランカウイが予定されており、トラック競技のシーズンと重なってくる。
ロードレースのオフシーズンを使って、西谷と盛はトラック競技に打ち込むが、チームの主戦力でもある彼らにとって、非常に厳しいスケジュールとなることは事実だ。しかし、チームの志気は高く、五輪出場&アジアツアー首位獲得という2つの大きな目標のもと、競技の両立をプラスのものにしようと挑戦を続けている。
別府匠監督のコメント
盛一大と別府匠監督(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko TANAKA「今回のロンドンオリンピックには絶対に出場させたいと思っています。もし出場できれば、愛三工業レーシングチームにとっては、1992年の田中光輝GM以来、20年ぶりのオリンピック出場となります。
JCF強化指定選手にチームから2選手が選ばれていることも誇りに思っています。実際オリンピックに出場できるのは1人ですが2人でオリンピック出場枠を目指すことは、お互いにいい刺激になっていると思います。
ロードとトラック、2つの競技の両立は大変ですが、彼らはできる実力があるからやっているということです。そしてやるからには頂点を目指そうとするのは選手として自然の成り行きです。競技の両立がうまくシンクロしたとき、トラック競技の経験が、ロードの実力をさらに引き上げてくれることを期待しています」
西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko TANAKA
盛一大(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko TANAKA(filter error or malformed img_assist tag)
ワールドカップ・カリ大会に出場する西谷泰治選手のコメント
「強化指定選手に選ばれ、ワールドカップなどの国際大会に出場させてもらえるのは、名誉なことだと思っています。日本代表として、しっかりと走りたいと思います。チームの盛選手とともに五輪出場をめざしている状況は、自分にとって、とてもいい刺激になっています。これからも切磋琢磨して、五輪出場枠を獲得したいと思います」
盛一大選手のコメント
「オリンピックにはどうしても出場したいという強い想いがあります。そのために、まずは出場枠を確実に取るよう、すべてのレースで全力を尽くしていきたいです。オムニアムは短距離のタイム計測競技が含まれているため、中距離選手には不利な面もありますが、得意なゲーム性のある中距離競技で、順位を上げていきたいと思っています」
text&photo:Sonoko TANAKA
ロンドン五輪で初採用される“オムニアム”
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西谷&盛が五輪出場に向けて挑んでいる“オムニアム”を改めて説明しよう。
以下の6種目を2日間の日程で開催し、順位の累計で勝者が決まる複合競技(同順位の場合はタイムトライアル競技のタイム累計で順位が決まる)で、短距離から長距離、駆け引きやスプリント力などトラック競技における総合力が求められる。
競技順序は1日目に予選、フライング・ラップ、ポイントレース、エリミネイションが行われ、2日目に個人追い抜き、スクラッチレース、1kmタイムトライアル(女子は500m)が行われることになっている。
●250mフライング・ラップ
助走付きのスタートで計測するタイムトライアル。
●ポイントレース(30km/女子は20km)
20〜30選手といった大人数が同時にスタートし、2kmごとの得点地点で与えられているポイントを獲得し、そのポイントの累積で勝者が決まる。
●エリミネイション
大人数でスタートし、規定周回ごとに最下位の選手が除外され、最後は残った2選手によるスプリントで勝者が決まる。除外された順に最下位から順位が決まっていく競技。
●個人追い抜き(4km/女子は3km)
トラックの2ヶ所(ホームとバック)からスタートし、お互いに前にいる選手を追い抜く種目。追い抜けない場合は、所定距離のタイムで勝者が決まる。
●スクラッチレース(15km/女子は10km)
大人数選手が同時にスタートし、着順がそのまま順位になる。ロードレースにもっとも近い競技。
●1kmタイムトライアル(女子は500m)
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オリンピック出場枠は男女ともに18ヶ国
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11月に開催されたワールドカップ・アスタナ大会を終え、日本男子のランキングは20位。出場枠のボーダーとなる18位には入れていないが、大陸ごとの最多数が決まっているため、最多数を超えるヨーロッパの国が除外され、日本は16番目まで繰り上がる。つまり、このままの順位であれば、出場枠を獲得できるといえる。
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2月にマレーシアで開催されるアジア選手権大会では、ポイントを多く獲得することが可能であり、アジアのライバル国との差を広げる意味でも、出場枠をかけた戦いのハイライトになるだろう。
オムニアムの強化指定選手は、愛三工業レーシングチームの西谷と盛に加え、日本大学の窪木一茂選手が選ばれており、この3選手を中心にロンドン五輪をめざしている。
田中光輝(現GM)以来の五輪出場をめざす愛三工業
(filter error or malformed img_assist tag)UCIアジアツアー、チームランキング首位を目標にアジアのハイレベルなレースを転戦する愛三工業レーシングチーム。近年、ロードシーズンの開幕は早く、来年は2月からアジア選手権大会やツール・ド・ランカウイが予定されており、トラック競技のシーズンと重なってくる。
ロードレースのオフシーズンを使って、西谷と盛はトラック競技に打ち込むが、チームの主戦力でもある彼らにとって、非常に厳しいスケジュールとなることは事実だ。しかし、チームの志気は高く、五輪出場&アジアツアー首位獲得という2つの大きな目標のもと、競技の両立をプラスのものにしようと挑戦を続けている。
別府匠監督のコメント
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JCF強化指定選手にチームから2選手が選ばれていることも誇りに思っています。実際オリンピックに出場できるのは1人ですが2人でオリンピック出場枠を目指すことは、お互いにいい刺激になっていると思います。
ロードとトラック、2つの競技の両立は大変ですが、彼らはできる実力があるからやっているということです。そしてやるからには頂点を目指そうとするのは選手として自然の成り行きです。競技の両立がうまくシンクロしたとき、トラック競技の経験が、ロードの実力をさらに引き上げてくれることを期待しています」
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ワールドカップ・カリ大会に出場する西谷泰治選手のコメント
「強化指定選手に選ばれ、ワールドカップなどの国際大会に出場させてもらえるのは、名誉なことだと思っています。日本代表として、しっかりと走りたいと思います。チームの盛選手とともに五輪出場をめざしている状況は、自分にとって、とてもいい刺激になっています。これからも切磋琢磨して、五輪出場枠を獲得したいと思います」
盛一大選手のコメント
「オリンピックにはどうしても出場したいという強い想いがあります。そのために、まずは出場枠を確実に取るよう、すべてのレースで全力を尽くしていきたいです。オムニアムは短距離のタイム計測競技が含まれているため、中距離選手には不利な面もありますが、得意なゲーム性のある中距離競技で、順位を上げていきたいと思っています」
text&photo:Sonoko TANAKA
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